ADHD患者の就労に関するレビュー 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/03/06 これまでの研究では、多くの注意欠如多動症(ADHD)児が、成人期までの間に数々の障害を抱え続けていることが示唆されている。米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のChanelle T. Gordon氏らは、小児ADHD患者が抱える将来の職業的障害、それに伴う教育上・経済上の問題に関するシステマティックレビューを行った。Clinical Child and Family Psychology Review誌オンライン版2019年2月6日号の報告。 PsycINFO、PubMed、その他のソース(専門家によるコンサルタントや専門書)よりシステマティックに検索し、ADHDまたは関連症状の既往歴のある成人患者を対象とした19件の縦断的研究に関する35論文を抽出した。 主な結果は以下のとおり。 ・複数の研究において、ADHD既往者は、そうでない人と比較し、教育的障害が多く、高校や大学を卒業する可能性が低いことが示唆された。 ・その後、ADHD既往者は、業務達成率の低下、雇用状況の不安定性の増加、業務パフォーマンスの低下がみられ、これらの結果は、性別、薬歴、症状の持続性に関係なく、一貫して認められた。 ・同様の結果が、米国内外の臨床試験および代表的な国内試験でも認められていたが、より古い試験においては、職業的障害が少ないことを示唆する傾向が認められた。 ・さらに、ADHDは、年収低下、公的支援への依存増大、ホームレスリスクの増大など、いくつかの経済的問題との関連が認められた。 著者らは「今後の研究では、より多様なソースを利用し、マクロおよびミクロレベルでの分析による、職業的障害に対する革新的な対策が求められる。また、職場環境におけるADHD患者への効果的な支援および介入に関する研究が必要とされる」としている。 ■関連記事 ADHD発症しやすい家庭の傾向 2つのADHD治療薬、安全性の違いは 日本でのADHDスクリーニング精度の評価:弘前大学 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gordon CT, et al. Clin Child Fam Psychol Rev. 2019 Feb 6. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ADHDと電子タバコ、水タバコ、可燃性タバコの使用との関連は? 医療一般(2018/02/01) ADHD児の不注意重症度と野菜や果物など食事の質との関係 医療一般(2022/06/03) 親の年齢とADHDリスク 医療一般(2015/04/10) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM(2025/04/25) 米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA(2025/04/25) 症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂(2025/04/25) サブタイプ別転移乳がん患者の脳転移発生率、HER2低発現の影響は(2025/04/25) 2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究(2025/04/25) 遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か(2025/04/25) tenecteplase、脳梗塞治療でアルテプラーゼと同等の効果(2025/04/25) 低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査(2025/04/25) [ あわせて読みたい ] トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17)