日本語でわかる最新の海外医学論文|page:235

ファイザーのコロナワクチン、インフルワクチンと同時接種の有効性は?

 ファイザーの新型コロナワクチン(BA.4/5対応2価)と季節性インフルエンザワクチンを同時に接種した場合、別々に接種した場合と比べて有効性に差があるかを、米国の18歳以上の約344万人を対象に、米国・ファイザー社のLeah J. McGrath氏らの研究グループが調査した。その結果、コロナワクチンとインフルワクチンの同時接種は、それぞれ単独で接種した場合と比較して同等の有効性があることが示された。JAMA Network Open誌2023年11月8日号に掲載。  本研究では、2022年8月31日~2023年1月30日に、ファイザーの新型コロナワクチン(BA.4/5対応2価)のみ、インフルワクチンのみ、または両方を同日接種した、米国の民間医療保険に加入している18歳以上の344万2,996人を対象に、後ろ向き比較試験を実施した。1価ワクチンまたは他社の新型コロナワクチン接種者は除外した。65歳以上は、強化型インフルワクチン接種者のみを対象とした。主な転帰および評価基準は、COVID-19関連およびインフルエンザ関連の入院、救急(ED)や緊急診療(UC)の受診、および外来受診とした。ワクチン接種群間の残存バイアスを検出するため、尿路感染と不慮の傷害の2つのネガティブコントロールアウトカム(NCO)を評価した。

マクロ地中海食、乳がんの再発予防効果なし?

 いくつかの前向き研究で、食事の質の向上が乳がん患者の生存率改善と関連することが示唆されているが、乳がん特異的死亡率への影響については定まっていない。今回、イタリア・Fondazione Istituto Nazionale TumoriのFranco Berrino氏らがマクロ地中海食(地中海食に味噌や豆腐などの日本由来のマクロビオティックを取り入れた食事)による乳がん再発抑制効果を無作為化比較試験(DIANA-5試験)で検討したところ、再発抑制効果は示されなかった。しかしながら、推奨される食事の順守度による解析では、推奨された食事への変化率が上位3分位の女性では有意に予後が良好だったという。Clinical Cancer Research誌オンライン版2023年10月17日号に掲載。

進行胸膜中皮腫、化学療法+ペムブロリズマブでOS延長/Lancet

 進行性胸膜中皮腫患者の治療において、標準治療的化学療法のプラチナ+ペメトレキセドへのペムブロリズマブの上乗せは、忍容性は良好で、全生存(OS)を有意に改善した。カナダ・Cross Cancer InstituteのQuincy Chu氏らが、カナダ、イタリア、フランスの51病院で、440例を対象に行われた第III相の国際非盲検無作為化試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は「本レジメンは、未治療の進行性胸膜中皮腫に対する新たな治療選択肢である」と述べている。Lancet誌オンライン版2023年11月3日号掲載の報告。

乳がん放射線療法の有効性、1980年代以前vs.以降/Lancet

 放射線治療は1980年代以降、よりターゲットを絞れるようになり、安全性と有効性が改善されている。英国・オックスフォード大学のCarolyn Taylor氏らEarly Breast Cancer Trialists' Collaborative Group(EBCTCG)は、1980年代以前と以後に行われた乳がん患者に対する局所リンパ節放射線療法の無作為化試験における有効性を評価し、1980年代以降に行われた試験では、乳がんの死亡率および全死因死亡率が有意に低下していたが、1980年代以前の試験では有意な低下はみられなかったことを示した。Lancet誌オンライン版2023年11月3日号掲載の報告。

妊娠糖尿病に対する早期のメトホルミン投与の効果(解説:小川大輔氏)

日本においてメトホルミンは「妊婦または妊娠している可能性のある女性」への投与は禁忌となっている。一方、海外ではメトホルミンは妊娠糖尿病に使用可能である。今回、妊娠糖尿病患者を対象に、妊娠早期からメトホルミン治療を開始する試験の結果がJAMA誌に発表された。この試験はアイルランドの2ヵ所の医療機関で、妊娠28週以前に妊娠糖尿病と診断された被験者を登録して実施された二重盲検無作為化試験である。被験者510人(妊娠535件)を対象として、メトホルミンを投与する群(メトホルミン群)と、プラセボを投与する群(プラセボ群)に、1対1の割合で無作為に割り付けられた。

