日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1061

変形性腰椎症を伴う慢性腰痛へのグルコサミン投与、痛みの日常生活への影響を改善せず

変形性腰椎症を伴う慢性腰痛に対しグルコサミンを6ヵ月投与したが、日常生活の痛みの改善に効果は認められなかったことが、ノルウェーのオスロ大学病院のPhilip Wilkens氏らが行った、無作為化プラセボ対照二重盲検試験で明らかにされた。グルコサミンを服用する腰痛患者は少なくないが、変形性腰椎症を伴う慢性腰痛に対する効果についての研究は、これまでほとんど行われていなかった。JAMA誌2010年7月7日号掲載より。

メタボや動脈硬化などの病態解明へ期待 生体内脂質を自動同定するソフトウェア「Lipid Search」販売開始

東京大学大学院医学系研究科田口研究室と三井情報株式会社は14日、共同で大量の質量分析データから生体内脂質分子を一括し自動同定する脂質同定ツール「Lipid Search」の開発に成功したことを発表した。このツールはMKIよりパッケージソフト「Lipid Search」として、脂質解析の研究へ取り組む製薬メーカーや食品メーカー向けに同日より販売を開始した。

シード・プランニング、「2010年版 製薬企業の生産体制とアウトソーシングの動向調査」を発刊

株式会社シード・プランニングは14日、主要製薬企業各社の生産体制、アウトソーシングの状況等、最近3年間の変化をまとめた「2010年版 製薬企業の生産体制とアウトソーシングの動向調査」を発刊したことを発表した。今回のレポートは2008年版(2008年2月25日刊)の改訂版として出され、掲載企業数は40社から50社に増え、各社の生産体制、アウトソーシング状況等、最近3年間の変化がまとめられている。

妊娠中の携帯電話基地局からの電磁波曝露、0~4歳小児がんとの関連は認められず

小児早期のがん発病と、母親が妊娠中に携帯電話基地局からの高周波電磁波に曝露されていたこととは関連が認められないことが報告された。イギリスのロンドン大学公衆衛生校のPaul Elliott氏らが行ったケースコントロール試験の結果によるもので、BMJ誌2010年7月1日号(オンライン版2010年6月22日号)に掲載された。

制酸薬服用は術後肺炎リスクを増大しない

術後高齢患者への制酸薬服用と肺炎リスク増大には、関連が認められないことが報告された。カナダ・トロント大学のDonald A Redelmeier氏らが行った住民ベースの後ろ向きコホート解析による。BMJ誌2010年7月1日号(オンライン版2010年6月21日号)に掲載された。これまでICU患者を対象とした二つの大規模試験で、制酸薬服用患者の肺炎発症率は2~3倍増大すると報告される一方、市中肺炎発症に関する調査では相反する結果が得られていた。制酸薬は世界中で最もポピュラーに処方されており、また処方なしで買い求められることもあり、刊行されているガイドラインでは、リスクについての大規模な調査が必要であると提言していた。

【お知らせ】脳腫瘍啓発セミナー「もっと知りたい脳腫瘍のこと」 参加者募集

 NPO法人キャンサーネットジャパンは、7月25日(日)「もっと知りたい脳腫瘍のこと」と題し脳腫瘍啓発セミナーを開催する。脳腫瘍全般の解説、最新の治療方法、予後や闘病生活などについて、脳腫瘍治療の拠点病院の医師らを中心に、治療の現状と進歩について正しい知識と情報を提供する。医療者の参加も募集中とのこと。

HIV患者の併用抗レトロウイルス治療を看護師に任せてよいか?

