日本語でわかる最新の海外医学論文|page:871

プロラクチン上昇リスクの低い第二世代抗精神病薬はどれか

 1970年代以降、統合失調症患者への薬物治療の基本である抗精神病薬の一般的な有害事象として、高プロラクチン血症(HPRL)に対する認識が臨床医において浸透してきている。第二世代抗精神病薬(SGA)による治療中の血漿中プロラクチン(PRL)レベルは第一世代抗精神病薬使用時と比較して低いが、これらのPRLレベルに及ぼす詳細な影響は完全には明確にされていない。さらに、新規に承認された抗精神病薬[アセナピン、イロペロリドン、ルラシドン(いずれも国内未承認)]のPRLレベルに及ぼす影響に関するレビューは現時点においてない。ベルギー・ルーヴェン・カトリック大学のJ. Peuskens氏らは、第二世代抗精神病薬および新規に承認された抗精神病薬のPRL上昇への影響を評価するため、MEDLINE文献検索によるレビューを行った。その結果、アセナピンとイロペロリドンはクロザピンと同程度の、ルラシドンはジプラシドン(国内未承認)およびオランザピンと同程度のプロラクチン上昇作用を有する所見が得られたことを報告した。CNS Drugs誌2014年3月号の掲載報告。

スタチン投与対象者はガイドラインごとに大きく異なる/JAMA

 臨床ガイドラインによって、スタチン投与の対象となる人は大きく異なることが判明した。2013年に発表された新たな米国心臓病学会と米国心臓協会(ACC/AHA)ガイドラインを順守した場合には、55歳以上男性コホートの約96%に相当する一方で、従来の米国高脂血症治療ガイドライン(Adult Treatment Panel III:ATP III)に則した場合は、スタチン投与の対象者は男性の52%に留まるという。オランダ・エラスムス大学医療センターのMaryam Kavousi氏らが、約5,000例のコホート試験を基に分析して明らかにした。JAMA誌2014年4月9日号掲載の報告より。

TAVRの装着成功率、弁型で差/JAMA

 ハイリスク重度大動脈弁狭窄への経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)に関して、バルーン拡張型弁と自己拡張型弁を比較したところ、バルーン拡張型弁のほうが装着成功率が高く、その他のアウトカムも良好であることが示された。ドイツ・ゼーゲベルガークリニックのMohamed Abdel-Wahab氏らが、241例を対象に行った無作為化試験「CHOICE」の結果、報告した。TAVRは同患者に対する有効性が認められた治療選択肢だが、弁型式の違いによる検討はこれまで行われていなかった。JAMA誌オンライン版2014年3月30日号掲載の報告より。

本当にアリピプラゾールは代謝関連有害事象が少ないのか

 非定型抗精神病薬に伴う代謝異常は、薬剤の種類により異なるといわれている。非定型抗精神病薬と心血管疾患のリスク因子との関連を踏まえ、米国糖尿病学会(ADA)および米国精神医学会(APA)は、非定型抗精神病薬の中でもアリピプラゾールとジプラシドン(国内未承認)は代謝異常を生じにくいとのコンセンサスステートメントを発表した。今回、米国・ニューヨーク医科大学のLeslie Citrome氏らは、実臨床下におけるアリピプラゾールと他の非定型抗精神病薬の代謝関連有害事象リスクに関する検討を行った。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2014年3月26日号の掲載報告。

腺腫検出率1%上昇で中間期大腸がんリスク3%低下/NEJM

 腺腫の検出率と、中間期大腸がん、進行期の中間期がん、致死的な中間期がんのリスクとの間には逆相関の関連がみられることが判明した。米国・カイザーパーマネンテ社のDouglas A. Corley氏らが、消化器専門医136人が行った大腸内視鏡検査31万4,872件について分析した結果、報告した。大腸内視鏡検査は、大腸がん検出のプライマリまたはフォローアップスクリーニングとして一般に行われている。また最近では、医師が行うスクリーニング大腸内視鏡検査での1つ以上の腺腫の検出率が、質の評価の指標として推奨されるようになっていた。しかし、この検出率とその後の大腸がん(中間期がん)や死亡のリスクとの関連については、ほとんど分析がされていなかったという。NEJM誌2014年4月3日号掲載の報告より。

治療抵抗性高血圧に対する効果の比較、腎除神経術vs擬似的手技/NEJM

 治療抵抗性高血圧に対する腎デナベーション(腎除神経術)の降圧効果を、盲検下でプラセボ(擬似的手技:シャム)と比較した「SYMPLICITY HTN-3」試験の結果が、同研究グループの米国・ブリガム&ウィメンズ病院のDeepak L. Bhatt氏らにより発表された。6ヵ月時点の評価において、腎除神経術による有意な降圧は認められなかったという。先行研究の非盲検試験では、カテーテルベースの腎除神経術の降圧効果が示唆され、現在80ヵ国以上で臨床導入されている。しかし先行研究は、サンプルサイズが小さく、限定的な24時間血圧の評価で、盲検化不足、シャム対照の不足といった、試験結果の信頼性を損なう多くの点が散見されていた。本試験は、先行研究の方法論の問題を解消するようデザインされた、前向き単盲検無作為化シャム対照試験であった。NEJM誌オンライン版2014年3月29日号掲載の報告より。

特発性肺線維症(IPF)への挑戦

 2014年4月3日(木)都内にて、日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社主催のもとメディアセミナー「呼吸器領域における難病への挑戦~特発性肺線維症(IPF)~」が開催された。当日は、自治医科大学呼吸器内科 教授 杉山幸比古氏、東邦大学医学部呼吸器内科学分野 教授 本間 栄氏が、特発性肺線維症(以下IPF)について、それぞれ疫学・病態、治療の進歩に関して講演した。

膝OA痛や慢性腰痛へのデュロキセチン、治療効果の判断はいつ?

