日本語でわかる最新の海外医学論文|page:571

MSI-H固形がんへのペムブロリズマブ、日本人サブ解析結果(KEYNOTE-158)/癌治療学会

 マイクロサテライト不安定性の高い(MSI-H)固形がんの日本人症例に対するペムブロリズマブの有用性が示された。MSI-H固形がん(大腸がん以外)を対象としたペムブロリズマブの第II相試験(KEYNOTE-158)における日本人7例でのサブグループ解析結果について、近畿大学の中川 和彦氏が10月18~20日に横浜市で開催された第56回日本癌治療学会学術集会で発表した。  本試験は、大腸がん以外の転移のあるもしくは切除不能のMSI-H固形がんが対象。進行もしくは標準的な1次治療に不耐容、かつECOG PS 0~1の患者がエントリーされた。ペムブロリズマブ200mgを3週ごとに最大2年間投与した。最初の1年間は9週ごとに、それ以降は12週ごとに画像診断を実施した。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)、安全性であった。

頭部外傷の一番の予後予測因子は中脳周囲槽の所見の有無/脳神経外科学会

 頭部外傷の一番の予後予測因子は、中脳周囲槽の所見の有無である―。千葉大学脳神経外科の本島 卓幸氏らは、頭部外傷データバンク2015のデータを使用して、機械学習を用いた解析を行い、このような結果を導き出した。10月10~12日に仙台市で開催された日本脳神経外科学会で発表した。

オシメルチニブ1次治療における耐性獲得機序(FLAURA)/ESMO2018

 進行EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患の1次治療に対する第III相FLAURA試験において、オシメルチニブは、標準治療EGFR-TKI(ゲフィチニブ、エルロチニブ)と比較して優れた有効性を示し、1次治療の適応となった。そのため、オシメルチニブ1次治療における獲得耐性メカニズムについての知見は、今後の治療開発にとって重要な情報である。欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018 Congress)では、上記FLAURA試験中に進行した患者におけるオシメラチニブに対する獲得耐性メカニズムに関する予備的データが報告された。

薬物治療抵抗性慢性不眠症に対する認知行動療法の有効性~日本における多施設ランダム化比較試験

 不眠症は、夜間の症状と日中の障害によって特徴付けられるのが一般的である。治療では、GABA-A受容体アゴニスト(GABAA-RA)がよく用いられているが、長期使用に関しては、薬物依存や潜在的な認知障害リスクの観点から、リスク-ベネフィット比が低い。精神保健研究所の綾部 直子氏らは、薬物治療抵抗性原発性不眠症患者における認知行動療法(cognitive behavioral therapy for insomnia:CBT-I)を併用したGABAA-RA漸減療法の有効性を評価した。Sleep Medicine誌2018年10月号の報告。

SAF方式の遠隔皮膚診断、対面診療よりコスト削減

 store and forward(SAF)方式の遠隔皮膚診断(TD)は、行政・医療サービスが十分ではない集団に対して、タイムリーで高品質なケアへのアクセスが増加できると見込まれている。しかし、そうした集団におけるTDの費用対効果については明らかにされていない。今回、米国・ペンシルベニア大学のXiaoshi Yang氏らは、TDが皮膚科治療のアクセスを高めつつも、コスト削減が可能であると報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年10月1日号掲載の報告。

尿酸値上昇、食事の影響はわずか/BMJ

 一般集団において血清尿酸値の変化は、遺伝的寄与とは対照的に食事の寄与はわずかであることが明らかにされた。ニュージーランド・オタゴ大学のTanya J. Major氏らによる住民ベースコホート研究のメタ解析の結果で、BMJ誌2018年10月10日号で発表された。血清尿酸値は、遺伝的暴露と特定の食品などを含む環境的曝露による影響を受けることが知られている。

