脈絡膜新生血管は積極的な早期治療がカギ

提供元:ケアネット

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公開日:2017/07/05

 

 米国眼科学会(AAO)によるIRIS(Intelligent Research in Sight)レジストリを用いた後ろ向きコホート研究の結果、未治療の近視性脈絡膜新生血管(mCNV)に対する初回治療としては、抗VEGF硝子体内注射が最も多く行われており、治療により視力の改善が得られているが、一方で4人に1人は経過観察のみで治療が行われず、視力が低下していたことが明らかとなった。著者の米国・UC Davis Medical Center のJeffrey Willis氏らは、「mCNVを有する患者への抗VEGF療法の実施を取り巻く社会的障壁や医療制度上の制約を明らかにするために、さらなる研究を行う必要がある」とまとめている。Ophthalmology誌2017年7月号(オンライン版2017年3月31日号)掲載の報告。

 研究グループは、米国における未治療mCNVに対する治療パターンと予後を明らかにする目的で、IRISレジストリに登録されている18歳以上の患者を対象に、2012年1月1日~2014年12月31日のデータを解析した。

 未治療のmCNVは、網膜下/脈絡膜の新生血管を伴う-6.00Dを超える近視(国際疾病分類第9版臨床修正版[ICD-9-CM]の診断コード362.16:特定不能の網膜新生血管)と定義し、mCNVに対する初回治療は、診断日から365日以内に行われた最初の治療(次の4つのうちの1つ)とした。(1)観察(すなわち、治療なし)、(2)抗VEGF硝子体内注射、(3)ベルテポルフィン光線力学的療法(vPDT)、(4)レーザー光凝固。

 診断日(ベースライン)から1年後におけるlogMAR視力のベースラインとの差、ならびに抗VEGF硝子体内注射が行われた場合は1年間の注射頻度(1眼当たり)も評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・片眼または両眼に未治療のmCNVを認める患者185例が解析対象となった。
・診断日から1年以内に治療が記録されていた患者は73.0%(135/185例)で、残りは「観察」であった。
・治療のほとんど(99.3%:134/135例)は抗VEGF硝子体内注射で、0.7%(1/135例)がvPDTであった。
・抗VEGF硝子体内注射を受けた患者は、1年後に視力が有意に改善していた(平均logMAR視力0.17単位改善、95%信頼区間[CI]:0.12~0.20、p<0.01)。
・観察群の患者は、1年後に視力が有意に低下していた(平均logMAR視力0.03単位低下、95%CI:0.008~0.05、p<0.01)。
・診断日から最初の1年間におけるmCNVに対する抗VEGF硝子体内注射の回数は、平均2.8回(標準偏差2.5)であった(中央値:2.0、四分位範囲:1.0~4.0)。

(ケアネット)