新型コロナが流行しやすい気候条件とは? 最終更新:2020/06/24 医療一般 世界的な危機をもたらしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、気候変動や季節性と感染拡大との潜在的な関連を調査することは、予防・監視戦略に役立つ可能性がある。米国・メリーランド・スクール・オブ・メディスン大学のMohammad M Sajadi氏らは、特定の緯度、温度、湿度が観測された地域でのCOVID-19の集団発生分布は、季節性の呼吸器系ウイルスの挙動と一致していたことを明らかにした。研究者らは、気象モデリングを使用すれば、COVID-19の拡大リスクが高い地域の推定ができ、監視や封鎖のもと公衆衛生へ注力することが可能になるとしている。JAMA Network Open誌2020年6月11日号掲載の報告。
小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の成績(CASPIAN)/ASCO2020 最終更新:2020/06/24 医療一般 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis G. Paz-Ares氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療で免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体デュルバルマブ、抗CTLA-4抗体tremelimumabと化学療法の併用と、デュルバルマブ+化学療法、化学療法の3群を比較した第III相試験「CASPIAN」の結果を米国臨床腫瘍学会(ASCO2020)で報告した。同学会では、2つ目の実験群であるデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法群の初回解析では全生存期間(OS)の有意な改善は認められなかったが、デュルバルマブ+化学療法では、11ヵ月追加した中央値25.1ヵ月の追跡結果においても、有意なOSの延長を示した。
武漢に派遣の医療者、PPE適切使用で新型コロナ感染せず/BMJ 最終更新:2020/06/23 ジャーナル四天王 中国・中山大学附属第一病院のMin Liu氏らは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行期の武漢市の病院に、広州市の病院から派遣された医療従事者を対象に感染状況の調査を行った。その結果、派遣中にCOVID-19関連症状を発症した者はなく、広州市へ帰還後の検査でも全員が、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)陰性であった。これは、適切な個人用防護具(PPE)の使用によるものと考えられるという。研究の成果は、BMJ誌2020年6月10日号に掲載された。武漢市では、SARS-CoV-2感染爆発の早期には、医療従事者の感染頻度がきわめて高く、その主な原因は、不適切な個人用防護具の使用とされている。
転移のない去勢抵抗性前立腺がんに対するエンザルタミドの有効性(解説:宮嶋哲氏)-1247 最終更新:2020/06/23 CLEAR!ジャーナル四天王 経口アンドロゲン受容体阻害薬であるエンザルタミドの有効性に関する第III相PROSPER試験の最終報告である。非転移性去勢抵抗性前立腺がん患者(1,401例)を対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)とエンザルタミド併用群を、ADTとプラセボ併用群と比較検討している。主要評価項目である無転移生存期間(metastasis free survival:MFS)に関しては2018年にすでに報告されているが、ADT+エンザルタミド併用群でADT+プラセボ併用群と比較して有意に低い転移および死亡のリスクを示していた(HR:0.29、95%CI:0.24~0.35、p<0.001)。
日本における抗精神病薬の使用調査~JMDC Claimsデータベース 最終更新:2020/06/23 医療一般 日本における臨床ガイドラインとヘルスケアの実践とのギャップを明らかにするため、大阪医科大学附属病院のHata Takeo氏らは、抗精神病薬の使用状況について調査を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2020年5月13日号の報告。 2005~16年のJMDC Claimsデータベースよりデータを使用した。ATC分類でN05Aと分類された薬剤を抗精神病薬として定義した。抗精神病薬を処方された患者数に基づき、年間変化率を算出した。 主な結果は以下のとおり。
