日本語でわかる最新の海外医学論文|page:966

ドパミンD3受容体拮抗薬、統合失調症治療薬としての可能性は?

ドパミンD3受容体拮抗作用に着目した統合失調症の陽性および陰性症状や認知症状治療の可能性は、前臨床試験や予備的臨床試験のデータに基づき再検討されている。ドイツ・Abbott Neuroscience ResearchのGerhard Gross氏らは、D3受容体拮抗作用が錐体外路症状を阻害可能であるといった事実に基づけば、依然として治療オプションとなりうるの見解を報告している。Naunyn-Schmiedeberg's Archives of Pharmacology誌オンライン版2012年11月6日号の報告。

ダーモスコピー、15の尺度で潰瘍を鑑別

基底細胞がんのダーモスコピー診断では、潰瘍が頻繁に認められる。外傷の既往を伴わない潰瘍、いわゆる非外傷性潰瘍は、最も頻度の高い皮膚がんである基底細胞がんの重大徴候であるが、そのような非外傷性潰瘍と良性病変は特徴が似通っており、鑑別は難しい。そこで米国・南イリノイ大学のSerkan Kefel氏らは、潰瘍の色とテクスチャーの特色で規定した15の尺度(9つのカラー尺度と6つのテクスチャー尺度)が、両者を識別するのに有用であるか評価を行った。

高血圧はカテーテルで治す時代がくるか?

 ケアネットでは、11月3~7日に開催されたAHA(米国心臓協会)学術集会での注目演題を速報した。その一つとして、同時に4ヵ所を焼灼する「EnligHTNカテーテル」を用いた腎動脈アブレーションのパイロット試験について報じたが、この発表に対する桑島 巌氏(東京都健康長寿医療センター 顧問)のコメントを得たため合わせて掲載する。

認知症の前駆症状は?うつ病との関係

 うつ病はアルツハイマー型認知症(AD)の前駆症状であるが、超高齢者におけるうつ病発症は他の病因による認知症の前駆症状ではない可能性が示された。高齢期でのうつ病は年齢とともに低下した認知機能への懸念が積み重なって出現したもので、予測可能であるという。ドイツ・ボン大学のHeser K氏らは、高齢期うつ病が認知症のリスクとなるのか、あるいは認知症の前駆症状であるのかについて調査した。Psychological Medicine誌オンライン版2012年11月9日号の報告。

脊椎手術後の最大有害事象、外科医は死亡に10点、患者は脳卒中に9.2点と評価

脊椎手術後のさまざまな有害事象の影響について、患者と医師の認識の度合いを調査した結果、双方ともに項目間にはかなりのばらつきがあり、全体的には患者の方が医師よりも有害事象の影響を強く認識していることが明らかになった。脊椎手術後の有害事象はなお多く発生しているが、これまで患者中心のアウトカム評価ツールは開発されていない。

全心血管疾患生涯リスクは、あらゆる人で>30%と高い/JAMA

 全心血管疾患生涯リスクは、あらゆる人で高い(>30%)ことが、米国・ノースウエスタン大学ファインバーグ医学校のJohn T. Wilkins氏らによるプール生存解析の結果、明らかにされた。これまで、そうした疾患負担の可能性は示唆されていたが、解析報告はなかった。今回示された生涯リスクには、中高年のリスク因子を有する人も含まれるのだが、著者らによる解析で、それらリスクを有する人々でもメンテナンスでリスクを至適に維持すれば、かなり長期にわたって非疾患生存を達成していたことも明らかにされた。JAMA誌2012年11月7日号掲載より。

禁煙対策で喫煙率が年間-3.3%と大幅に低減/Lancet

 ウルグアイでは禁煙対策の導入により、喫煙率の年間低下率3.3%という良好な効果が得られたことが、同国保健省のWinston Abascal氏らの調査で示された。喫煙者の80%を低~中所得国の住人が占め、高所得国では喫煙率が低下していることもあって、低~中所得国の世界的なたばこ関連疾病負担の割合が増大しているという。人口約3,500万人の南米の中所得国であるウルグアイでは、2005年に包括的な禁煙プログラムが導入され、キャンペーンが実施された。Lancet誌2012年11月3日号(オンライン版2012年9月14日号)掲載の報告。

てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに

PET画像診断により、てんかん発作時に関連する脳病変として脳炎が有意に認められることがラット試験において実証された。近年、てんかん治療のターゲットとして炎症カスケードが注目されている。本研究を行ったStefanie Dedeurwaerdere氏らは、「この結果は、てんかん発作時の脳炎の役割とてんかん発作に対する抗炎症薬の評価を、さらに長期的に進めていく後押しとなった」と報告している。EJNMMI Research誌オンライン版2012年11月8日号の掲載報告。

HIV 感染症を難病指定に

 神戸大学感染症内科 岩田 健太郎 2012年11月16日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 厚生労働省によると、これまで56しかなかった難病指定疾患を300以上に増やす予定だという。この難病にHIV感染症および後天性免疫不全症候群(エイズ)(以下、HIV感染症とまとめる)を含めるべきだ、というのが本論の主旨である。以下にその理由を示す。

