日本語でわかる最新の海外医学論文|page:616

ctDNA変異解析サービス、国内でも提供開始

 シスメックス株式会社(本社:神戸市、代表取締役会長兼社長:家次 恒)は、Digital PCR技術とフローサイトメトリー技術を融合させた遺伝子解析手法BEAMing技術(Bead Emulsion Amplification and Magnetics)を用いて血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の変異を解析する「OncoBEAM受託アッセイサービス(研究用)」について、従来のドイツ、アメリカに加えて、新たに神戸医療産業都市(ポートアイランド)内「シスメックス IMPラボラトリー」における提供を開始すると発表した。

薬剤溶出ステント 生分解性vs.耐久性/Lancet

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けるあらゆる成人集団を対象とした大規模無作為化試験において、シロリムス溶出生分解性ポリマーステント(MiStent)は、エベロリムス溶出耐久性ポリマーステント(Xience)に対し、12ヵ月時点のデバイス指向の複合臨床エンドポイントに関して非劣性であることが示された。オランダ・アムステルダム・大学医療センターのRobbert J de Winter氏らが行った第III相多施設無作為化単盲検試験「DESSOLVE III」の結果で、Lancet誌オンライン版2017年12月1日号で発表された。MiStentは、現行使用されている非晶質シロリムス溶出耐久性ポリマーステントの限界を克服するために開発されたが、その臨床的効果を耐久性ポリマーステントと比較した、あらゆる成人集団を対象とした大規模な無作為化試験は行われていなかった。

学歴はアルツハイマー病リスクと関連/BMJ

 従来の観察研究では、教育歴はアルツハイマー病のリスクと関連することが示されている。スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C Larsson氏らは、今回、修正可能なリスク因子の代替指標として遺伝学的変量を用いたメンデル無作為化試験を行い、学歴が高いとアルツハイマー病のリスクが低いことを明らかにした。研究の成果はBMJ誌2017年12月6日号に掲載された。アルツハイマー病との関連が示唆される修正可能なリスク因子のデータは、主に観察研究によるものであるため、交絡への脆弱性や逆因果バイアスの可能性があり、より頑健なエビデンスが求められている。

EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん治療にオシメルチニブをどう用いるのか?(解説:小林 英夫 氏)-781

切除不能な非小細胞肺がんの治療は近年大きく進歩し、上皮成長因子受容体(EGFR)遺伝子の変異を示す肺がんの治療にEGFR-チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の有効性が確立された。本邦では、4薬のEGFR-TKIが肺がんに使用可能である。その中でオシメルチニブ(商品名:タグリッソ)は第3世代に位置付けられ、以前のEGFR-TKIに耐性であるEGFR T790変異を呈す肺がんにも効果があることを特徴とする。日本での保険適用はこのEGFR T790変異を確認した症例だけであり、2017年12月時点では1次(初回)治療の適応は取得していない。

うつ病診断後の小児および青年における12ヵ月間の治療経過の変化

 小児期や青年期のうつ病は、均一ではない。その治療パターンは、しばしば集団として試験されるが、個々の治療経過には変動がある。この変動を理解することは、青少年のうつ病における治療のギャップを特定することに役立つ。米国・ハーバード大学医学大学院のNina R. Joyce氏らは、うつ病の若者に対する精神療法と抗うつ薬治療の12ヵ月間の経過における不均一性の特徴について検討を行った。JAMA pediatrics誌オンライン版2017年11月20日号の報告。

日本人2型糖尿病のCHD発症、肉摂取量に関連

 健康成人における心血管疾患の主な原因として食肉の過剰摂取が研究されているが、アジア人の糖尿病患者における研究はわずかである。今回、The Japan Diabetes Complications Study(JDCS)グループが日本人2型糖尿病患者で調査したところ、食肉の高摂取が冠動脈疾患(CHD)発症率上昇に関連することがわかった。European journal of nutrition誌オンライン版2017年12月8日号に掲載。

