腰部脊柱管狭窄症患者のQOLと機能に及ぼす疼痛の影響が明らかに 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/05/08 変性腰部脊柱管狭窄症は「症候群」として定義されており、狭窄の形態学的タイプによりどのような臨床的特徴があるかなどは十分に明らかにはなっていない。スウェーデン・ルンド大学スコーネ大学病院のSigmundsson Freyr Gauti氏らは、全国脊椎レジスター(Spine Register)のデータを解析し特徴付けを試みた。その結果、腰痛と下肢痛のどちらが主であるかにかかわりなく、腰部脊柱管狭窄症の手術前の健康関連QOL(HRQoL)および機能は低いこと、また臨床的に重要な差ではないものの腰痛と下肢痛が同程度の患者ではHRQoLと機能が有意に低いことなどを明らかにした。Spine誌オンライン版2013年4月15日の掲載報告。 本研究では、腰部脊柱管狭窄症患者における術前の下肢痛および腰痛の程度と、形態学的タイプ別にみて疼痛がQOLならびに機能にどのように関連するかについて調査することが目的であった。 対象は、スウェーデン全国脊椎レジスター(Swedish Spine Register)に登録された腰部脊柱管狭窄症患者1万4,821例であった。 疼痛の違いにより、腰痛より下肢痛が強い(腰痛<下肢痛)群、腰痛が下肢痛より強い(腰痛>下肢痛)群、腰痛と下肢痛が同程度(腰痛=下肢痛)群に分け、「中心管狭窄症」「外側陥凹狭窄症」「脊椎すべり症を伴う脊柱管狭窄症」における疼痛の特性と、下肢痛または腰痛とHRQoLおよび機能との関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・疼痛部位分類で最も多かったのは「腰痛<下肢痛」群(49%)で、次いで「腰痛>下肢痛」群(39%)、「腰痛=下肢痛」群(12%)の順であった。 ・腰痛が最も強かったのは脊柱管狭窄症群(比:0.93、95%CI:0.92~0.95)、次いで中心管狭窄症群(同:0.88、0.88~0.89)で、外側陥凹狭窄症群は最も低かった(同:0.85、0.83~0.87)。 ・HRQoLおよび機能が最も低かったのは、「脊柱管狭窄症」の「腰痛=下肢痛」群で、55%(95%CI:50~59)の患者は100m以上歩くことができなかった。 ・外側陥凹狭窄症群は、自己評価による歩行距離が良好であった。 ~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中! ・ 腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか? 治療経過を解説 ・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」痛みと大脳メカニズムをさぐる ・「痛みの質と具体性で治療が変わる?!」神経障害性疼痛の実態をさぐる (ケアネット) 原著論文はこちら Sigmundsson FG et al. Spine (Phila Pa 1976). 2013 Apr 15. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ(2025/10/24) 腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA(2025/10/24) ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025(2025/10/24) 下剤のルビプロストン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省(2025/10/24) 免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025(2025/10/24) 結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025(2025/10/24) 寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会(2025/10/24) 父親の厳しい子育てが子供のメンタルヘルスに影響(2025/10/24)