日本語でわかる最新の海外医学論文|page:460

COVID-19による静脈血栓塞栓症のアンケート結果/肺塞栓症研究会

 肺塞栓症研究会と日本静脈学会は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による静脈血栓塞栓症の発症有無に関する緊急アンケートを合同で実施し、総計77施設(1,243例)より回答を得た。その結果、肺塞栓症は5例(0.4%)、静脈血栓塞栓症は7 例(0.6%)に発症していたことが明らかになった。今回のアンケート調査では、COVID-19 症例の中で肺塞栓症を含む静脈血栓塞栓症と診断された症例は欧米に比してかなり少数だった。これを踏まえ、横浜南共済病院の孟 真氏率いる調査事務局の研究者らは、「“発症自体が本当に日本人で少ない”のか、“診断されていないだけ”なのかを判断する事は困難である。

HIV維持療法、長時間作用型注射剤2剤併用2ヵ月ごと投与は?/Lancet

 ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者において、長時間作用型注射剤cabotegravirと長時間作用型注射剤リルピビリンの2剤併用の8週ごと投与は、4週ごと投与と比較し有効性および安全性プロファイルは類似していることが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のEdgar T. Overton氏らの「ATLAS-2M試験」で明らかとなった。cabotegravir+リルピビリン2剤併用投与については、第II相試験で8週ごと投与と4週ごと投与の有用性が示唆され、第III相試験で4週ごと投与の経口抗レトロウイルス療法に対する非劣性が検証されたことから、8週ごと投与のさらなる評価が求められていた。結果を踏まえて著者は、「HIV-1感染患者の治療選択肢として、より簡便なcabotegravir+リルピビリンの2ヵ月ごと投与の使用は支持される」とまとめている。Lancet誌オンライン版2020年12月9日号掲載の報告。

PTX被覆デバイスによる末梢動脈疾患の血管内治療、死亡率増大させず/NEJM

 末梢動脈疾患患者において、パクリタキセル被覆血管内デバイスと非被覆血管内デバイスに、追跡期間1~4年での全死因死亡率に差は認められなかった。スウェーデン・ヨーテボリ大学のJoakim Nordanstig氏らが、多施設共同無作為化非盲検臨床試験「SWEDEPAD試験」の計画外の中間解析結果を報告した。症候性末梢動脈疾患に対する下肢血管内治療で、パクリタキセル被覆血管形成バルーンおよび溶出ステントによる死亡リスクの増加が最近のメタ解析で示され、懸念が生じていた。NEJM誌オンライン版2020年12月9日号掲載の報告。

IL-1阻害薬による残余リスク低減効果に期待(解説:佐田政隆氏)-1330

rilonaceptはインターロイキン-1(IL-1)の可溶性受容体製剤である。IL-1α、IL-1β双方をトラップして阻害する。当初、関節リウマチでの応用が期待されたが、TNF阻害薬ほど劇的な効果は認められなかったという。希少自己免疫疾患であるクリオピリン関連周期性発熱症候群に対して、2008年にFDAによって承認されたが、日本や欧州では承認に至っていない。原因不明の再発性心膜炎は、日常の循環器内科診療でたびたび遭遇する疾患である。心嚢穿刺など対症療法しかなく治療に難渋することが多い。本試験は、86人と比較的少数例を対象にした二重盲検第3相試験である。標準的治療を施しても再発する心膜炎の再発を、rilonaceptが有意に抑制した。今後、再発心膜炎への適応拡大が期待される。

乳幼児診療に感染予防策加算上乗せ、診療科問わず/日医

 厚生労働省は、小児診療の実態や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の回復後における継続的治療の必要性などの観点から、新型コロナ感染が急速に拡大している間の特例措置として、2020年12月15日付けで事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その31)」を発出した。  「外来における小児診療等に係る評価」と「新型コロナウイルス感染症からの回復患者の転院支援」に関する上乗せ加算が軸となっている。これに対し、16日に実施された日本医師会の記者会見で、松本 吉郎常任理事が補足説明を行った。

