日本語でわかる最新の海外医学論文|page:467

polatuzumab vedotin、DLBCL国内第II相試験の主要評価項目を達成/中外

 中外製薬は、2020年2月13日、polatuzumab vedotinの国内第II相臨床試験(JO40762/P-DRIVE試験)において、主要評価項目を達成したと発表。  JO40762(P-DRIVE)試験は、再発又は難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者35例を対象として、polatuzumab vedotinとBR療法を併用投与する第II相多施設共同単群非盲検試験。本試験の主要評価項目は治験責任/分担医師評価によるPRA時点(治験薬最終投与後6~8週)におけるPET-CTによる完全奏効率(complete response rate:CRR)である。

治療抵抗性うつ病のリスク因子~コホート研究

 治療抵抗性うつ病のリスク因子を明らかにすることは、メカニズムやリスクを有する患者を特定するために、役立つであろう。しかし、さまざまなリスク因子が治療抵抗性うつ病とどのように関連しているかは、よくわかっていない。デンマーク・Bispebjerg and Frederiksberg HospitalのFrederikke Hordam Gronemann氏らは、治療抵抗性うつ病と社会人口統計学的および臨床的なリスク因子との独立した関連性について、検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年1月15日号の報告。

CAR-NK細胞、再発/難治性CD19陽性がんに有効/NEJM

 キメラ抗原受容体(CAR)を導入されたナチュラルキラー(NK)細胞は、再発または難治性のCD19陽性がん患者の治療において高い有効性を示し、一過性の骨髄毒性がみられるものの重大な有害事象は発現せず、相対的に安全に使用できる可能性があることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのEnli Liu氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌2020年2月6日号に掲載された。CAR導入細胞療法では、すでに抗CD19 CAR-T細胞療法のB細胞がんの治療における著明な臨床的有効性が確認されている。一方、CAR-T細胞は重大な毒性作用を誘発する可能性があり、細胞の作製法が複雑である。抗CD19 CARを発現するように改変されたNK細胞は、これらの限界を克服する可能性があるという。

新型コロナウイルス受診の目安を発表/厚生労働省

 国内での新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、先日開催された内閣の新型コロナウイルス感染症専門家会議で議論された「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」が、2月17日に厚生労働省より発表された。主な目的は、国民の新型コロナウイルスへの不安の鎮静化と検査や診療による医療機関への過度な集中を防ぐためのものである。  具体的な相談・受診の目安として、「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」、また、「高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全など)があり、前記の2つの症状が2日程度続く」という人は、各都道府県に設置されている帰国者・接触者センターへの相談を要請している。

COVID-19疑い例の来院時、具体的手順は?

 日本国内で新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が増えつつあり、大きな懸念の一つとされているのが院内での感染の疑いが出ていることだ。中国国内でも14日までに1,716人の医療従事者が感染し、6人の死亡が報告されている。  2月7日に行われた日本感染症学会・日本環境感染学会主催の緊急セミナー(司会は日本感染症学会理事長 館田 一博氏、日本環境感染学会理事長 吉田 正樹氏)において、菅原 えりさ氏(東京医療保健大学大学院 医療保健学研究科感染制御学 教授)が「感染対策の再確認」と題し発表を行った。

皮膚病理所見のオンライン提示、臨床病理医はその影響をどう見るか

 米国ではすでに多くの患者が、オンライン(patient portal)を介して、病理検査の結果報告にアクセスしている状況にあるという。米国・ワシントン大学のHannah Shucard氏らは、そうした状況について、病理医の観点での検証がほとんど行われていないとして臨床皮膚科病理医を対象とするサーベイ調査を行った。その結果、大半が「病理検査の結果をオンラインで利用できるようにすることはよい考えである」と評価しつつも、患者の心配と混乱が増大していることへの懸念を抱く病理医も多いことが明らかになった。著者は、「患者のオンラインアクセスが増えていく中で、患者の理解の改善や潜在的ネガティブコンセンサスを減少するために、どのような報告が最適かを考えることが重要だ」と指摘し、「患者と臨床医双方にとって、最善の行為および効果となるように留意して、さらなる研究を行う必要がある」と述べている。JAMA Dermatology誌オンライン版2020年1月29日号掲載の報告。

血清BDNF濃度、短時間睡眠を伴う不眠と関連か

 神経系から分泌されるタンパク質である脳由来神経栄養因子(BDNF)は、神経細胞の発生・成長・維持・修復に働くが、ヒトの睡眠の調節にも関与することが示されている。今回、京都大学の降籏 隆二氏らは、血清BDNF濃度と睡眠障害との関連について短時間睡眠を伴う不眠(insomnia with short sleep duration:ISS)に着目し、横断研究を実施した。その結果、ISSが血清BDNF濃度の低下と関連している可能性が示された。Sleep Medicine誌2020年4月号に掲載。

