日本語でわかる最新の海外医学論文|page:761

肥満治療薬naltrexone/bupropion合剤の安全性/JAMA

 過体重/肥満患者へのnaltrexone/bupropion組み合わせ治療は、主要有害心血管イベント(MACE)の発生について、プラセボとの比較において非劣性のマージン内であったことが、米国クリーブランド・クリニックセンターのSteven E. Nissen氏らによる、多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照非劣性試験の結果、示された。ただし、著者は試験の検出力不足について指摘し、さらなる検討の必要性を提言している。肥満治療について、心血管アウトカムを評価した試験はほとんど行われていない。naltrexoneとbupropionはそれぞれ米国上市薬であるが、両者を組み合わせた肥満治療薬は心血管系の安全性について議論の的となっていた。JAMA誌2016年3月8日号掲載の報告。

アレルギー予防、生後3ヵ月からの食物摂取の効果は?/NEJM

 生後3ヵ月という早期からアレルギー性食物の摂取を始めても、食物アレルギー発症防止に関する有意な効果は認められなかったことが、英国・ロンドン大学のMichael R. Perkin氏らが行った1,303例を対象とした無作為化試験の結果、示された。世界保健機関(WHO)が生後6ヵ月までの完全母乳哺育を推奨している一方で、アレルギー性食物摂取の待機的開始を推奨していた欧米の2つのガイドラインはすでに撤回されている。これまでに観察研究や無作為化試験で、早期からアレルギー性食物を与えることの食物アレルギー発症の抑制効果が報告されていたが、開始年齢については明らかになっていなかった。研究グループは、生後3ヵ月での開始の効果について検証した。NEJM誌オンライン版2016年3月4日号掲載の報告より。

第1世代抗精神病薬はどの薬剤も変わらないのか

 記述的、非体系的レビューによると、薬理学的に同等な仮説を有するさまざまな第1世代抗精神病薬(FGA)間に有効性の差がないことが明らかになっている。オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らは、すべてのFGAの有効性が同等であるとの仮説を、メタ解析統計を用いたエビデンスベースの検討を行った。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年2月26日号の報告。

降圧薬、アドヒアランス不良でCVD死亡リスク1.6倍以上

 降圧薬のアドヒアランス不良は、心血管疾患(虚血性心疾患・脳出血・脳梗塞)による死亡および入院リスクの上昇と有意な関連が認められることが、韓国・Korea Cancer Center HospitalのSoyeun Kim氏らによる研究で明らかになった。著者らは、実臨床における服薬アドヒアランス改善と監視システムの重要性を強調した。Hypertension誌2016年3月号の報告。

電極リードも不要、ジェネレーター用の皮下ポケットも不要。近未来のリードレスペースメーカ(解説:矢崎 義直 氏)-498

ペースメーカが、初めて人体に植込まれてから50年以上もの月日が経つ。現在に至るまで、安全性に関してさまざまな改良がなされてきたが、電極リードを経静脈的に挿入する従来のペースメーカにおける合併症の発生率は、10%前後といまだ高い。そのほとんどが、電極リードやジェネレーター用の皮下ポケットに関連するものである。

てんかん重積状態に対するアプローチは

 てんかん重積状態と群発発作は、よくみられる神経救急状態である。ドイツ・ザールラント大学のArmin Bachhuber氏らは、ベンゾジアゼピン非応答のてんかん重積状態と群発発作の治療における異なる抗てんかん薬治療を比較評価するため、単施設後ろ向きコホート研究を行った。CNS neuroscience & therapeutics誌2016年3月22日号(オンライン版2016年2月4日)の報告。

米臨床試験で治療成績向上の実績、TAVI生体弁「Sapien3」承認

 エドワーズライフサイエンス株式会社(東京都新宿区、代表取締役会長:ケイミン・ワング)は3月11日、TAVI(経カテーテル大動脈弁治療)用の生体弁「エドワーズ サピエン3」(以下サピエン3)の製造販売承認を取得した。5月を目途に保険償還を経て、必要なトレーニングを修了した医療機関に向けて販売を開始、今年中には既存のすべてのTAVI実施施設にて使用開始できる予定。

ベジタリアン/ヴィーガンダイエットって実際どうなの?

 ベジタリアンダイエットは虚血性心疾患とすべてのがんの発症および死亡リスクを、また、ヴィーガン(完全菜食主義)ダイエットはすべてのがんの発症リスクを有意に低下させることが、イタリア・フィレンツェ大学のMonica Dinu氏らによるメタ解析で明らかになった。Critical reviews in food science and nutrition誌オンライン版 2016年2月6日号の報告。

妊娠高血圧の心筋症リスク、周産期以降も長期に及ぶ/JAMA

 妊娠高血圧症候群(Hypertensive disorder of pregnancy:HDP)を合併した妊婦は、合併しなかった妊婦と比べ、出産後5ヵ月以降に心筋症を発症するリスクが、わずかであるが統計学的に有意に高いことが示された。デンマーク・Statens Serum Institut社のIda Behrens氏らによる、デンマークの全国レジストリを用いたコホート研究の結果、明らかになった。これまでにHDP、とくに妊娠高血圧腎症の妊婦では、出産前1ヵ月~出産後5ヵ月以内の周産期心筋症のリスクが増加することが報告されていたが、HDPが出産後5ヵ月以降の心筋症とも関連するかどうかについては不明であった。JAMA誌オンライン版2016年3月8日号掲載の報告。