妊婦禁忌のコロナ治療薬は慎重に処方・調剤を、5団体が合同声明文を発表

 妊婦にとって禁忌とされる新型コロナウイルス感染症の治療薬が処方・調剤され、その後に患者が妊娠していることが判明した事例が多数報告されていることから、11月14日付で、日本感染症学会、日本化学療法学会、日本産科婦人科学会、日本医師会、日本薬剤師会の5団体は、診療に携わる医療関係者および治療を受ける女性患者のそれぞれに向けて合同声明文を発表した。  現在承認されている経口コロナ治療薬は、モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)、エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)、ニルマトレビル・リトナビル(商品名:パキロビッドパック)である。そのうち、モルヌピラビルとエンシトレルビルは、動物実験で催奇形性や胚・胎児致死などが認められているため、妊婦または妊娠している可能性のある女性への投与が禁忌となっている。

EGFR陽性NSCLC、オシメルチニブ+化学療法で脳転移巣の病勢進行リスクを42%低下(FLAURA2)/AZ

 アストラゼネカは2023年11月1日付のプレスリリースにて、第III相FLAURA2試験の探索的解析において、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)と化学療法の併用療法はオシメルチニブ単剤療法と比較して、ベースライン時に脳転移を有していたEGFR遺伝子変異陽性の転移のある進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者(本臨床試験に参加した患者の40%)における中枢神経系(CNS)の無増悪生存期間(PFS)を42%改善したと発表した。本結果は、10月21日にスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告された。

赤ワインやコーヒーがコロナ重症化リスクを増大

 いくつかの食習慣と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染感受性や入院・重症化リスクとの間には因果関係があり、とくに赤ワイン摂取は入院と重症化のいずれのリスクも有意に増大させることが、中国・Yantai Yuhuangding HospitalのXiaoping Li氏らのメンデルランダム化研究により明らかになった。British Journal of Nutrition誌オンライン版2023年11月6日号掲載の報告。  食習慣とCOVID-19リスクとの関連は数多くの観察研究によって報告されている。しかし、交絡変数や研究の限界のためその関連はまだ不明確であり、より厳密なデザインの研究が求められていた。そこで研究グループは、メンデルランダム化研究を実施し、食習慣とCOVID-19の感受性、入院・重症度の関連を推定した。解析は逆分散加重法を主要な方法として用い、オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。

早期アルツハイマー病患者のQOLに対するレカネマブの有用性~第III相試験

 レカネマブは、アミロイドβプロトフィブリルに高い親和性を示すヒト化IgG1モノクローナル抗体である。第III相試験において、レカネマブは早期アルツハイマー病のアミロイドマーカーを減少させ、18ヵ月時点での認知および機能の臨床的エンドポイントの低下を軽減することが示唆されている。カナダ・Toronto Memory ProgramのSharon Cohen氏らは、Clarity AD試験での健康関連QOL(HRQoL)の結果について、評価を行った。その結果、レカネマブは、HRQoLの相対的な維持および介護者の負担軽減と関連しており、さまざまなQOL尺度においてベネフィットが確認された。The Journal of Prevention of Alzheimer's Disease誌2023年号の報告。

HER2陽性転移のある乳がんの1次治療、pyrotinib併用でPFS改善/BMJ

 未治療のHER2陽性転移のある乳がんの治療において、pyrotinib(不可逆汎HERチロシンキナーゼ阻害薬)+トラスツズマブ+ドセタキセルは、プラセボ+トラスツズマブ+ドセタキセルと比較して、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、毒性は管理可能であることが、中国医学科学院北京協和医学院癌研究所のFei Ma氏らが実施した「PHILA試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年10月31日号で報告された。   PHILA試験は、中国の40施設で実施した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年5月~2022年1月に患者のスクリーニングを行った(中国・Jiangsu Hengrui Pharmaceuticalsなどの助成を受けた)。