併用抗レトロウイルス療法(ART)を受けているHIV患者の管理を、訓練を受けた看護師が行っても、医師よる治療と同等の効果が得られることが、南アフリカWitwatersrand大学のIan Sanne氏らが行った無作為化試験(CIPRA-SA試験)で示された。併用ARTはAIDS関連疾患や関連死を著明に低減することが示されている。先進国では、耐性検査を含む頻回の検査のサポートのもとで、専門医があらゆる薬剤を駆使してHIV治療を行っている。しかし、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国など医療資源が乏しい環境において併用ARTの使用を拡大するには、医師から他のケア提供者へ職務を移行する必要があるという。Lancet誌2010年7月3日号(オンライン版6月16日号)掲載の報告。

トラネキサム酸が、出血性外傷患者の死亡リスクを低減:2万例の無作為化試験

出血性外傷患者に対して、トラネキサム酸(商品名:トランサミンなど)短期治療を早期に開始すると、安全性を保持しつつ死亡リスクが有意に改善されることが、イギリスLondon School of Hygiene & Tropical MedicineのHaleema Shakur氏らが実施した「CRASH-2試験」(http://www.crash2.lshtm.ac.uk/)の結果から明らかとなった。外傷による院内死亡の約3分の1は出血が原因であり、多臓器不全による死亡にも出血が関与している。トラネキサム酸は、待機的手術を施行された患者の出血を低減させる可能性が示唆されているという。Lancet誌2010年7月3日号(オンライン版2010年6月15日号)掲載の報告。

中咽頭がん患者の死亡リスク、HPV腫瘍陽性群は陰性群より58%低い

ヒトパピローマウイルス(HPV)腫瘍陽性は、中咽頭がん患者生存の強い独立した予後因子であることが明らかにされた。HPVに起因する中咽頭扁平上皮がんの生存率は良好だが、HPV腫瘍が有意な独立予後因子であるかどうかはわかっていなかった。テキサス大学M.D.アンダーソンがんセンターのK. Kian Ang氏らが、ステージIII、IVの中咽頭がん患者を対象にHPV腫瘍と生存率との関連を後ろ向きに分析した結果による。NEJM誌2010年7月1日号(オンライン版2010年6月7日号)掲載より。

頸動脈狭窄に対する内膜切除 vs. ステント留置、4年転帰有意差認められず:CREST試験

頸動脈アテローム硬化症は、虚血性脳卒中の重大原因である。治療は頸動脈ステント術と頸動脈内膜切除術の二つがあるが、症候性患者を対象とした、両手技を比較するこれまでの無作為化試験の結果は、相反し議論が続いている。米国メイヨークリニックのThomas G. Brott氏らは、症候性あるいは無症候性の頭蓋外頸動脈狭窄患者を対象に、両手技を比較検討する試験「CREST」を行った。脳卒中・心筋梗塞・死亡の複合をエンドポイントとした結果、両群で有意差は認められなかったという。NEJM誌2010年7月1日号(オンライン版2010年5月26日号)掲載より。

術後合併症予防キャンペーンSCIP順守の効果は?

術後合併症の予防を目的として、米国の主な医療機関が参加・展開するキャンペーン「Surgical Care Improvement Project」(SCIP)で定められた予防措置を守ることで、術後合併症リスクは15%減らせることが明らかにされた。ただし順守と術後合併症予防に有意な関連は認められなかったとも報告している。米国オハイオ州のケース・ウエスタン・リザーブ大学のJonah J. Stulberg氏らが、40万人超の患者について調べ、明らかにしたもので、JAMA誌2010年6月23/30日号で発表した。

ピオグリタゾン対rosiglitazoneのイベントリスク:米国FDA報告

2型糖尿病治療薬のrosiglitazone(国内未承認)は、ピオグリタゾン(商品名:アクトス)他米国内で販売されているチアゾリジン系薬に比べ、脳卒中リスクを1.27倍、心不全リスクを1.25倍に増加するなど、心血管疾患イベントリスクを増大することが報告された。米国食品医薬品局(FDA)のDavid J. Graham氏らが、約23万人のチアゾリジン系薬の服用者を追跡して明らかにしたもので、JAMA誌オンライン版2010年6月28日号で発表された。

歯磨きしないと心血管疾患になる?

