日本語でわかる最新の海外医学論文|page:698

双極性障害女性、ライフサイクルで注意すべきポイント

 双極性障害女性において、生殖サイクルイベントは、気分エピソードと関連していることがエビデンスで明確に示されている。しかしながら、臨床的特徴との関連を調査した研究は少ない。オーストラリア・ウェスタンシドニー大学のTania A Perich氏らは、生殖サイクルイベントにおける気分症状と、生涯を通じて重大だと思われる障害の特徴との関係を検討した。The Australian and New Zealand journal of psychiatry誌オンライン版2016年9月28日号の報告。

冠動脈de novo病変に対する「ステントレスPCI」

 薬剤溶出ステント(以下、DES:Drug Eluting Stent)の再狭窄率は低い。しかし、ステント血栓症、ステントフラクチャー、neo-atherosclerosisなどいくつかの問題が残る。一方、バルーン単独の経皮的冠動脈インターベンション「ステントレスPCI」はいまだに根強く、薬物溶出バルーン(DCB:Drug Coated Balloon)の臨床応用により注目されており、その有効性を支持する臨床試験もある。獨協医科大学 循環器内科の西山直希氏らは、de novo冠状動脈狭窄病変の治療におけるDCBの有効性を評価することを目的とした研究を行っている。International Journal of Cardiology誌2016年11月1日号の報告。

世界の平均寿命、35年で約10年延長:GBD2015/Lancet

 1980年から35年間に、世界の年齢別死亡率は着実に改善し、この進展パターンは過去10年間持続しており、多くの国では当初の予測よりも迅速であったが、期待余命が短縮し、いくつかの死因の年齢標準化死亡率が上昇した国もあることが、米国・ワシントン大学のChristopher J L Murray氏らが実施したGlobal Burden of Disease Study 2015(GBD 2015)で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2016年10月8日号に掲載された。生存期間を改善し、寿命を延長するには、その時々の地域の死亡率や傾向に関する頑健なエビデンスが求められる。GBD 2015は、195の国と領地における1980~2015年の全死因死亡および249項目の原因別死亡を包括的に評価する世界的な調査である。

ニボルマブ、既治療・再発頭頸部扁平上皮がんのOS延長/NEJM

 プラチナ製剤ベースの化学療法施行後に再発した頭頸部扁平上皮がんの治療において、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブは標準治療に比べ、全生存(OS)期間を有意に延長することが、米国・ピッツバーグ大学医療センターのRobert L Ferris氏らが行ったCheckMate 141試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2016年10月9日号に掲載された。頭頸部扁平上皮がんの原発または再発病変に対し、プラチナ製剤ベースの化学療法施行後6ヵ月以内に病勢が進行した症例の、OS期間中央値は6ヵ月に満たないが、これらの患者のOS期間を延長する治療選択肢はない。頭頸部扁平上皮がんの転移・再発病変は、T細胞抑制性の免疫チェックポイント受容体であるプログラム死1(PD-1)のリガンド(PD-L1、PD-L2)の発現によって部分的に誘導される免疫回避により、促進されることが知られている。

双極性障害患者の脳に対する向精神薬の影響は

 双極性障害患者の脳の構造が異常であるとのエビデンスがある。リチウムの摂取量は、全体および部分的に脳ボリュームを正常化すると考えられるが、脳容積や皮質厚に対する抗精神病薬の効果は明確ではない。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのLucija Abramovic氏らは、双極性障害I型患者の大規模な均質サンプルを用いて、抗精神病薬とリチウム摂取により誘導された疾患特異的な脳の偏差を明らかにするため検討を行った。European neuropsychopharmacology誌オンライン版2016年9月21日号の報告。

非小細胞肺がん1次治療、ニボルマブ単剤と化学療法の比較:CheckMate-026

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、PD-L1発現レベルが1%以上の進行期非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)単剤療法を評価したCheckMate-026試験の主要解析の最終結果を発表した。本試験は、PD-L1発現レベルが5%以上の患者における無増悪生存期間(PFS)を評価することを目的に実施された。すでに公表された本試験のトップライン結果では、化学療法と比較し、主要評価項目であるPFSの優越性が示されなかったと公表されている。

