日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1144

PCI後のスタチン投与は、糖尿病例で、高い心血管イベント抑制率を示す

冠動脈インターベンション(PCI)後のスタチン投与が、心血管イベントの発症に与える影響を、糖尿病例と非糖尿病例のそれぞれに対し検討した試験の結果が、日本循環器学会総会・学術集会のLate Breakingにおいて発表された。発表者は、小島淳氏(熊本大学循環器病態学)。

治療選択肢で異なるQOLが治療転帰の満足度に影響:前立腺癌

前立腺癌患者の初回治療の転帰に対する満足度は、治療後の健康関連QOLの変化にかかっており、患者だけでなく配偶者やパートナーの治療転帰への満足度にも影響することを、アメリカ・ボストンにあるベス・イスラエル・ディーコネス医療センターの Martin G. Sanda氏らがNEJM誌2008年3月20日号に報告した。

輸血赤血球が「古い」と心臓手術後の合併症・死亡率は有意に増大する

保存赤血球は時間とともに構造および機能が変化する。クリーブランド・クリニック(アメリカ)心臓麻酔部門のColleen Gorman Koch氏らは、心臓手術時に輸血された保存赤血球が古い(2週間超)と、術後の深刻な合併症および死亡率を増大させるとの仮説を立て検証を行った。NEJM誌2008年3月20日号より。

深部静脈血栓症発症に関与するSNPを同定

 深部静脈血栓症(DVT)の遺伝的素因を突き止めようと、ライデン大学医療センター(オランダ)臨床疫学部門Irene D. Bezemer氏らは、DVTと関連する一塩基多型(SNP)の同定を試みた。SNPは、DNAの4種類の塩基の並び方が人により部分的に異なっているもので、遺伝子の個人差を示すものとして疾病発症との関わり等の研究に応用されている。JAMA誌2008年3月19日号にて掲載。  Bezemer氏らはSNP同定のため3つの患者対照試験、すなわちLETS(1988~1992年:Leiden Thrombophilia Study)とMEGA-1、MEGA-2(MEGAスタディを分割:1999~2004年:Multiple Environmental and Genetic Assessment of Risk Factors for Venous Thrombosis)を用いた。

遺伝子LRP5異型が骨密度減少と骨折リスク増大に関連

 低密度リポ蛋白質受容体である遺伝子LRP5の突然変異は、骨密度(BMD)の変化に基づく希有な症候群を引き起こすことが知られている。オランダ・エラスムス大学医療センターのJoyce B. J. van Meurs氏らGENOMOS Studyグループは大規模な研究を行い、LRP5異型が骨密度減少と骨折リスク増大に関わることで、骨粗鬆症に関与していることを見いだしたと報告。JAMA誌 2008年3月19日号より。

アトルバスタチンとピタバスタチンに、日本人のACS例におけるプラーク退縮作用が確認される(日本循環器学会)

3月28日、注目を集めていたJAPAN-ACSの結果が、木村剛氏(京都大学循環器内科学)により日本循環器学会総会・学術集会Late Breakingにおいて、発表された。JAPAN-ACSは、急性冠症候群(ACS)307例を対象にアトルバスタチン20mg(154例)、または、ピタバスタチン4mg群(153例)に無作為割付し、8~12ヵ月間の投与後、プラーク容積の変化を比較検討した試験である。

無作為割り付け、二重盲検化いずれかを欠く試験では「客観的」評価項目が肝要

無作為割り付けが適切になされていない、あるいは二重盲検ではない介入試験では、主観的評価項目に対する介入の効果が強調されていることが明らかになった。University of Bristol(英国)のLesley Wood氏らによる報告がBMJ誌HPで早期公開(2008年3月3日付、本誌3月15日号に収載)された。

禁煙成功率が2倍以上に、喫煙者に対する「肺年齢」の告知

喫煙者にスパイロメトリー検査に基づく「肺年齢」を伝えると、禁煙率が有意に改善されることが、英国Limes Surgery(ハートフォードシャー州ホデスドン)の一般医(GP)Gary Parkes氏らが実施した無作為化試験で明らかとなった。喫煙者の1/4が罹患するとされる慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的な死因の第4位を占める。英国には150万人のCOPD患者がいると推計されるが、その半数は診断されておらず、発症から診断までの期間は平均20年に及ぶという。BMJ誌2008年3月15日号(オンライン版2008年3月6日号)掲載の報告。