古くて新しい残余リスクとしてのLP(a)(解説:平山篤志氏)-937

これまでリポ蛋白(a)(LP(a))については、動脈硬化疾患と関連するということが知られていて、独立した冠危険因子とされていた、しかし、測定される対象が限られていることと、多くの試験が少数例であったこと、またLP(a)を低下させる薬剤がなかったこともあって、LDL-コレステロール(LDL-C)の陰に隠れた存在であった。

nab-パクリタキセル+アテゾリズマブ、トリプルネガティブ乳がんでPFS延長(IMpassion130)/ESMO 2018

 進行トリプルネガティブ乳がん(TNBC)への1次治療として、nab-パクリタキセルと抗PD-L1抗体アテゾリズマブの併用療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。日本も参加している第III相ランダム化比較試験IMpassion130の結果に基づき、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏がドイツ・ミュンヘンにおける欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で報告した。同患者対象の1次治療の第III相試験で、免疫療法についてポジティブな結果が出たのは初となる。

うつ病治療と食事パターン

 栄養精神医学の分野は、急速に成長している。当初は、メンタルヘルスにおけるビタミンや微量栄養素の効果について焦点が当てられてきたが、ここ10年間では食事パターンにも焦点が当てられている。うつ病のような最も一般的な精神疾患において、費用対効果の高い食事療法による介入の可能性は、潜在的に大きな影響を及ぼすため見過ごされるべきではない。ポルトガル・コインブラ大学のMariana Jesus氏らは、うつ病における食事パターンの影響について検討を行った。Current Pharmaceutical Biotechnology誌オンライン版2018年9月25日号の報告。

高CVリスク肥満者の糖尿病発症をlorcaserinが抑制/Lancet

 選択的セロトニン2C受容体作動薬lorcaserinは、過体重・肥満の前糖尿病患者において糖尿病の予防効果を発揮するとともに、糖尿病患者では細小血管合併症を抑制することが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のErin A. Bohula氏らが行った「CAMELLIA-TIMI 61試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年10月4日号に掲載された。lorcaserinは、プロオピオメラノコルチンの産生を、視床下部で活性化することで食欲を制御する。米国では、長期的な体重管理において、食事療法や運動療法の補助療法として承認されている。

高リスクの急性胆嚢炎、胆嚢摘出vs.ドレナージ/BMJ

 急性胆嚢炎の高リスク患者において、腹腔鏡下胆嚢摘出は経皮的胆嚢ドレナージよりも優れているとの強いエビデンスが示された。これまで高リスク患者を対象に両手技を比較した無作為化試験は行われておらず、臨床的および経済的アウトカムについて明らかになっていなかった。オランダ・St. Antonius-HospitalのCharlotte S. Loozen氏らが、多施設共同無作為化試験を行った結果、腹腔鏡下胆嚢摘出は重大合併症(感染症、心肺合併症、再介入など)を軽減し、医療費コストも30%以上軽減することが示されたという。BMJ誌2018年10月8日号掲載の報告。

特発性肺線維症治療の現状について(解説:小林英夫 氏)-935

特発性肺線維症(IPF)は特発性間質性肺炎(IIPs)の中で最多を占め、現在、完治療法が得られておらず、IPF生存中央値は肺がんと同程度の予後が報告されている。なお特発性間質性肺炎とは、原因不明の間質性肺炎“群”の総称である。20年ほど前までは副腎皮質ホルモン薬や免疫抑制薬などが抗炎症効果を期待して投与されていたが、明確な効果を実感することは難しかった。

初回エピソード精神疾患患者に対する長時間作用型抗精神病薬の有効性

 長期アウトカムに影響を及ぼす初回エピソード精神疾患(FEP)患者の治療を最適化するうえで、非定型抗精神病薬の異なる有効性プロファイルは、重要なポイントとなる。スペイン・University Hospital Marques de ValdecillaのMarcos Gomez-Revuelta氏らは、FEPに対するアリピプラゾール、ziprasidone、クエチアピン治療の臨床効果について、3年間のフォローアップのうえ、比較検討を行った。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2018年9月12日号の報告。