日本人肺がんの悪液質に対するanamorelin二重盲検試験の結果(ONO-7643-04)

 進行がん患者では、除脂肪体重を主体とする体重減少と食欲不振といった形で表れる悪液質がよくみられる。悪液質を有する日本のがん患者において、新たな選択的グレリン受容体アゴニストであるanamorelin(ONO-7643)の有効性と安全性を検討したONO-7643-04試験の結果が、先端医療センター研究所 片上 信之氏らによりCancer誌に発表された。

ホルモン避妊法、乳がんリスクが2割増/NEJM

 現代のホルモン避妊法をこれまで一度も使用したことがない女性と比較し、現在使用中または最近まで使用していた女性において、乳がんのリスクが高く、しかも使用期間が長いほどそのリスクは増加することが明らかとなった。デンマーク・コペンハーゲン大学のLina S. Morch氏らが、同国の女性を対象とした前向きコホート研究の結果を報告した。これまでに、エストロゲンは乳がんの発生を促進し、一方でプロゲスチンの役割はより複雑であることが示唆されていたが、現代のホルモン避妊法と乳がんリスクとの関連はほとんど知られていなかった。NEJM誌2017年12月7日号掲載の報告。

2型糖尿病、集中的食事療法による減量で46%が寛解/Lancet

 減量により12ヵ月で、試験に参加した2型糖尿病患者の約半数が糖尿病治療薬から離脱し、非糖尿病状態すなわち寛解(remission)に達したことが、英国・グラスゴー大学のMichael EJ Lean氏らが行ったプライマリケアでの集中的な体重管理の効果を検証した非盲検クラスター無作為化試験「DiRECT試験」の1年目の結果で示された。2型糖尿病は生涯にわたり治療を要する慢性疾患とされる。これまでの研究で、罹患期間が短い2型糖尿病患者は10~15kgの減量により血糖値が正常化することが示されていたが、食事療法による糖尿病の持続的な寛解を評価したものはなかった。結果を踏まえて著者は、「2型糖尿病の寛解は、プラリマリケアのプラクティカルな目標である」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年12月5日号掲載の報告。

破裂性腹部大動脈瘤の血管内治療は死亡率・コストでも有利/「IMPROVE試験」3年評価(解説:中澤達氏)-782

英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究グループが破裂性腹部大動脈瘤患者の治療戦略について、血管内治療と開腹手術の臨床的効果および費用対効果の無作為化試験「IMPROVE試験」の3年評価を発表した。結果は、血管内治療群が開腹手術群よりも生存期間を延長し、質調整生存年(QALY)の獲得が大きく、再手術率は同程度であり、コストは低く、費用対効果に優れることが示された。

5歳以降の熱性けいれんとその後のてんかんリスク

 熱性けいれん(FS:febrile seizure)は、乳幼児期に起こる発熱に伴う発作と定義されているが、ほぼすべての年齢において観察される。FS後の非誘発性のけいれん発作リスクは、明確に定義されている。しかし、5歳以降でのFSの発症または持続に関するデータは、限られている。トルコ・Izmir Katip Celebi UniversityのPinar Gencpinar氏らは、5歳以降でFSを発症した患者の評価を行った。Seizure誌オンライン版2017年11月6日号の報告。

エリブリン・ペムブロリズマブ併用、トリプルネガティブ乳がんで良好な結果/サンアントニオ乳がんシンポジウム

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、自社のエリブリン(商品名:ハラヴェン)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)との併用療法による転移性トリプルネガティブ乳がんを対象とした臨床第Ib/II相試験(ENHANCE1/ Study 218)のアップデート解析について、第40回サンアントニオ乳がんシンポジウムのスポットライトセッションで発表された旨を公表した。

atezolizumab併用療法、進行肺がん1次治療の第III相試験でPFSに有意差(IMpower150)/ESMO Immuno Oncology 2017

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療における、化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン)±ベバシズマブへのatezolizumab併用の有効性と安全性を評価した第Ⅲ相試験IMpower150の結果が、スイス・ジュネーブで開催されたESMO Immuno Oncology Congress 2017で、ドイツ・Lung Clinic GrosshansdorfのM. Reck氏より発表された。

