日本語でわかる最新の海外医学論文|page:966

日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき

 日本人労働者を対象とした研究の結果、抑うつ度は、教育レベルならびに収入と有意な関連があり、栄養面では葉酸摂取と有意な関連があることが明らかにされた。国立国際医療研究センターの宮木幸一氏らが、本邦初の研究報告として発表したもので、「葉酸の摂取増を図る運動が、メンタルヘルスに関する社会的格差の問題解消に結びつく可能性がある」と報告した。Nutrients誌2013年2月18日号の掲載報告。

原発性自然気胸の再発をミノサイクリン胸膜癒着術が抑制/Lancet

 原発性自然気胸に対する単純吸引+ドレナージ施行後のミノサイクリンを用いた胸膜癒着術は、安全に実施可能で、単純吸引+ドレナージ単独よりも再発抑制効果が高いことが、国立台湾大学のJin-Shing Chen氏らの検討で明らかとなった。原発性自然気胸の標準的な初回治療は単純吸引とドレナージだが、文献的な1年後の再発率は約30%(16~52%)に達する。そのため、さまざまな治療アプローチの開発が進められており、化学物質の胸腔内注入による胸膜癒着術は手術患者、非手術患者の双方で再発を抑制することが示されている。Lancet誌オンライン版2013年2月18日号掲載の報告。

カルシウムの摂りすぎ、女性の死亡率を高める?/BMJ

 カルシウムの過剰摂取は女性の全死因死亡や心血管死のリスクを増大させる可能性があることが、スウェーデン・ウプサラ大学のKarl Michaelsson氏らの調査で示唆された。ごく一般的な摂取量(600~1,400mg/日)であれば問題はなさそうだという。カルシウムの摂取不足により高齢者の骨折率が上昇し、脳卒中や致死的な虚血性心疾患のリスクが増大する。一方、無作為化試験のメタ解析ではカルシウム補助食品の使用により虚血性心疾患や脳卒中のリスクが増大し、観察試験では全死因死亡や心血管死の低下とともに心血管疾患の発症増加が確認されている。BMJ誌オンライン版2013年2月13日号掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(60)〕 The WOEST study:長期間抗凝固療法を受けている患者にPCIを行う際には、アスピリンは不要でクロピドグレルのみの併用で良い

 PCIを施行する際には、血栓症を予防するためにアスピリンとチエノピリジン系の抗血小板薬を併用することが標準とされてきた。一方、65歳以上の年齢層の8%に非弁膜症性の心房細動が発症することが知られている。心房細動の治療は、心原性血栓による脳塞栓症と心房細動性頻拍症の持続による心不全の予防が基本であり、抗凝固薬とβ遮断薬の併用が標準治療とされている。抗凝固薬を服用中の患者にPCIを行う際の抗血小板薬の組み合わせは、臨床上きわめて重要な問題である。

てんかん患者、脳内ネットワークの一端が明らかに

 てんかん症状を呈する脳内ネットワークの特性の一端が明らかにされた。チェコ共和国・Central European Institute of TechnologyのIvan Rektor氏らが、てんかん患者と健常者の脳内を機能的MRIにて比較検証した結果で、てんかん患者では脳中央部にある被殻と表面部にある皮質との機能的結合(FC)が阻害されていることが明らかになったという。Rektor氏は「このことが大脳基底核(BG)機能の変質に反映している可能性がある」と示唆した。Brain Topography誌オンライン版2013年2月12日号の掲載報告。

患者評価の変形性関節症治療の疼痛改善報告、実臨床と臨床試験で異なる

 疼痛管理をより適切に行うため患者自身による治療効果評価尺度が開発されているが、フランス・INSERM/パリ第5大学のSerge Perrot氏らによる多施設前向きコホート研究の結果、患者が容認できる症状状態スコアならびに疼痛が改善したと報告した患者の疼痛スコアの変化の最小値は、実臨床と臨床試験とで異なっていることが明らかとなった。