劣悪な口腔衛生状態は心血管疾患のリスクを増大させ、軽度炎症のマーカーとも関連することが、イギリスUniversity College London疫学・公衆衛生学科のCesar de Oliveira氏らによるScottish Health Surveyの結果から明らかとなった。過去20年以上にわたり歯科疾患と心血管疾患の関連に対する関心が高まっている。炎症は動脈硬化の病因として重要であり、軽度炎症のマーカーが、高い心血管疾患リスクと関連することが示されており、口腔衛生が劣悪な状態は慢性的な炎症状態である歯周病を起こしやすいという。BMJ誌2010年6月26日号(オンライン版2010年5月27日号)掲載の報告。

電子化された診療記録の共有化のベネフィットとは?

イギリスで国家プロジェクトとして進められている電子化された診療記録の共有化は、そのベネフィットが当初の予想よりも小さく、実際に利用する臨床医は少ないことが、Barts and The London School of Medicine and DentistryのTrisha Greenhalgh氏らの調査で明らかとなった。電子化された診療記録が共有されれば、多彩なケアの利用を可能にする核心的な情報の発信が可能となり、医療の質、安全性、有効性の改善につながるとの期待があるが、500万人以上の人口を抱える国で、国レベルの電子患者記録の共有化に成功した例はないという。2007年、イギリス保健省は診療概要記録(SCR)の国レベルでの共有化を推進するプログラムを開始し、さしあたり救急と予約外診療での運用が始まっている。BMJ誌2010年6月26日号(オンライン版2010年6月16日号)掲載の報告。

新規SGLT2阻害薬dapagliflozin、血糖コントロールが不良な2型糖尿病に有効

メトホルミンだけでは十分な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者に対し、ナトリウム・グルコース共輸送体2(SGLT2)の選択的阻害薬であるdapagliflozinを追加投与すると、ヘモグロビンA1c(HbA1c)が有意に改善することが、英国Aston大学のClifford J Bailey氏らが行った無作為化試験で示された。高血糖の是正や糖毒性の発現予防は2型糖尿病の管理における重要な目標とされる。dapagliflozinは、SGLT2を選択的に阻害することで、インスリン非依存性に腎臓でのグルコースの再吸収を抑制するという。Lancet誌2010年6月26日号掲載の報告。

糖尿病の血管疾患リスクはどの程度? 70万人のメタ解析

糖尿病の存在は、肥満、脂質異常、高血圧など従来のリスク因子とは別個に、血管疾患リスクを約2倍に高めることが、Emerging Risk Factors Collaborationが実施した102もの試験のメタ解析で明らかとなった。糖尿病は冠動脈心疾患や脳卒中のリスク因子として確立されているが、年齢、性別、従来のリスク因子の有無などでリスクの程度はどれくらい変化するのか、致死的心筋梗塞と非致死的心筋梗塞、虚血性脳卒中と出血性脳卒中とでは糖尿病の影響はどの程度は異なるのかという問題は未解決のままだ。さらに、非糖尿病患者における血糖異常の意義についても同様の問題が残されているという。Lancet誌2010年6月26日号掲載の報告。

エパデールが末梢動脈疾患患者の冠動脈イベントを抑制する ―JELIS試験のサブ解析結果より

持田製薬株式会社は5日、高脂血症、閉塞性動脈硬化症治療剤「エパデール」(一般名:イコサペント酸エチル、EPA)の高脂血症患者を対象とした大規模臨床試験「JELIS」において、エパデールが末梢動脈疾患を有する患者の冠動脈イベントを有意に抑制するとの結果が得られたと発表した。解析結果は日本循環器学会の機関誌『Circulation Journal』7月号に掲載されるとのこと。

EGFR変異の進行性肺がん、ゲフィチニブのファーストラインで無増悪生存期間が倍に

EGFR遺伝子変異を有した非小細胞肺がんに対し、分子標的治療薬ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)による治療は、従来の抗がん剤治療と比べ、再増悪までの期間が約2倍に改善することが明らかにされた。東北大学はじめ日本国内50施設が参加した北東日本研究機構(North East Japan Study Group:NEJSG)による報告で、NEJM誌2010年6月24日号で発表された。