TN乳がん1次治療へのペムブロリズマブ上乗せ、化療レジメンによらず有効(KEYNOTE-355)/SABCS2020

 手術不能な局所再発または転移を有するPD-L1陽性(CPS≧10)のトリプルネガティブ(TN)乳がんの1次治療において、併用する化学療法の種類によらず、ペムブロリズマブの追加で無増悪生存期間(PFS)を改善することが明らかになった。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)包括的がんセンターのHope S. Rugo氏が、第III相KEYNOTE-355試験の新たな解析結果をサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。  同試験については、CPS≧10のPD-L1陽性患者におけるPFS中央値が、ペムブロリズマブ+化学療法群9.7ヵ月 vs.化学療法単独群5.6ヵ月(ハザード比[HR]:0.65、95%CI:0.49~0.86、片側p=0.0012)と有意に改善したことが報告されている。今回は、探索的評価項目(併用化学療法別のPFS中央値)ならびに副次評価項目(ORR、DOR、DCR)の解析結果が発表された。

みんなで医療の働き方を考えよう

 AI問診サービスで医療現場の業務効率化をサポートするUbie株式会社は、医療従事者がより働きやすい医療現場づくりを実現すべく、『#みんなで医療の働き方会議』プロジェクトを勤労感謝の日である2020年11月23日より開始した。  同社共同代表取締役で医師の阿部 吉倫氏は「本プロジェクトを通じて、医療サービスを受ける一人ひとりの生活者にとって、よりよい社会の実現へ一歩近づくことを願う」と、プロジェクトへの思いを述べている。  2020年は世界中で新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、医師や看護師などの医療従事者は、今もその最前線で人々を守るために尽力している。そういった方々の今後の働き方について、社会全体で考えて改善できるきっかけとなることを本プロジェクトに期待したい。

患者の『コロナうつ』、早期発見するには?

 新型コロナウイルス感染症によるメンタルヘルス不調には「感染に対する恐怖・不安」「環境の変化によるストレス」「自粛制限によるストレス」「経済的な不安」などが挙げられるそうだが、ご自身や家族、診察を受ける患者に該当するものはあるだろうかー。  11月18日、うつ病疾患啓発セミナー「雇用形態別に見る、うつ病患者さんの現状と課題―求められる対策とは~働くうつ病患者さん464人への調査結果から見えた実態と新型コロナウイルス感染症の影響~」が開催され、三村 將氏(慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室 教授)が「就労するうつ病患者さんの雇用形態別の現状と課題、コロナ禍での影響」について講演。アンケート結果を踏まえ、コロナ禍に悩むうつ病患者の解決策を解説した。

治療抵抗性うつ病に対するケタミン静注の有効性~メタ解析

 治療抵抗性うつ病(TRD)患者の治療において、ケタミンによる治療が期待されているが、いくつかの問題点は、いまだ不明である。カナダ・コンコルディア大学のWalter S. Marcantoni氏らは、TRD患者に対するケタミン静脈内投与が、うつ病スコア、臨床的寛解および奏効率に及ぼす影響を評価し、時間および頻度の両方における有効性について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌2020年12月1日号の報告。  2019年1月4日までに、TRD患者に対する麻酔域下用量で用いたケタミン治療を評価した研究を5つの電子データベースより検索した。研究の選定、品質評価、データ抽出は、2人のレビュアーが独立して実施した。結果は、narrative synthesisで統合した。投与4時間後、24時間後、7日後のアウトカム測定値の標準化平均差およびオッズ比の調査が可能な場合には、変量効果モデルを用いてメタ解析を実施した。

