日本語でわかる最新の海外医学論文|page:726

ICD移植患者の心室頻拍、アブレーションが転帰良好/NEJM

 植込み型除細動器(ICD)の移植を受けた心筋梗塞後生存患者で、抗不整脈薬投与にもかかわらず心室頻拍(VT)を呈する患者について、抗不整脈薬の漸増よりもアブレーションを行ったほうが、アウトカムは有意に優れることが、カナダ・ダルハウジー大学のJohn L. Sapp氏らが行った多施設共同無作為化試験VANISHの結果、示された。同患者における抗不整脈薬治療抵抗性VTの頻度は高いことが知られる。しかし、その効果的なアプローチは明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2016年5月5日号掲載の報告。

心房細動に対する肺静脈隔離:クライオバルーン法は高周波アブレーション法に効果として非劣性、同等の安全性(解説:今井 靖 氏)-534

薬物治療抵抗性発作性心房細動に対して、カテーテルアブレーションによる肺静脈隔離術は、ガイドラインにおいて推奨される治療法として確立している。高周波カテーテルアブレーションが広く普及しているが、クライオバルーン法がそれに続く治療法として注目を集めており、本邦においても昨年秋から広く実施されるようになった。

難治性てんかん重積状態への有用な対処法

 小児の痙攣難治性てんかん重積状態の治療における、全身麻酔導入前のレベチラセタムおよびバルプロ酸の有効性、安全性を比較した研究は不十分である。トルコ・Dr Behcet Uzこども病院のRana Isguder氏らは、2011~14年に小児集中治療室に入院した痙攣てんかん重積状態の患者における抗てんかん薬の有効性を比較するため検討を行った。Journal of child neurology誌オンライン版2016年4月14日号の報告。

飲酒量と高血圧の関連、フラッシングと関係なし~NIPPON DATA2010

 高血圧における飲酒の影響はフラッシング反応の有無により異なる可能性があるが、確認されていない。今回、大規模コホートNIPPON DATA2010のデータを用いた研究で、日本人男性ではフラッシング反応に関係なく飲酒量と高血圧が正相関することを、東北大学の小暮 真奈氏らが報告した。Hypertension research誌オンライン版2016年5月12日号に掲載。

BMIと死亡リスクの関係はJ字型:3,000万人以上のメタ解析/BMJ

 死亡リスクは肥満だけでなく過体重でも増大し、さらに痩せの場合も増加することが、ノルウェー・科学技術大学のDagfinn Aune氏らの検討で示された。痩せのリスク増加には、部分的に診断前疾患による交絡が影響している可能性があることもわかった。研究の成果は、BMJ誌オンライン版2016年5月4日号に掲載された。高BMIは死亡リスクを増大させるが、最近のメタ解析(Flegal KM, et al. JAMA 2013; 309: 71-82)は、過体重では死亡リスクが低下し、リスクが増大するのはGrade 2(BMI≧35)の肥満に限られるとしている。しかし、この結果は、交絡因子としての喫煙や有病率の高い疾患、診断前疾患の影響を受け、多くの大規模コホート試験を除外したことによるバイアスの可能性があるという。

ネットで行う自助介入、うつ病発症抑制に効果/JAMA

 閾値下うつ病成人について、インターネットを活用した自助介入が、通常ケアの強化介入と比較して、大うつ病(MDD)の発症を有意に減少したことが、ドイツ・ロイファナ大学リューネブルクのClaudia Buntrock氏らが行った無作為化試験の結果、示された。MDDのエビデンスベース治療は、機能・健康アウトカムを十分には改善できない。そのためMDDを発症させない予防に注目が集まっており、研究グループは、Webベースの自助介入の有用性を評価する検討を行った。JAMA誌2016年5月3日号掲載の報告。

認知症者に対するSSRI使用はどのような影響を与えるか?

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、認知症の神経変性プロセスに影響を及ぼし、認知機能を高める可能性があるといわれている。英国・Royal Infirmary of EdinburghのHelen E Jones氏らは、いかなるタイプの認知症者でも認知実行や気分、機能に対しSSRIが影響を与えるのかを検討した。Age and ageing誌オンライン版2016年4月7日号の報告。

SU薬とDPP-4阻害薬の併用、低血糖リスクを50%増加/BMJ

 スルホニル尿素(SU)薬で治療を受けている2型糖尿病患者に対し、DPP-4阻害薬を追加投与すると、低血糖リスクが50%増加し、最初の6ヵ月間で低血糖症例が患者17人に1人増えることになる。フランス・ボルドー大学のFrancess Salvo氏らが、無作為化プラセボ対照比較試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。DPP-4阻害薬とSU薬との併用により低血糖リスクが増加することは知られていたが、そのリスクの定量化はなされていなかった。著者は、「DPP-4阻害薬の投与を開始する場合にはSU薬の減量が推奨されていることを尊重し、低血糖リスクを最小限にするこの治療法の有効性を評価する必要がある」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年5月3日号掲載の報告。

1日1回のICS/LABA、心血管リスクのあるCOPDでの安全性は/Lancet

 心血管リスクを有する中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、吸入ステロイド薬/長時間作用性β2刺激薬配合剤のフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)/ビランテロール(VI)(商品名:レルベア)1日1回吸入は、プラセボと比較し統計学的な有意差はなかったものの死亡や心血管系イベントの発現リスクを低下させ、忍容性は良好であった。英国・南マンチェスター大学病院のJorgen Vestbo氏らが、43ヵ国1,368施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験(Study to Understand Mortality and Morbidity:SUMMIT)の結果、報告した。COPD患者は心血管疾患(CVD)を併発することが多いが、こうした患者に対する治療方針の決定に関して、これまで十分なエビデンスがなかった。Lancet誌2016年4月30日号掲載の報告。

飽和脂肪酸をω6-リノール酸で置換する食事療法はコレステロールを低下させるが冠動脈疾患イベントや死亡を改善せず、むしろ悪化させる可能性がある!(解説:島田 俊夫 氏)-532

Anitschkowがウサギにコレステロールと飽和脂肪酸を食べさせることで大動脈に脂肪蓄積を誘導して以来、アテローム硬化発生への食事の役割は1世紀余りにわたり研究されてきた。血清コレステロールの増加と冠動脈疾患の関係について詳細に研究されたが、冠動脈疾患予防・治療に関する伝統的食事―心臓仮説(The traditional diet-heart hypothesis)の真偽に関してはいまだ結論に至らず、議論の多いところでもある。