日本語でわかる最新の海外医学論文|page:815

脱毛性毛包炎、イソトレチノインは有効な治療選択肢

 脱毛性毛包炎は瘢痕性脱毛症の原因となる。現在、最もよく用いられている治療薬は抗菌薬であるが、再発率が高いのが特徴で耐性菌の発現も促進する。ドイツ・ルートヴィヒ・マクシミリアン大学のJulia. K. Tietze氏らは、レトロスペクティブな検討においてイソトレチノイン経口薬(国内未承認)が有効な治療選択肢となることを示した。著者は、「脱毛性毛包炎に対する第1選択としての抗菌薬の使用をしっかり見直し再評価する必要がある」とまとめている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2015年2月24日号の掲載報告。

ICDの初移植、除細動テストなしでも転帰同等/Lancet

 植込み型除細動器(ICD)の初移植の際、除細動テストを実施しなくても、実施した場合と比べて、その後のアウトカムについて非劣性であることが明らかにされた。カナダ・マックマスター大学のJeff S Healey氏らが、2,500例について行った単盲検無作為化非劣性試験「SIMPLE」の結果、報告した。除細動テストは広く行われているが、その有効性と安全性について検討した試験はこれまで行われていなかったという。Lancet誌オンライン版2015年2月20日号掲載の報告より。

慢性腰痛は神経障害性疼痛の有無で治療薬を使い分け

 慢性腰痛の治療にプレガバリン(商品名:リリカ)やオピオイドが用いられることがあるが、これまで両者の有効性を比較した研究はない。独立行政法人 国立長寿医療研究センター 整形外科脊椎外科医長の酒井 義人氏らは高齢患者において検討し、全体の有効率に差はないものの神経障害性疼痛や下肢症状の有無で、効果に違いがみられることを示した。著者は、「鎮痛か日常生活動作(ADL)の改善かなど、治療の主たる目的を明確にしておくことが大切」とまとめている。European Spine Journal誌オンライン版2015年2月15日号の掲載報告。

抗凝固薬による脳内出血、血腫増大の分岐点/JAMA

 抗凝固療法の合併症で脳内出血を発症した人は、4時間以内の国際標準比(INR)が1.3未満で、収縮期血圧が160mmHg未満だと、血腫増大リスク、院内死亡リスクともに減少することが明らかにされた。オッズ比はそれぞれ0.28、0.60であった。ドイツ・エアランゲン-ニュルンベルク大学のJoji B. Kuramatsu氏らが、約1,200例の患者について行った後ろ向きコホート試験の結果、明らかにした。同発症患者について、経口抗凝固薬の再開についても分析した結果、再開は虚血イベントの低下につながることが示されたという。なお、これらの結果について著者は、前向き試験での再現性と評価の必要性を指摘している。JAMA誌2015年2月24日号掲載の報告より。

降圧薬に認知症予防効果は期待できるのか

 慢性高血圧、とくに中年期の高血圧は、認知機能低下や認知症のリスク増加と関連することが知られている。しかし、降圧薬の予防効果についてはあまり解明されていなかった。フランス・INSERMのLaure Rouch氏らは、システマティックレビューを行い、カルシウム(Ca)拮抗薬やレニン-アンジオテンシン系(RAS)阻害薬は認知機能低下および認知症の予防に有効である可能性を示した。ただし、「今回の知見を確認するためには、認知症を主要評価項目としたより長期の無作為化試験が必要」とまとめている。CNS Drugs誌2015年2月号の掲載報告。

喫煙は、手の皮膚炎と関係がある?

