日本語でわかる最新の海外医学論文|page:615

経口フルオロキノロンが大動脈瘤リスク増と関連/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のBjorn Pasternak氏らは、スウェーデン国内の登録データを用いたコホート研究を行い、経口フルオロキノロン系抗菌薬の使用が大動脈瘤のリスク増加と関連していることを報告した。フルオロキノロンには、血管壁の細胞外マトリックスの完全性を損なう可能性のある非抗菌的特性があり、最近の研究でフルオロキノロン系抗菌薬が大動脈瘤のリスクを増加させる懸念が高まっていた。BMJ誌2018年3月8日号掲載の報告。

低脂肪食でも低炭水化物食でも減量効果は変わらない(解説:吉岡成人 氏)-830

体重を減らすために有効なのは、低脂肪食なのか、低炭水化物食なのか…、多くの臨床研究が行われ、いまだ意見の一致が得られていない。今回紹介する臨床研究では、肥満者における遺伝子多型と減量の関連に注目し、  今回紹介する臨床研究では、肥満者における遺伝子多型と減量の関連に注目し…………

CVD-REAL2試験、SGLT2阻害薬で心血管リスク低下

 アジア太平洋、中東、北米の6ヵ国の40万例超の2型糖尿病患者を対象としたCVD-REAL試験の新たな解析(CVD-REAL2)により、SGLT2阻害薬投与患者は他の血糖降下薬と比べて、患者特性にかかわらず心血管イベントリスクが低いことが示された。本結果は第67回米国心臓病学会年次学術集会(ACC2018)で発表され、Journal of the American College of Cardiology誌オンライン版2018年3月7日号にも掲載された。

日本人肺がんにおける免疫関連有害事象とニボルマブの効果/JAMA Oncol

 メラノーマにおける免疫関連有害事象(irAE)とPD-1阻害薬の有効性の相関については報告されてるが、非小細胞肺がん(NSCLC)においては明らかになっていない。この研究は、近畿大学を含む複数の機関の診療録データを基に、再発・進行NSCLCにおける、ニボルマブの有効性とirAEの有無の関係を評価した多施設後ろ向き観察研究である。リードタイムバイアスを最小限にするためにランドマーク解析を用いて、関連性を検討している。近畿大学 原谷浩司氏らにより、JAMA Oncology誌2018年Vol.4で報告された。

授乳中の抗てんかん薬使用に関する母親への情報提供

 さまざまな抗てんかん薬の母乳中への移行、それによる乳児に対する影響についての情報は限られている。これらの問題が明らかとなっていないため、抗てんかん薬服用中の患者には母乳による育児を推奨することができない。スイス・ローザンヌ大学のM. Crettenand氏らは、授乳中の抗てんかん薬に関する利用可能なデータを包括的にレビューし、これらの情報を添付文書(SmPC)に記載されている内容と比較し、母乳育児中の女性にこれらの薬剤を使用するための推奨を提供するため、検討を行った。Der Nervenarzt誌オンライン版2018年2月27日号の報告。

PCI後のDAPT、6ヵ月 vs.12ヵ月以上/Lancet

 急性冠症候群に対する薬剤溶出ステント(DES)での経皮的冠動脈インターベンション(PCI)実施後、抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)において、6ヵ月投与群が12ヵ月以上投与群に対して、18ヵ月時点で評価した全死因死亡・心筋梗塞・脳卒中の複合エンドポイントの発生について非劣性であることが示された。一方で、心筋梗塞発症リスクは、6ヵ月投与群が約2.4倍高かった。韓国・成均館大学校のJoo-Yong Hahn氏らが、2,712例を対象に行った無作為化非劣性試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年3月9日号で発表した。結果を踏まえて著者は、「DAPT投与は短期間が安全であるとの結論に達するには、厳しい結果が示された。過度の出血リスクがない急性冠症候群患者のPCI後のDAPT期間は、現行ガイドラインにのっとった12ヵ月以上が望ましいだろう」と述べている。

理髪店で薬剤師が降圧介入、血圧値大幅に低下/NEJM

 黒人が経営する理髪店で、顧客のコントロール不良高血圧の黒人男性に対し、専門的訓練を受けた薬剤師が、顧客の医師と協力して降圧治療を行った結果、半年後の収縮期血圧値が大幅に低下したことが示された。米国・シダーズ・サイナイ医療センターのRonald G. Victor氏らが、黒人経営の理髪店52ヵ所を通じて高血圧症の黒人319例を対象に行ったクラスター無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2018年3月12日号で発表された。非ヒスパニック系黒人のコントロール不良高血圧は重大な問題とされているが、従来のヘルスケア設定での薬剤師介入試験では、そうした人々が対象集団に含まれる割合が実際よりも少ないという課題があった。

緑内障のディープラーニングによる検出、感度良好

 中国・中山大学のZhixi Li氏らは、ディープラーニングを用い、カラー眼底写真で緑内障性視神経症を自動的に分類するシステムの開発、検証を行い、高い感度と特異度で緑内障性視神経症を検出できることを示した。偽陰性の主な原因は、強度または病的近視の合併であり、偽陽性となった理由で最も多かったのは生理的陥凹と病的近視であることも明らかにした。Ophthalmology誌オンライン版2018年3月2日号掲載の報告。

双極性障害に対するベンゾジアゼピンの使用開始と長期使用

 長期的なベンゾジアゼピン治療による有害な影響を示すエビデンスが増加している。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のLouise Wingard氏らは、双極性障害におけるベンゾジアゼピンおよびZ薬の長期使用の割合と、その予測因子について調査を行った。Bipolar disorders誌オンライン版2018年2月16日号の報告。

