日本語でわかる最新の海外医学論文|page:870

中等度リスク肺塞栓症への血栓溶解療法の臨床転帰は?/NEJM

 中等度リスクの肺塞栓症に対する血栓溶解療法は血行動態の代償不全を防止するが、大出血や脳卒中のリスクを増大させることが、フランス・ジョルジュ・ポンピドゥー・ヨーロッパ病院のGuy Meyer氏らが行ったPEITHO試験で示された。これまでの肺塞栓症の無作為化臨床試験では、血栓溶解療法による血行動態の迅速な改善効果は示されているものの、とくに発症時に血行動態の不安定がみられない患者では、臨床転帰への影響は確認されていなかったという。NEJM誌2014年4月10日号掲載の報告。

統合失調症患者の突然死、その主な原因は

 統合失調症と突然死との関連は知られているが、剖検データが不足しており、死亡診断書や原因ルート評価を用いた先行研究では、大半の突然死について解明がなされていなかった。一方、住民ベースの突然の“自然死”の原因に関する事実分析データでは、最も共通した要因は冠動脈疾患(CAD)であることが明らかになっていた。ルーマニア・トランシルヴァニア大学のPetru Ifteni氏らは、精神科病院に入院中の統合失調症患者の突然死について、その発生率や原因を調べた。Schizophrenia Research誌オンライン版2014年4月3日号の掲載報告。

新規ドライパウダー吸入器の特性および簡便性の質的評価

 喘息やCOPDなどの慢性呼吸器疾患では吸入療法による治療が行われる。そのため、吸入器の選択と患者の吸入手技は長期管理のアドヒアランスに影響し、さらに治療効果に影響を及ぼす。喘息およびCOPD患者へのインタビュー調査の結果、新たなドライパウダー吸入器(DPI)「エリプタ」は、他の吸入器と比べて満足度が高く好ましいものと認知されていることが、Henrik Svedsater氏らにより報告された。

ACC/AHA開発の心血管疾患リスク予測式の予測能は高い/JAMA

 米国心臓病学会・米国心臓協会(ACC/AHA)が開発したアテローム性心血管疾患(CVD)リスク予測式について、CVDや糖尿病の既往がなくLDL-C値が70~189mg/dLの白人や黒人を含む1万例超の大規模コホートに当てはめて検証した結果、同式による予測値と、実際の発生率は近似値で予測能は高いことが示された。米国・アラバマ大学のPaul Muntner氏らが報告した。JAMA誌2014年3月29日号掲載の報告より。

TAVRは外科手術より死亡リスクが低い/NEJM

 重度大動脈狭窄患者に対し、自己拡張型経カテーテル大動脈弁バイオプロテーゼを用いた経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は、外科的大動脈弁置換術に比べ、1年死亡リスクが約5ポイント有意に低いことが示された。米国・マウントサイナイ医療センターのDavid H. Adams氏らが、795例を対象に行った無作為化比較試験の結果、報告した。先行研究でTAVRは、内科的治療と比較して生存を改善し、外科的大動脈弁置換術と1年生存率は同等だったが、神経学的イベント頻度が高いことが示されていた。今回、研究グループは、自己拡張型経カテーテル大動脈弁バイオプロテーゼを用いたTAVRの安全性と有効性について検討を行った。NEJM誌オンライン版2014年3月29日号掲載の報告より。

非定型抗精神病薬、小児への適応外使用の現状

 過去20年間における非定型抗精神病薬使用の増大は、注意欠陥・多動性障害(ADHD)を含む未承認適応での頻度が顕著に認められているという。米国・メリーランド大学のMehmet Burcu氏らは、非定型抗精神病薬の使用について、年齢群、メディケイド適格カテゴリー群、またADHDを有さない若者において特徴づける検討を行った。その結果、とくにフォスターケア(里親制度)の小児およびADHDと診断された小児において、長期的な効果、安全性、適切な心臓代謝モニタリングの監督に関するアウトカムについて、探求すべき根拠が認められたことを報告した。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2014年4月1日号の掲載報告。

CRT-D早期介入vs. ICD単独の長期生存ベネフィットは?/NEJM

 心筋症で軽症心不全、左室機能不全を有する患者への、両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)の早期介入による長期生存ベネフィットは、左脚ブロックを有する患者において有意であることが明らかにされた。米国・ロチェスター大学医療センターのIlan Goldenberg氏らが、心臓再同期療法による多施設共同自動除細動器埋め込み試験(MADIT-CRT)の参加者を長期(7年)追跡した結果、報告した。MADIT-CRTの評価(2.4年)では、CRT-Dの早期介入は植込み型除細動器(ICD)単独群と比較して左脚ブロック患者における心不全イベントを有意に抑制したことが報告されていた。NEJM誌オンライン版2014年3月30日号掲載の報告より。

米国の高血圧ガイドライン(JNC8)のインパクト/JAMA

 米国合同委員会(Joint National Committee:JNC)の第8次報告として新たに発表された年高血圧ガイドラインにより、成人の降圧治療対象者が減少し、目標血圧達成者の割合が増大することが判明した。この影響はとくに高齢者で大きいという。米国・デューク大学医療センターのAnn Marie Navar-Boggan氏らが報告した。高血圧ガイドラインでは、60歳以上の血圧目標値を従来の140/90mmHg未満から150/90mmHg未満へと引き上げることが、また糖尿病あるいは慢性腎臓病(CKD)を有する患者についても130/80mmHg未満から140/90mmHgへと変更することが盛り込まれた。これら変更の影響について研究グループは、全米健康栄養調査(NHANES)のデータを使って検討した。JAMA誌2014年4月9日号掲載の報告より。

高齢者への向精神薬投与、認知症発症リスクと強く関連

 向精神薬の使用はその後の認知症発症に影響を及ぼすのだろうか。国立台湾大学のFei-Yuan Hsiao氏らは、この仮説を検証するために、国民健康保険データベースに基づきpropensity scoreを用いた症例対照研究を行った。その結果、向精神薬の曝露は将来の認知症発症リスクと強く関連することが示された。Journal of the American Medical Directors Association誌2014年3月27日号の報告。

期待が大きいと失望も大きい:プラセボをおくことの重要性を教えてくれた試験。(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(194)より-

腎除神経術(RND)は治療抵抗性高血圧の非薬物治療としてここ数年、海外学会などで話題をさらってきた期待の治療法である。理論的には腎動脈から発信される神経刺激が中枢を刺激して交感神経を活性化させ高血圧をもたらすことは動物実験からも確認されており、腎臓からの神経遮断は血圧を下げることは理論にかなっている。しかしこの治療法の当初からの懸念は、白衣高血圧とプラセボ効果がきちんと除外されているのかということであった。

メロンアレルギーの主要アレルゲンを確認

 近年みられるようになった接触アレルギーとして、植物性食品との関連がある。口腔アレルギー症候群は、果物アレルギーの最も特徴ある症状の1つであり、全身性反応も引き起こす。植物性食品アレルギーは、花粉アレルギーとともに増大してきており、同様に果物が引き起こすアレルギー性の蕁麻疹も増大しているといわれる。こうした背景を踏まえて、スペイン・フエンラブラダ大学病院のGandolfo-Cano M氏らは、1つの特異的アレルゲンとしてメロンの皮が接触蕁麻疹の原因であることを確認する検討を行った。British Journal of Dermatology誌2014年3月号(オンライン版2013年10月31日号)の掲載報告。