日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1021

臨床試験のサブグループ解析は信頼できるか?

臨床試験の著者は報告でサブグループ効果を主張することが多いが、その信頼性は主張が強力な場合でも一般に低いことが、米国・Kaiser Permanente Northwest(ポートランド市)のXin Sun氏らの検討で示された。臨床試験のサブグループ解析では、サブグループに関する仮説が事前に規定されていなかったり、統計学的な検証が適切に行われない場合があるという。近年、無作為化比較試験におけるサブグループ解析の限界や、予測されるサブグループ効果の信頼性の評価基準の検討が進められてきた。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月15日号)掲載の報告。

健康リテラシーが低い高齢者は死亡率が高い:イギリス

イギリスの高齢者の約3分の1は健康リテラシーが十分でなく基本的な健康関連の書面の読解が困難であり、理解力が低いほど死亡率が高くなることが、英国・ユニバーシティー・カレッジ・ロンドンのSophie Bostock氏らの調査で明らかとなった。健康リテラシー(基本的な健康関連情報を読解する能力)の低さが、有害な健康アウトカムと関連することが示されている。アメリカの2つの試験が、低い健康リテラシーにより高齢者の死亡率が上昇することを報告しているが、イギリスでは高齢者の健康リテラシーの問題は検討されていなかったという。BMJ誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月16日号)掲載の報告。

青少年の慢性疲労症候群に、インターネットベースの認知行動療法プログラムが有効

青少年の慢性疲労症候群の治療法として、インターネットベースの認知行動療法プログラム(FITNET)が有効なことが、オランダ・ユトレヒト大学医療センターWilhelmina子ども病院のSanne L Nijhof氏らの検討で示された。慢性疲労症候群(筋痛性脳脊髄炎、筋痛性脳症)は持続的な疲労感と重度の身体機能低下を特徴とし、青少年では長期化することが多く、学業や社会的発育に悪影響を及ぼす。治療法として有望と考えられる認知行動療法は、専門的な技能を要するためその利用は限定的なのが現状だが、インターネットの使用によってアクセスが容易になる可能性が示唆されている。Lancet誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月1日号)掲載の報告。

ステント血栓症の抑制効果、コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステントが最も高い

コバルトクロム合金製エベロリムス溶出ステント(CoCr-EES)は、ベアメタルステント(BMS)や他の薬剤溶出ステントに比べステント血栓症のリスクが低いことが、イタリアPoliclinico S Orsola(ボローニャ市)のTullio Palmerini氏らの検討で示された。薬剤溶出ステントとBMSのステント血栓症のリスクについては議論が続いているが、ステント血栓症の総発生率の低さを考慮すると、各ステントの差を正確に評価するには、膨大なサンプル数が必要とされる。ネットワークメタ解析は、共通の治療法をレファランスとして個々の治療法の間接的な比較を可能にする新しい研究法で、サンプル数を増やすことができるという。Lancet誌2012年4月14日号(オンライン版2012年3月23日号)掲載の報告。

メトホルミンは糖尿病を発症していない肥満高血圧にも有用か?

 糖尿病を発症していない、肥満を伴う高血圧に対するメトホルミンの投与は、血圧および血糖値に影響を及ぼすことなく、総コレステロール値、腹部肥満、C反応性蛋白を減少させることが、中国、重慶で実施された二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験によって示された。この結果はJournal of Hypertension誌オンライン速報版に4月19日に発表された。

ERCP後、インドメタシン直腸投与で膵炎発症を有意に低下

内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)後にインドメタシンの直腸内投与をすることで、ERCP後膵炎の発生率を有意に低下することが、米国・ミシガン大学医療センターのB. Joseph Elmunzer氏らによる多施設共同無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、明らかにされた。ERCP後の急性膵炎は、米国では最も頻度の高い重大合併症で、毎年相当な罹患者と場合によっては死亡を伴うケースが発生しており、年間約1億5,000万ドルの保健医療費が投じらていると推計されているという。これまでの予備的研究で、ERCP後にNSAIDsを直腸投与することで膵炎の発生率を低下させる可能性があることが示唆されていた。NEJM誌2012年4月12日号掲載報告より。

急性冠症候群疑いの救急搬送患者にはCCTA戦略が有用

 救急搬送されてきた急性冠症候群の疑い患者に対しては、冠動脈CT血管造影(CCTA)を基本として診断スクリーニング戦略が有用であることが、米国・ペンシルベニア大学のHarold I. Litt氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。Litt氏は「他の診断スクリーニング戦略では入院したであろう患者が、CCCT戦略であれば安全かつ早期退院できる可能性がある」と結論している。急性冠症候群の疑いの救急搬送患者の入院率は高いが、最終的には心臓に起因する症状ではないことが判明するケースがほとんどである。一方で、CCTAは冠動脈疾患の陰性的中率は非常に高いが、救急部門での判定に有用かどうかはこれまで確立されていなかった。NEJM誌2012年4月12日号(オンライン版2012年3月26日号)掲載報告より。

ヒュミラ、尋常性乾癬と関節症性乾癬に関する承認条件解除

アボット ジャパンとエーザイは23日、尋常性乾癬及び関節症性乾癬等の適応症で販売中のヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ 皮下注40mgシリンジ0.8mL」(一般名:アダリムマブ 、以下:ヒュミラ)について、承認条件となっていた「尋常性乾癬及び関節症性乾癬」に関する使用成績調査(全例調査)に関し、厚生労働省から解除の通達を受けたことを発表した。

オルメサルタンは、糖尿病と高血圧の併発例においても微量アルブミン尿の発症を遅延させる-ROADMAP試験より-

高血圧と糖尿病を併発する患者においても、ARBオルメサルタンによる治療によって微量アルブミン尿の発症率を低下させることが示された。このRandomized Olmesartan and Diabetes Microalbuminuria Prevention (ROADMAP)試験のサブグループ解析の結果は、Journal of Hypertension誌4月号に掲載された。

高齢者の心電図異常、冠動脈性心疾患イベントリスクを40~50%増

高齢者の心電図異常は、その程度にかかわらず、冠動脈性心疾患イベント発生リスク増大と関連することが明らかにされた。軽度の場合は約1.4倍に、重度では約1.5倍に、それぞれ同リスクが増大するという。また、従来のリスク因子による予測モデルに、心電図異常の要素を盛り込むことで、同イベント発生に関する予測能が向上することも示された。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のReto Auer氏らが、高齢者2,000人超について約8年間追跡して明らかにしたもので、JAMA誌2012年4月11日号で発表した。

被災地の医療従事者が必要としている情報に、福島と岩手で違いあり

 ファイザーは20日、東日本大震災の被災地に向けた支援のひとつとして、昨年7月から被災者へのPTSD(Post-traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)の治療を支援することを目的として日本トラウマティック・ストレス学会と共同で展開している「東日本大震災 こころのケア支援プロジェクト」活動報告のまとめを発表した。

うつ病は高血圧発症の危険因子か?

長い間、うつと高血圧の関連していることは知られていたが、うつ病が高血圧発症の危険因子であるかどうかは不明であった。中国 吉林省の吉林大学第一病院のMeng氏らは、観察研究のメタアナリシスの結果、うつ病が高血圧発症の独立した危険因子である可能性が高いことを発表した。Meng氏は「高血圧症の予防と治療においてうつ病を考慮することが重要である」と言及している。