ドネペジル「新たな抗血管新生治療」の選択肢となりうるか? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2012/08/08 ドネペジルは可逆的アセチルコリンエステラーゼ阻害薬であり、アルツハイマー病(AD)患者に使用される。最近の研究では、ドネペジル治療により末梢血単核球(PBMC)で炎症性サイトカインの産生を抑制することが報告されている。また、筋組織に由来する炎症性サイトカインが、下肢虚血モデルにおいて血管新生に重要な役割を果たすとの報告もある。九州大学 宮崎氏らは片側大腿動脈結紮にて作成した下肢虚血モデルマウスを用い、ドネペジルの虚血下肢での血管新生に及ぼす影響を検証した。Clin Sci (Lond)誌2012年8月号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・2週間後の血流量回復とCD31陽性細胞の毛細血管密度は、コントロール群と比較してドネペジル群では有意に減少した。フィゾスチグミンでも同様に有意な減少がみられた。 ・ドネペジル群では、インターロイキン-1β(IL-1β)と血管内皮細胞増殖因子(VEGF)の発現が減少した。 ・IL-1β筋肉内注射により、ドネペジルによって誘発されたVEGFダウンレギュレーションと抗血管新生作用が逆転した。 ・C2C12筋芽細胞における低酸素で誘導されるIL-1βの発現は、アセチルコリン、LY294002、PI3Kのプレインキュベーションよって阻害された。 ・ドネペジルは虚血下肢でAkt(プロテインキナーゼB:PI3K下流キナーゼ)のリン酸エステル化を阻害した。 ・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬によるコリン作動性刺激がPI3Kにより媒介されるIL-1β誘導抑制を通じて、VEGF発現の減少、血管新生を抑制することが示唆された。 関連医療ニュース ・新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療 ・せん妄対策に「光療法」が有効! ・検証「グルタミン酸仮説」統合失調症の病態メカニズム (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Miyazaki R, et al. Clin Sci (Lond). 2012 Aug 1; 123(4): 241-249. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ(2025/10/24) 腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA(2025/10/24) ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025(2025/10/24) 下剤のルビプロストン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省(2025/10/24) 免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025(2025/10/24) 結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025(2025/10/24) 寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会(2025/10/24) 父親の厳しい子育てが子供のメンタルヘルスに影響(2025/10/24)