日本語でわかる最新の海外医学論文|page:922

高血糖は非糖尿病者でも認知症リスク因子か/NEJM

 糖尿病の有無にかかわらず、血糖値が高いほど認知症の発症リスクが上昇することが、米国・ワシントン大学のPaul K Crane氏らの検討で明らかとなり、NEJM誌2013年8月8日号で報告された。「認知症は肥満や糖尿病の帰結として発症するのか」との問いに答えることが喫緊の課題となっている。糖尿病は認知症のリスク因子とされるが、「非糖尿病者でも、高い血糖値は認知症リスクを増大させる」との仮説はこれまで検証されていなかった。

乳酸菌やビフィズス菌に抗菌薬関連下痢症の予防効果なし/Lancet

 抗菌薬関連下痢症(AAD)およびクロストリジウム・ディフィシル感染による下痢症(CDD)の予防治療として、乳酸菌とビフィズス菌を含む微生物製剤は有効ではないことが、英国・スウォンジー大学のStephen J Allen氏らが行ったPLACIDE試験で示された。広域抗菌薬を処方されている高齢の外来患者ではAADが高頻度にみられるが、CDDの場合は生命を脅かす病態が引き起こされる可能性がある。根本的な疾患メカニズムが完全には解明されないなか、AADの予防策として微生物製剤の検討が進められているが、有効性に関するデータは十分ではないという。Lancet誌オンライン版2013年8月8日号掲載の報告。

受診ごとに血圧が変動する症例では認知機能が低下している(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(125)より-

 受診ごとの血圧変動が大きい高齢者は、認知機能が低下しており、MRIで海馬の萎縮や皮質梗塞が多いという臨床研究である。本試験はPRROSPER試験という高齢者に対するプラバスタチンの心血管合併症予防効果を検討した試験の後付解析として行われたものである。

非喫煙者で肺がんリスクが低いのはBMIが高い人?低い人?

 肺がんの約10~15%は非喫煙者に発症し、世界ではがんによる死亡のなかで非喫煙者の肺がんが7番目に多いが、その病因は不明である。BMIが高いほど肺がんのリスクが低いことを示唆したいくつかの研究があるが、非喫煙者の肺がんにおいては明らかではない。米国国立がん研究所のTram Kim Lam氏らは、大規模前向きコホート研究の結果、非喫煙者において、ベースライン時やミドルエイジでのBMIが肺がんリスクの低さと関連しておらず、むしろBMIや腹囲が大きいほど肺がんリスクが高かったことを報告した。PLoS One誌 2013年8月5日号に掲載。

H7N9型鳥インフル、初のヒト間感染の可能性/BMJ

 新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの初めてのヒト間感染と考えられる事例を、中国・江蘇省疾病管理予防センターのXian Qi氏らが確認し、BMJ誌オンライン版(2013年8月6日)で報告した。H7N9型ウイルス感染のほとんどは散発的に発生している。動物実験では、H7N9型ウイルスは飛沫を介して伝染する可能性が示唆されているが、これまでヒト間感染を示す明確なエビデンスはなかった。

ピロリ菌の逐次的治療、7日間3剤併用に比べ良好/BMJ

 ヘリコバクター・ピロリ菌に対する逐次的治療の除菌効果は、7日間3剤併用治療に比べ優れるが、より長期の3剤併用治療やビスマス製剤ベース治療との間には差はないことが、イタリア・ヴェルシリア病院のLuigi Gatta氏らの検討で示された。標準治療であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)+クラリスロマイシン+アモキシシリン(またはメトロニダゾール)による3剤併用療法の除菌率は、現在、当初の目標値である80%に達しない状況にあるという。逐次的治療は、ピロリ菌の除菌治療薬として確立された既存薬を、同時ではなく逐次的に投与する方法で、クラリスロマイシン耐性菌に高い効果を示し、標準治療よりも優れた除菌効果をもたらす可能性が示唆されている。BMJ誌オンライン版(2013年8月7日)掲載の報告。

閉経期ホットフラッシュにSSRIが有効

 サウジアラビア キング・サウード・ビン・アブドゥルアズィーズ健康科学大学KのTaghreed Shams氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析により、閉経周辺期にみられるホットフラッシュに及ぼす選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の影響を検討した。その結果、SSRI の使用によりホットフラッシュの頻度と重症度が改善され、なかでもエスシタロプラム(商品名:レクサプロ)の有効性が良好であることを報告した。Journal of General Internal Medicine誌オンライン版2013年7月26日号の掲載報告。

高齢の腰痛患者における特徴は?

