日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1058

一般中年の早期再分極パターンには要注意、死亡リスク上昇

中年で12誘導心電図検査において早期再分極が見られる人は、心疾患による死亡リスクが高いことが、フィンランドのオウル大学内科臨床医学部門のJani T. Tikkanen氏らによって報告された。早期再分極は、12誘導心電図でV1~V3以外の誘導で見られるQRS-ST接合部(J点)の上昇であり、心房細動が発症しやすいことと関連していると言われる。しかし、一般集団でこのパターンが見られた人の予後については、これまでほとんど検討されていなかった。NEJM誌2009年12月24日号(オンライン版2009年11月16日号)掲載より。

PCI実施の透析患者への禁忌薬剤投与、出血リスクは1.6倍

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を実施する透析患者に対し、禁忌薬剤である抗血栓薬を投与すると、院内出血リスクが約1.6倍に増大することが明らかにされた。米国デンバー退役軍人病院のThomas T. Tsai氏らが、約2万3,000人の透析患者を対象に行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2009年12月9日号で発表した。これまで禁忌薬剤を投与した場合のアウトカムなどについての研究報告はほとんど行われていない。

病院パフォーマンスレポート、導入による医療の質改善効果は不明

病院パフォーマンスレポートを導入しても、医療の質改善につながるかどうかは不明であることが無作為化試験の結果として報告された。カナダInstitute for Clinical Evaluative SciencesのJack V. Tu氏らが明らかにしたもの。治療過程や患者アウトカムについて、その質に関する成績表であるレポートカード導入と質改善について行った無作為化試験は初めてという。試験結果は、JAMA誌2009年12月2日号(オンライン版2009年11月18日号)で発表された。

子どもの頃のIQと学歴、さらに父親の学歴は寿命と関係するのか?

子どもの頃のIQ、あるいは学業期間は、長生きすること、寿命と関連するのかどうか。また子どもの頃のIQが高く長生きした人の要因が父親の学歴によって説明できるかどうかという研究が、スウェーデン・ストックホルム大学健康資産研究センターのA Lager氏らによって行われ、BMJ誌年末恒例の「クリスマス特集号」(2009年12月19日号)で発表されている。

見た目年齢でわかる老化と寿命?

見た目年齢――臨床家が患者の健康状態を測る指標として一般的に広く用いている――は、身体・認知機能および老化の分子レベルの表現型と相関しており、老化の強力なバイオマーカーであり、70歳以上の人の寿命を予測しうることが明らかになったとする報告が、BMJ誌年末恒例の「クリスマス特集号」(2009年12月19日号)で発表された。南デンマーク大学公衆衛生研究所デンマーク双生児登録・老化研究センターのKaare Christensen氏らが、70歳以上の双生児1,800組余を対象に行ったコホート研究による。

新型インフル発生後3ヵ月、メキシコの経験から見えるもの

2009年4月23日、世界で最初にインフルエンザA H1N1感染例を報告したメキシコでは、発生後3ヵ月の7月31日までに6,945例がH1N1に感染し、入院患者は475例、死亡例は63例であり、季節性インフルエンザワクチン接種例で感染リスクが低かったことなどが、メキシコ社会保障研究所(IMSS)のSantiago Echevarría-Zuno氏らの調査でわかった。その後、9月27日までに世界で4,100例以上がH1N1感染が原因で死亡し、そのうち3,020例がアメリカ大陸諸国の患者であり、メキシコからは146例の死亡が報告されている。これは、当初の予想を超えた死亡例数であったという。Lancet誌2009年12月19/26日合併号(オンライン版2009年11月12日号)掲載の報告。

ホルモン受容体陽性閉経後乳がん、新たな術後補助療法が確立

ホルモン受容体陽性、リンパ節転移陽性の閉経後乳がんに対する術後補助療法では、化学療法施行後に逐次的にタモキシフェン(TAM、商品名:ノルバデックスなど)を5年間投与する方法が、TAMのみを投与する治療法よりも良好な予後をもたらすことが、アメリカLoyola大学のKathy S Albain氏らBreast Cancer Intergroup of North Americaの研究グループが実施した第III相試験で明らかとなった。TAMはホルモン受容体陽性閉経後乳がんに対する術後補助療法のgold standardであり、化学療法との併用療法は理論的には有望視されていたもののコンセンサスが得られていなかった。最近のメタ解析において、術後TAM+化学療法は閉経前乳がんでは大きな生存べネフィットが示されたが、閉経後乳がんにおける有用性は境界域にとどまったという。Lancet誌2009年12月19/26日合併号(オンライン版2009年12月10日号)掲載の報告。

