日本語でわかる最新の海外医学論文|page:692

地中海食、加齢黄斑変性の進行予防に効果あり

 地中海食のアドヒアランスと加齢黄斑変性(AMD)の有病率は関連しているかについて、英国・Queen's University BelfastのRuth E. Hogg氏らが、南北欧州の地域住民をベースにした横断疫学研究を行った。その結果、地中海食のアドヒアランスが後期AMDを予防する効果があることが示唆された。ただし、先行研究で報告されていたAMDと遺伝的感受性との関連を支持する結果は示されなかった。著者は、「地中海食の導入を促す介入を開発するとともに、こうした行動変化を達成し維持できる方法を調べなければならない」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2016年11月5日号掲載の報告。

アトピー性皮膚炎の自己免疫疾患リスク、喫煙と関連か

 成人アトピー性皮膚炎患者は自己免疫疾患に罹患しやすく、とくに喫煙者で認められることが、デンマーク・コペンハーゲン大学のYuki M F Andersen氏らによる全国健康登録データの検証の結果、示された。これまでに、アトピー性皮膚炎と自己免疫疾患の関連性について指摘はされているが、データはほとんどなく、一貫性が認められなかった。著者は、「今回のデータで因果関係について結論することはできないが、アトピー性皮膚炎患者において自己免疫疾患が増大しているとの認識を正当化できるものと思われる」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2016年10月11日号掲載の報告。

クランベリーカプセルで高齢女性の細菌尿と膿尿を予防できるか?(解説:小金丸 博 氏)-613

尿路感染症(UTI)は介護施設における代表的な感染症であり、UTIを繰り返す高齢者は多い。そのUTIの非抗菌的な予防法として期待されているのがクランベリーである。クランベリーに含まれるプロアントシアニジンには、大腸菌が尿路上皮に接着するのを阻害する働きが示されており、クランベリージュースがUTIの予防法として数多く検討されてきたが、有効性に関するエビデンスは一致していなかった。クランベリージュースの有効性が得られなかった研究では、その理由として、ジュースでは飲みにくくアドヒアランスが不良となり、十分量のプロアントシアニジンを摂取できなかったことが挙げられた。

アルツハイマー病に関する臨床試験、その進行状況は

 現在、アルツハイマー病(AD)に対する薬理学的推奨薬は、コリンエステラーゼ阻害薬とNMDA型受容体アンタゴニストであるメマンチンがある。これらの薬剤は、AD症状を管理するだけで、Aβプラークや神経原線維変化を標的としていない。そのため、AD病変を直接的に標的とし、AD進行経過を変化させる効果的かつ安全な治療法を開発する必要がある。カナダ・トロント大学のMyuri Ruthirakuhan氏らは、AD治療薬について進行中の第II/III相の臨床試験を評価した。Expert opinion on pharmacotherapy誌2016年12月号の報告。

リバーロキサバン、PCI施行心房細動患者の出血減らす:バイエル

 Bayer AGは2016年11月14日、第III相試験PIONEER AF-PCIの結果から、経口Xa阻害薬リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)の2つの治療戦略が、冠動脈ステントを留置した心房細動患者の出血リスクを、ビタミンK拮抗薬(以下、VKA:Vitamin K Antagonist)に比べ有意に減少させたと発表した。とくに、リバーロキサバン15mg/日と抗血小板薬剤の併用は、VKAと抗血小板2剤療法(以下、DAPT:Dual AntiPlatelet Therapy)の併用に比べ、臨床上著明な出血を41%減少させた。また、リバーロキサバン2.5mg×2/日とDAPTの併用は、VKAとDAPTの併用に比べ、臨床的に著明な出血を37%減少させた。これらの結果は、いずれも統計学的に有意であった。同様の結果が効果評価項目(心血管死、心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症)でもみられたが、この試験は統計学的に有意を示すにはパワー不足であった。

安全性情報(2016年11月22日改訂指示分)

2016年11月22日改訂指示分 【成分名】 ・ポラプレジンク ・ホルマリン ・ホルマリン・クレゾール ・クレゾール・ホルマリン・チョウジ油・酸化亜鉛 ・ホルマリン・グアヤコール ・アロプリノール ・アログリプチン安息香酸塩 ・アログリプチン安息香酸塩/ピオグリタゾン塩酸塩 ・リナグリプチン ・テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物 ・アログリプチン安息香酸塩/メトホルミン塩酸塩 ・ゾレドロン酸水和物 ・ファムシクロビル

胎児発育不全を検出する子宮底長測定の国際基準を作成/BMJ

 英国・オックスフォード大学のAris T Papageorghiou氏らはINTERGROWTH-21stプロジェクトの胎児発育追跡研究から、妊娠健診において定期的に行う子宮底長(symphysis-fundal height:SFH)計測値の国際基準を作成する検討を行った。重大な合併症がなく先天奇形のない児を出産した妊婦の計測記録データについて分析を行い、臨床使用できる在胎齢(週)に比した子宮底長値(cmをパーセンタイル値で提示)を明らかにした。BMJ誌2016年11月7日号掲載の報告。

虚血コンディショニングの臨床的アウトカムへの影響は?/BMJ

 侵襲的手術に伴い施行する虚血コンディショニングは、総じて死亡リスクには影響しないことが、オーストラリア・シドニー大学のLouisa Sukkar氏らが、無作為化試験の被験者データを臨床設定を問わずに包含して評価したシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。また、脳卒中と急性腎障害(AKI)への影響については、発生を低下する可能性が示唆されたが、エビデンスの質が低かった。虚血コンディショニングの役割については多くの臨床試験で検討されているが、アウトカムに及ぼす影響については不明であった。今回の結果を踏まえて著者は、「虚血コンディショニングの採用は、質が高く統計的検出力が良好なエビデンスの下で有益性があることが示されない限り、ルーティンに用いることは推奨できない」と述べている。BMJ誌2016年11月7日号掲載の報告。

登録に手間取ったEXCEL試験からLMT病変の治療戦略を深読みする(解説:中川 義久 氏)-612

左冠動脈主幹部(LMT)疾患と3枝疾患の治療おいては、冠動脈バイパス術(CABG)が標準的治療として推奨されてきた。冠動脈インターベンション(PCI)とCABGの2つの血行再建法を適切に使い分けるために、欧米を中心に多くの臨床研究が実施されてきた。

JAK阻害薬のトファシチニブ軟膏、乾癬への効果は?

 乾癬患者の多くは軽度から中等度の症状を有しており、一般的に局所療法が行われることが多い。しかしながらステロイドやビタミンDなどの局所治療薬の有効性は限局的であり、長期使用に伴い副作用も発現する。そこで局所療法のために、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるトファシチニブ(商品名:ゼルヤンツ、慢性尋常性乾癬に対しては未承認)軟膏の効果が検討された。

うつ病治療歴があると早期乳がんの予後が悪い?

 デンマークの全国登録ベースのコホート研究より、うつ病治療歴のある初発早期乳がん女性では、ガイドラインで推奨されるアジュバント治療を受けないリスクがあり、それが全生存率および乳がん特異的生存率の低下につながっている可能性があることをデンマークがん協会研究センターのNis P. Suppli氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2016年11月14日号に掲載。