日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1114

非専門家による母親への直接介入で、子どもの発達が改善

社会経済的に劣悪な状態にある母子に対して、訓練を受けた非専門的な一般人が家庭において介入することで、母親としての対応や子どもの情緒的発達にベネフィットがもたらされることが、イギリスReading大学心理学科のPeter J Cooper氏らが南アフリカで実施した無作為化試験で明らかとなった。母-幼児関係は、社会経済的条件の悪化や母親のうつ病によって有害な影響を受け、その結果として子どもの発育に心理的、社会的、身体的な悪影響を及ぼす。欧米では、母子関係への直接的な介入によって関係そのものばかりでなく子どもの成長が改善されるとのエビデンスが示されているという。BMJ誌2009年4月25日号(オンライン版2009年4月14日号)掲載の報告。

全身CTによる早期診断が、多発性外傷患者の生存を改善

外傷の初期治療への全身CTの導入によって、多発性外傷患者の生存の可能性が増大することが、Ludwig-Maximilians大学のStefan Huber-Wagner氏らドイツ外傷学会の多発性外傷ワーキンググループが実施したレトロスペクティブな解析で明らかとなった。外傷の初期診療に全身CTを導入する施設が増えているが、重傷例の予後に及ぼす効果を示唆するエビデンスはないという。Lancet誌2009年4月25日号(オンライン版2009年3月24日号)掲載の報告。

貧困層を対象としたメキシコの国民皆保険制度の初期評価

メキシコで貧困層を対象に進められている国民皆保険制度「Seguro Popular」の初期評価において、本プログラムは開始当初は成功したとみなし得ることがわかった。医療システムを再編しても、貧困層には質の高い医療を提供できないことが多いという。メキシコでは、この欠点を回避すべく、巨額な医療費の低減を主目的とする再編計画として、2003年にSeguro Popularが導入された。アメリカHarvard 大学定量的社会科学研究所(IQSS)のGary King氏が、Lancet誌2009年4月25日号(オンライン版2009年4月8日号)で報告した。

【医師限定記事】多くの医師が厳しい状況でも医師になったことを後悔していない

医療崩壊が叫ばれ、勤務医の厳しい労働環境がクローズアップされるなど医師は厳しい状況にあると思われるが、医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」で行ったアンケート「医療・福祉系は半数が辞めたいと思っている!医師になったことを後悔していますか?」の結果によると、多数の医師が後悔してないと回答した。

【医師限定記事】行政による院内マナー順守の取り組みを高く評価

 香川県が行った院内マナーの順守を呼びかける「地域医療を守るための宣言」に関して、医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」で行ったアンケート「行政による院内マナーの呼びかけ!迷惑行為には診療拒否も許可!?」の結果によると、9割の医師が活動を評価すると回答した。

【医師限定記事】医師配置コントロールのための第三者機関には6割以上が反対

医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」にて行ったアンケート「第三者機関による医師配置のコントロールは是か非か?」の結果によると、厚生労働省「医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医のあり方に関する研究班」がまとめた骨子において記載された「医師を適正配置するための第三者機関創設」に対して6割以上の医師が反対と回答した。

特殊な遺伝性脳血管障害CARASILはHTRA1遺伝子の変異と関連 

皮質下梗塞と白質脳症を伴う脳常染色体劣性動脈症(CARASIL)は、特殊な遺伝性脳血管障害で、成人期初期での発症、非高血圧性の脳小血管動脈症、禿髪症、変形性脊髄症を特徴とする。その原因遺伝子および発症メカニズムについて、新潟大学脳研究所神経内科准教授の小野寺理氏を中心とする研究グループは、HTRA1遺伝子変異との関連が確認されたこと、CARASIL患者に、同遺伝子変異による情報伝達抑制機能を持つTGF-β1の発現亢進を確認したことを発表した。本論執筆筆頭は同科の原賢寿氏。NEJM誌2009年4月23日号掲載より。

CABGに外科的心室再建を併用しても大きな改善は見られない

外科的心室再建は、冠動脈疾患に起因する心不全患者の左室容積を減らすことを目的に開発された特異的な手技である。この手技を、冠動脈バイパス移植術(CABG)と併せて行った場合に期待されていた死亡率や入院率の低下に関して、「CABG単独時と比較して大きな改善は見られなかった」ことが報告された。心不全および冠動脈疾患患者に対する外科的治療の意義を見定めることを目的としたSurgical Treatment for Ischemic Heart Failure(STICH)試験の結果で、NEJM誌2009年4月23日号(オンライン版2009年3月29日号)で掲載されている。これまで、小規模の症例対照試験では改善効果の可能性が示唆され議論の的となっていた。

