AD患者におけるパッチ剤切替のメリットは? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/08/22 2011年、わが国では新たなアルツハイマー型認知症(AD)治療剤が複数承認された。中でも、唯一の経皮吸収型製剤であるリバスチグミンパッチ(以下、リバスチグミン)はAD治療の新たな選択肢として期待されている。では、経皮吸収型製剤の使用は、どのようなメリットをもたらすのか? Tian氏らは初めてドネペジルを使用する症例がリバスチグミンに切り替えた際の、アドヒアランスへの影響を後向きコホート研究にて検討した。その結果、1年以内にリバスチグミンへ切り替えを行った症例ではアドヒアランスの向上が期待できることを、Alzheimer Dis Assoc Disord誌オンライン版2012年8月12日号で報告した。 2004~2009年のMarketScan CommercialとMedicare data setsを使用した。治療日数カバー比率(PDC)およびドネペジルとリバスチグミンのPDCの差は切り替え時から算出し、1年間のフォローを行った。PDCは治療可能な薬剤日数/フォローアップ期間日数にて算出した。 主な結果は以下のとおり。 ・772例が対象となった(平均年齢:77歳、男女比:42%:58%)。 ・リバスチグミンへの平均切り替え日数は579日(SD=317.3)であった。 ・リバスチグミンの平均PDCはドネペジルからの切り替え時と比較し、3ヵ月以内で切り替えた症例(80.4% : 90.7%、p=0.04)、7~9ヵ月以内に切り替えた症例(61.3% : 71.0%、p=0.05)で高かった。 ・アドヒアランスを年単位で分析したところ、1年以内にリバスチグミンに切り替えた症例ではドネペジルで治療を継続した症例に比べ、有意にアドヒアランスが高かった(PDC:69.3% : 60.6%、p=0.0004)。 関連医療ニュース ・中等度~高度ADに対するドネペジル+メマンチンの有効性/安全性の検討 ・ドネペジル「新たな抗血管新生治療」の選択肢となりうるか? ・抗うつ薬切替のベストタイミングは? (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Tian H, et al. Alzheimer Dis Assoc Disord. 2012 Aug 12. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 低食物摂取アルツハイマー病患者に対するリバスチグミンパッチの有効性 医療一般 日本発エビデンス(2019/04/26) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 骨盤臓器脱へのペッサリー、膣エストロゲンクリームで継続率に差は?/BMJ(2025/07/11) 基礎インスリン治療中の2型糖尿病、efsitoraはデグルデクに非劣性/Lancet(2025/07/11) 遺伝子治療市場の縮小を超えて:長期成績が示す血友病B治療の未来(解説:長尾梓氏)(2025/07/11) 「日本版敗血症診療ガイドライン2024」改訂のポイント、適切な抗菌薬選択の重要性(2025/07/11) うつ病の認知機能に対するセロトニン5-HT1A受容体パーシャルアゴニストの影響(2025/07/11) 順天堂大学病院管理学研究室 医療MBAエグゼクティブコース2025年度開講決定【ご案内】(2025/07/11) マルチターゲット便DNA検査は免疫学的便潜血検査よりも大腸がん発見のコストが高い(2025/07/11) PFASが子どもの血圧上昇と関連(2025/07/11) 週1回のカプセル剤が統合失調症の服薬スケジュールを簡略化(2025/07/11) [ あわせて読みたい ] 総合内科専門医試験オールスターレクチャー 神経(2021/04/20) 希少疾病・難治性疾患特集 2021(2021/02/01) クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) 脳血管内治療STANDARD(2020/12/10) 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15)