日本語でわかる最新の海外医学論文|page:704

感染症疑いICU患者の院内死亡予測能に優れる指標とは/JAMA

 集中治療室(ICU)に入室した感染症が疑われる成人患者について、院内死亡やICU入室(LOS)が3日以上などのアウトカムの識別能は、連続(敗血症関連)臓器不全評価(SOFA)スコアの2点以上増加の指標が、全身性炎症反応症候群(SIRS)基準スコア2以上や迅速SOFA(qSOFA)2点以上の指標に比べて、予後の正確さが有意に高いことが明らかになった。オーストラリア・アルフレッド病院のEamon P Raith氏らが、感染症によるICU入室患者18万4,875例を対象とした後ろ向きコホート解析により明らかにし、JAMA誌2017年1月17日号で発表した。

各種抗精神病薬のEPS発現を副作用データベースから分析

 定型抗精神病薬は、錐体外路症状(EPS)などの有害事象が多く発現する。一方、非定型抗精神病薬による有害事象発生頻度は低い。そのため、統合失調症治療には非定型抗精神病薬が広く使用されている。しかし、定型、非定型抗精神病薬のEPS発現頻度には、差が認められないとの報告もある。日本大学の小瀬 英司氏らは、日本の医薬品副作用(JADER)データベースを用いて、定型、非定型抗精神病薬治療におけるEPS発現プロファイルの評価を行った。Yakugaku zasshi誌2017年号の報告。

ニボルマブ 標準治療不応の胃がんに良好な効果(ONO-4538-12 試験):ASCO-GI 2017

 小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ スクイブ社は2017年1月20日、標準治療が不応または不耐の切除不能な進行または再発胃がん患者を対象に実施したニボルマブ(商品名:オプジーボ)の無作為化二重盲検第III相臨床試験(ONO-4538-12試験)の結果が、2017 Gastrointestinal Cancer Symposium(ASCO-GI 2017)で発表されたことを明らかにした。

片頭痛患者は術後脳卒中リスクが高い/BMJ

 片頭痛歴のある患者は周術期虚血性脳卒中リスクと30日再入院率が高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院のFanny P Timm氏らによる検討の結果、明らかにされた。著者は、「片頭痛は、評価すべき周術期虚血性脳卒中のリスクと考えるべきだろう」とまとめている。先行研究で、片頭痛は虚血性脳卒中のリスク因子であることが、とくにそのリスクは、前兆を伴う片頭痛を有する患者で増大することが報告されていた。BMJ誌2017年1月10日号掲載の報告。

ペムブロリズマブ 肺がん1次治療の適応さらなる拡大へ:化学療法との併用で

 Merck & Co., Inc., Kenilworth, N.J., U.S.A. は2017年1月10日、FDA(米国食品医薬品局)がペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の生物学的製剤承認一部変更申請(sBLA)を受理したことを発表した。この申請は、同社の抗PD-1 抗体ペムブロリズマブと化学療法(ペメトレキセド+カルボプラチン)の併用を、PDーL1発現の有無にかかわらず(EGFRおよびALK変異のない)転移性・進行の非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療とするというもの。

スタチンが静脈血栓塞栓症を予防~メタ解析

 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症と肺塞栓症)に対するスタチンの予防効果が示唆されているが、明確なエビデンスはない。英国ブリストル大学のSetor K Kunutsor氏らは観察コホート研究と無作為化比較試験(RCT)の系統的レビューおよびメタ解析を行ったところ、静脈血栓塞栓症の1次予防にスタチンが有益であることが示唆された。また、スタチンによって効果に差があることも示された。Lancet Haematology誌オンライン版2017年1月12日号に掲載。

遠隔医療を活用した未熟児網膜症スクリーニング法4つを比較

 米国・ペンシルベニア大学のJaclyn Gurwin氏らは、急性期未熟児網膜症の遠隔評価法(e-ROP)研究における遠隔医療システムでの眼底所見分類と、フィラデルフィア小児病院未熟児網膜症(CHOP-ROP)出生後体重増加予測モデルを相乗的に使用し、重症ROP発症児を特定するROPスクリーニング段階的アプローチ法(TARP)について検討した。

減塩政策、世界中で高い費用対効果/BMJ

 政府が基準を設けて推奨する減塩加工食品生産と、国民への減塩喚起キャンペーンを組み合わせた自主的取り組みを促す減塩政策(soft regulation policy)は、世界中で高度な費用対効果をもたらしていることが示された。米国・スタンフォード大学のMichael Webb氏らが、183ヵ国の政策と費用対効果を定量化し明らかにした。BMJ誌2017年1月10日号掲載の報告。

ADHD治療薬は将来のうつ病発症に影響するか

 注意欠如・多動症(ADHD)は、うつ病を含む精神疾患を高率に合併するといわれている。しかし、ADHD治療薬がうつ病リスクの増減と関連するかは不明である。スウェーデン・カロリンスカ研究所のZheng Chang氏らは、ADHD治療薬の投与とうつ病との関連を検討した。Biological psychiatry誌2016年12月15日号の報告。

