妊婦におけるうつ病の重症度と周産期有害リスクとの関連

提供元:ケアネット

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公開日:2021/03/01

 

 妊娠中は、不安神経症やうつ病の発症に対する脆弱性が高まる。中国・中南大学のKwabena Acheampong氏らは、中等度~重度のうつ病と軽度のうつ病の妊婦における周産期の有害アウトカム発生リスクの比較を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年1月21日号の報告。

 ガーナ・ベクワイ市のアドベンティスト病院で募集されたうつ病を有する妊婦360例を対象に、プロスペクティブコホート研究を実施した。2020年2月に調査を開始し、2020年8月までフォローアップを行った。うつ病の重症度評価には、Patient Health Questionnaires-9(PHQ-9)を用いた。重症度の定義は、中等度~重度をPHQ-9スコア15以上、軽度をPHQ-9スコア15未満とした。軽度うつ病と比較した中等度~重度のうつ病を有する妊婦の調整済み相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・中等度~重度のうつ病と分類された妊婦は、43例(11.9%)であった。
・潜在的な交絡因子で調整した後、中等度~重度のうつ病を有する妊婦は、軽度うつ病と比較し、以下のリスクが高かった。
 ●妊娠高血圧腎症(調整RR:2.01、95%CI:1.21~3.33)
 ●帝王切開(調整RR:1.78、95%CI:1.18~2.70)
 ●会陰切開(調整RR:1.66、95%CI:1.06~2.60)
・一方、うつ病の重症度と周産期のアウトカムとの間に、統計学的に有意な差は認められなかった。

 著者らは「中等度~重度のうつ病を有する妊婦は、妊娠高血圧腎症、帝王切開、会陰切開などのリスクが高かった」としている。

(鷹野 敦夫)