DAPA-HF試験の新データをADAで発表/アストラゼネカ 最終更新:2020/06/23 医療一般 アストラゼネカは、2020年6月12日から開催された第80回米国糖尿病学会オンライン学術集会において、主要第III相試験である“DAPA-HF試験”および“DECLARE-TIMI58試験”の新たなデータを発表した(本集会では4つの口頭発表を含む23の演題が採択された)。
オリゴ転移乳がんの生存延長に最善の治療を検討 最終更新:2020/06/23 医療一般 中国・Chinese Academy of Medical Sciences and Peking Union Medical College のBo Lan氏らの研究から、頭蓋外オリゴ転移乳がんの予後は比較的良好であり、転移病変の外科的切除が無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を大きく改善する可能性が示された。International Journal of Cancer誌オンライン版2020年6月14日号に掲載。 本研究では、頭蓋外オリゴ転移の臨床的特徴と予後因子および最善の治療方法を特定することを目的に、2009~14年、中国・National Cancer Centerで頭蓋外オリゴ転移乳がんと診断された術後入院患者50例を対象に調査した。オリゴ転移乳がんは、転移病変が3個以下で1つの臓器に限局している転移乳がんと定義し、de novo StageIVと局所再発は除外した。
ラコサミドに点滴静注100mgが登場/ユーシービージャパン 最終更新:2020/06/23 医療一般 ユーシービージャパン株式会社は、6月11日に抗てんかん剤ラコサミド(商品名:ビムパット点滴静注100mg)を新発売した。 てんかんは、全世界で約6,500万人、わが国には約100万人の患者数が推定され、毎年57,000人が新たにてんかんを発症している。患者の大部分が長期的な薬物療法を必要とするが、既存の抗てんかん薬を使用しても、30%を超える患者がてんかん発作を十分にコントロールできていないとの報告もあり、てんかん治療ではアンメット・ニーズが高い。
NSCLC1次治療、ニボルマブ・イピリムマブ併用の3年観察結果(Checkmate-227)/ASCO2020 最終更新:2020/06/23 医療一般 米国・エモリー大学のSuresh S. Ramalingam氏はNSCLCに対する一次治療としての抗PD-1抗体ニボルマブと抗CTLA-4抗体イピリムマブの併用療法と化学療法(プラチナダブレット)との比較第III相試験・Checkmate-227 Part1の3年観察結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。ニボルマブ・イピリムマブ併用療法は化学療法と比較してPD-L1の発現有無にかかわらず長期の効果を示すと報告した。
COVID-19流行期の小児炎症性多臓器症候群、その臨床的特徴は?/JAMA 最終更新:2020/06/22 ジャーナル四天王 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生率が高い地域では、通常とは異なる発熱や炎症の症候群を呈する子供の症例が報告されている。そこで、英国・Imperial College Healthcare NHS TrustのElizabeth Whittaker氏らは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)による感染症流行期の小児炎症性多臓器症候群(PIMS-TS)の判定基準を満たした入院患児の調査を行い、発熱や炎症から心筋障害、ショック、冠動脈瘤の発現まで、さまざまな徴候や症状とともに、重症度にも違いがみられることを明らかにした。JAMA誌オンライン版2020年6月8日号掲載の報告。
急性間欠性ポルフィリン症、RNAi薬givosiranが有効/NEJM 最終更新:2020/06/22 ジャーナル四天王 急性間欠性ポルフィリン症患者の治療において、RNAi(RNA interference:RNA干渉)治療薬givosiranはプラセボに比べ、ポルフィリン症発作をはじめとする諸症状の抑制に高い効果を発揮する一方で、肝臓や腎臓の有害事象の頻度が高いことが、米国・マウントサイナイ・アイカーン医科大学のManisha Balwani氏らが実施した「ENVISION試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年6月11日号に掲載された。急性肝性ポルフィリン症の急性発作と慢性症状の病因の中心となるのは、δ-アミノレブリン酸(ALA)とポルフォビリノーゲン(PBG)の蓄積をもたらす肝臓のδ-アミノレブリン酸合成酵素1(ALAS1)のアップレギュレーションと考えられている。givosiranは、ALAS1のmRNAを標的とするRNAi治療薬であり、ALAとPBGの蓄積を防止するという。