冠動脈CT血管造影、よりリアルな画像を提供する診断精度の評価は?/BMJ

 診断検査法の評価において、診断精度研究やプールメタ解析は重大なステップである。しかし診断精度研究において、評価不能の結果を扱うべきかどうかや、共通のアプローチで診断精度が過剰なのかどうかを評価するかのかについてコンセンサスは得られていない。そうした中でドイツ・ベルリン自由大学のGeorg M Schuetz氏らは、冠動脈CT血管造影の診断パフォーマンスのメタ解析的評価を行い、3×2分割表による評価が従来の2×2分割表による評価よりも優れているかを検討した。その結果、評価不能の結果をどう扱うべきかコンセンサスをみいだすことはできなかったが、評価不能の結果を含める場合は、3×2分割表を適用するほうがよりリアルな画像を提供可能であったと報告している。BMJ誌2012年11月3日号(オンライン版2012年10月24日号)掲載より。

高山病予防薬としてのアセタゾラミド、250mg/日でも有効/BMJ

 高山病の予防薬としてのアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)服用について、最低用量250mg/日で効果があるとのエビデンスが、メタ解析の結果、報告された。これまで、2000年に発表されたシステマティックレビューにおいて、高山病予防に対するアセタゾラミド服用では750mg/日が有効であることが示されていた。英国・サウサンプトン大学Emma V Low氏らは、250mg/日量、500mg/日量についての効果を検証し、最小有効量を明らかにするためメタ解析を行った。BMJ誌2012年11月3日号(オンライン版2012年10月18日号)掲載より。

認知症患者が車で徘徊、発見方法は?

認知症患者では徘徊行動がしばしば問題となる。そして、車での徘徊となるとさらに問題は大きくなる。Meredeth A Rowe氏らは、認知症患者が車で徘徊した際の発見方法やシルバーアラートの効果に関してレトロスペクティブに検討を行った。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2012年11月7日号の報告。

拡張期高血圧は死亡リスクを高めるのか?

 一過性の拡張期血圧の上昇および持続的な拡張期高血圧が死亡リスクを高めることを示唆する研究結果がJournal of Hypertension誌(オンライン速報版10月17日付)に発表された。 全般的に、一過性および持続的な拡張期高血圧患者において総死亡および心血管死リスクは高かった。 性別に解析した結果、女性のみにおいて一過性の拡張期高血圧が総死亡および心血管死リスクを有意に高めていた。 総死亡リスク:ハザード比1.39(95%信頼区間:1.10~1.76) 心血管死亡リスク:ハザード比1.57(95%信頼区間:1.11~2.23)

インフルエンザの乳児、細菌性髄膜炎と菌血症のリスクは非常に低い

乳児のインフルエンザ罹患症状は重篤な細菌感染症と似通っており、腰椎穿刺のような侵襲的検査が行われる。しかし、インフルエンザが細菌性髄膜炎を併発するとのエビデンスは限られており、それでも腰椎穿刺が行われるのは、実施が考慮される時点でインフルエンザの診断が確立されていない場合がほとんどであるからとされる。

RA自己抗体陽性+喫煙歴+過体重、27ヵ月後の関節炎発症リスクは60%まで上昇

 喫煙および過体重は、関節リウマチ(RA)発症リスクを有する自己免疫陽性の集団において、関節炎の発症リスクを増大することが、オランダ・アムステルダム大学のMaria J H de Hair氏らによる前向き研究の結果、示された。RAの遺伝的素因、およびその発症に血清自己抗体の発現と環境因子が関与していることは知られているが、喫煙と過体重のRA発症への寄与については、これまで検討されておらず不明であった。

ガバペンチン、難治性慢性咳嗽の治療に有効/Lancet

 難治性慢性咳嗽の治療として、抗てんかん薬ガバペンチンが有効なことが、オーストラリア・ニューカッスル大学のNicole M Ryan氏らの検討で示された。難治性の慢性咳嗽は重篤な症状やQOL障害を引き起こす。難治性咳嗽には中枢性感作に関連する疾患(神経因性疼痛など)との類似性がみられ、神経因性疼痛にはガバペンチンが有効とされる。また、慢性咳嗽に対するガバペンチンの効果を示唆する2つの症例シリーズ研究が知られている。Lancet誌2012年11月3日号(オンライン版2012年8月28日号)掲載の報告。

〔CLEAR! ジャーナル四天王(35)〕 進行がん患者と医師との良好なコミュニケーションがもたらすものとは?

 がん治療は、分子標的薬の登場により飛躍的に進歩してきているといえるが、StageIV(遠隔転移のある)の進行がんに対しては、より長い期間延命ができるようになってきてはいるものの、残念ながら治癒が得られるまでには至っていない。

性的強迫観念は、統合失調症患者で頻度が高く、自殺行動と独立して関連

性的強迫観念(sexual obsession)は、統合失調症患者で頻度が高く半数以上でみられ、次いで気分障害患者で3割強にみられる。また、統合失調症患者では女性よりも男性に多く、自殺行動の独立関連因子であることなどが、Dell Osso L氏らによる研究の結果から、明らかになった。Annals of General Psychiatry誌オンライン版2012年10月30日号の掲載報告。