日本語でわかる最新の海外医学論文|page:974

インターフェロン治療SVR達成の慢性C型肝炎患者は全死因死亡が有意に低下/JAMA

 慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染症・進行性肝線維症患者の全死因死亡率について、インターフェロン治療により持続的ウイルス学的著効(SVR)がみられる人では有意な低下がみられたことが、オランダ・エラスムス大学のAdriaan J. van der Meer氏らによる評価の結果、明らかにされた。JAMA誌2012年12月26日号掲載より。

新規抗うつ薬「ノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬」その実力とは?

 新規抗うつ薬として注目されるノルアドレナリン・ドパミン脱抑制薬(NDDI)であるアゴメラチン。オーストリア・ウィーン医科大学のSiegfried Kasper氏らは、アゴメラチンの有効性および忍容性を評価するため、SSRIやSNRIとの各種比較試験より解析を行った。International clinical psychopharmacology誌2013年1月号の報告。

今、話題の糖質制限食は寿命を延ばすことができるのか?

 糖尿病の食事療法は、カロリー制限が標準的な治療として実践されている。しかし、継続できない患者が少なからずいることも事実だ。そこで、カロリー摂取量は無制限にして、糖質(炭水化物)だけを制限する『糖質制限食』が提唱され、昨今わが国でも話題となっている。糖質制限食は、短期的(数週間~数年間)な減量や動脈硬化リスクファクター改善に有効であることが臨床的に示されているが、長期的なアウトカムや安全性についてはこれまで明らかではなかった。

第二世代抗精神病薬によるインスリン分泌障害の独立した予測因子は・・・

 第二世代抗精神病薬(SGA)は2型糖尿病リスクを増大する。そのメカニズムは、薬剤による体重増加を中心に、インスリン抵抗性の代謝異常カスケードが始まり、インスリン産生の増大と膵β細胞の機能障害によるものだと考えられている。米国・ザッカーヒルサイド病院のPeter Manu氏らは、SGAであるクロザピン、オランザピン、クエチアピン、リスペリドンについて、インスリン分泌への影響を検討した。Schizophrenia Research誌オンライン版2012年12月8日号の掲載報告。

閉経後女性、血中カロテノイドが高い人ほど骨粗鬆症リスクは低い

閉経後日本人女性を対象とした前向きコホート研究の結果、カロテノイド(とくにβクリプトキサンチンとβカロテン)の血中濃度が高い人ほど、骨減少症および骨粗鬆症リスクが低いことが報告された。農研機構・果樹研究所の杉浦実氏らが、栄養疫学調査「三ヶ日町(静岡県浜松市)研究」の参加者を4年間追跡した結果、報告した。

Qスイッチレーザーのタトゥー除去成功、セッション15回で74.8%

 Pier Luca Bencini氏らは、Qスイッチレーザーのタトゥー除去のアウトカムと後遺症への影響について前向き観察コホート研究を行った。その結果、臨床効果を減じる因子として喫煙や色(黒と赤以外)などが関連していることを明らかにした。著者によると、本検討はQスイッチレーザーによる効果的なタトゥー除去のための予後因子を評価する初の研究であるという。Archives of Dermatology誌2012年12月号(オンライン版2012年9月17日号)の掲載報告。

ネクサバール、放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がん患者の無増悪生存期間の延長を達成

 ドイツのバイエル ヘルスケア社と米国オニキス・ファーマシューティカル社は3日、放射性ヨウ素治療抵抗性の局所進行性または転移性分化型甲状腺がん患者を対象としたネクサバール錠(一般名:ソラフェニブトシル酸塩)の第III相臨床試験において、主要評価項目である無増悪生存期間の統計学的有意な延長が認められたことを発表した。バイエル薬品が10日に報告した。

日本でほとんど報道されなかった驚愕のインパクト、冠動脈疾患の二次予防に対するコルヒチンに迫る!

 2012年11月、AHA(米国心臓病学会)学術集会が開催され、多くの新しい知見が発表された。その中に、日本では、ほとんど報道されてはいないが、冠動脈疾患の二次予防において、臨床的にきわめてインパクトの高い試験結果が発表されていた。その試験名は、「The LoDoCo Trial」という。LoDoCo試験に用いられた新たな治療選択肢は、わが国でも古くから使用されている痛風発作予防薬コルヒチンだった。 ケアネットでは、この試験に注目し、情報を提供してくださった東海大学医学部 後藤信哉氏に直接お話を伺った。後藤氏は、AHA発表時のDiscussantでもある。

軍人スタディで判明、米国の心疾患対策で残された課題/JAMA

 2001~2011年間のイラク戦争で死亡した米国軍人の剖検からアテローム性動脈硬化症の有病率を調べた結果(8.5%)から、朝鮮戦争(77%)およびベトナム戦争(45%)当時よりも減少が示唆されたことが、米国・Uniformed Services University of the Health SciencesのBryant J. Webber氏らによる調査の結果、示された。米国では朝鮮・ベトナム戦争時の剖検結果から、虚血性心疾患が発症する20、30年前から冠動脈のアテローム性動脈硬化症が進行している可能性が示唆され、以来、軍人のみならず小児や若者をターゲットとした健康政策が実行されてきたという。その成果がみられるとしながらも著者は、「年齢別、心血管リスク因子別にみると、さらなる改善の目標は残っている」と報告した。JAMA誌2012年12月26日号掲載より。