 喫煙はさまざまな炎症性皮膚疾患に影響することが知られている。ドイツ・イエナ大学のJudit Lukacs氏らは、喫煙と手の皮膚炎との関連を調べるためシステマティックレビューを行った。今回、喫煙が手の皮膚炎の危険因子であることは示されなかったが、喫煙が手の皮膚炎に関与する可能性が除外されたわけではなく、著者は「依然として喫煙が皮膚疾患の経過に負の影響を及ぼす可能性はある」とまとめている。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2015年2月4日号の掲載報告。

5歳までのピーナッツ摂取でアレルギー回避?/NEJM

 ピーナッツアレルギー高リスクの小児は、早期よりピーナッツに曝露されたほうが、同アレルギー発症頻度が有意に低減することが、英国キングス・カレッジ・ロンドンのGeorge Du Toit氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。西欧諸国では、ピーナッツアレルギーの子供の有病率は、過去10年間で2倍になっており、またアフリカやアジアでも出現してきているという。研究グループは、アレルギーリスクが高い乳児でピーナッツアレルギーを発症させないための最も効果的な戦略を確立するために、ピーナッツの摂取と回避の戦略を検討した。NEJM誌2015年2月26日号(オンライン版2015年2月23日)掲載の報告より。

糖尿病予防の介入、リスク別が効果的/BMJ

 先行研究の無作為化試験で、メトホルミンと生活習慣改善の介入による糖尿病予防プログラムは糖尿病の発症を減少することが示されていたが、その介入効果は糖尿病発症リスクが高い人と低い人では異なることが明らかにされた。米国・ミシガン大学のJeremy B Sussman氏らによる事後分析の結果、メトホルミンの介入効果は高リスクの人に集中してみられること、また生活習慣への介入は両リスクの人にみられるが、四分位範囲で最高リスクの人が最低リスクの人の6倍だった。結果を踏まえて著者は、「予防的治療はリスク層別化をすることで、より効果的に行うことができる」と述べている。BMJ誌オンライン版2015年2月19日号掲載の報告より。

うつ病にダンスセラピー、その効果は

 英国・リーズ大学のBonnie Meekums氏らは、うつ病に対するダンス・ムーブメントセラピー(DMT)の効果を明らかにするため、3件の無作為化対照試験(RCT)の解析を行った。その結果、DMTのうつ病に対する確実な効果は認められなかったことを報告した。DMTは広範囲の文化的、知的バックグランドを持つ人が活用しているが、その効果は十分にわかっていなかった。Cochrane Database Systematic Reviews2015年2月19日号の掲載報告。

糖尿病黄斑浮腫、VEGF阻害薬3剤を比較/NEJM

 糖尿病黄斑浮腫に対する、眼科用VEGF阻害薬のアフリベルセプト(商品名:アイリーア)、ベバシズマブ(アバスチン、日本では眼科用は未承認)、ラニビズマブ(ルセンティス)の有効性、安全性を比較する多施設共同無作為化試験が米国で行われた。Jaeb Center for Health ResearchのAdam R. Glassman氏ら研究グループ(Diabetic Retinopathy Clinical Research Network)が米国内89ヵ所の協力を得て行った同試験の結果、3剤ともに視力の改善効果は認められるが、相対的効果は治療開始時の視力に依存し、開始時の視力障害が軽度であれば改善効果は3剤間で明らかな差はないが、障害が重度の場合はアフリベルセプトの改善効果が有意に高かったことを報告した。NEJM誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。

抗うつ薬の違いによる自殺リスクを検討/BMJ

 うつ病患者の抗うつ薬使用と自殺、自殺企図・自傷行為リスクは、SSRIと三環系薬では有意な差はないことが、英国・ノッティンガム大学のCarol Coupland氏らによるコホート研究の結果、明らかにされた。また、服用開始後28日間および中止後の28日間にリスクが最も高いことも判明し、研究グループは、「同期間は注意深いモニタリングが必要である」と指摘している。うつ病患者における自殺・自殺企図について、これまで抗うつ薬の違いにより発生率にばらつきがあるのかどうかは不明であった。BMJ誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。

心房細動による脳卒中での寝たきり予防に 提言書 第二版を発表

 公益社団法人日本脳卒中協会とバイエル薬品株式会が共同事業として展開する「心房細動による脳卒中を予防するプロジェクト」は3月4日、「脳卒中予防への提言 ―心原性脳塞栓症の制圧を目指して―(第二版)」を発表した。本提言書は、昨年5月に発表した「脳卒中予防への提言─心原性脳塞栓症の制圧を目指すために─初版」で示した提言について、どのように実行が可能なのかを、各地で進む事例を取り上げながら、具体的な実行策を示したもの。