皮膚科診療での医療ミス、最も多いのは?

提供元:ケアネット

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公開日:2013/05/28

 

 米国・マサチューセッツ総合病院のAlice J. Watson氏らは、患者の安全に立脚した分類システムの開発を目的に、皮膚科診療において医師が報告した医療ミスを集め分類を行った。150人から回答が得られ、直近のミスのうち85%が1年以内に発生していたこと、安全性のイニシアチブに必要な患者ケアにおけるキー(生検手順、薬物マネジメント、手術部位誤りの防止)が明らかになったことを報告した。著者らによれば、皮膚科診療における医療ミスの性質や領域についての研究は、本報告が初めてだという。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2013年5月号(オンライン版2013年1月27日号)の掲載報告。

 研究グループは、直近および最も重大な医療ミスを検証するサーベイ票を開発し、米国の皮膚科学会に参加した皮膚科医に配布した。

 150人から回答を得られ、直近ミス152件、最重大ミス130件が示された。

 得られたサーベイの回答を他科専門医のための分類システムとともに、皮膚科の医療ミス分類システム開発のために活用した。

 主な結果は以下のとおり。

・回答者の人口統計学的背景は、専門性を反映したものであった。すなわち63%が男性で、50歳以上が60%、60%が個人開業医あるいは民間グループ診療に属していた。
・直近のミスのうち、85%は1年以内の発生であった。86%は、患者に危害(harm)を与えるものとはならなかった。
・最も多かった医療ミスのカテゴリーは、「評価(assessment)」(直近41%、最重大31%)と、「介入(intervention)」(直近44%、最重大52%)であった。
・評価のミスは、主に検査(investigation)と関連していて、概して多かったのは生検の進め方であった。
・介入のミスは、「薬物療法関連」(直近54%、最重大27%)、「処置関連」(直近46%、最重大73%)に二分した。
・注目すべきは、誤った部位への手術が、直近群で5件、最重大群で21件あったことである。
・本所見については、回答が得られた範囲内のもので、思い出しバイアスを受けたものであり、本分類システムに限定されたものである。重要な第一歩ではあるが完全なものではない。

(ケアネット)