 腰痛は高齢者に多いが、プライマリ・ケアにおけるこのような患者の特徴に関する情報は限られている。オランダ・エラスムス大学医療センターのJantine Scheele氏らは、前向きコホート研究(BACE研究)において、プライマリ・ケアを受診する高齢の腰痛患者は、より多くの障害や併存疾患を有していることを明らかにした。しかし、そのことが腰痛の経過と臨床的にどう関連しているかについては今後の研究課題であるとまとめている。

重症ANCA関連血管炎、リツキシマブは長期に有効/NEJM

 抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の重症(臓器障害)例の寛解導入と維持の長期(18ヵ月間)有効性について、リツキシマブ(商品名:リツキサン)の1コース(週に1回を4週間)単独投与の治療が、継続的に免疫抑制薬を投与する従来の免疫療法と、同程度の効果があることが明らかにされた。米国・メイヨークリニック財団のUlrich Specks氏らが、多施設共同無作為化二重盲検ダブルダミー非劣性試験「RAVE」を行い報告した。ANCA患者は大部分が最終的に再発するため、導入療法の選択においては、寛解までの期間、再発の重症度、治療の累積による毒性が重要な因子となる。RAVE試験では、6ヵ月時点の寛解達成がリツキシマブ治療群において優れていたことが報告されていた。NEJM誌2013年8月1日号掲載の報告より。

特発性テント上脳内出血への早期手術は生存利益あり?/Lancet

 脳室内出血のない特発性テント上脳内出血への早期手術によるアウトカム改善について検討したSTICH IIの結果が、英国・ニューカッスル大学のA David Mendelow氏らにより報告された。大きな改善は示されなかったが、臨床関連の生存アドバンテージがある可能性が示されたという。同患者への早期手術によるリスクとベネフィットの釣り合いについては、これまで明らかにされておらず、STICH IIにおいて初期保存療法との比較で検討が行われた。Lancet誌2013年8月3日号(オンライン版2013年5月29日号)掲載の報告より。

認知症に対するアロマテラピー、効果はあるか

 アロマテラピーやハンドマッサージが認知症患者にいくつかの利点をもたらすことが報告されている。オーストラリアのChieh-Yu Fu氏らは、長期介護施設で生活する認知症患者における破壊的行動にアロマテラピーやハンドマッサージが有用かを、単盲検比較試験にて検討した。BMC complementary and alternative medicine誌オンライン版2013年7月10日号の報告。

小学生へのにきび治療薬処方の実態

 米国・ウェイクフォレスト大学のScott A. Davis氏らは、米国食品医薬品局(FDA)が12歳以上への処方を認可しているざ瘡(にきび)治療薬について、思春期(12~18歳)とそれよりも年少者(本研究では7~11歳と定義)への処方について比較すること、および皮膚科医と小児科医で処方パターンに違いがあるかを調べた。

高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫、早期介入が有用/NEJM

 くすぶり型多発性骨髄腫の高リスク例については、レナリドミド(商品名:レブラミド)、デキサメタゾン(同:レナデックス)を用いた治療を早期に開始したほうがベネフィットを得られることが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らによる検討の結果、明らかにされた。くすぶり型多発性骨髄腫に対する治療は、有効な治療薬がほとんどなく、利用可能な治療薬は長期毒性への懸念があり、症状が発現するまでは経過観察が標準とされている。背景には、同疾患の活動性疾患への進行リスクが低い(年率10%)ことがあるが、研究グループは、これまで研究ターゲット集団として検討されていなかった、同患者の40%を占める高リスク例(進行する確率が2年で50%)について、早期介入の有用性を検討する第3相無作為化オープンラベル試験を行った。NEJM誌2013年8月1日号の掲載報告。

肺保護的換気法、腹部大手術アウトカムを改善/NEJM

 術後肺合併症のリスクがある腹部大手術施行患者では、術中の肺保護的な換気法により臨床アウトカムが改善され、医療資源利用が抑制されることが、フランス・クレルモンフェラン大学中央病院(CHU)付属エスタン病院のEmmanuel Futier氏らが行ったIMPROVE試験で示された。低1回換気量および呼吸終末陽圧(PEEP)による肺保護的な換気法は、重症患者に対する最良の換気法とされるが、麻酔下に大手術を施行された患者における役割は、これまで知られていなかった。NEJM誌2013年8月1日号掲載の報告。