ダイエット目的の不適切な糖尿病薬使用は「医の倫理に反する」/日本医師会 最終更新:2020/06/22 医療一般 6月17日、日本医師会の記者会見で、今村 聡副会長は自由診療における糖尿病治療薬の不適切使用について言及した。 近年、糖尿病治療薬の一部が、個人輸入や美容クリニックにおいて、“痩せ薬”として不適切使用されている実態がある。今村氏は、具体的な事例として、近年承認されたGLP-1受容体作動薬を用いた自由診療が、「GLP-1ダイエット」などと称されている例を挙げた。これに対し、「健康な方が医薬品を使用することのリスクおよび医薬品適正使用の観点からも、このような行為を禁止すべきである」と強い懸念を示した。 同薬には重大な副作用リスクや禁忌があることについても説明し、医薬品を投与する前提として、「リスクがあるとしてもなお、治療が必要で効果が期待される方に対して投与されるべきであり、国民の健康を守るべき医師が、治療の目的を外れた使い方をすることは“医の倫理”にも反する」と厳しく指摘した。
リスペリドンからルラシドンへの切り替え~6ヵ月間のオープンラベル試験 最終更新:2020/06/22 医療一般 統合失調症患者は、メタボリックシンドローム(MetS)発症リスクが高い。このことは、心血管疾患の有病率や死亡率の増加と関連している。統合失調症治療に一般的に使用される抗精神病薬は、MetS発症リスクを増加させる可能性が示唆されている。米国・ワシントン大学のGreg W. Mattingly氏らは、抗精神病薬ルラシドン(商品名:ラツーダ)の継続使用またはリスペリドン(商品名:リスパダールほか)からの切り替え使用におけるルラシドンの安全性について評価を行った。また、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)に基づいたルラシドンの長期的な効果についても評価を行った。BMC Psychiatry誌2020年5月5日号の報告。
ダイヤモンド・プリンセス104例からの知見(自衛隊中央病院)/Lancet Infect Dis 最終更新:2020/06/22 医療一般 クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」から搬送された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された104例について臨床的特徴を分析した単一施設・後ろ向き研究の結果が発表された。自衛隊中央病院のチームによるもので、これまで同病院のサイトで公開されたまとめを論文化したものが、2020年6月12日にLancet Infectious Diseases誌オンライン版に掲載された。 2020年2月11~25日まで自衛隊中央病院に入院したCOVID-19感染者を対象とし、臨床記録、検査データ、放射線検査の所見を分析した。追跡期間は、退院もしくは2月26日のどちらか早い日まで。期間中にダイヤモンド・プリンセス号の乗客・乗員3,711人が船内の検疫における咽頭スワブのPCR検査を受け、SARS-CoV-2陽性となった患者のうち、合意のとれた104例が対象となった
早期乳がんのサブタイプ別生存期間、長期追跡結果 最終更新:2020/06/22 医療一般 早期乳がんの免疫組織化学(IHC)に基づくサブタイプ別の生存期間について、イタリア・IRCCS-Ospedale Policlinico San Martino/ジェノバ大学のElisa Zanardi氏らが長期にフォローアップした。その結果、このサブタイプの定義が長期予後の層別化に妥当であることが示された。Oncology Research and Treatment誌オンライン版2020年6月8日号に掲載。 本研究は、1985~90年にStage I~IIIの乳がんと診断された女性200例のコホートで検討した。サブタイプと全生存期間(OS)および乳がん関連生存期間の関連を、多変量モデルを用いて評価した。