母親の身長が高いほど、生まれる子どもの死亡率が低下

 母親の身長が高いほうが、生まれてくる子どもの死亡率は下がる傾向があるようだ。子どもが標準体重未満になるリスク、また発育不全、るいそう、貧血のそれぞれの発生リスクもまた、母親の身長が高いほど低下するという。これは米国Harvard大学のS. V. Subramanian氏らが、インドの5万人超の子どもについて行った調査で明らかにしたもので、JAMA誌2009年4月22/29日号で発表した。

米国高齢者の外来から入院への継続的ケア、過去10年で状況は悪化

米国で、高齢入院患者に対する、外来時からの継続的ケアの状況を調べたところ、過去10年間で悪化していることがわかった。入院前1年間に外来で診察をした医師が、入院時にも診察をしていた割合は、1996年の約5割から、2006年には約4割に減少していた。これは、米国Texas大学のGulshan Sharma氏らが明らかにしたもので、JAMA誌2009年4月22/29日号に発表した。

ICUでの投薬ミスは日常的に起きている、報告・チェック体制がミスを防ぐ最大の武器

非経口の投薬ミスは、ICUでは日常的に起きており、深刻な医療安全の問題であることが、ESICM(European Society of Intensive Care Medicine)の質改善研究グループによって行われた、27ヵ国113施設のICUを対象とした多国籍前向き研究の結果、明らかになった。BMJ誌2009年4月18日号(オンライン版2009年3月12日号)掲載より。

50歳を過ぎて禁煙できない人は、せめて休みの日に運動を

中高年で禁煙ができない人も、休みの日に少しでも体を動かせば、禁煙したのと同じくらい長生き効果があることが、スウェーデン中部の都市ウプサラ県での住民コホート追跡調査から報告された。ウプサラ大学(スウェーデン)整形外科/研究センターのLiisa Byberg氏らが、1970~1973年の間に満50歳だった同県男性2,205人を35年にわたり追跡調査した結果で、2009年4月18日号(オンライン版2009年3月5日号)で掲載された。

米国CDC暫定ガイダンス、豚インフルエンザで妊婦の治療・予防にも抗ウイルス薬を推奨

米疾病対策センター(CDC)は米東部時間28日午後1時45分、豚由来インフルエンザウイルスの妊婦に対する治療や感染予防に関する暫定ガイダンスを発表、妊婦であっても抗インフルエンザ薬による治療、予防を推奨している。 注:ガイダンスは暫定的なものであり、今後、データの蓄積により変更もありえる ●Interim Guidance—Pregnant Women and Swine Influenza: Considerations for Clinicianshttp://www.cdc.gov/swineflu/clinician_pregnant.htm

米国CDC暫定ガイダンス、豚インフルエンザで1歳未満にもオセルタミビルを推奨

米疾病対策センター(CDC)は米東部時間28日午後7時、豚由来インフルエンザウイルス感染の確定例や疑い例の小児を診る米国の臨床医に向けて暫定ガイダンスを発表、1歳以上の幼児の豚由来インフルエンザの治療と予防にオセルタミビルとザナミビルの投与を推奨している。 注:ガイダンスは暫定的なものであり、今後、データの蓄積により変更もありえる ●Interim Guidance for Clinicians on the Prevention and Treatment of Swine-Origin Influenza Virus Infection in Young Childrenhttp://www.cdc.gov/swineflu/childrentreatment.htm

ドベシル酸カルシウムに、糖尿病による黄斑浮腫の抑制効果はない:CALDIRET試験

ドベシル酸カルシウムは、糖尿病患者において臨床的に有意な黄斑浮腫(clinically significant macular oedema; CSME)の発症リスクを低減させないことが、ドイツLudwig-Maximilians大学眼科のChristos Haritoglou氏らが実施した多施設共同試験(CALDIRET試験)で明らかとなった。糖尿病性網膜症は労働年齢人口の最も重要な失明原因であり、レーザー治療などの有効な治療法があるにもかかわらず1型糖尿病患者の約90%が網膜症や黄斑浮腫で失明している。静脈治療薬であるドベシル酸カルシウムは慢性静脈不全や痔核などの血管疾患に有効で、現在60ヵ国以上で処方されているという。Lancet誌2009年4月18日号掲載の報告。