結節性硬化症に伴う腎血管筋脂肪腫の治療に新たな選択肢

 結節性硬化症は、遺伝子(TSC1、TSC2)の異常により、全身に良性の腫瘍が形成され、それに伴い、さまざまな症状が引き起こされる遺伝性の希少疾患である。胎児期から成人まで、年齢に応じて特徴的な腫瘍がさまざまな部位に発生するため、それぞれの腫瘍に対してすべて1つの科で診療することはできず、小児から成人に至る過程で発生する腎血管筋脂肪腫などを見逃す可能性がある。その現状と課題について、ノバルティス ファーマ メディアフォーラム(2013年2月26日開催)にて、大阪大学泌尿器科 教授 野々村 祝夫氏が講演した。その内容をレポートする。

低悪性度非ホジキンリンパ腫の1次治療、B-RがR-CHOPよりも有用/Lancet

 ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法(B-R)は、低悪性度非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫の1次治療において、従来の標準治療であるシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン(CHOP)+リツキシマブ(R-CHOP)併用療法よりも、有効性および安全性が優れることが、ドイツ・Justus Liebig大学病院のMathias J Rummel氏らStudy group indolent Lymphomas(StiL)の検討で示された。米国では、毎年、約6万6,000人が新規に非ホジキンリンパ腫と診断され、そのうち約40%が低悪性度リンパ腫、約3~10%がマントル細胞リンパ腫だという。現在、欧米における進行期低悪性度非ホジキンリンパ腫および高齢マントル細胞リンパ腫の標準的な1次治療はリツキシマブと化学療法(ほとんどがCHOP)の併用療法だが、再発や難治性の病変にはB-R療法が有効なことが確認されている。Lancet誌オンライン版2013年2月20日号掲載の報告。

禁煙法の段階的導入で、早産発生率が徐々に減少/BMJ

 ベルギーでは禁煙法が段階的に導入されたが、その結果、単胎児早産発生率も段階的に減少したことが明らかになったという。ベルギー・Hasselt大学のBianca Cox氏らが、2002~2011年の出生データを元に分析し明らかにしたもので、BMJ誌2013年2月14日号で発表した。受動喫煙が妊娠のアウトカムに悪影響を及ぼすことを示す試験結果は出てきているが、これまで禁煙法が同アウトカムに良い影響を及ぼすことを示した研究はほとんどなかった。

ピロリ除菌治療に成功した人、1年後の再感染率は11.5%/JAMA

 ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌治療後に陰性が確認できた人について、1年後に再感染している割合は11.5%であることが、ラテンアメリカ6ヵ国(7地域)で行った試験で明らかになった。米国・Vanderbilt大学のDouglas R. Morgan氏らが、ピロリ菌の除菌治療を行った1,500人弱を追跡した結果、報告したもので、JAMA誌2013年2月13日号で発表した。

大腸3D-CT検査(CTC)vs. 内視鏡検査、CTCは内視鏡検査に代わりうる:SIGGAR/Lancet

 大腸がんの診断法として注目される大腸3D-CT検査(CT Colonography:CTC)について、大腸内視鏡検査との比較が、英国・Imperial College LondonのWendy Atkin氏らによる多施設共同無作為化試験SIGGARにて行われた。大腸内視鏡検査は大腸がんが疑われる症例を検討する診断法としてはゴールドスタンダードとなっている。一方で、CTCは、代替となりうるより侵襲性の低い検査法であるが、検査後の診断確定のための追加の検査が必須となっている。しかしこのことが、CTCが内視鏡検査に代わりうる可能性を証明する重要な要素であるとして、実践されているCTC+追加検査と内視鏡単独検査の大腸がんまたは≧10mmポリープの診断精度について比較を行った。Lancet誌オンライン版2013年2月14日号掲載より。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(59)〕 ラテンアメリカ7地域におけるピロリ除菌成功後の高率な“再感染”

 今回の米国からの報告は、除菌治療後、尿素呼気試験(UBT)による判定でピロリ菌が陰性化した例を対象として、1年後の再陽性化率とそのリスクを検討したものである。2009年から2011年に6ヵ国(7地域)で行われた除菌治療試験(RCT)に参加し、除菌に成功(UBT陰性化)した1,463例を対象としたコホート研究であるが、UBTを指標とした再感染率は11.5%と高率であった。さらに、コロンビアやチリにおいて施行された試験、対象を初回治療に限定した試験、子供と同居している人を対象とした試験で有意に高い再感染率を示した。