高齢者の足関節骨折にはギプスか? 手術か?/JAMA

 不安定型足関節骨折の高齢患者において、close contact casting(ごく少量のパッドを用いた成形型膝下ギプス)は、外科手術と比べて6ヵ月後の機能予後が同等であり、高齢者に適した治療法である可能性が示唆された。英国、ジョン・ラドクリフ病院のKeith Willett氏らがAnkle Injury Management(AIM)試験の結果、報告した。足関節骨折は高齢者に多くの病的状態を引き起こすが、外科的固定術は感染症や他の回復中の合併症が課題となっていた。JAMA誌2016年10月11日号掲載の報告。

乳がん検診へのマンモグラフィ導入の効果/NEJM

 マンモグラフィによる乳がん検診導入後、大きな腫瘍の検出率が低下する一方で小さな腫瘍の検出率は増加し、腫瘍径分布としては好ましいものとなった。しかしこれは、小さな腫瘍が追加で多く発見されたことによるものであることが、米国・Dartmouth Institute for Health Policy and Clinical PracticeのH. Gilbert Welch氏らの検討で明らかにされた。著者は、「大きくなる可能性のある腫瘍が早期発見されることよりも、乳がんと過剰診断される可能性のほうがより増えたようだ」とまとめている。なお、マンモグラフィ検診導入後の乳がん死亡率の低下は、主に全身治療の進歩によることも示唆されたという。NEJM誌2016年10月13日号掲載の報告。

晩年期治療抵抗性うつ病の治療戦略に必要なものとは

 治療抵抗性うつ病(TRD)に対する経験的および主観的な治療戦略に関する情報は、相対的に不足しており、とくに晩年期については顕著である。オーストラリア・ディーキン大学のKatarina Arandjelovic氏らは、2016年に米国精神医学会の精神科タイムズの調査、米国老年精神医学会議(AAGP)によるメンバー調査からの知見レビューを行った。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年10月号の報告。

関節症性乾癬の診療で大切なのはコラボ

 10月29日の「世界乾癬デー」を前に、日本乾癬学会、日本乾癬患者連合会ならびに製薬企業7社は合同で、「皮膚症状と関節症状を併せ持つ疾患『関節症性乾癬』」と題するメディアセミナーを都内で開催した。セミナーでは、皮膚科専門医、リウマチ科専門医、患者の3つの視点から本症の診療概要や現在の課題などが講演された。

ニボルマブ、頭頸部扁平上皮がんにおける患者報告アウトカムを安定化:CheckMate-141

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(NYSE:BMY)は2016年10月9日、プラチナ製剤による治療歴を有する再発または転移性頭頸部扁平上皮がん患者を対象に、ニボルマブと治験担当医師が選択した治療法(メトトレキサート、ドセタキセルまたはセツキシマブの1つ)を比較評価したピボタル第III相 CheckMate-141 試験の評価項目から、患者報告による生活の質に関する新たなデータを発表した。アウトカムの評価では、ニボルマブによる患者の症状と、異なる3種類の評価方法による身体機能、役割機能および社会的機能を含む機能評価に安定化が認められた。PD-L1 発現および非発現の両患者群において、治験担当医師が選択した治療法群では、ニボルマブ群と比較して、ベースライン時から15週目までの患者報告アウトカムに、統計学的に有意な悪化が認められた。さらに、ニボルマブは、治験担当医師が選択した治療法と比較して、大半の機能評価において悪化までの期間を2倍以上延長し、また、疲労、呼吸困難および不眠症の症状悪化までの期間を有意に遅延させた。これらは、欧州臨床腫瘍学会総会(ESMO2016)にて発表された。また、New England Journal of Medicine誌にも掲載された。

ペムブロリズマブ単剤で肺がん1次治療に有効/NEJM

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)で50%以上の腫瘍細胞がPD-L1陽性の患者に対し、PD-1受容体阻害薬ペムブロリズマブは、プラチナベース化学療法に比べ、無増悪生存期間を有意に延長することが示された。ドイツ肺疾患研究センターのMartin Reck氏らが、305例の患者を対象に行った第III相無作為化非盲検比較試験の結果、明らかにした。全生存期間も有意に延長し、有害事象は有意に少なかった。NEJM誌オンライン版2016年10月8日号で発表した。

