日本語でわかる最新の海外医学論文|page:608

8種類の抗てんかん薬における主要な先天性奇形リスク比較のコホート研究

 抗てんかん薬による催奇形リスクを比較したエビデンスは不十分であり、とくに投与量に関連したエビデンスが不足している。スウェーデン・カロリンスカ大学病院のTorbjorn Tomson氏らは、抗てんかん薬の先天性奇形の発症頻度を比較するため、単剤療法で最も一般的に使用される8種類の抗てんかん薬について検討を行った。The Lancet. Neurology誌オンライン版2018年4月18日号の報告。

抗微生物薬適正使用の手引き改正へ向けて

 2018年5月14日、第4回の抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会(座長:大曲 貴夫氏[国立国際医療研究センター病院国際感染症センター長])が、厚生労働省で開催され、「抗微生物薬適正使用の手引き」の改正の方向性の確認、改正内容の検討が行われた。今後、数度の部会での検討を経たうえで、薬剤耐性(AMR)に関する小委員会および厚生科学審議会感染症部会で審議、発表される。なお、発表時期は未定。

水分摂取増やしても、CKDの進行抑制できず/JAMA

 成人の慢性腎臓病(CKD)患者において、飲水量の増加を指導しても、通常の飲水量を維持するよう指導した場合と比較し、1年後の腎機能低下に有意な影響は認められなかった。カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のWilliam F. Clark氏らが行った無作為化試験「CKD WIT(Chronic Kidney Disease Water Intake Trial)」の結果、明らかになった。これまで、観察研究では飲水量の増加が良好な腎機能と関連することが示唆されていたが、飲水量の増加がCKD患者にとって有益かどうかについては不明であった。JAMA誌2018年5月8日号掲載の報告。

心房細動の発症、リスク1つでも明らかに上昇/BMJ

 心房細動の生涯リスクは、指標年齢(55歳、65歳および75歳)にかかわらず、リスク因子を有していない場合で約5分の1、1つ以上のリスク因子があると約3分の1強に上昇することが、米国・ボストン大学のLaila Staerk氏らによるフラミンガム心臓研究を基にした解析の結果、明らかにされた。これまで、心房細動の生涯リスクは40歳以上で約4分の1と推定されてきた。心房細動の短期的なリスク因子は確立されているが、リスク因子の負荷が心房細動の生涯リスクにどれほど影響するかは不明であった。結果を踏まえて著者は、「心房細動の疾病負担を減らす予防的な取り組みは、修正可能な境界域および明らかなリスク因子を目標とし、複数の併存疾患を考慮すべきであろう」と述べている。BMJ誌2018年4月26日号掲載の報告。

オセルタミビル10代への使用制限解除へ

 2018年5月16日、厚生労働省は「抗インフルエンザウイルス薬の安全対策」を議題に、薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会を開催した。主な論点は、抗インフルエンザ薬と異常行動に関する安全対策措置について、2007年からオセルタミビルリン酸塩(商品名:タミフル)のみに適用されている、10代への原則使用差し控え措置についてなど。

慢性疼痛治療ガイドラインが発刊

 2018年3月、痛みに関連する7学会のメンバーが結集し作り上げた「慢性疼痛治療ガイドライン」(監修:厚生労働行政推進調査事業費補助金慢性の痛み政策研究事業「慢性の痛み診療・教育の基盤となるシステム構築に関する研究」研究班、編集:慢性疼痛治療ガイドライン作成ワーキンググループ*)が発刊された。

自殺リスク患者に対するesketamine鼻腔内投与の有効性、安全性に関する二重盲検ランダム化比較試験

 自殺リスク患者において、標準治療にesketamine鼻腔内投与を追加した際の、抑うつ症状の急速軽減効果について、米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのCarla M. Canuso氏らが、検討を行った。併せて、自殺リスクについても検討を行った。The American journal of psychiatry誌オンライン版2018年4月16日号の報告。

CABGのグラフト、橈骨動脈が伏在静脈に優る/NEJM

 5年間のフォローアップにおいて、橈骨動脈グラフトを用いた冠動脈バイパス術(CABG)は伏在静脈グラフトを用いたCABGに比べ、主要有害心血管イベントのリスクが有意に低く、周術期のグラフト開存性が有意に良好であることが示された。米国・コーネル大学医学部循環器手術部門のMario Gaudino氏らが、6つの無作為化比較試験を対象に行ったメタ解析で明らかにした。これまで、橈骨動脈グラフト使用のCABGが伏在静脈グラフト使用のCABGに比べ、術後アウトカムが良好である可能性を示唆する試験結果はあったが、個々の試験では臨床アウトカムの差を示すには統計学的に検出力が不足していたという。NEJM誌オンライン版2018年4月30日号掲載の報告。