PD-L1陽性肺がん1次治療、抗TIGIT抗体tiragolumabとアテゾリズマブの併用(CITYSCAPE)/ASCO2020 最終更新:2020/06/22 医療一般 スペイン・Hospital Universitario Insular de Gran CanariaのDelvys Rodriguez-Abreu氏は、PD-L1陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に対する抗TIGIT抗体tiragolumabとアテゾリズマブ併用とアテゾリズマブ単剤を比較する無作為化二重盲検第II相試験CITYSCAPEの結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。tiragolumabとアテゾリズマブの併用はアテゾリズマブ単独と比較してITT集団での奏効率(ORR)の向上と無増悪生存期間(PFS)の延長が認められたと報告した。 TIGITは細胞傷害性T細胞やナチュラル・キラー細胞上に存在する免疫チェックポイント受容体。がん細胞はTIGITと結合することで免疫の攻撃を回避していることがわかっている。TIGITの発現はPD-L1の発現に関連しているとされ、とくに肺の腫瘍浸潤T細胞で多く発現することがわかっている。
FDA、腫瘍遺伝子変異量高値(TMB-H)固形がんにペムブロリズマブを承認 最終更新:2020/06/20 医療一般 米国食品医薬品局(FDA)は、2020年6月16日、切除不能または転移性腫瘍変異高(TMB-H)の成人および小児患者の治療(≧10mut/Mb)について、ペンブロリズマブを迅速承認。また、Foundation One CDxアッセイもペムブロリズマブの診断薬として承認した。 ペムブロリズマブの有効性は、多施設非無作為化オープンラベル試験KEYNOTE-158に登録された、さまざまな既治療の切除不能または転移性TMB-H固形がん患者でが調査された。主要有効性評価項目は、RECIST v1.1に従って盲検独立中央評価委員会で評価された全奏効率(ORR)と奏効期間(DoR)であった。
アテゾリズマブ、早期TN乳がんの術前化学療法で主要評価項目を達成/中外 最終更新:2020/06/20 医療一般 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長 CEO:小坂 達朗)は6月18日、早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブに関する第III相IMpassion031試験において、主要評価項目を達成したことを発表。早期 TNBCにおけるアテゾリズマブの有用性を示したのは初となる。 IMpassion031試験は、早期TNBCの術前薬物療法において、アテゾリズマブと化学療法(パクリタキセル[アルブミン懸濁型]、ドキソルビシン、シクロホスファミド)の併用と化学療法単独とを比較する多施設共同二重盲検無作為化試験。333例が1:1の割合で無作為に各群に割り付けられ、主要評価項目は、ITT解析集団およびPD-L1の発現が認められる症例における病理学的完全奏効(pCR)である。
新型コロナ、国内初のワクチン治験開始へ―阪大など 最終更新:2020/06/20 医療一般 待ち望まれる国産の新型コロナワクチン実現に王手か―。大阪府は6月17日の記者会見で、大阪大学などと共に産官学連携で開発に取り組んできた、新型コロナウイルスの予防ワクチンの治験を6月30日に開始することを明らかにした。新型コロナウイルスを巡っては、世界規模で予防ワクチンの開発が進行中であり、1日も早い実現が待たれる状況だが、ヒトへの投与が実施されるのは国内初となるという。会見で吉村 洋文知事は、「新型コロナ対策に治療薬とワクチンが非常に重要で、その第1歩を大阪で踏み出す。国産ワクチンによって、日本のコロナとの戦いを反転攻勢させていきたい」と語り、期待感を示した。
高齢者へのアスピリンにうつ病予防効果なし 最終更新:2020/06/20 医療一般 うつ病は炎症の増加に関連しており、とくに高齢者においてはうつ発症前に炎症が生じる可能性がある。いくつかの前臨床データはアスピリンの潜在的な抗うつ効果を示唆しており、アスピリン治療を受けた人はうつ病の発生率が低いことを示唆する限定的な観察データもある。オーストラリア・The Institute for Mental and Physical Health and Clinical TranslationのMichael Berk氏らによる、低用量アスピリン(100mg)が健康な高齢者のうつ病リスクを低下させるかを見た研究の結果によると、リスク低下の効果は見られなかったという。JAMA Psychiatry誌オンライン版2020年6月3日号掲載の報告。