日本語でわかる最新の海外医学論文|page:870

安全性情報(2014年8月6日改訂指示分)

2014年8月6日改訂指示分 【成分名】 ・プラミペキソール塩酸塩水和物 ・トルバプタン ・カルベジロール ・インフリキシマブ(遺伝子組換え)[バイオ後続品を含む] ・スガマデクスナトリウム ・カルボプラチン ・ドキシサイクリン塩酸塩水和物 ・メトロニダゾール ・ランソプラゾール・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール ・ラベプラゾールナトリウム・アモキシシリン水和物・メトロニダゾール ・リネゾリド

HIV-HCV重複感染にSOF+RBVが有効/JAMA

 HIV感染患者でC型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子型1、2または3型にも重複感染している患者に対し、インターフェロンを用いない経口薬治療のソホスブビル(SOF)+リバビリン(RBV)は、12週間投与または24週間投与とも高い持続性ウイルス学的著効(SVR)を達成したことが報告された。米国・ジョンズホプキンス大学のMark S. Sulkowski氏らによる非盲検非無作為化非対照の第III相臨床試験の結果、示された。今回の結果について著者は、「さまざまな重複感染患者集団で、この経口療法の試験を進めるべき根拠が示された」とまとめている。JAMA誌2014年7月23・30日号掲載の報告より。

スタチン時代にHDL上昇薬は必要か/BMJ

 スタチン治療中の患者に対し、HDL値の上昇効果があるナイアシン、フィブラート系薬、コレステリルエステル転送蛋白(CETP)阻害薬の併用はいずれも、全死因死亡、冠動脈疾患死、また心筋梗塞や脳卒中を減少しないことが示された。英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのDaniel Keene氏らが患者11万7,411例のデータを含む無作為化試験をメタ解析し報告した。「観察研究では、HDL上昇と心血管アウトカム改善の相関性が示されているが、スタチンが広く使用されるようになった現在では、HDL値を上昇するこれら3つの薬剤の有益性を裏付ける試験はなかった」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年7月18日号掲載の報告より。

抗精神病薬が脳容積の減少に関与か

 抗精神病薬投与が、統合失調症患者でみられる発症後の脳容積減少に関与している可能性が示された。フィンランド・オウル大学のJuha Veijola氏らが、一般住民ベースの出生コホートの被験者を9年間追跡し脳容積の変化などを評価し報告した。先行研究において、統合失調症患者では経時的に脳容積が減少することが示されていた。PLoS One誌オンライン版2014年7月18日号の掲載報告。

コーヒーを多く飲む人は顔のシミが少ない

 日本人中年女性131名を対象とした検討の結果、コーヒーおよびポリフェノール摂取量が多い人ほど顔のシミが少ないことが明らかにされた。ネスレ日本の福島 洋一氏らが報告したもので、「コーヒーは、日焼けによる皮膚の老化の予防に役立ち、クロロゲン酸を含むポリフェノールにはシミにみられる色素過剰を減じる可能性があると思われる」とまとめている。International Journal of Dermatology誌オンライン版2014年7月11日号の掲載報告。

腰痛へのアセトアミノフェンの効果に疑問/Lancet

 常用量および頓用量のアセトアミノフェン(オーストラリアでの一般名は「パラセタモール」、日本とは投与量が異なる)は腰痛の回復までの期間の短縮には効果がないことが、オーストラリア・シドニー大学のChristopher M Williams氏らが行ったPACE試験で示された。急性腰痛のガイドラインでは、第一選択の鎮痛薬としてアセトアミノフェンが広く推奨されているが、他の薬剤との比較では効果に差はないとされており、この推奨を直接的に支持する質の高いエビデンスはないという。Lancet誌オンライン版2014年7月24日号掲載の報告。

敗血症のアルブミン、死亡抑制に差なし/BMJ

 成人敗血症に対する体液補充や蘇生輸液におけるアルブミン製剤の使用は、クリスタロイド溶液やコロイド溶液に比べて全死因死亡を改善しないことが、英国インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラスト、ハマースミス病院のAmit Patel氏らの検討で示された。イギリス国立医療技術評価機構(NICE)やSurviving Sepsis Campaignのガイドラインは、主に2011年のメタ解析や2004年のSAFE試験の結果に基づき、成人敗血症の体液補充や蘇生輸液へのアルブミン製剤の使用を推奨している。一方、これらの試験の質は十分に高いとは言えず、その後に行われた試験の結果も相反するものだという。BMJ誌オンライン版2014年7月22日号掲載の報告。

