統合失調症と自閉スペクトラム症における白質代謝率の増加 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/01/10 統合失調症や自閉スペクトラム症は、しばしば白質の障害を有する。統合失調症におけるさまざまな白質領域における代謝率、脳灌流、基礎活動の上昇が、数々の研究で報告されているが、自閉スペクトラム症では研究されていなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のSerge A. Mitelman氏らは、自閉スペクトラム症患者(25例)と統合失調症患者(41例)および健常対照者(55例)の白質代謝率を、定位的に配置された関心領域について幅広く比較するため、18F-FDGポジトロン断層法(PET)を用いて、検討を行った。Brain imaging and behavior誌オンライン版2017年11月22日号の報告。 主な結果は以下のとおり。 ・自閉スペクトラム症患者および統合失調症患者において、内包、脳梁、白質の前索、側頭葉を含む評価された白質領域にわたり、代謝率の増加が認められた。 ・これらの増加は、統合失調症患者よりも自閉スペクトラム症患者において、より顕著で、より広範かつ非対称であった。 ・両疾患の患者において、最も高い代謝率の増加は、前頭前白質および内包前脚で認められた。 ・健常対照者と比較し、白質代謝の差は、あまり顕著ではなかった。近接する白質代謝の差は、統合失調症患者よりも自閉スペクトラム症患者で、より顕著であった。 著者らは「統合失調症および自閉スペクトラム症は、白質全体にわたる代謝活性の増加と関連していた。灰白質と異なり、白質代謝異常のvectorは、統合失調症と自閉スペクトラム症で類似していると考えられ、代償性の代謝亢進を伴う非効率的な機能的連結性を反映する可能性があり、神経発達障害の共通の特徴である」としている。 ■関連記事 初回エピソード統合失調症の灰白質に対するω-3脂肪酸の影響 日本人自閉スペクトラム症に対するアリピプラゾールの長期効果は ドパミンD2/3受容体拮抗薬、統合失調症患者の脳白質を改善 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Mitelman SA, et al. Brain Imaging Behav. 2017 Nov 22. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 自閉スペクトラム症に対するパルミトイルエタノールアミド補助療法のランダム化比較試験 医療一般(2018/08/31) オミクロン株感染で脳が変化、認知機能に影響か 医療一般(2023/12/08) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 低リスク分化型甲状腺がん、全摘後のアブレーションは回避できるか/Lancet(2025/07/02) 国を滅ぼしかねない(?)ベンゾジアゼピン系、その減らし方(解説:岡村毅氏)(2025/07/02) 大手術前のRAS阻害薬の継続/中止、心血管リスク有無での判断は?(2025/07/02) 抗精神病薬による統合失調症患者の死亡リスクを比較(2025/07/02) 脂肪性肝疾患の診療のポイントと今後の展望/糖尿病学会(2025/07/02) 高所得国での非喫煙者の肺がん、よく料理する人ほどリスク高い?(2025/07/02) 就学前までのBMIの変化で将来の肥満リスクを予測可能(2025/07/02) 睡眠中の脳にカフェインはどう作用するのか(2025/07/02) カロリー制限食は抑うつ気分を高める?(2025/07/02) [ あわせて読みたい ] ASCO2025 まとめ(2025/06/02) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01)