脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:53

日本におけるアルツハイマー病に伴う経済的負担

 アルツハイマー病は、日本における介護の主要な原因の1つである。国際医療福祉大学の池田 俊也氏らは、65歳以上の日本のアルツハイマー病患者を対象に、2018年度の年間医療費や介護費、さらに家族による個人的な介護ケアの費用や生産性の損失がどの程度かについて調査を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2021年3月23日号の報告。  文献レビューによるレポートを用いて、臨床的認知症尺度(CDR)スコアにより疾患重症度で分類したうえで、アルツハイマー病の医療費と介護費を推定した。介護に費やされた時間的コストは、20~69歳のアルツハイマー病家族の介護による生産性の損失とすべての個人的な介護ケアの費用として算出した。

J&J新型コロナワクチンによる脳静脈洞血栓症例、初期症状に頭痛/JAMA

 米国で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン「Ad26.COV2.S COVID-19」(Janssen/Johnson & Johnson製)を接種後、血小板減少症を伴う脳静脈洞血栓症(CVST)という深刻なイベントを呈した当初の12例について、その臨床経過や検査結果、臨床アウトカムが報告された。米国疾病予防管理センター(CDC)のIsaac See氏らが、ワクチン有害事象報告制度(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)の報告書などを基にケースシリーズを行い明らかにしたもので、12例は年齢18~60歳未満で、全員が白人女性、接種から発症までの期間は6~15日で、11例の初期症状が頭痛だった。調査時点で、3例が死亡している。Ad26.COV2.Sワクチンは、2021年2月、米国食品医薬品局(FDA)から緊急使用許可を得て、4月12日までに約700万回が接種された。そのうち6例で、血小板減少症を伴うCVSTが確認されたことを受け、4月13日に接種が一時的に中止されている。JAMA誌オンライン版2021年4月30日号掲載の報告。

片頭痛に対する抗CGRPモノクローナル抗体の有効性と安全性~メタ解析

 片頭痛に対して、いくつかの抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)モノクローナル抗体が承認されているが、どの抗CGRPモノクローナル抗体が最適なのかについては、よくわかっていない。中国・四川大学のXing Wang氏らは、片頭痛成人患者に対するCGRPまたはCGRP受容体に作用する各モノクローナル抗体の有効性および安全性を比較するため、ランダム化比較試験のネットワークメタ解析を実施した。Frontiers in Pharmacology誌2021年3月25日号の報告。

経口rimegepantに片頭痛の予防治療効果を確認/Lancet(解説:中川原譲二氏)-1387

経口カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体拮抗薬rimegepantは、すでに急性期治療における有効性と安全性が確認されているが、著者らは新たに、片頭痛の予防治療におけるrimegepantの有効性を検討した。片頭痛の予防治療におけるrimegepantの有効性の評価を目的とする多施設二重盲検プラセボ対照無作為化第II/III相試験が、米国の92施設で行われた。対象は、1年以上持続する片頭痛を有する成人が登録された。被験者は、4週間の観察期の後、経口rimegepant 75mg、またはプラセボを隔日投与する群に無作為に割り付けられた(12週間の治療期)。

RAAS系阻害薬と認知症リスク~メタ解析

 イタリア・東ピエモンテ大学のLorenza Scotti氏らは、すべてのRAAS系阻害薬(ARB、ACE阻害薬)と認知症発症(任意の認知症、アルツハイマー病、血管性認知症)との関連を調査するため、メタ解析を実施した。Pharmacological Research誌2021年4月号の報告。  MEDLINEをシステマティックに検索し、2020年9月30日までに公表された観察研究の特定を行い、RAAS系阻害薬と認知症リスクとの関連を評価した。ARB、ACE阻害薬と他の降圧薬(対照群)による認知症発症リスクを調査または関連性の推定値と相対的な変動性を測定した研究を抽出した。研究数および研究間の不均一性に応じて、DerSimonian and Laird法またはHartung Knapp Sidik Jonkman法に従い、ランダム効果プール相対リスク(pRR)および95%信頼区間(CI)を算出した。同一研究からの関連推定値の相関を考慮し、線形混合メタ回帰モデルを用いて検討した。