治療耐性転移性乳がんの遺伝子変異、原発腫瘍と異なる

 Dana-Faber Cancer Instituteの大規模腫瘍組織分析によれば、初発部位を超えて広がる薬剤耐性のER陽性乳がんでは、原発腫瘍と異なる遺伝子変異を有することが明らかになった。新たな薬剤標的の探索と、転移がんの治療を受ける患者に影響を与えるこの結果は、昨年(2016年)のサン・アントニオ乳がんシンポジウムで発表された。

ハイリスクな僧帽弁逆流症に対するTMVR―その有効性と安全性

 症候性の僧帽弁逆流症(MR)は罹患率および死亡率が高い。外科的な修復および弁置換術で改善が期待できるにもかかわらず、多くのMR患者は外科手術を受けていない。カテーテルを用いた僧帽弁置換術(Transcatheter mitral valve replacement:TMVR)は、重症のMR患者に対して選択肢となりうると考えられている。St.Vincent’s Hospital(シドニー、オーストラリア)のDavid W.M.Muller氏らによる本研究は、開心術がハイリスクと考えられる自己弁のMR患者に対して、TMVRが有効かつ安全であるかを評価する目的で行われた。Journal of the American College of Cardiology誌2016年12月号の掲載。

ストレスによる心血管疾患発症のメカニズムとは/Lancet

 扁桃体の活性化が心血管疾患の発症と関連し、活性化の増大は心血管疾患イベントの予測因子となる可能性があることが、米国・マサチューセッツ総合病院のAhmed Tawakol氏らの検討で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年1月11日号に掲載された。慢性的なストレスは心血管疾患の増加と関連し、その寄与リスクは他の主要な心血管リスク因子に匹敵するとされるが、ストレスが心血管イベントに転換するメカニズムはよくわかっていない。認知や情緒のような複雑な機能に関与する脳のネットワークが活性化すると、恐怖やストレスと典型的に関連するホルモン、自律神経系、行動の変容が引き起こされるが、扁桃体はこのネットワークの主要な構成要素と考えられている。

慢性C型肝炎に対するRG-101の忍容性と安全性/Lancet

 慢性C型肝炎に対するRG-101の第IB相二重盲検無作為化試験の結果が、オランダ・Academic Medical CenterのMeike H van der Ree氏らにより報告された。2mg/kgまたは4mg/kgの単回投与は、いずれも忍容性良好であり、投与を受けた全患者28例で4週間にわたってウイルス量の低下が認められ、3例については76週にわたるウイルス量低下の持続が認められた。RG-101は、C型肝炎ウイルス(HCV)複製の重要な宿主因子であるmiR-122を拮抗するN-アセチルガラクトサミン抱合オリゴヌクレオチドをターゲットとする。Lancet誌オンライン版2017年1月10日号掲載の報告。

統合失調症患者の再入院、ベンゾジアゼピンの影響を検証:東医大

 ベンゾジアゼピン(BZP)の高用量投与は、統合失調症患者の認知機能およびQOLに悪影響を及ぼすことが報告されている。しかし、統合失調症の臨床経過におけるBZPの効果は明らかになっていない。東京医科大学の瀧田 千歌氏らは、BZPと統合失調症患者の再入院との関連についてレトロスペクティブ研究を行った。Neuropsychiatric disease and treatment誌2016年12月15日号の報告。

インフルエンザとノロの流行は土壌放射線に関連?

 わが国での最近のインフルエンザとノロウイルス感染症の流行時における定点サーベイランスデータを用いた研究から、これら感染症の流行と土壌放射線が相関していることが報告された。本研究は岡山大学の井内田科子氏らによる探査的研究で、今回の結果から免疫力低下と土壌放射線による照射に潜在的な関連があることが示唆された。Epidemiology and infection誌オンライン版2017年1月16日号に掲載。

前糖尿病スクリーニング、HbA1c・空腹時血糖値は有効か/BMJ

 2型糖尿病に進行するリスクが高い前糖尿病状態のスクリーニングとして、HbA1cは感度も特異度もどちらも不十分であり、空腹時血糖値は特異度が高いものの感度が低いことが示された。英国・オックスフォード大学のEleanor Barry氏らが、前糖尿病状態のスクリーニングと介入に関するシステマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにした。前糖尿病患者を対象とした試験で、生活習慣病の評価やメトホルミンが2型糖尿病の発症を遅延または予防する可能性が示唆されていたが、前糖尿病状態をどう定義し検出するのが最も良いかについて統一した見解はこれまでなかった。著者は、「スクリーニングは不確かであり、不必要な予防的介入を受ける患者や、逆に必要であるにもかかわらず介入を受けていない患者が多くいるかもしれない」と指摘した上で、「早期発見・早期治療の方針は、糖尿病のハイリスク者すべてに有効というわけではなく、この方針だけでは2型糖尿病の世界的流行に実質的な影響はないだろう」とまとめている。BMJ誌2017年1月4日号掲載の報告。