日本語でわかる最新の海外医学論文|page:738

スタチンを中断する患者、7割以上が再開/BMJ

 スタチン治療患者の中断率および再開率を調べた結果、1次予防目的での服用開始患者の中断率は47%、うち再開率は72%であり、2次予防患者ではそれぞれ41%、75%であったという。英国・パーク大学のYana Vinogradova氏らが、同国プライマリケア・データベースを用いた前向きオープンコホート試験の結果、報告した。スタチン治療については先行試験で、中断率が高く、アドヒアランスが低いことが示されている。また傾向として、若年層または高年齢層、女性、マイノリティ、喫煙者、BMI低値、非高血圧または非糖尿病の患者でアドヒアランスが低いことが示されていた。しかし、大半の試験が一般市民の代表を対象としたものではなく、試験デザイン、曝露やアウトカムの定義がまちまちであった。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。

新規医療機器の承認と安全性をめぐる議論、問題の本質とは/BMJ

 欧州連合(EU)で先に承認された医療機器は、米国で先に承認された医療機器と比べて、市販後の安全性に関する警告およびリコールの割合が高いことが、ハーバード大学リベラルアーツ学部のThomas J Hwang氏らによる検討の結果、示された。EUでは、医療機器の承認は民間の認証機関によって行われ、性能基準を満たし安全と見なされれば、同機関が有効性のエビデンスを求めることはほとんどない。そのためハイリスク医療機器についても、米国では食品医薬品局(FDA)が前向き臨床試験を求めるが、EUでは速やかに承認される。そうした中で、厳正な臨床試験が行われずに承認された埋設医療機器の安全性をめぐる議論が巻き起こったのを契機に、EUと米国で規制見直しを求める声が高まっているという。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報

ATACH-2とINTERACT2:脳出血の急性期に血圧をどう管理すべきか?(解説:有馬 久富 氏)-563

急性期脳出血に対する、積極的降圧療法の効果を検討したATACH-2試験の結果が、N Engl J Med誌に掲載された。ATACH-2は、無作為化オープン比較試験である。発症4.5時間以内で、収縮期血圧180mmHg以上の脳出血患者が、収縮期血圧110~139mmHgを目標とする積極的降圧療法群と、140~179mmHgを目標とする通常治療群に無作為に割り付けられた。

糖尿病薬の心血管アウトカム試験をどう読むか?ADAハイライトより

 ノボノルディスクファーマ株式会社は6月27日に都内にて2016年米国糖尿病学会(ADA)ハイライトセミナーを開催し、関西電力病院総長/関西電力医学研究所所長の清野 裕氏が「糖尿病治療の流れと最適な治療薬の選択を考える」をテーマに講演した。ADA 2016でとくに注目を集めたトピックとして、「最適な2型糖尿病の管理を目指して新しい糖尿病治療薬をどのように使うか」「糖尿病治療薬の心血管系への影響(大規模心血管アウトカム試験の結果から)」が紹介され、それらを中心に同氏が解説した。

マスコミ報道がスタチン服用中止率に影響/BMJ

 マスコミがスタチンのリスクとベネフィットについて広く報道し世間で激しい議論が繰り広げられた後、患者のスタチン服用中止率は一時的に上昇した。英国・London School of Hygiene and Tropical MedicineのAnthony Matthews氏らが、同国のプライマリケアのデータを用いて分割時系列分析を行い、報告した。著者は、「これは、一般のマスコミで広く扱われる健康に関する記事が、ヘルスケア関連行動に影響する可能性があることを強調している」と述べている。これまでにも、デンマーク、オーストラリア、トルコ、フランスの研究で、マスコミの否定的な報道がスタチンの中止率や処方率に影響を及ぼすことが示唆されている。英国では2013年10月、スタチンに関して物議を醸す論文2報が発表され、その後、スタチンのリスクとベネフィットについてマスコミで議論が繰り広げられていた。BMJ誌オンライン版2016年6月28日号掲載の報告。

日本人未成年者のぶどう膜炎の臨床的特徴

 若年者のぶどう膜炎の多くは、両眼性であり、全身性疾患との関連はないことが、東京の3次医療施設における調査で示された。杏林大学の慶野 博氏らが、杏林アイセンターを受診した20歳未満のぶどう膜炎若年患者の臨床的特徴、全身疾患との関連、治療および視力予後を分析したもの。眼炎症のコントロールに全身療法を要した患者は5分の1のみで、視力予後はほとんどの患者で良好であった。