BACE-1阻害薬、アルツハイマー病への効果認められず/NEJM

 軽度~中等度のアルツハイマー病に対し、経口アミロイドβ前駆体タンパク質切断酵素1(BACE-1)阻害薬verubecestatは、認知機能や日常生活動作の低下について抑制効果は認められないことが示された。米国・メルク社Research LaboratoriesのMichael F. Egan氏らがプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を、NEJM誌2018年5月3日号で発表した。BACE-1阻害薬は、アルツハイマー病患者に特徴的な脳脊髄液中アミロイドβ量を減少することが認められ、同疾患に対する臨床的効果が期待されていた。

心房細動の男性の死亡リスク、独身は既婚の1.25倍

 心房細動患者において、社会経済的因子と死亡率や心血管系合併症リスクとの関連はあまりわかっていない。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のPer Wandell氏らによる心房細動患者のコホート研究で、低学歴者および独身(未婚・離婚)男性では死亡や心血管系合併症のリスクが高いことが報告された。European Journal of Public Health誌オンライン版2018年5月9日号に掲載。

双極性障害と統合失調症患者の興奮症状の特徴

 興奮症状は、内的な緊張や不安から暴力、攻撃性に至るまでの症状を含む、双極性障害や統合失調症にみられる共通の症状である。これまでの文献の多くは、急性の興奮症状に焦点を当てており、患者の体験に関しては不十分であった。英国・Adelphi Real WorldのJenna Roberts氏らは、コミュニティに焦点を当て、患者視点の興奮症状の特徴とそのマネジメントに関して調査を行った。BMC psychiatry誌2018年4月16日号の報告。

ICD10に基づくフレイル評価、予後不良を予測/Lancet

 高齢の入院患者フレイルをスクリーニングし、予後不良のリスクが高い患者群を同定できる評価スコア「Hospital Frailty Risk Score:HFRS」が、フランス・Lyon Teaching HospitalのThomas Gilbert氏らによって開発された。HFRSは、病院の管理システムに国際疾病分類第10版(ICD-10)コーディングが用いられていれば利用可能で、システムに組み込めば自動的に判定できるようになるという。著者は、「低コストかつICD-10に基づく体系的な方法であり、予後不良のフレイルに対する適切なケアの提供に有用である」とまとめている。Lancet誌2018年5月5日号掲載の報告。

シナモンで関節リウマチ症状が緩和?

 わが国では、人口全体の0.4~0.5%、30歳以上ではおよそ1%が関節リウマチ(RA)にかかるといわれている。シナモンは、民間療法で関節炎などに使用されるが、詳細は検討されていなかった。今回、イラン・Ahvaz Jundishapur University of Medical SciencesのFarideh Shishehbor氏らの研究結果により、シナモンの摂取は、RA患者の炎症および臨床症状を改善する、安全かつ潜在的な補助的療法である可能性が示唆された。Journal of the American College of Nutrition誌オンライン版2018年5月3日号に掲載。

医師助手による皮膚がんの診断精度は?

 皮膚科診療において、医師助手(Physician assistant:PA)による皮膚がんの診断がますます増えているが、これまでPAの診断精度について、皮膚科専門医と比較する研究は行われていなかった。米国・ピッツバーグ大学のAlyce M. Anderson氏らは、皮膚がんのスクリーニングを受けた約2万例を後ろ向きに解析し、皮膚がんの診断において、PAは皮膚科医と比較してより多くの生検を行うが悪性黒色腫の診断は少ないことを明らかにした。また、PAの診断精度は皮膚科医より低い場合があると示唆した。しかし、同氏らは、「PAの導入は、皮膚科受診の増加や、予約待ち時間削減に役立つ可能性があり、今回の結果は皮膚科診療におけるPAおよび医師以外の医療従事者の訓練、適切な診療範囲、監督に対して重要な意義を持つ」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年4月18日号掲載の報告。

抗血小板薬2剤併用、CABG後グラフト開存率を改善/JAMA

 チカグレロル+アスピリンによる抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は、アスピリン単剤に比べ、冠動脈バイパス術(CABG)後1年時の伏在静脈グラフトの開存率を改善することが、中国・上海交通大学医学院附属瑞金医院のQiang Zhao氏らが行った多施設共同試験(DACAB試験)で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年4月24日号に掲載された。CABG後の伏在静脈グラフトの開存に及ぼす、アスピリン+P2Y12受容体拮抗薬によるDAPTの効果については、いくつかの小規模な短期的臨床試験で相反する結果が報告されているという。

全国の麻疹患者は累積で100例超に

 国立感染症研究所(NIID)の「IDWR感染症発生動向調査速報(2018年第17週:4月23日~4月29日)」(5月9日付)によると、第17週までの全国での麻疹の累積報告数は102例となり、引き続き増加傾向であることが明らかになった。NIIDはまた、5月11日の「IDWR感染症発生動向調査週報(2018年第16週:4月16日~4月22日)」にて、「帰国後の海外渡航者に対しては、2週間程度は麻疹発症の可能性も考慮して健康状態に注意することが重要である」と注意喚起している。