ポリミキシンB、重症敗血症性ショックの予後を改善せず/JAMA

 エンドトキシン活性が高い敗血症性ショックの患者において、ポリミキシンBによる血液灌流法(PMX-DHP)を標準治療に加えても、標準治療と比較して28日死亡率は低下しないことが、米国・Cooper University HospitalのR. Phillip Delinder氏らによる、多施設共同無作為化試験「EUPHRATES試験」の結果、示された。PMX-DHPは、敗血症における血中エンドトキシン濃度を低下させることが知られており、敗血症性ショックでエンドトキシン活性が高い患者に対するPMX-DHPを用いた治療は、臨床転帰を改善する可能性があると考えられていた。JAMA誌2018年10月9日号掲載の報告。

リポ蛋白(a)値とCVDリスクの関連/Lancet

 スタチンによる治療を受けた患者の個々のデータを用いたメタ解析の結果、ベースライン時およびスタチン治療中のリポ蛋白(a)高値は、独立して心血管疾患(CVD)リスクとほぼ線形相関を示すことが明らかにされた。英国・ケンブリッジ大学のPeter Willeit氏らが報告した。リポ蛋白(a)値の上昇は、一般集団を対象とした研究においてCVDの遺伝的リスク因子であることが示されているが、CVD患者またはスタチン治療中の患者における心血管イベントリスクへの寄与度は不明であった。著者は、「リポ蛋白(a)値低下仮説を検証するCVDアウトカム研究を実施する理論的根拠が得られた」とまとめている。Lancet誌2018年10月4日号掲載の報告。

臨床効果と薬剤の副作用を考慮したブドウ球菌菌血症の適切な治療期間:アルゴリズム法と通常法との比較(解説:吉田敦氏)-933

ブドウ球菌菌血症において、適切な治療期間の設定は悩ましい問題である。複雑性の菌血症であれば治療期間は長く確保しなければならないが、長くなれば薬剤の副作用が出現しやすくなる。一方、短すぎてしまうと合併症や再発といった治療不全に至ってしまう。標準的な戦略としては、菌血症を複雑性、非複雑性に分類し、それぞれ適切な期間の治療を行うことが治療効果を向上させると考えられる。本研究では、臨床的な所見に基づくアルゴリズムを用いて治療期間を設定したが、この方法が重篤な副作用を増やさず、かつ効果も劣らないかどうかを検証した。

上戸彩さんの風邪予防法は毎日のうがい

 うがいと手洗いは、医療者であれば普段から身に付いた習慣である。まして空気の乾燥する冬季には、なお重要となる。医療機関、家庭で愛用されてきたうがい薬ポビドンヨード(商品名:イソジン)を製造するムンディファーマ株式会社は、2018年10月11日、イソジンの新製品の記者発表会を都内で開催した。

日本人小中学生のインターネット利用とうつ病や健康関連QOLとの関連

 病的なインターネット使用は、主に中学生を対象に研究されており、小学生を対象としたデータはほとんどない。弘前大学の高橋 芳雄氏らは、小中学生における、問題のあるインターネット使用状況(病的および不適切なインターネット使用を含む)とメンタルヘルスや健康関連QOLとの関連について調査を行った。Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology誌オンライン版2018年9月25日号の報告。

1型DM、ハイブリッド人工膵臓vs.SAP療法/Lancet

 食事時のインスリンボーラス注入の必要性を除けば昼夜にわたり自動でインスリンを注入するハイブリッド・クローズドループ型インスリン注入システム(以下、ハイブリッド人工膵臓)は、既存のセンサー増強型インスリンポンプ(SAP)療法と比較して、6歳以上の幅広い年齢層にわたる1型糖尿病患者の血糖コントロールを改善し、低血糖リスクを低減することが明らかにされた。英国・ケンブリッジ大学代謝科学研究所のMartin Tauschmann氏らによる、国際多施設共同の非盲検無作為化試験の結果で、Lancet誌オンライン版2018年10月1日号で発表された。