急性呼吸不全のICU入院患者に早期リハビリは有効?/JAMA

 急性呼吸不全で人工呼吸器を要するICU入室患者に対し、早期からリハビリ療法を行っても、ICU通常治療を行った場合に比べ、入院期間の短縮にはつながらなかった。米国・ケンタッキー大学のPeter E. Morris氏らが、300例を対象に行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。JAMA誌2016年6月28日号掲載の報告。

CYP2C19遺伝子異型がクロピドグレルの併用効果に影響/JAMA

 軽度の脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)を呈した患者で、CYP2C19機能欠失型対立遺伝子キャリアの患者は、クロピドグレルとアスピリンを併用しても、脳卒中の発症リスクはアスピリンのみの投与と同等であることが示された。中国・首都医科大学のYilong Wang氏らが、同国の患者2,933例を対象に行った無作為化比較試験の結果、明らかにした。これまで、CYP2C19遺伝子異型と臨床的アウトカムについてのデータは限定的であった。JAMA誌オンライン版2016年6月23日号掲載の報告。

EMPA-REG OUTCOME試験のサブ解析:SGLT2阻害薬は糖尿病腎症の進展を抑制する(解説:吉岡 成人 氏)-561

SGLT2阻害薬であるエンパグリフロジンが、心血管イベントの既往がある2型糖尿病患者において心血管死、総死亡を抑止することを示したEMPA-REG OUTCOME試験のサブ解析が第76回米国糖尿病学会で発表され、その詳細がNew Engl J Med誌に掲載された(オンライン版2016年6月14日号)。

統合失調症のバイオマーカーとなりうる低メチル化率:愛媛大

 ドパミン仮説に従って、ドパミンD2受容体(DRD2)の遺伝子についていくつかの研究が行われている。しかし、利用できるDRD2のトライトバイオマーカーはない。愛媛大学の吉野 祐太氏らは、白血球におけるDRD2上流領域におけるメチル化率について、統合失調症患者と対照健常者で異なっているかを検討した。The world journal of biological psychiatry誌オンライン版2016年7月6日号の報告。

NPO法人「ヘルスケアリーダーシップ研究会」が2016年度メンバーを募集 【7月16日説明会のご案内】

 NPO法人「ヘルスケアリーダーシップ研究会(IHL)」は、医療・ヘルスケアの未来を変革しようとする志を持つ、医師・看護師、介護従事者、IT・製薬企業、官僚などを対象とした1年間のリーダーシップ醸成プログラムである。各界のヘルスケア分野に携わる人たちが、選りすぐりの著名講師や仲間たちとリーダーシップを磨く、学びと研鑽の場である同研究会では、このたび2016年度(第8期)の新規メンバーの募集に伴い、7月16日に説明会を開催する。

安全性情報(2016年7月5日改訂指示分)

2016年7月5日改訂指示分 【成分名】 ・ジクロフェナクナトリウム(経口剤、坐剤、注腸軟膏剤) ・オキシトシン ・過酸化ベンゾイル ・クリンダマイシンリン酸エステル水和物・過酸化ベンゾイル ・アピキサバン ・ニンテダニブエタンスルホン酸塩 ・カルムスチン ・オムビタスビル水和物・パリタプレビル水和物・リトナビル ・ソホスブビル ・リバビリン ・レジパスビル アセトン付加物・ソホスブビル ・フィンゴリモド塩酸塩

更年期症状の緩和に植物ベース療法は有用?/JAMA

 植物エストロゲン含有サプリメントの利用は、更年期におけるホットフラッシュや膣乾燥の頻度をわずかだが低下する効果がある一方、寝汗は低下しない。オランダ・エラスムス大学医療センターのOscar H. Franco氏らによる、システマティックレビューとメタ解析の結果で、JAMA誌2016年6月21日号で報告している。西欧諸国の女性のうち40~50%が、更年期症状を緩和するため補完療法を用いているといわれる。研究グループは、植物ベース療法と更年期症状の関連を明らかにするため本検討を行った。

認知症になりやすい人の職業は

 認知症や認知機能障害は、高齢者において有病率の高い疾患である。そのため、これらに関連する潜在的に修正可能なリスク因子を確認することが重要である。認知症のリスク因子として、生涯を通して従事した職業が関連している可能性がある。スペイン・サラゴサ大学のAna Cristina Gracia Rebled氏らは、高齢者における生涯従事した主な職業と認知症や認知機能障害との関連を分析した。Revista espanola de salud pública誌2016年6月21日号の報告。