オランザピン研究の最新レビュー

 多くのエビデンスによってオランザピンは、米国で発売されている抗精神病薬の中で、クロザピンを除き最も効果的な薬剤の1つであるといわれている。しかしオランザピンは、代謝関連の副作用(とくに体重増加)の問題が報告されている。誘発される体重増加をコントロールするための戦略を明らかにすることで、オランザピンの臨床的有用性を再評価できると考えられる。米国・コロンビア大学のAmir M. Meftah氏らは、2008年と2009年に行ったレビュー以降のオランザピンに関する最近のエビデンスをレビューし、統合失調症およびその他の疾患への使用、オランザピン20mg/日超の安全性について検討を行った。Postgraduate Medicine誌オンライン版2020年1月3日号の報告。

神経疾患は自殺死のリスクを高めるか/JAMA

 1980~2016年のデンマークでは、神経疾患の診断を受けた集団は、これを受けていない集団に比べ、自殺率が統計学的に有意に高いものの、その絶対リスクの差は小さいことが、同国Mental Health Centre CopenhagenのAnnette Erlangsen氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月4日号に掲載された。神経学的障害は自殺と関連することが示されているが、広範な神経学的障害全体の自殺リスクの評価は十分に行われていないという。

「COVID-19、世界は収束の方向だが日本の状況を不安視」WHO進藤氏

 2月14日の第35回日本環境感染学会総会・学術集会では、冒頭の会長講演に代わり、「新型コロナウイルス感染症の対策を考える」と題した緊急セミナーが開催された。この中で、WHO(世界保健機関)のメディカルオフィサーとして危険感染症対策に当たる進藤 奈邦子氏が、これまでのWHOの取り組みと世界からの最新情報、そして日本への期待について語った。  冒頭、進藤氏は「現在、WHOは新型コロナウイルス(COVID-19)根絶を目指したオペレーションを展開中だ。中国では既に新たな症例数が減りつつあり、その他の国からの報告例も減っている。その中で唯一、新たな症例数が増えているのが日本だ」と懸念を示した。

COVID-19、水際対策のあるべき姿とは

 “検疫における水際対策を一層徹底する”という内閣総理大臣からの指示がなされ、報道でも水際対策の強化が取り上げられている。2月13日に開催されたメディア・市民向けセミナー「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応」において、加來 浩器氏(防衛医科大学校防衛医学研究センター 広域感染症疫学・制御研究部門教授)がその対策の真意を語った(主催:日本感染症学会、日本環境感染学会、FUSEGU2020)。

ドウベイト配合錠の未治療HIV感染症患者に対する2剤治療は患者負担を軽減させるか

 2020年1月31日、ヴィーブヘルスケア株式会社は、同日発売となった抗ウイルス化学療法剤「ドウベイト配合錠」(一般名:ドルテグラビルナトリウム・ラミブジン)に関するメディアセミナーを開催した。その中で、ヒトレトロウイルス学共同研究センター熊本大学キャンパスの松下 修三氏が、「HIV/AIDS いまどうなっている?」と題して講演を行った。  ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症に対する、多剤併用療法(ART)は、異なる機序の薬剤を併用してHIVの量を減少させる。これまで未治療のHIV感染症患者には、一般的に、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)、プロテアーゼ阻害薬(PI)、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)の中から「キードラッグ」として1剤と、「バックボーン」として核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)2剤とを組み合わせた3剤を併用し、治療を実施していた。

SCRUM-Japan第三期プロジェクト、FoundationOne Liquidの利用契約/中外・FMI

 ファウンデーションメディシン社(FMI)および中外製薬は、国立がん研究センターと、国内最大規模の産学連携全国がんゲノムスクリーニングプロジェクト「SCRUM-Japan」の第三期プロジェクトにおいて、リキッドバイオプシー検査FoundationOne Liquidの利用に関する契約を締結したと発表。国内およびアジアを対象とした幅広い地域で、医療機関と連携しゲノムスクリーニングを行うことで、革新的なバイオマーカーを用いたがん治療における個別化医療の高度化の促進を目指す。

【延期:日時未定】ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと2020 in 東京~

【開催延期のお知らせ】 2020年2月18日付で案内いたしました大腸がん疾患啓発に係る市民公開講座 「ブルーリボンキャラバン~もっと知ってほしい大腸がんのこと 2020 in 東京」 につきまして、今般の新型コロナウイルスの感染拡大の状況を鑑み、開催が<延期>されることになりました。今後の開催予定につきましては、随時、下記ホームページ等にてお知らせします。(2月21日) https://www.cancernet.jp/28277

