脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

貧血と認知症との関連~コホート研究

 従来の認知症のリスク因子に加えて、貧血がその初期のバイオマーカーであるか確認する必要がある。台湾・台北医学大学のChien-Tai Hong氏らは、台湾全民健康保険研究データベースを用いて、新規に貧血と診断された患者における認知症リスクの調査を目的とした人口ベースコホート研究を実施した。Current Alzheimer Research誌オンライン版2020年3月16日号の報告。  対象は、脳卒中による入院歴および認知症以外の中枢神経疾患・精神疾患・外傷性脳損傷・大手術・失血疾患の既往歴がない貧血患者2万6,343例。

急性期脳梗塞に対する神経保護薬nerinetideの有効性と安全性/Lancet(解説:中川原譲二氏)-1212

nerinetideは、シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD-95)を阻害するエイコサペプチドで、虚血再灌流の前臨床脳梗塞モデルで有効性が確認されている神経保護薬である。この試験では、急性期脳梗塞患者での迅速血管内血栓回収療法(EVT)に随伴する虚血再灌流におけるnerinetideの有効性と安全性を評価する目的で、多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(ESCAPE-NA1)が行われた。対象は、年齢18歳以上、脳主幹動脈閉塞後12時間以内の急性期脳梗塞で、無作為割り付け時に機能障害を伴う脳梗塞がみられ、発症前は地域で自立して活動しており、脳卒中早期CTスコア(ASPECTS)が>4点、多相CT血管造影で中等度~良好な側副路充満が示されている患者であった。

反復性片頭痛の予防に鍼治療が有効/BMJ

 前兆のない反復性片頭痛の予防において、マニュアル鍼治療は偽(sham)鍼治療や通常治療に比べ、片頭痛の発現日数や発作回数を抑制することが、中国・華中科技大学のShabei Xu氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2020年3月26日号に掲載された。片頭痛の予防における鍼治療の有益性に関する臨床的なエビデンスは少ない。最近の臨床試験では、鍼治療は、これを施術しない患者に比べ片頭痛の発現が少ないと報告されている。一方、これまでの鍼治療と偽鍼治療の比較では、わずかな差しか認められていないという。

週5日以上の入浴で脳心血管リスク減少~日本人3万人の前向き調査

 入浴は、血行動態機能を改善することから心血管疾患予防効果があると考えられているが、心血管疾患リスクへの長期的効果を調べた前向き研究はなかった。今回、大阪府立公衆衛生研究所の鵜飼 友彦氏らが中年期の日本人約3万人を追跡調査し、入浴頻度が心血管疾患リスクと逆相関することを報告した。Heart誌オンライン版2020年3月24日号に掲載。  本研究の対象は、心血管疾患またはがんの病歴のない40〜59歳の3万76人で、1990年から2009年まで追跡調査した。参加者を浴槽での入浴の頻度で、0〜2回/週、3〜4回/週、ほぼ毎日の3つに分類した。従来の心血管疾患リスク因子と食事因子を調整後、Cox比例ハザードモデルを用いて心血管疾患発症のハザード比(HR)を推定した。

高齢者における抗認知症薬処方の決定因子

 フランスでは、コリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンなどの抗認知症薬は、効果に議論の余地が残り2011年のガイドラインで推奨されていないにもかかわらず、依然として汎用されている。フランス・パリ・サクレー大学のMathilde Francois氏らは、抗認知症薬処方の決定因子について、評価を行った。Pharmacoepidemiology and Drug Safety誌オンライン版2020年2月17日号の報告。  本研究は、2013年に横断的研究として実施した。対象は、フランスの国民健康保険データベースより特定した65歳以上の認知症患者。年齢、併存疾患、ヘルスケアの利用との相関を予測するため、潜在クラス分析により、まずは患者の健康状態を特定した。

認知症患者の身体的健康の改善に対する介入~メタレビュー

 ベルギー・University Psychiatric Center KU LeuvenのDavy Vancampfort氏らは、認知症患者の身体的健康を対象とした、薬理学的および非薬理学的介入についてのメタ解析を行った。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2020年2月18日号の報告。  検証済みの評価尺度で認知症と診断された患者を対象とした、システマティックレビューとメタ解析を実施した。2019年10月21日までの文献を、主要なデータベースより検索し、エフェクトサイズ(標準平均差[SMD]、Hedges g、リスク比[RR])の比較を行った。

認知症患者のせん妄スクリーニングと死亡率

 せん妄は、高齢者の死亡率増加に関連している。英国内のガイダンスでは、すべての認知症入院患者に対してせん妄スクリーニングが推奨されているが、その検討は行われていなかった。英国・South London and Maudsley NHS Foundation TrustのDavid Codling氏らは、認知症入院患者に対するせん妄スクリーニングの影響について検討を行った。Aging & Mental Health誌オンライン版2020年2月21日号の報告。  第3次認知症全国調査に参加したイングランドおよびウェールズの199施設に入院した1万47例を対象に、データの2次分析を行った。入院中に死亡した認知症患者に関するデータを、生存している患者のデータと比較した。せん妄スクリーニング、認知機能テストを行った患者の死亡率を算出し、せん妄患者では専門医の臨床レビューを行った。

動脈硬化リスクの早期発見、見過ごしがちな値とは/日本動脈硬化学会

 動脈硬化と悪玉コレステロール増加の結びつきをよく知っている患者でも、TG(トリグリセライド、中性脂肪)値の増加は肥満者だけのものと捉えてはいないだろうかー。2020年2月21日、日本動脈硬化学会はプレスセミナー「食後高脂血症と動脈硬化」を開催。増田 大作氏(りんくうウェルネスケア研究センター センター長)が「食後高脂血症」について、矢作 直也氏(筑波大学医学医療系 准教授)が「糖尿病と動脈硬化」について講演した。

アルツハイマー病の認知機能やBPSDに対するスギの香りの影響

 秋田大学の高橋 裕哉氏らは、嗅覚神経刺激によりアルツハイマー病(AD)患者の認知症状が改善するかについて、検討を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2020年2月9日号の報告。嗅覚機能障害のないAD患者を抽出するため、スティック型嗅覚同定能力検査を実施した。次に、これらの患者を介入群(19例)と対照群(17例)にランダムに割り付けた。嗅覚神経刺激の効果を評価するため、介入群には、スギからのアロマ成分を添加した消毒エタノールを用い、

視力と認知症との関係

 視力の低下と認知症リスクとの関連を調査した縦断的エビデンスの結果は一致していない。香港中文大学のAllen T. C. Lee氏らは、誤分類、逆因果関係、健康上の問題や行動による交絡因子に関連するバイアスとは無関係に、高齢者の大規模なコミュニティーコホートにおける視力低下と認知症発症率との関連を調査した。The Journals of Gerontology誌Series Aオンライン版2020年2月11日号の報告。  ベースライン時に認知症でない地域在住高齢者1万5,576例を対象に、認知症発症について6年間フォローアップを行った。認知症診断は、ICD-10または臨床的認知症尺度(CDR)1~3に従って実施した。ベースラインおよびフォローアップ時の視力評価には、スネレン視力表を用いた。人口統計(年齢、性別、教育、社会経済的地位)、身体的および精神医学的併存疾患(心血管リスク、眼科的状態、聴覚障害、運動不足、うつ病)、ライフスタイル(喫煙、食事、身体活動、知的活動、社会活動)についても評価した。