片頭痛予防のための抗CGRPモノクローナル抗体による治療のベネフィット

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体モノクローナル抗体(抗CGRP抗体)は、反復性および慢性の片頭痛の予防に対するランダム化比較試験において有効性が示されているが、現在確立されている治療方法と直接比較した研究は行われていない。ギリシャ・General Hospital of AigioのKonstantina Drellia氏らは、反復性片頭痛の予防に対する抗CGRP抗体、トピラマート、プロプラノロールおよび慢性片頭痛の予防に対する抗CGRP抗体、トピラマート、onabotulinumtoxinAのベネフィット・リスク比の違いについて検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年2月10日号の報告。

コリンエステラーゼ阻害薬で治療した認知症高齢者における抗精神病薬の使用~コホート研究

 認知症に関連する行動症状のマネジメントのために抗精神病薬が用いられるが、各コリンエステラーゼ阻害薬(ChEI)と抗精神病薬使用開始との関連に関するエビデンスは不足している。米国・ヒューストン大学のSanika Rege氏らは、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミンで治療された認知症高齢者における抗精神病薬使用開始リスクの比較を行った。Drugs & Aging誌オンライン版2021年3月25日号の報告。  パートA、B、Dを含む2013~15年のメディケアクレームデータを用いて、レトロスペクティブに検討を行った。対象は、認知症と診断された65歳以上の地域在住高齢者。ChEIの新規使用患者を特定し、抗精神病薬の使用開始について最大180日間フォローした。ChEIはドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、抗精神病薬は定型および非定型抗精神病薬を含めた。ドネペジルは、最も一般的に使用されている薬剤であり、アセチルコリンエステラーゼのみに作用することから、参照カテゴリーとして用いた。他のリスク因子で調整した後、3種類のChEIにおける抗精神病薬使用開始リスクと開始までの期間を比較するため、多変量Cox比例ハザード解析を用いた。

レベチラセタムは、全般/分類不能てんかんの第一選択薬か/Lancet

 全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療において、レベチラセタムにはバルプロ酸に匹敵する臨床効果はなく、質調整生存年(QALY)に基づく費用対効果もバルプロ酸のほうが良好であることが、英国・リバプール大学のAnthony Marson氏らが実施した「SANAD II試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2021年4月10日号で報告された。  研究グループは、新たに診断された全般てんかんおよび分類不能てんかんの治療におけるレベチラセタムの長期的な臨床的有効性と費用対効果を、バルプロ酸と比較する目的で、非盲検無作為化第IV相非劣性試験を行った(英国国立健康研究所[NIHR]医療技術評価プログラムの助成による)。

片頭痛に対するeptinezumabの安全性・忍容性

 ヒト化抗CGRPモノクローナル抗体の1つであるeptinezumabは、片頭痛患者を対象とした5つの大規模臨床試験により評価が行われている。米国・StudyMetrix ResearchのTimothy R. Smith氏らは、これらの研究結果を統合分析し、eptinezumabの包括的な安全性および忍容性を評価した。The Journal of Headache and Pain誌2021年3月30日号の報告。  4つのランダム化二重盲検プラセボ対照試験のデータおよび1つのオープンラベル試験における最初の1年間のデータをプールし、分析を行った。  主な結果は以下のとおり。

小児高悪性度神経膠腫への遺伝子組み換えヘルペスウイルスG207、第I相試験結果/NEJM

 小児の再発/進行性高悪性度神経膠腫(HGG)患者において、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)G207の腫瘍内投与単独または放射線療法併用は、忍容性が良好であることが認められた。米国・アラバマ大学バーミングハム校のGregory K. Friedman氏らが、第I相試験の結果を報告した。再発/進行性HGGの小児/青年の予後は不良で、これまでの報告では全生存(OS)期間中央値はわずか5.6ヵ月とされている。G207は、HSV-1を用いた遺伝子組み換え腫瘍溶解性ウイルスで、成人HGG患者の第I相試験で腫瘍内投与と単回放射線照射併用の安全性が確認され、前臨床試験において小児脳腫瘍モデルはG207による腫瘍溶解に高い感受性があることが示されていた。小児HGGは、腫瘍浸潤リンパ球がほとんどない免疫学的に“silent”または“cold”tumorであるが、著者は「G207により、免疫学的に“cold”tumorが“hot”tumorに変わった」とまとめている。NEJM誌オンライン版2021年4月10日号掲載の報告。