日本語でわかる最新の海外医学論文|page:726

閉経後の骨粗鬆症性骨折、開発中のabaloparatideが有用/JAMA

 骨粗鬆症を有する閉経後女性に対し、abaloparatideはプラセボと比較して新規椎体および非椎体の骨折を低下することが、米国・Colorado Center for Bone ResearchのPaul D. Miller氏らによる第III相二重盲検無作為化試験ACTIVE(Abaloparatide Comparator Trial In Vertebral Endpoints)の結果、示された。abaloparatideは、開発中の副甲状腺ホルモン1型受容体選択的活性薬。18ヵ月間の試験期間中、新規椎体骨折を有意に抑制、非椎体骨折は有意差は示されなかったが減少が認められた。結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、リスク差の臨床的意義、abaloparatide治療のリスク・ベネフィット、その他の骨粗鬆薬との有効性の比較などを行う必要がある」とまとめている。JAMA誌2016年8月16日号掲載の報告。

糖尿病患者は血圧が低いほうが心筋梗塞になりにくい?しかし降圧治療による結果ではない(解説:桑島 巖 氏)-586

SPRINT試験は、高リスク高血圧患者の降圧目標に関して、収縮期血圧120mmHg未満が140mmHg未満よりも心血管イベントおよび心血管死が少ないという結果を示し、話題をさらったことは記憶に新しい。しかし、SPRINT試験では糖尿病合併例は除外されていた。ACCORD-BP試験で収縮期血圧120mmHg未満の群と140mmHg未満の群で心血管合併症発症に有意差が見られなかったとの理由からである。

認知症の世界的トレンドはどうなっているか

 今後の認知症拡大に関する予測では、年齢特異的および性特異的有病率に経時的な変化はなく、予測される認知症者増加を推進するのは高齢化のみと仮定されている。しかし、この仮定の根拠は疑わしく、傾向変動(長期における有病率の緩やかな減少または増加)は妥当であると考えられる。英国・ロンドン大学精神医学研究所のMartin Prince氏らは、認知症の有病率や発症率に関する世界的な傾向を分析した。Alzheimer's research & therapy誌2016年7月30日号の報告。

高額薬の緊急対応検討、薬価算定方式の見直し求める声も

 8月24日に開催された厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)総会および薬価専門部会で、高額薬剤への対応の検討課題が示された。今後、次期改定に向けた取り組みと、期中改定を含む緊急的な対応について検討し、新規作用機序医薬品の最適使用推進ガイドライン(最適使用推進GL)の医療保険上の取り扱いと、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)についての特例的な対応に関しては、年内には一定の結論が得られる予定だ。

バーチャル映像を見ながらのトレッドミルで転倒が減少/Lancet

 トレッドミルにバーチャルリアリティ(VR)を組み合わせた介入が高齢者の転倒リスク防止に有用であることを、イスラエル・テルアビブ大学のAnat Mirelman氏らが、トレッドミル単独と比較した無作為化比較試験の結果、報告した。転倒リスクは、加齢に伴う運動機能と認知機能低下の進展に伴い増大する。これまでに多くの転倒予防の介入が提案されているが、運動・認知の両機能をターゲットとした統合的アプローチのものはなかった。Lancet誌オンライン版2016年8月11日号掲載の報告。

LAI切替時、ローディングでの副作用リスクは:山梨県立北病院

 長時間作用型抗精神病薬注射剤(LAI)を開始する際、一時的に経口抗精神病薬(OAP)と併用するローディング戦略は、安全性や忍容性の問題と関連している。山梨県立北病院の三澤 史斉氏らは、LAIのローディング戦略の安全性、忍容性を評価した。Schizophrenia research誌オンライン版2016年8月4日号の報告。

加齢黄斑変性の抗VEGF療法、心血管イベントとは関連せず

 米国では、2006年に滲出型加齢黄斑変性(AMD)に対し抗VEGF(血管内皮増殖因子)療法が導入された。米国・デューク大学のArseniy P. Yashkin氏らは、メディケア受給者を対象に後ろ向きコホート研究を行い、心血管イベントの発生について5年間の追跡調査を行った。その結果、滲出型AMD患者に対する抗VEGF療法は、急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中または全死亡のリスクを増加しないことが示されたという。Ophthalmology誌オンライン版2016年8月11日号掲載の報告。

高齢者の術後せん妄、デクスメデトミジンで予防可能/Lancet

 非心臓手術後ICU入室の65歳超高齢患者に対して、α2作動性鎮静薬デクスメデトミジン(商品名:プレセデックス)を予防的に低容量で行う静注投与は、術後のせん妄発症を有意に抑制することを、中国・北京大学第一医院のXian Su氏らが無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。せん妄は、65歳超高齢患者において頻度の高い術後合併症であり、有害アウトカムに結び付きやすいが、700例を対象とした今回の検討において、7日時点の投与群のプラセボ群に対するオッズ比(OR)は0.35であり、安全性も確認されたという。著者は、「ただし、長期的アウトカムへの改善に結び付くかは不明のままである」と指摘し本報告をまとめている。Lancet誌オンライン版2016年8月16日号掲載の報告。