HR+/HER2-乳がん、ribociclib+レトロゾールでPFS延長/NEJM

 ホルモン受容体(HR)陽性でHER2陰性の閉経後女性の進行乳がんに対して、初回全身治療として、選択的サイクリン依存性キナーゼ(CDK4/6)阻害薬ribociclibとレトロゾールの併用が、レトロゾール単剤に比べて無増悪生存期間を延長することが報告された。米国・テキサス州立大学M.D.アンダーソンがんセンターのGabriel N Hortobagyi氏らが、668例を対象に行った第III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、発表したもので、NEJM誌オンライン版2016年10月7日号に掲載された。

GLP-1受容体作動薬は心血管イベントを抑止しうるか(解説:吉岡 成人 氏)-603

いくつもの大規模臨床試験により、糖尿病治患者の心血管イベントを抑制するためには、発症早期からの集約的な代謝管理が有用であることが確認されている。一方、罹病期間が長く、心血管イベントを発症するリスクが高い患者やすでに心血管疾患の既往がある患者では、インスリンを中心とした薬剤で厳格な血糖管理を目指すことは、低血糖のリスクが高まり、心血管イベントを抑止しえないことも広く知られている。

安全性情報(2016年10月18日改訂指示分)

2016年10月18日改訂指示分 【成分名】 ・フルバスタチンナトリウム ・プラバスタチンナトリウム ・シンバスタチン ・アトルバスタチンカルシウム水和物 ・ ピタバスタチンカルシウム水和物 ・ ロスバスタチンカルシウム ・アムロジピンベシル酸塩・ アトルバスタチンカルシウム水和物 ・ワルファリンカリウム ・ ミコナゾール(ゲル剤・注射剤) ・イトラコナゾール ・フルコナゾール ・ホスフルコナゾール ・ボリコナゾール ・ウステキヌマブ(遺伝子組換え) ・ニボルマブ(遺伝子組換え) ・ダプトマイシン ・ペラミビル水和物

毎日5杯の緑茶で認知症予防:東北大

 生物学的研究では、緑茶の特定の構成要素が、認知神経の保護効果を有することが示唆されている。しかし、ヒトを対象とした疫学研究が十分でないため、認知症発症率に対する緑茶消費量の影響は確認されていない。東北大学の遠又 靖丈氏らは、緑茶消費量と認知症発症との関連を明らかにするため、コホート研究を行った。The American journal of geriatric psychiatry誌2016年10月号の報告。

慢性腰痛患者が医師に診せない理由

 2016年10月17日(月)、塩野義製薬株式会社/日本イーライリリー株式会社主催のプレスセミナー「慢性腰痛治療の現状と課題―患者と医師の対話の中で見えてくること―」が開催された。まず、日本イーライリリー株式会社 臨床開発医師 榎本 宏之氏より、慢性腰痛に伴う痛みが患者の日常生活に及ぼす影響に関するインターネット全国調査の結果が発表された。その結果を受け、慢性腰痛治療に造詣の深い浜松医科大学 整形外科 教授の松山 幸宏氏より、慢性腰痛治療の現状や患者コミュニケーションの重要性、治療ゴール設定のポイントなどが語られた。

緑内障発症に関連するリスクアレルを特定

 原発開放隅角緑内障(POAG)は失明や視覚障害の主な原因で、POAGと視神経機能に関連するいくつかの遺伝的リスク因子が確認されている。米国・アイオワ大学のTodd E. Scheetz氏らは、Ocular Hypertension Treatment Study(OHTS)の参加者を対象に、それら遺伝的リスク因子が緑内障発症に及ぼす影響について検討した。その結果、非ヒスパニック系白人集団においてはTMCO1遺伝子型が、既知の臨床的な予測因子と同程度に緑内障と関連していることを明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2016年10月1日号の掲載の報告。

子宮頸がん検診の間隔、5年以上でも安全か/BMJ

 ヒトパピローマウイルス(HPV)陰性女性では、子宮頸がんおよびGrade 3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)の長期的なリスクはきわめて低いが、陽性女性ではCIN3+の長期的リスクがかなり高いことが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのMaaike G Dijkstra氏らが進めるPOBASCAM試験で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2016年10月4日号に掲載された。HPV検査およびHPV検査+細胞診の組み合わせによる子宮頸がん検診は、細胞診のみの検診よりも早期に、Grade 3のCINを検出することが示されているが、5年以上の間隔を置いた検診の安全性のエビデンスは不十分とされる。オランダでは、2017年に、HPVベースの検診プログラムにおける40歳以上のHPV陰性女性のHPVの検診間隔が、5年から10年に延長される予定だという。