議論が続く多枝疾患患者への冠血行再建法、CABGかPCIか?(中川義久 氏)-829

これまでも、多枝冠動脈疾患患者における長期成績は、CABGのほうがPCIよりも良好であることが複数の無作為化比較試験および患者登録研究の結果から示されてきた。しかし、その優位性は真のエンドポイントである死亡の差としてではなく、新規心筋梗塞発生リスクや、再血行再建リスクなども含めて解析した場合にCABGのほうが勝るという結論にとどまっていた。死亡に差がないのであれば、侵襲度の違いを念頭に置けばPCIの立ち位置を高く考慮してもよいという意見もあった。

米国人の1日Na摂取量は何グラム?/JAMA

 先行研究でナトリウム摂取の90%が尿として排出されると示されたことから、米国医学研究所(現・米国医学アカデミー)は2010年に、24時間蓄尿でナトリウム摂取量を推定するよう推奨を始めた。米国疾病予防管理センターのMary E. Cogswell氏らは、2014年のサンプルを調査し、少なくとも1回の24時間蓄尿検査を受けたことがある70歳未満の成人のデータを分析。その結果、推定平均ナトリウム摂取量は3,608mg/日であることが示されたという。JAMA誌オンライン版2018年3月7日号掲載の報告。

ビタミンDのがん予防効果、日本人で確認/BMJ

 血中ビタミンD濃度が高い集団は男女とも、がん全体の罹患リスクが低いことが、日本人を対象に国立がん研究センターのSanjeev Budhathoki氏らが実施したJapan Public Health Center-based Prospective(JPHC)研究で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年3月7日号に掲載された。ビタミンDは、さまざまな抗腫瘍性の特性を持つ強力な生物活性化合物の前駆物質として、がんの予防効果をもたらすとの説がある。血中ビタミンD濃度が上昇すると、大腸がんや肺がんの罹患リスクが低下する傾向がみられることが報告されているが、他の部位のがんやがん全体のエビデンスには一貫性がなく、アジア人のデータは十分でないという。

超加工食品摂取割合の増加はがんリスクを高める可能性が大!(解説:島田俊夫氏)-828

私達人類は、歴史的には食物を糧にして生命維持に必要なエネルギーを元来、狩猟民として肉食または雑食により生きてきたが、農耕の定着により安定して食物を得ることが可能になったため、炭水化物(糖質+食物線維)からより多くのエネルギーを取り入れる現代の生活様式を確立した。主に糖質による摂取エネルギーの過剰および交通手段の発達に伴う運動量の減少影響も加わり、肥満を招き生活習慣病の増加に拍車がかかっている。さらに、先進国においては夫婦共働きの家庭が増加する社会の中で、加工食品からのエネルギーの摂取増加が、その利便性のために増え続けている。その一方で、保存期間の延長、見ためをよくするなどの目的で、食品添加物、安定剤、発色剤、防腐剤、砂糖、油脂、塩などが添加されている。このような食品加工技術の進歩の裏で、食の安全性が損なわれていることを決して忘れてはならない。2018年2月14日にBMJ誌に掲載されたFiolet T氏らの論文は、超加工食品とがんの関係にスポットライトを当てたインパクトの大きい論文であり、私見をコメントする。

成人アトピー、日米欧での有病率は約2~5%

 成人におけるアトピー性皮膚炎(AD)の有病率については認識に違いがあることから、フランス・ナント大学病院のSebastien Barbarot氏らは、米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国および日本においてWEBベースの国際横断研究を行った。その結果、各国における成人のAD有病率は2.1~4.9%で、評価尺度または地域に関係なく重症ADの割合は低いことが示された。Allergy誌オンライン版2018年2月13日号掲載の報告。

うつ病成人の自殺傾向に対するSSRIの影響

 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、自殺念慮を誘発または悪化させることがあると報告されている。スウェーデン・ヨーテボリ大学のJakob Naslund氏らは、ハミルトンうつ病評価尺度(HRSD)の自殺傾向の項目を基準に、SSRIの影響について評価を行った。The British journal of psychiatry誌2018年3月号の報告。

NASHの肝脂質を迅速かつ有意に減少した新薬/Lancet

 NGM282が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)において、容認できる安全性プロファイルで肝脂質を迅速かつ有意に減少したことが報告された。英国・オックスフォード大学のStephen A. Harrison氏らによる第II相試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年3月5日号で発表された。NGM282は、胆汁酸合成とブドウ糖恒常性を調節する内分泌消化管ホルモンFGF19の、非腫瘍形成性異型として開発された組み換えタンパク質である。NASHには現状、米国FDA承認の治療は存在しないが、今回の結果を踏まえて著者は、「NGM282のNASH治療の安全性と有効性についてさらなる探索を支持するものであった」としている。

プライマリケアからのPSA検査の紹介は有益か/JAMA

 プライマリケア施設における前立腺特異抗原(PSA)検査の紹介は、前立腺がんの検出率を改善するが、前立腺がん特異的な10年死亡には影響を及ぼさないことが、英国・ブリストル大学のRichard M Martin氏らが行ったCAP試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年3月6日号に掲載された。PSAスクリーニングは、過剰検出と過剰治療による弊害が、死亡リスクの低減またはQOLのベネフィットを上回る可能性があるため、議論が続いている。

認知症と自動車運転~高齢ドライバー5万人の診断にどう対処するか

 2017年3月の道路交通法改正により、75歳以上の高齢者ドライバーが運転免許証を更新する際、「認知症のおそれがある」と判断された場合、すべて専門医または主治医の診断(臨時適性検査)を受け、診断書を提出しなければならなくなった。高齢者による交通事故防止のため、認知症対策がより強化されたこの新制度により、医師による臨時適性検査および診断書作成の対象者は、5万人にまで膨れ上がっている。