線維筋痛症、教育的介入より認知行動療法

 米国・エモリー大学のSoumitri Sil氏らは、認知行動療法に反応する若年性線維筋痛症患者の特定と予測因子について検討し、教育的介入より認知行動療法で治療反応率が高いこと、認知行動療法は治療開始時の機能障害が大きく自己効力感が高い患者でより有効であること、疼痛強度やうつ症状は治療反応性と無関係であることなどを明らかにした。

高齢統合失調症、遅発性ジスキネジアのリスク低

 高齢患者に対するオランザピンvs. 旧来の抗精神病薬治療による遅発性ジスキネジアの発生率は、それぞれ2.5%、5.5%と低率で有意差もみられなかったことが、米国のBruce J. Kinon氏らが行った検討の結果、報告された。これまで55歳以上を対象とした比較試験は行われていたが、今回の検討は、平均年齢78歳、約8割が認知症を有する高齢患者を対象に行われたものである。Journal of Geriatric Psychiatry and Neurology誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。

抗うつ薬+アリピプラゾール、長期忍容性は

 抗うつ薬が奏効しないうつ病患者に対する抗精神病薬の併用は、長期的に安全なのか。米国・バージニア大学のAnita H Clayton氏らは、大うつ病性障害(MDD)患者に対し、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)/セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)またはブプロピオン(国内未承認)にアリピプラゾールを併用した場合の長期忍容性を評価した。その結果、いずれの併用においても予期せぬ有害事象は認められず、同様の症状改善効果が認められたことを報告した。BMC Research Notes誌オンライン版2014年7月18日号の掲載報告。

HIV感染者の肝・心血管疾患死が減少/Lancet

 最近10年ほどの間に、HIV感染患者のAIDS関連疾患死、肝疾患死、心血管疾患死が実質的に減少したが、AIDS非関連腫瘍による死亡が増えていることが、英国ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのColette J Smith氏らが行ったD:A:D試験で示された。有効性の高い抗レトロウイルス療法(ART)の出現に伴い、HIV感染患者の余命は一般人口に近づきつつある。その結果として、AIDSに関連のない従来の合併症の重要性が相対的に増大しているという。Lancet誌2014年7月19日号掲載の報告。

抗リン脂質抗体症候群にmTORC経路が関与/NEJM

 抗リン脂質抗体症候群(APS)の血管病変の形成には、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体(mTORC)の分子経路が関与している可能性があることが、フランス国立保健医学研究機構(INSERM)、パリ・デカルト大学(第5大学)のGuillaume Canaud氏らの検討で示された。APSの主な特徴は血栓症とされるが、慢性血管病変もよくみられ、とくに生命に関わる合併症を有する患者で頻度が高く、移植を要する患者では再発病変が高頻度にみられるという。APSの血管障害に関与する分子経路は知られておらず、適切な治療法は確立されていない。NEJM誌2014年7月24日号掲載の報告。

分子標的治療薬登場で甲状腺がん治療はどう変わる?

 今年6月、甲状腺がんで初めての分子標的治療薬として、ソラフェニブ(商品名:ネクサバール)が「根治切除不能な分化型甲状腺がん」に対して承認された。これまでは外科医でほぼ完結していた甲状腺がん治療が、分子標的治療薬の登場によってどのように変わっていくのだろうか。7月29日(火)、都内で開催されたプレスセミナー(主催:バイエル薬品株式会社)で、甲状腺がん治療の現状と今後のあり方、ソラフェニブの臨床成績と副作用のマネージメントについて、日本医科大学内分泌外科学分野 教授 杉谷 巌氏と国立がん研究センター東病院頭頸部内科 科長 田原 信氏がそれぞれ講演した。

長期抗精神病薬曝露は記憶にどう影響するか

 統合失調症における長期的な抗精神病薬投与と認知機能の推移との関連は、明らかになっていない。フィンランド・オウル大学のAnja P Husa氏らは、9年間のフォローアップ期間における言語学習や記憶の変化と生涯累積抗精神病薬投与量との関連を分析した。本研究は、同関連について長期にわたり自然的に追跡した初の報告となる。Schizophrenia research誌オンライン版2014年7月15日号の報告。

急がれるAll RAS検査承認

 2014年7月29日(火)、東京都千代田区において大腸がんにおけるバイオマーカー「RAS遺伝子」をテーマにしたプレスセミナー(主催:メルクセローノ株式会社)が開催された。その中で、愛知県がんセンター中央病院 薬物療法部長/外来化学療法センター長である室 圭氏が、「大腸がんのさらなる『個別化治療』に向けて バイオマーカーとしての『RAS遺伝子』の可能性」と題して講演を行った。