PD-L1陽性TN乳がん1次治療、ペムブロリズマブの上乗せ効果は?(KEYNOTE-355)/Lancet

 未治療の局所再発手術不適応または転移のあるPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比べて、無増悪生存(PFS)期間が有意かつ臨床的意義のある改善を示した。スペイン・Quiron GroupのJavier Cortes氏らによる第III相の国際多施設共同プラセボ対照二重盲検試験「KEYNOTE-355試験」の結果で、Lancet誌2020年12月5日号で発表された。著者は、「今回示された結果は、転移のあるトリプルネガティブ乳がんの1次治療について、標準治療へのペムブロリズマブ上乗せの意義を示すものである」と述べている。先行研究で同患者へのペムブロリズマブ単剤療法が、持続的な抗腫瘍活性と管理可能な安全性を示しており、研究グループは、同患者へのペムブロリズマブの上乗せが、化学療法の抗腫瘍活性を増強するかを検討した。

Pfizer社の新型コロナワクチンの第III相試験結果/NEJM

 PfizerとBioNTechによる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「BNT162b2」について、16歳以上における30μgの2回投与の有効率は95%で、同有効率は年齢や性別、基礎疾患の有無といったサブグループでも同程度であった。また、中央値2ヵ月間の安全性は、その他のウイルスワクチンと類似していた。アルゼンチン・Fundacion INFANTのFernando P. Polack氏らによる、進行中の第II/III相国際共同プラセボ対照観察者盲検化pivotal有効性試験の結果で、NEJM誌オンライン版2020年12月10日号で発表した。BNT162b2は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のfull-lengthスパイクタンパク質をコードする脂質ナノ粒子製剤・修飾ヌクレオシドmRNAワクチンである。

早期TN乳がんの術前化療+アテゾリズマブにおける患者報告アウトカム(IMpassion031)/SABCS2020

 未治療の早期トリプルネガティブ(TN)乳がんの術前化学療法に、免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブの追加を検討したIMpassion031試験における患者報告アウトカムの解析結果が報告された。米国・Brigham and Women's Hospital Dana-Farber Cancer InstituteのElizabeth A. Mittendorf氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。  本試験では、18歳以上で未治療のStageII~IIIのTN乳がん患者333例を、アテゾリズマブ(840mg、2週ごと)+nab-パクリタキセル(アテゾリズマブ群)またはプラセボ+nab-パクリタキセル(プラセボ群)に1対1で無作為に割り付けた。12週間(3サイクル)投与後、ドキソルビシン+シクロホスファミド(AC)との併用で8週間(2サイクル)投与し、手術を実施した。術後、アテゾリズマブ群はアテゾリズマブ(1,200mg、3週ごと)を11回投与し、プラセボ群は経過観察を行った。主要評価項目の病理学的完全奏効(pCR)率については、PD-L1の有無にかかわらず、アテゾリズマブ群が57.6%とプラセボ群41.1%に比べて有意に改善(p=0.0044)したことがすでに報告されている。

なぜ・どうやって患者に禁煙をすすめるか?/日本肺癌学会

 11月に行われた第61回日本肺癌学会学術集会では、「禁煙を通して肺がん撲滅をめざす」と題したシンポジウムが行われ、この中で岡山済生会総合病院 がん化学療法センター長の川井 治之氏が「呼吸器内科医はなぜ・どうやって患者に禁煙をすすめているのか」と題した講演を行った。  冒頭に川井氏は、患者に禁煙を薦める理由として  1)喫煙は多くの呼吸器疾患の原因や悪化因子となる  2)がん治療への悪影響がある  3)がん治療後の2次(原発)がんの発生要因となる  という基本事項を確認した。

冬の健康管理は3つのキープ(3K)に注目

 2020年11月18日(水)に大塚製薬株式会社より発行された、冬の健康管理についての最新情報に関するニュースレターで、「距離」「衛生」「体内の水分」の3つのキープ(3K)が冬の健康管理の新習慣として重要であること、体内の水分はイオン飲料での補給が効果的であることなどが紹介された。  その中で、東京女子医科大学 呼吸器内科学教授の多賀谷 悦子氏は「線毛輸送機能を維持し、ウイルス感染を防ぐには水分補給が重要となる。乾燥しやすい冬に効率のよい水分補給として、水分保持率の高いイオン飲料が有用である」と述べている。

