英国民、新硬貨発行でニッケルアレルギーが増大?

英国では2013年に新硬貨が発行となった。このうち5ペンスと10ペンスは従来、銅ニッケルであったものが、鉄製でニッケルメッキを施したものに変更されたという。スウェーデン・カロリンスカ環境医学研究所のAnneli Julander氏らは、新たな鉄ニッケルメッキ硬貨と従来の銅ニッケル硬貨のアレルギーリスクを比較する検討を行った。その結果、新硬貨のニッケル曝露は従来硬貨の4倍であるなど、アレルギーリスクの増大が起きていることを報告した。Contact Dermatitis誌2013年6月号の掲載報告。
検討は、6例のボランティア被験者において、コインを手で握った時の皮膚曝露と金属放出を人工汗の下で評価した。
主な結果は以下のとおり。
・鉄ニッケルメッキの新硬貨を手に握った時に皮膚に堆積したニッケル量は、1時間当たり7.5μg/cm2であった。この量は、銅ニッケル硬貨を握った時の量よりも4倍多かった。
・鉄ニッケルメッキ硬貨のニッケルの皮膚曝露が高いのは、表面に含まれるニッケル量が多いことが要因であった。
・初期のニッケル放出率は、1週間で放出される割合の10~27倍高かった。このことは、短期間に繰り返し新硬貨を握ることで、有意なニッケル曝露に結びつくとの考えを強調するものであった。
・上記の結果を踏まえて著者は、「鉄ニッケルメッキの新硬貨は、銅ニッケル硬貨よりも高値のニッケルを皮膚へと堆積させる。そのため、アレルギーリスクの増大を引き起こしている」と結論した。
・なお、人工汗への1週間の放出試験は、硬貨を手に握った時のリスク評価としては適切ではないと述べている。
・そのうえで、ニッケル皮膚線量のリスクアセスメントが推奨されるとして、「英国民は現在、この硬貨の入れ替わりのため、皮膚への不必要に高度なニッケル曝露に曝されている。これは公衆衛生上、問題である」とまとめている。
(ケアネット)
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