「BMI」だけで心血管系リスクの予測は可能:NHEFS

心血管系リスクの評価にあたり「肥満」を評価項目にすれば、必ずしも「コレステロール値」を測定しなくとも心血管系リスクの予測ができる可能性が出てきた。採血のためだけに医療機関を訪れる必要が減るのであれば、患者サイドにとっては朗報だろう。Lancet誌2008年3月15日号でBrigham & Women’s Hospital(米国)のThomas A Gaziano氏らが報告した。

副鼻腔炎に抗生物質の使用を正当化する臨床徴候、症状はない

副鼻腔炎はウイルス感染と細菌感染の鑑別が困難なため、プライマリ・ケア医は急性副鼻腔炎に対し抗生物質を過剰に処方しがちだという。スイスBasel大学病院臨床疫学研究所のJim Young氏らは、副鼻腔炎には、抗生物質が有効な症例を同定しうる一般的な徴候や症状はないことを確認、Lancet誌2008年3月15日号で報告した。米国では、受診理由の第3位が上部気道感染症で、その約1/3を急性副鼻腔炎が占め、さらにその80%が抗生物質を処方されている。ヨーロッパでもプライマリ・ケアにおける抗生物質処方の72~92%が急性副鼻腔炎とされる。

I期肺癌の早期再発はDNAメチル化が関与

非小細胞肺癌(NSCLC)は、最適で早期の外科的治療にもかかわらず、多くの患者が再発性のNSCLCで死亡している。ジョンズ・ホプキンス病院(米国メリーランド州ボルティモア)のMalcolm V. Brock氏らは、遺伝子のメチル化が腫瘍再発に関与しているのではないかと調査し、遺伝子のプロモーター領域のメチル化が関与していることを突き止めた。NEJM誌2008年3月13日号より。

術中麻酔覚醒の防止と麻酔使用量抑制にBISが優位とは限らない

術中覚醒は、患者に長期的・潜在的・心理的影響を与えかねない重篤な合併症である。これを防ぐために、患者の脳波を処理して得られるバイスペクトラル・インデックス(BIS)が開発され、BIS値を60以下に維持すると術中覚醒の発生率が低下することが報告された。ワシントン医科大学麻酔科のMichael S. Avidan氏らは、このBISに基づくプロトコルと、呼気終末麻酔ガス(ETAG)の濃度測定に基づくプロトコルのどちらが優位かを確認する臨床試験を実施。結果がNEJM誌2008年3月13日号にて掲載されている。

院外心停止、新しい心肺蘇生法で生存退院率3倍に

公衆衛生上の重大な問題となっている院外心停止について、救命率を高めるには脳・冠血流量の確保を最優先すべきとの知見が普及しつつある。米国アリゾナ州スコッツデールにあるメイヨー・クリニック救急医療部門のBentley J. Bobrow氏らは、院外心停止患者の生存率が、従来の救急医療(EMS)プロトコルに代わる中断最小化心肺蘇生法(MICR)を用いることで改善するかどうかについて、前向き研究を行った。JAMA誌2008年3月12日号より。

MRSA院内感染率は全入院患者のスクリーニングでも低下しない

メチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)による院内感染を減らすため、医療政策担当者らが、入院する患者全員にユニバーサル・スクリーニング実施を要求していることに対して、スイスのジュネーブ病院・医科大学のStephan Harbarth氏らが、外科患者のMRSA院内感染初期の検出戦略効果を評価する大規模な研究を行い、「ユニバーサル・スクリーニングを行ってもMRSA手術部位感染率やMRSA院内獲得率は有意に変化しない」とスクリーニングに疑問を提示している。JAMA誌2008年3月12日号より。

32歳が「体の曲がり角」!太りやすく、痩せにくくなる?

30代・40代のビジネスパーソン1,268名を対象に行った生活習慣に関するインターネット調査によると、太りやすくなった、痩せにくくなったという「体の曲がり角」を感じた平均年齢は32.4歳だった。しかし、実際に「体の曲がり角」を感じても、4割が食事の量を減らす、又は活動量を増やすことをせず、生活習慣を変えなかったと回答していたという。