青年期のSNS利用と抑うつや不安症状との関連

 青年期や幼年期後期におけるソーシャルネットワーク(SNS)利用は、急激に増加している。このような変化によるメンタルヘルスへの影響は議論されているが、さらなる経験的評価が求められる。オーストラリア・メルボルン大学のLisa K. Mundy氏らは、青年期のSNS利用と抑うつ症状、不安症状との関連について調査を行った。Depression and Anxiety誌オンライン版2020年11月22日号の報告。  Childhood to Adolescence Transition Studyのデータ(1,156例)を利用し、11.9~14.8歳の4つの時点でのSNS利用時間を毎年測定した。1日1時間以上のSNS利用を、利用率が高いと定義した。SNS利用と抑うつ症状、不安症状との横断的および将来的な関連を調査した。

ロルラチニブ、進行ALK陽性NSCLCの1次治療で有効/NEJM

 未治療の進行未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の患者では、ロルラチニブの投与はクリゾチニブと比較して、無増悪生存(PFS)期間が有意に延長し頭蓋内奏効の割合が優れるが、Grade3または4の有害事象(主に脂質値の異常)の発生頻度は高いことが、米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAlice T. Shaw氏らが行った「CROWN試験」の中間解析で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年11月19日号で報告された。ロルラチニブは第3世代のALK阻害薬で、血液脳関門を通過して中枢神経系に到達するようデザインされており、第Iおよび第II相試験では、第1・第2世代ALK阻害薬による治療が失敗した患者において強力な抗腫瘍活性が確認されている。第1世代ALK阻害薬クリゾチニブは、本試験開始時の標準的な1次治療薬であった。

認知機能の改善作用を示したビフィズス菌株とは?

 脳と腸が自律神経などを通じて強く関連し、その状態に影響を及ぼしあう脳腸相関がいわれるようになって久しく、腸内細菌が認知症に関連するとの報告も多いが、因果関係の証明にはいたっていない。今回、2本の二重盲検無作為化比較試験を経て、ビフィズス菌MCC1274摂取による認知機能の維持・改善作用が示唆された。2020年11月24日、「ビフィズス菌MCC1274の認知機能改善作用とその可能性」と題したメディアセミナー(主催:森永乳業)が開催され、佐治 直樹氏(国立長寿医療研究センター もの忘れセンター)、清水 金忠氏(森永乳業株式会社研究本部 基礎研究所)、新井 平伊氏(アルツクリニック東京)が登壇し、試験の概要や関連研究、今後の展望について講演した。

再発スコアの低いリンパ節転移陽性閉経後早期乳がん、術後化学療法は回避可能か(RxPonder)/SABCS2020

 リンパ節転移1~3個でオンコタイプDX乳がん再発スコアが0~25の閉経後早期乳がん患者において、術後内分泌療法への化学療法追加のベネフィットが認められなかったことが、RxPonder試験(SWOG S1007)の中間解析で示された。米国・エモリー大学のKevin Kalinsky氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2020)で発表した。RxPonder試験は、米国国立がん研究所(NCI)の支援でSWOG Cancer Research Networkが主導している前向き無作為化第III相試験。

統合失調症治療におけるパリペリドン戦略の展望

 2020年10月22日(木)にヤンセンファーマ主催による、持続性抗精神病剤パリペリドンパルミチン酸エステル(商品名:ゼプリオンTRI)の製造販売承認メディアセミナーが開催され、統合失調症治療薬の安全性情報や統合失調症治療におけるパリペリドン戦略の展望、持効性注射剤の適正使用推進について語られた。  同社の研究開発本部クリニカルサイエンス統括部統括部長を務める藤野 忠弘氏は、「ゼプリオンTRIは国内で承認された最長の投与間隔となる注射剤であり、服薬負担を軽減し、社会復帰のために確実に治療を行うメリットがある。一方で副作用発現時に急な中止ができないため、適切な患者さんを選択し適正使用を図ることが重要となる」と述べた。