統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識欠如との関係~メタ解析

 最近の研究では、統合失調症患者において、顔の感情認識の欠如が一般的に認められていると報告されているが、その理由についてはよくわかっていない。英国・ブリストル大学のDavid Martin氏らは、統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2020年1月11日号の報告。  統合失調症の遺伝的リスクと顔の感情認識の欠如との関連についての研究を、システマティックにレビューした。利用可能で十分なデータを有する研究のメタ解析を行い、それ以外の研究はナラティブレビューを行った。一般化および特定の顔の感情認識の欠如に対してメタ解析を実施した。

AIによる大腸がん転帰の予測マーカーを開発/Lancet

 ノルウェー・オスロ大学病院のOle-Johan Skrede氏らは、ディープラーニング(深層学習)を用いて、従来の病理組織画像から大腸がんの転帰を予測するバイオマーカー(DoMore-v1-CRC)を開発し、その臨床的有用性を確認した。研究の成果は、Lancet誌2020年2月1日号に掲載された。早期大腸がん患者を層別化して補助療法を適切に選択できるようにするには、より優れた予後マーカーが必要とされる。この研究で確立されたマーカーは、StageII/IIIの患者を十分に明確な予後グループに層別化した。これにより、きわめて低リスクのグループの治療を回避し、より強力な治療レジメンから利益を得る患者を特定することで、補助療法の選択の指針として有用となる可能性があるという。

静注鉄剤による鉄欠乏性貧血治療、IIM vs.FCM/JAMA

 経口鉄剤に不耐・不応の鉄欠乏性貧血患者における静注鉄剤による治療では、iron isomaltoside(IIM、現在はferric derisomaltoseと呼ばれる)はカルボキシマルトース第二鉄(FCM)と比較して、低リン血症の発生が少ないことが、米国・デューク大学のMyles Wolf氏らの検討で示された。研究の成果は、JAMA誌2020年2月4日号に掲載された。静注鉄剤は、鉄欠乏性貧血の迅速な改善を可能にするが、これらの製剤は線維芽細胞増殖因子23(FGF23)に関連する低リン血症を誘発する場合があるという。

日本人COVID-19の特徴、診療第一線医師が語る

 2月13日、「新型コロナウイルス(COVID-19)感染症への対応」と題したメディア・市民向けセミナーが開催された。感染症専門医4名が対応策について講じ、そのなかで、忽那 賢志氏(国立国際医療研究センター 国際感染症対策室医長)は、今回の日本で明らかにされた臨床像の特徴として、「発症から数日~1週間くらい『かぜ』のような症状が続き7割くらいの症例で肺炎を伴う、肺炎症例では胸膜下のすりガラス影~浸潤影が見られる」などの特徴を述べた(主催:日本感染症学会、日本環境感染学会、FUSEGU2020)。

新型肺炎は母子感染するのか?妊婦9例の後ろ向き研究/Lancet

 中国・武漢市を中心に世界規模で広がっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)。これまでの研究では一般集団における感染ルートの検証が行われてきたが、妊婦のデータは限定的だ。武漢大学中南医院産婦人科のHuijun Chen氏らは、新型コロナウイルス陽性と確認された妊産婦について、臨床的特徴と垂直感染の可能性について検証した。Lancet誌オンライン版2月12日版に掲載。  本研究では、2020年1月20日~31日、武漢大学中南医院に入院した患者のうち、COVID-19と診断された妊産婦9例について、臨床記録、検査結果および胸部CT画像を後ろ向きにレビューした。垂直感染を裏付ける根拠として、羊水、臍帯血、新生児の咽頭スワブおよび母乳サンプルが採取された。

最適な抗うつ薬投与量~システマティックレビュー

 固定用量で行われる抗うつ薬の試験では、承認された用量の中でも低用量で有効性と忍容性の最適なバランスが実現されている。副作用が許容される範囲内での抗うつ薬の増量がベネフィットをもたらすかについて、京都大学の古川 壽亮氏らが検討を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2019年12月31日号の報告。  急性期うつ病治療に対するSSRI、ベンラファキシン、ミルタザピンを検討したプラセボ対照ランダム化試験をシステマティックにレビューした。主要アウトカムは治療反応とし、うつ病重症度の50%以上減少と定義した。副次アウトカムは、有害事象による脱落および何らかの理由による脱落とした。