 疼痛治療戦略を変更する時期に関する研究は十分ではなく、慢性疼痛における差の1つとなっている。オーストラリア・メルボルン大学のOwen D Williamson氏らは、変形性膝関節症による痛み(膝OA痛)や慢性腰痛症に対するデュロキセチン治療について、その治療戦略を変更する判断時期を明らかにする検討を行った。

自殺リスクの高いパーキンソン病患者の特徴は

 トルコのパーキンソン病患者において、若年発症、罹病期間、うつ、衝動制御障害(ICD)が自殺念慮の高いリスクと関連していることが、トルコ・Erenkoy Mental Health and Neurology Training and Research病院のBetul Ozdilek氏らによって明らかとなった。Neuropsychiatric disease and treatment誌2014年3月26日号掲載の報告。

臓器移植後の慢性E型肝炎ウイルス感染にリバビリン単剤が有望/NEJM

 臓器移植後の慢性E型肝炎ウイルス(HEV)感染には、約3ヵ月間のリバビリン単剤療法が有効である可能性が示された。フランス・CHU RangueilのNassim Kamar氏らが、59例の固形臓器移植レシピエントを対象に、後ろ向きに検討した多施設共同症例集積研究を行い報告した。HEV感染に対しては現状、有効性が確立した治療法がない。NEJM誌2014年3月20日号掲載の報告より。

学生の飲酒節制、ネット介入の効果なし/JAMA

 大学生を対象としたインターネットによるアルコール使用障害の特定と介入プログラムは、飲酒頻度や総飲酒量、学業問題や気晴らし飲酒、深酒について、改善効果を認めなかったことが明らかにされた。一方で、典型的な行事における飲酒量については、介入プログラムにより有意に減少したという。オーストラリア・ニューカッスル大学のKypros Kypri氏らが、約1万5,000人の大学生を対象に行った試験で明らかにした。先行研究では、健常者の飲酒、とくに若い人の飲酒は、グローバルな疾患負荷に結びつくこと、またシステマティックレビューではインターネットによるスクリーニングと介入は有効であることが示唆されていた。JAMA誌2014年3月26日号掲載の報告より。

結節性多発動脈炎の原因はアデノシンデアミナーゼ2の遺伝子変異である(コメンテーター:金子 開知 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(193)より-

 結節性多発動脈炎(polyarteritis nodosa:PAN)は、1866年にKussmaulとMaierにより初めて詳細に報告された血管炎である。Chapel Hill Consensus Conference 2012では、PANは「中・小動脈の壊死性血管炎で、糸球体腎炎あるいは細小動脈・毛細血管・細小静脈の血管炎を伴わず、抗好中球細胞質抗体と関連のない疾患」と定義された稀な疾患であり、その病因は明らかではなかった。

てんかん患者の精神疾患有病率は健常人の8倍

 アイルランド・ボーモント病院のMaurice J Clancy氏らが行ったシステマティックレビューおよびメタ解析の結果、てんかん患者において精神疾患を有する人は最大6%存在し、そのリスクは健常対照と比較して8倍高かったことが報告された。また、側頭葉てんかん患者で7%と、とくに高かったことも判明した。てんかんは、精神疾患のリスク因子であると思われてきたが、著者は、「今回明らかになった関連は、さらなる検討により、精神疾患の病因学的な手がかりが得られる可能性を示唆するものである」とまとめている。BMC Psychiatry誌オンライン版2014年3月13日号の掲載報告。

米国での医療関連感染、C.difficileが最多/NEJM

 米国疾病予防管理センター(CDC)のShelley S. Magill氏らは、複数地点で調べるサーベイ法で急性期病院における医療関連感染の発生について調べた結果、2011年時点で患者64万8,000例、72万1,800件の発生であったことを報告。また Clostridium difficile (C. difficile)感染症が最も多くみられ、引き続きC. difficile感染症に対する公衆衛生サーベイランスと予防への取り組みが必要であることを報告した。JAMA誌オンライン版2014年3月27日号掲載の報告より。

破裂性腹部大動脈瘤による死亡率の低い病院の共通因子/Lancet

 英国・ロンドン大学のAlan Karthikesalingam氏らが、破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)からのアウトカムについて米国と英国を比較した結果、米国よりも英国のほうが院内生存率、介入率、血管内修復術実施率が低いことが明らかになった。また、両国とも死亡率が最も低かったのは、病床規模が大きな教育病院で、血管内修復術の施行率が高い病院だった。著者は「これらの共通要因は、rAAAの患者アウトカムの改善戦略を示唆するものである」と述べている。Lancet誌2014年3月15日号掲載の報告より。

薬剤溶出性ステントの優劣は1年の短期成績によって決めてよいか?(コメンテーター:上田 恭敬 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(192)より-

 SORT OUT III試験は、2種類の異なる薬剤溶出性ステントを留置した患者の臨床転帰について評価することを目的に、デンマーク国内5ヵ所のインターベンションセンターで行われた。適格患者2,332例が無作為に2群に割り付けられ、ゾタロリムス溶出エンデバースプリントステント(米国メドトロニック社製)もしくはシロリムス溶出サイファーセレクトプラスステント(米国コーディス ジョンソン&ジョンソン社製)の留置を受けた。