ヒト化抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体「ACTEMRA」が米国で承認を取得

中外製薬株式会社とF.ホフマン・ラ・ロシュ社[本社:スイスバーゼル市/CEO:セヴリン・シュヴァン](以下、ロシュ社)は9日、、ヒト化抗ヒトIL-6 レセプターモノクローナル抗体「ACTEMRA」(一般名:トシリズマブ〔遺伝子組換え〕)に関して、1剤以上のTNF阻害剤の効果が不十分な中等度から重症の成人の関節リウマチ(RA)を適応症として米国食品医薬品局より承認を取得したと発表した。ACTEMRAは中外製薬と大阪大学の共同研究の成果であり、米国では抗インターロイキン-6(IL-6)レセプターモノクローナル抗体として初めてRAを効能・効果として承認され、単剤もしくは、メトトレキサート(MTX)または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)との併用で使用できることになる。

2009新型インフルワクチンの有効性:細胞培養ワクチン

ノバルティス製造の細胞培養による2009新型インフル用のワクチン、MF59アジュバント添加ワクチンの忍容性と免疫原性について行われた臨床試験の結果が、英国レスター大学病院Tristan W. Clark氏らによって発表された。試験はレスター大学病院において、18~50歳の成人176例を対象に行われ、1回接種で予防効果があると思われる抗体反応が得られたという。NEJM誌2009年12月17日号(オンライン版2009年9月10日号)より。

2009新型インフルワクチンの有効性:中国製不活化ワクチン

中国・江蘇省疾病管理予防センターのFeng-Cai Zhu氏ら研究グループは、中国国内で最近開発・販売承認された2009新型インフル用の単価不活化ワクチンの安全性と免疫原性について検討した、無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果を発表した。試験は3~77歳の被験者を4つの年齢群に分け行われた。12~60歳では1回接種後(アジュバント非添加15μg)に大多数に十分な免疫応答が得られ、小児(3~11歳)および高齢者(61歳以上)では2回投与の必要性が認められる結果が得られたという。NEJM誌2009年12月17日号(オンライン版2009年10月21日号)より。

20代喫煙者の7割がニコチン依存症 うち半数は10代から喫煙

ファイザー株式会社が1月11日の成人の日を前に行った調査によると、20代の喫煙者の69.7%がニコチン依存症であることがわかった。2008年に、20代以上の全世代の喫煙者9,400人を対象に行った「日本全国のニコチン依存度チェック」で“70.7%がニコチン依存症”と判明したことと比較すると、喫煙年数が比較的短い20代のみを対象にした調査にも関わらず、非常に高い割合であった。

血漿レプチン濃度が高い人ほど、認知症やアルツハイマー病発症リスクは低下

血漿レプチン濃度が高い人は、低い人に比べ、認知症やアルツハイマー病の発症リスクが低く、脳の高齢化の指標となる大脳容積も大きいことが明らかになった。米国ボストン大学神経内科部門のWolfgang Lieb氏ら「Framingham Heart Study」のグループメンバーが、JAMA誌2009年12月16日号で発表した。これまで動物モデルにおいては、レプチンが加齢やアルツハイマー病による記憶機能改善に関係があることが報告されていた。

軽度アルツハイマー病へのtarenflurbil投与、認知機能やADL低下に効果なし:第3相臨床試験

軽度アルツハイマー病に対し、選択的Aβ42低下薬であるtarenflurbilを投与しても、認知機能やADL(日常生活動作)の低下を遅延させる効果は見られないことが、治験第3相の結果、報告された。治験第2相の結果で、その効果の可能性が期待されたが立証することはできなかった。tarenflurbil治験第3相の報告は、米国ボストン大学神経内科部門のRobert C. Green氏らにより、JAMA誌2009年12月16日号で発表された。

開発中の抗癌(がん)剤BIBF 1120およびBIBW 2992の臨床開発プログラムを更に拡大

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は12月17日(現地時間)、臨床開発の後期段階にある2つの抗癌(がん)剤のうちBIBF 1120で、進行卵巣癌を対象とした第III相試験(LUME-Ovar-1試験)を開始すると発表した。本試験では、新規経口血管新生阻害剤BIBF 1120 またはプラセボを標準化学療法に併用した場合の有効性・安全性を比較検討するとのこと。

米国FDA、65 歳以上の年齢層に対する新しい季節性インフルエンザワクチンを承認

仏サノフィ・アベンティス社は12月23日(現地時間)、サノフィ・アベンティスグループ(EURONEXT:SANおよびNYSE:SNY)のワクチン事業部門であるサノフィパスツールが、高用量Fluzoneについての生物製剤一部変更承認申請を、米国食品医薬品局(FDA)から承認されたと発表した。サノフィ・アベンティス株式会社が6日に報告した。

Herceptin 欧州においてHER2陽性の進行性胃がん治療に対する肯定的な見解を受領

スイス・ロシュ社は12月18日(現地時間)、HER2陽性の転移性胃がん(胃または胃食道接合部の転移性腺がん)患者の治療に対する標準的な化学療法とHerceptin(trastuzumab)の併用について、欧州医薬品審査庁(EMEA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)が肯定的な見解を発出したことを発表した。25日、中外製薬株式会社が報告した。