ネモリズマブ、結節性痒疹のそう痒・皮膚病変を改善/NEJM

 ネモリズマブ単剤療法はプラセボとの比較において、結節性痒疹のそう痒と皮膚病変を有意に改善したことが、海外第III相二重盲検無作為化比較試験「OLYMPIA 2試験」で示された。結節性痒疹は、慢性の神経免疫疾患であり、重度のそう痒を伴い疾病負荷が大きいとされる。ネモリズマブは、インターロイキン(IL)-31受容体αを標的としたモノクローナル抗体で、結節性痒疹の発症に重要な経路を阻害する。第II相試験では、IL-31を介したシグナル伝達を阻害し、そう痒と皮膚病変の改善、Th2細胞(IL-13)とTh17細胞(IL-17)を介した免疫応答を抑制することが示されていた。本結果は、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のShawn G. Kwatra氏らによって、NEJM誌2023年10月26日号で報告された。

毎年9%死亡者が増加する人獣共通感染症の行方/ギンコ・バイオワークス

 古くはスペイン風邪、近年では新型コロナウイルス感染症のように、歴史的にみると世界的に流行する人獣共通感染症の人への感染頻度が、今後も増加することが予想されている。そして、これらは現代の感染症のほとんどの原因となっている。人獣共通感染症の人への感染の歴史的傾向を明らかにすることは、将来予想される感染症の頻度や重症度に関する洞察に資するが、過去の疫学データは断片的であり分析が困難である。そこで米国・カルフォルニア州のバイオベンチャー企業ギンコ・バイオワークス社のAmanda Meadows氏らの研究グループは、広範な疫学データベースを活用し、人獣共通感染症による動物から人に感染する重大な事象(波及事象)の特定のサブセットについて、アウトブレイクの年間発生頻度と重症度の傾向を分析した。その結果、波及事象の発生数は毎年約5%、死亡数は毎年約9%増加する可能性を報告した。BMJ Glob Health誌2023年11月8日号に掲載。

コーヒーの砂糖とミルク、肥満に関連するのは?

 コーヒー摂取と体重増減、疾患リスクとの関連を調査した研究は多いが、新たにカフェイン摂取量に加え、砂糖・ミルクの添加が体重増減と関連するかを調べた研究結果がThe American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2023年10月1日号に掲載された。  研究者らは、米国の3つの大規模前向きコホートNurses' Health Study(1986~2010年)、Nurses' Health Study II(1991~2015年)、Health Professional Follow-up Study(1991~2014年)を用いた。砂糖、クリーム、非乳製品コーヒークリームの添加を考慮したうえで、コーヒー消費量、カフェイン摂取量と体重変化との関連を調べた。また、コーヒー以外の飲料や食品に砂糖を加えることと体重変化との関連、それがカフェインやコーヒー摂取量と関連しているかについても検討した。

小児・青年のうつ病に有用な運動介入とは~メタ解析

 中国・浙江師範大学のJiayu Li氏らは、小児および青年の抑うつ症状に対するさまざまな運動介入効果について評価を行った。その結果、運動介入は、小児および青年の抑うつ症状を有意に改善することが明らかとなった。とくに、有酸素運動が効果的であり、週3回、40~50分の運動介入を12週間行うとさらに有効であることが示唆された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2023年10月11日号の報告。  2023年5月までに公表されたランダム化比較試験(RCT)を4つのデータベースで検索した。バイアスリスクの評価には、Cochrane collaboration toolを用いた。ペアワイズメタ解析、ネットワークメタ解析には、Stata 16.0ソフトウェアを用いた。

胃がん/食道胃接合部がん、デュルバルマブ上乗せでpCR改善(MATTERHORN)/AZ

 アストラゼネカは2023年11月1日付のプレスリリースにて、切除可能な局所進行(StageII、III、IVA)胃がん/食道胃接合部がん患者を対象とした、術前補助化学療法への抗PD-L1抗体デュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)上乗せを検証したMATTERHORN 試験の中間解析結果において、病理学的完全奏効(pCR)の改善が示されたと発表した。本結果は、10月20日にスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告された。 ・対象:切除可能なStageII~IVAの胃がん/食道胃接合部がん ・試験群: デュルバルマブ1,500mg+化学療法(FLOT:フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン、ドセタキセル)、4週ごと2サイクル→手術→デュルバルマブ1,500mg、4週ごと最大12サイクル(FLOTによる化学療法2サイクルを含む)