1型糖尿病の夜間クローズドループ療法、妊婦にも有効/NEJM

 1型糖尿病の妊婦では、自動化された夜間クローズドループ療法は、センサー付きのインスリンポンプ(sensor-augmented pump:SAP)療法よりも良好な血糖コントロールをもたらすことが、英国・ケンブリッジ大学のZoe A Stewart氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年8月18日号に掲載された。妊娠中の1型糖尿病の合併症として、先天性異常、死産、新生児の死亡、早産、巨大児の発生率が増加する。妊娠していない1型糖尿病患者の血糖コントロールでは、クローズドループ療法がSAP療法よりも優れることが報告されているが、妊婦における効果や安全性、実行可能性のデータは十分でないという。

地中海食と大腸がんリスク~本場イタリアでの検討

 地中海食の順守は数種のがんのリスク低下と関連しているが、地中海地方で実施した研究は少ない。今回、ミラノ大学のValentina Rosato氏らが、イタリアでの3件のケースコントロール研究のデータから、地中海食が大腸がんリスク低下に関与していることを確認した。British journal of cancer誌オンライン版2016年8月18日号に掲載。

不眠症重症度質問票(ISI)やアテネ不眠尺度(AIS)に違いはあるか

 不眠症は、現代社会において蔓延している健康愁訴であるが、過小診断され、治療も不十分である。不眠症のリスクを評価するためのスクリーニングツールとして、不眠症重症度質問票(ISI)、アテネ不眠尺度(AIS)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)が広く用いられているが、診断特性は、体系的にまとまっていない。台湾・台北医学大学のHsiao-Yean Chiu氏らは、不眠症スクリーニングのためのISI、AIS、PSQIの診断制度を評価、比較した。Journal of psychosomatic research誌2016年8月号の報告。

ピオグリタゾンと膀胱がんリスク関連なし~欧州38万人の解析/BMJ

 2型糖尿病患者において、ピオグリタゾンの使用と膀胱がんのリスクに関連性はなく、ピオグリタゾンを長期間使用しても膀胱がんのリスクは増加しない。フィンランド・EPID ResearchのPasi Korhonen氏らが、欧州医薬品庁の要請で行った欧州4ヵ国での後ろ向きコホート研究で明らかにした。これまで多くの疫学研究でピオグリタゾンによる膀胱がんのリスク増加が報告されてきたが、なかには割り付けバイアスあるいは膀胱がんの危険因子に関する情報不足が認められた研究もあった。一方、最近ではピオグリタゾンと膀胱がんリスクとの関連はないという大規模長期追跡研究も報告されているが、今回も同様の結果であった。著者は、「欧州におけるピオグリタゾンの安全性に関する重要情報が上積みされた」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年8月16日号掲載の報告。

原発性胆汁性胆管炎にオベチコール酸が有効/NEJM

 ファルネソイドX受容体作動薬のオベチコール酸(obeticholic acid)は、原発性胆汁性胆管炎(primary biliary cholangitis:PBC、原発性胆汁性肝硬変[primary biliary cirrhosis]から病名変更)に対し12ヵ月間の単独療法またはウルソデオキシコール酸(商品名:ウルソほか)との併用療法により、プラセボに比べアルカリホスタファーゼ(ALP)値と総ビリルビン値を有意に低下させることが認められた。ただし、重篤な有害事象はオベチコール酸投与群において高頻度であった。ベルギーのルーヴェン・カトリック大学病院のF. Nevens氏らが、オベチコール酸の第III相臨床試験であるPOISE(PBC OCA International Study of Efficacy)試験の結果、報告した。PBCではALP値やビリルビン値が、肝移植や死亡のリスクと相関することが知られている。これまではウルソデオキシコール酸(UDCA)で治療を行っても、肝硬変や死亡へ進行する可能性があった。NEJM誌2016年8月18日号掲載の報告。

転移性脳腫瘍に対するSRSは、SRS+WBRTに比べて認知機能障害が少ない(解説:中川原 譲二 氏)-584

 全脳照射は、定位放射線照射後の腫瘍コントロールを改善するが、認知機能障害を合併するため、転移性脳腫瘍治療におけるその役割については、論争がある。1~3個の転移性脳腫瘍を有するがん患者では、SRS単独はSRS+WBRTに比べ認知機能の悪化割合が低いことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPaul D Brown氏らの無作為化臨床試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2016年7月26日号に掲載された。