ヒトとトナカイの鼻腔微小血管は類似していることが明らかに/BMJ

 クリスマスソングに登場する世界で最も有名なトナカイのルドルフ。歌にあるように、トナカイの鼻が明るく赤く発光しているのは、鼻腔微小血管の赤血球が豊富で血管密度が高い(ヒトよりも25%高値)からであることを、オランダ・エラスムス大学のCan Ince氏らが、ハンディカムタイプの生体内用ビデオ顕微鏡を使った観察研究によって明らかにした。同ビデオ顕微鏡の登場でヒトの臓器の微小血管を描出することが可能になったが、これまで鼻腔微小血管の描出は行われたことがないという。BMJ誌2012年12月22日号(オンライン版2012年12月14日号)掲載「クリスマス特集」より。

「糖尿病+うつ病」に対する抗うつ薬の有効性は“中程度”

 糖尿病患者におけるうつ病発症は高頻度にみられ、不良な予後と関連する。ドイツ・フライブルグ大学のHarald Baumeister氏らは、うつ病を併発した糖尿病患者への、うつ病治療としての精神療法および薬物療法の効果について、システマティックレビューを行った。その結果、いずれもうつ病改善に中程度の有意な臨床的効果をもたらすことが示され、また血糖コントロールについても、薬物療法群では短期間での改善が認められたという。精神療法の血糖コントロールへの効果については確たるエビデンスが得られなかった。Cochrane Libraryオンライン版2012年12月12日号の掲載報告。

人工膝関節形成術へのドクターフィー年5%減で起きた総医療費の劇的上昇

 米国では1997年8月に財政赤字への懸念から連邦均衡予算法(Balanced Budget Act of 1997)が可決され、メディケアプログラム下の医師への診療報酬(ドクターフィー)の引き下げが命じられた。個々のドクターフィー引き下げそのものによる節減効果と、加えて報酬引き下げは労働インセンティブを低下させ、結果としてアウトプットが減り節減効果がもたらされる、という2つの支出コスト抑制効果があると考えられたためであったという。

イヌの嗅覚を活かしたC difficile感染症の病棟スクリーニングの可能性/BMJ

 オランダ・VU University Medical CentreのMarije K Bomers氏らは、イヌの優れた嗅覚を、便検体および入院患者のクロストリジウム・ディフィシル(C difficile)感染症の検出に活用できることを実証するための試験(principle study)を行った。その結果、感度・特異度ともに高く(便検体では100%)、検出が可能であることが示されたという。BMJ誌2012年12月22日号(オンライン版2012年12月13日号)掲載「クリスマス特集」より。

世界中で起きている障害を有する人の高齢化/Lancet

 1990~2010年の20年間の世界の障害生存年(years lived with disability:YLD)について、オーストラリア・School of Population HealthのTheo Vos氏らがGlobal Burden of Diseases Study 2010(GBD2010)の系統的解析を行い報告した。その結果、10万人当たりのYLD有病率は20年間でほぼ一定であったが、年齢に伴う着実な上昇が認められたという。背景には人口増加と平均年齢の上昇があった。またYLDの最も頻度の高い原因(メンタル問題、行動障害、筋骨格系障害など)の有病率は減少しておらず、著者は「各国のヘルスシステムは死亡率ではなく障害を有する人の増加について対処する必要があり、その上昇する負荷に対する効果的かつ可能な戦略が、世界中のヘルスシステムにとって優先すべきことだ」と提言した。Lancet誌2012年12月15/22/29日合併号掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(46)〕 糖尿病・多枝病変患者ではDES-PCIはCABGと比較して4年の短期追跡でも心筋梗塞・死亡率は高い

 糖尿病患者に対する冠動脈血行再建術選択に関しては、BARI studyの結果から冠動脈インターベンション(PCI)は冠動脈バイパス術(CABG)と比較すると糖尿病患者100人に対して5年間で15人、7年間で20人、10年間で22人死亡数が多いことが報告されているが、ランダム化試験のサブグループ解析結果でありエビデンスレベルはCであった。

神経ステロイド減量が双極性障害患者の気分安定化につながる?

 近年、臨床および前臨床研究から、GABA受容体作動性神経ステロイドの量的変動と気分障害の病態との関連性が明らかになりつつある。イタリア・カリアリ大学のMauro Giovanni Carta氏らは、これまでに報告された基礎的ならびに臨床的研究をレビューし、神経ステロイド量の減少が気分障害の悪化に関連しており、神経ステロイド量の是正/増加が気分安定化につながる可能性を示唆した。Behavioral and Brain Functions誌オンライン版2012年12月19日号の掲載報告。