悪性胸膜中皮腫に対するmiRNA製剤を開発/広島大学

提供元:ケアネット

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公開日:2021/08/20

 

 広島大学大学院医系科学研究科・細胞分子生物学研究室の田原 栄俊氏、 同大学原爆放射線医科学研究所・腫瘍外科の岡田 守人氏らの研究グループは、スリーディマトリックスと共同で、悪性胸膜中皮腫に対して顕著な治療効果の可能性がある核酸医薬の抗がん剤の開発に成功した。

 共同開発した抗がん剤「MIRX002」は、天然型マイクロRNAを薬効成分とするもので、 岡田氏による悪性胸膜中皮腫を対象とする医師主導治験(第I相試験)の治験届がPMDAに受理され、治験開始準備が整った。

 悪性胸膜中皮腫は、既存の治療法では十分な治療効果が得られず、発症してからの余命が約1年と短い難治性がんの一つだが、悪性胸膜中皮腫モデルマウスを用いた結果では、顕著な腫瘍の縮小と延命効果が見られ、ヒトでも同様の効果が期待されている。今後、患者の募集を広く行い第I相試験治を実施する予定。

 同研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED) 「橋渡し研究戦略的推進プログラム」のシーズB(2017−2019年度)、preC(2020年度)として採択され、橋渡し研究支援拠点である北海道大学拠点の支援を受けて実施した。今回開始する医師主導治験は2021年度 AMED 「橋渡し研究プログラム」のシーズCに採択されており、広島大学病院広島臨床研究開発支援センターが治験の支援を担当。橋渡し研究支援拠点である北海道大学拠点が引き続き支援し、AROとしてデータマネジメント業務、統計解析業務を担当する。

 治験薬の規格の担保、治験薬製造に係る手順書に基づく原薬および治験薬の製造管理を行い、核酸治験薬の提供はPURMX Therapeutics社が行う。

(ケアネット 細田 雅之)