Lancet、NEJMなどで筆頭著者が女性である割合は?/BMJ

 インパクトファクターが高い総合医学雑誌の原著論文で筆頭著者が女性である割合は、20年前に比べ有意に増加したものの、近年その増加は横ばいで、逆に減少している雑誌もあるという。米・Baylor Scott & White HealthのGiovanni Filardo氏らが、高インパクトファクターの総合医学雑誌6誌を調査し、明らかにした。米国および英国の研究者に限定した先行研究2件で、1970年以降、女性筆頭著者の割合は増加しており、2004年で米国は29%、英国は37%と報告されていたが、医学雑誌間で比較した検討はこれまで行われていなかった。BMJ誌オンライン版2016年3月2日号掲載の報告。

CREST試験:頸動脈狭窄症における頸動脈剥離術と頸動脈ステントの両治療群における長期追跡(解説:山本 康正 氏)-497

症候性および無症候性頸動脈狭窄症例2,502例を、頸動脈ステントと頸動脈剥離術との2種類の治療に振り分け、4年間追跡したCREST(Carotid Revascularization Endarterectomy versus Stenting Trial)試験では、脳卒中、心筋梗塞、周術期の死亡、そして、病側の脳卒中発症を含めた1次複合エンドポイントについて差は認められなかった。そこで今回は、さらに10年に及ぶ追跡の結果を調べた。

足元の「冷え性」が関係する気温感受性高血圧

 「頭寒足熱」とは、古くから語られてきた健康法だが、この「足熱」の重要性を裏付ける研究が、先月、都内で開かれた日本心臓財団のメディアワークショップで紹介された。本稿では、ワークショップの演者で、室温の変化が血圧に与える影響を研究している苅尾 七臣氏(自治医科大学内科学講座 循環器内科学主任教授)の講演について取り上げる。

巨細胞性動脈炎の寛解導入にトシリズマブは有効/Lancet

 巨細胞性動脈炎(GCA)患者に対し、ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体トシリズマブと経口プレドニゾロンの併用投与は、経口プレドニゾロン単独投与に比べ、完全寛解率や、長期無再発生存率も高いことが示された。スイス・ベルン大学のPeter M. Villiger氏らが、巨細胞性動脈炎患者30例を対象に行った初となる無作為化試験の結果で、Lancet誌オンライン版2016年3月4日号で発表された。巨細胞性動脈炎に対し、糖質コルチコイド治療はゴールドスタンダードで重篤な血管合併症を防ぐが、罹患・死亡率が高い。トシリズマブは、巨細胞性動脈炎の寛解導入・維持に用いられていることから、研究グループは、新規および再発患者に対するトシリズマブの安全性と有効性を確認するため今回の検討を行った。

重度喘息へのICS/LABAは安全かつ適正か?/NEJM

 持続性喘息の患者に対し、吸入ステロイド薬(ICS)フルチカゾンと長時間作用性β2刺激薬(LABA)サルメテロールの併用投与は、フルチカゾン単独投与に比べ、死亡や気管内挿管などの重度喘息イベントのリスクを増大しないことが示された。米国グラクソ・スミスクライン社のDavid A. Stempel氏らが、1万1,679例を対象に無作為化試験を行った結果、明らかにされた。増悪リスクは、併用投与群が単独投与群に比べ約2割低かったという。喘息治療における安全かつ適正なLABAの使用については、広く議論されている。先行する2つの大規模臨床試験では、重篤な喘息関連イベントリスクがLABAと関連している可能性が報告されていた。NEJM誌オンライン版2016年3月6日号掲載の報告より。

結局、喘息に対するICS/LABAは安全なのか?(解説:倉原 優 氏)-496

現在、喘息に保険適用のあるLABA(長時間作用性β2刺激薬)の吸入薬は、サルメテロール(商品名:セレベント)1剤のみである。ほかのLABAはCOPDに対して用いられる。いずれのLABAについても、喘息に対して単独で使用することは勧められない。これは、LABAの使用によって喘息の死亡リスクが上昇したとするメタアナリシスと、FDAのアラートに基づく。そのため、「喘息にLABAはダメなんだ」と、世界中の呼吸器内科医にインプリンティングされてしまった。

オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学

 オランザピン(OLZ)による治療は、体重増加の高リスクと関連しており、糖脂質代謝異常を引き起こす可能性もある。そのため、OLZ関連の体重増加の機序を解明する必要があるが、まだ十分にわかっていない。近年、レプチンやアディポネクチンなどのアディポサイトカインや、エネルギー恒常性に重要な役割を果たす腫瘍壊死因子(TNF)-αが、体重増加のバイオマーカーとして考えられている。新潟大学の常山 暢人氏らは、レプチン、アディポネクチン、TNF-αのベースライン血漿中濃度がOLZ治療による体重増加を予測するかを検討した。PLoS One誌2016年3月1日号の報告。

ラタノプロスト、先発品 vs.後発品の比較経済分析

 米国・テキサス大学健康科学センターのJoanna H. Queen氏らは、ラタノプロストのブランド製剤とジェネリック製剤について比較経済分析を行った。その結果、患者にとって重要な要素である年間費用とボトル当たりの滴数は、製造業者によって有意に異なることを明らかにした。著者は、「医師はこれらの差を認識することで、患者によりよい助言ができるだろう」とまとめている。American Journal of Ophthalmology誌2016年3月号(オンライン版2015年11月18日号)の掲載報告。