急性感染症での安全性、CFPM vs.TAZ/PIPC/JAMA

 先行研究でセフェピム(CFPM)は神経機能障害を、タゾバクタム・ピペラシリン(TAZ/PIPC)は急性腎障害を引き起こす可能性が指摘されている。米国・ヴァンダービルト大学医療センターのEdward T. Qian氏らは「ACORN試験」において、急性感染症で入院した成人患者を対象に、これら2つの抗菌薬が神経機能障害または急性腎障害のリスクに及ぼす影響を評価し、タゾバクタム・ピペラシリンは急性腎障害および死亡のリスクを増加させなかったが、神経機能障害のリスクはセフェピムのほうが高かったことを報告した。研究の成果は、JAMA誌2023年10月24・31日の合併号に掲載された。

脂質低下療法の効果にストロングスタチン間の違いはあるのか?(解説:平山篤志氏)

動脈硬化性疾患の2次予防にLDL-コレステロール(LCL-C)低下の重要性が明らかにされているが、ガイドラインにより、LDL-Cの管理目標値を達成するアプローチ(Treat to Target)と目標値を設定せず病態に応じたスタチンを投与するアプローチ(Fire and Forget)がある。韓国で行われたLODESTAR試験は、この2種のアプローチでOutcomeが異なるかを検討した試験で、すでに報告されたように管理目標値を達成できれば両者に優劣はなかった。本試験ではさらに、エントリーされた患者はTreat to Target群とFire and Forget群に分けられると同時に、2種のストロングスタチン、すなわちロスバスタチン群とアトルバスタチン群に割り付けられ、今回はスタチンの相違についての検討が報告された。

抗精神病薬関連の流涎症に対する薬理学的介入~メタ解析

 抗精神病薬に関連する流涎症は大きな問題の1つであるが、エビデンスベースの治療ガイダンスは不十分である。イタリア・フェデリコ2世ナポリ大学のMichele Fornaro氏らは、抗精神病薬関連の流涎症に対する薬理学的介入について、ネットワークメタ解析を実施した。Molecular Psychiatry誌オンライン版2023年10月11日号の報告。  成人患者を対象とした抗精神病薬誘発性流涎症に関するRCT研究(公開/非公開)をPubMed Central、PsycInfo、Cochrane Central database、Clinicaltrials.gov、WHO-ICTRP、中国電子ジャーナルデータベース(Qikan.cqvip.com)で検索した(2023年6月12日まで)。グローバル/ローカルでの不一致、出版バイアス、バイアスリスク(RoB2)、エビデンスの確実性を評価するため、サブグループ/感度分析を行った。主要有効性アウトカムは、唾液産生の変化(標準化平均差:SMD)、研究で定義された治療反応(リスク比:RR)とした。忍容性アウトカムは、すべての原因による中止(RR)をした。薬剤ごとに評価し、作用機序の評価は副次的なものとした。

コロナワクチン、オミクロン初期の東京で850万人の感染を回避/京大

 2022年1~5月には、全世界的に新型コロナウイルス(COVID-19)のオミクロン株BA.1/BA.2が流行していた。京都大学大学院医学研究科の茅野 大志氏と西浦 博氏は、この時期のワクチン接種による集団レベルの影響を、全国でも比較的完全な接種歴データを有する東京都のデータを用いて評価した。その結果、ワクチン接種により約64万人の感染が直接回避され、集団接種による間接的な効果も含めると約850万人の感染が回避され、ワクチン接種しなかった場合と比較すると65%の感染を減少したと推定された。BMC Infectious Diseases誌2023年10月31日号に掲載の報告。

十人十色の症状・経過を示す多発性硬化症、改訂GLで疾患修飾薬の使い方を示す/バイオジェン

 多発性硬化症(MS)・視神経脊髄炎スペクトラム障害(NMOSD)の診療環境は、近年大きく変化している。「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017」の公開後、MSにおいては国際的な診断基準が改訂され(McDonald 2017診断基準)、フマル酸ジメチル(商品名:テクフィデラ)、シポニモド(同:メーゼント)、オファツムマブ(同:ケシンプタ)が発売された。それを受けて約6年ぶりの改訂となる「多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン2023」が2023年9月に発刊された。