交通量の多い道路でウォーキング、心肺機能に悪影響/Lancet

 ウォーキングでもたらされる有益な心肺機能効果は、大気汚染度の高い商業街路を短時間でも通過すると阻害されることが、英国国立心臓・肺研究所のRudy Sinharay氏らによる無作為化クロスオーバー試験によって明らかにされた。検討は、通常速度のウォーキングにおいて大気汚染が健康に与える有害作用を示した初の試験だという。同結果は慢性閉塞性肺疾患(COPD)や虚血性心疾患の患者、健康な人を問わず認められ、虚血性心疾患患者については、薬物の使用で高い大気汚染の有害作用を減じる可能性が示されたが、著者は、「このような健康への悪影響を考慮して、商業街路の大気汚染度の規制を目指す政策が必要だ」とまとめている。Lancet誌オンライン版2017年12月5日号掲載の報告。

造血幹細胞移植後のCMV感染症予防にletermovirは有効か/NEJM

 造血幹細胞移植レシピエントに対する、移植後の抗サイトメガロウイルス(CMV)薬letermovirの予防投与は、プラセボと比較してCMV感染症リスクを有意に減少することが示された。有害事象の発現はプラセボと同程度で、大半が軽度だった。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のFrancisco M. Marty氏らが、565例を対象に行った第III相の無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果で、NEJM誌オンライン版2017年12月6日号で発表した。同種造血幹細胞移植後のCMV感染症は、頻度が高い合併症のままで、letermovirは、CMVテルミナーゼ複合体を阻害する抗ウイルス薬として開発された。

DOACエドキサバン、がんの血栓症で低分子ヘパリンに非劣性

 第一三共株式会社(本社:東京都中央区)は2017年12月13日同社のニュースリリースで、抗凝固薬エドキサバン(商品名:リクシアナ)による、がん合併静脈血栓塞栓症(VTE)患者を対象としたHokusai-VTE CANCER試験の結果において、エドキサバンが標準治療薬である低分子量ヘパリンのダルテパリン(国内未承認)に対して有効性および安全性に係わる主要評価項目において非劣性を達成したと発表。  本試験の結果は、米国ジョージア州アトランタで開催した第59回米国血液学会(ASH)年次総会のlate breaking sessionで発表されると共に、New England Journal of Medicineにオンライン掲載された。

WATCHMAN留置後の血栓症の特徴を調査

 左心耳は非弁膜症性心房細動患者における血栓塞栓症の主要な発生源と考えられ、経皮的に左心耳を閉鎖することが、長期の抗凝固療法に代わる治療として使用される頻度が増えている。米国においては、WATCHMANが米国食品医薬局(FDA)が承認した唯一の左心耳閉鎖デバイスである。しかし一方で、WATCHMAN留置後、残存するデバイス周囲からの閉鎖漏れや予期できないデバイス関連血栓が懸念されている。Cedar-Sinai 医療センターのShunsuke Kubo氏、Saibal Kar氏ら研究グループは、心房細動患者におけるWATCHMANに関連した血栓形成の特徴や、その影響を調べた。Journal of American College of Cardiology誌2017年8月号に掲載。

乳児のインフル、妊産婦のワクチン接種で予防可能か

 生後6ヵ月までの乳児は重度のインフルエンザ合併症リスクが高いが、インフルエンザワクチンを接種するには早過ぎる。今回、日本の前向きコホート研究で、母親のインフルエンザワクチン接種により乳児のインフルエンザが減少することを、大阪市立大学の大藤 さとこ氏らが報告した。著者らは「今回の結果は、妊産婦が幼児を守るためにインフルエンザワクチン接種を受けるべきであることを示唆する」としている。The Journal of infectious diseases誌オンライン版2017年12月5日号に掲載。