脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:51

ATG7変異によるオートファジー障害が神経発達障害の原因?/NEJM

 オートファジー(自食作用)は哺乳類細胞における主要な細胞内分解経路であり、その異常は神経変性からがんまで、複雑なヒトの疾患と広く関連しているが、先天性のオートファジー障害はまれだという。英国・ニューカッスル大学のJack J. Collier氏らは、オートファジーに必須のエフェクター酵素で、既知の機能を持つパラログのないオートファジー関連(ATG7)遺伝子が、著しく減少あるいは完全に欠損した状態で生存している神経発達障害の患者を特定した。NEJM誌2021年6月24日号掲載の報告。  研究グループは、血縁関係のない5つの家族の、運動失調と発育遅延がみられる12例を対象に、遺伝学的解析、臨床的解析および神経画像解析を行い、患者由来の線維芽細胞と骨格筋生検標本、マウス胚性線維芽細胞、酵母を用いて病態の発生機序を検討した(英国・ウェルカム・トラスト・ミトコンドリア研究センターなどの助成による)。

AZ製ワクチン接種後の血栓症の診療の手引き・第2版/日本脳卒中学会・日本血栓止血学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が始まり、全国で一般市民に対しても接種が急速に進んでいる。その一方で、2021年3月以降、アストラゼネカ社アデノウイルスベクターワクチン(商品名:バキスゼブリア)接種後に、異常な血栓性イベントおよび血小板減少症を来すことが報道され、4月に欧州医薬品庁(EMA)は「非常にまれな副反応」として記載すべき病態とした。また、ドイツとノルウェー、イギリスなどからもバキスゼブリア接種後に生じた血栓症のケースシリーズが相次いで報告され、ワクチン接種後の副反応として血小板減少を伴う血栓症が問題となった。この血栓症は、ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)と類似した病態と捉えられ、VITTやVIPITという名称が用いられた(本手引きでは血小板減少症を伴う血栓症[TTS]を用いる)が、本症の医学的に適切な名称についてはいまだ議論があるところである。

片頭痛日数減少に対する抗CGRP抗体の有効性~ネットワークメタ解析

 2016年のGlobal burden of disease研究によると、片頭痛は世界の一般的な疾患の第6位にランキングされており、重大な社会的および経済的な影響を及ぼす。エジプト・Fayoum UniversityのAhmed Taher Masoud氏らは、片頭痛に対する潜在的な薬理学的アプローチとしてのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体遮断薬の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌オンライン版2021年5月21日号の報告。

片頭痛の急性期治療、オピオイドは有効性示されず/JAMA

 片頭痛の急性期治療において、トリプタン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、アセトアミノフェン、ジヒドロエルゴタミン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗薬、lasmiditan(5-HT1F受容体作動薬)による薬物療法のほか、いくつかの非薬物療法は、痛みや機能の改善をもたらすが、これらを支持するエビデンスの強さ(SOE)にはばらつきがみられ、オピオイドなど他の多くの介入のエビデンスには限界があることが、米国・メイヨークリニックのJuliana H. VanderPluym氏らの調査で示された。著者は、「現行のガイドラインでは、片頭痛の急性期治療にオピオイドやブタルビタール含有配合薬は推奨されていないが、オピオイドはさまざまな病態の急性期患者に頻繁に処方されている。今回の解析では、オピオイドは全般にSOEが低いか不十分であり、他の治療法やプラセボに比べ有害事象の割合が高いことが示された。したがって、現行のガイドラインのオピオイド非推奨に変更はない」と述べている。JAMA誌2021年6月15日号掲載の報告。

これから「プラグマティックトライアル」が増える?(解説:後藤信哉氏)-1408

臨床的仮説の検証にはランダム化比較試験による有効性、安全性の検証が必須というのが現在のルールである。巨額の利潤を期待できる新薬の認可承認、適応拡大が目的であれば日常臨床とは若干異なる条件におけるランダム化比較試験も可能である。しかし、循環器領域では標準治療が進歩して革新的新薬の認可承認、適応拡大を目指したランダム化比較試験の数は減少している。科学雑誌の発刊とはいえビジネスである。ランダム化比較試験が減少した時代でも臨床論文を発表して、多く引用されなければ雑誌の未来はなくなってしまう。臨床試験のコストを下げつつ、質を担保する工夫が必要となる。

日本人CVD高齢者のMCI検出に対するRDST-Jの有用性

 心血管疾患(CVD)を有する高齢者では、認知機能低下が認められることが多く、このことでセルフマネジメント能力を低下させる可能性がある。しかし、軽度認知障害(MCI)を鑑別するための方法は、臨床現場で常に実行可能であるとは限らない。名古屋大学の足立 拓史氏らは、認知症の認知機能低下を簡易的に判定する検査ツールRapid Dementia Screening Test日本語版(RDST-J)を用いることで、MCI検出が可能かを評価した。Journal of Geriatric Cardiology誌2021年4月28日号の報告。

中等~重症片頭痛へのeptinezumab、投与後4時間で症状消失/JAMA

 中等度~重度片頭痛の発症後1~6時間でのeptinezumab静脈投与は、プラセボと比較して頭痛消失までの時間を大幅に短縮したことが、米国・Palm Beach Headache CenterのPaul K. Winner氏らが、480例を対象に行った第III相無作為化試験の結果、示された。同消失までの時間中央値は、プラセボ群が9時間に対し、eptinezumab群ではその半分以下の4時間だった。吐き気や羞明など最も気になる症状の消失までの時間も、eptinezumab群で有意に短縮したという。eptinezumab静脈投与は、成人の片頭痛への予防投与が同国で承認されており、投与後1日目の予防効果が確立されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「発作中への投与の可能性および代替治療との比較が残された課題である」と述べている。JAMA誌2021年6月15日号掲載の報告。

コロナワクチンで注目される有害事象、ワクチンなしでの発生率は?/BMJ

 新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン関連の、とくに注目される15種の有害事象(AESI)のバックグラウンド発生率を8ヵ国のデータベースを基に調べたところ、年齢や性別によりばらつきがあることが、英国・オックスフォード大学のXintong Li氏らによる検討で明らかにされた。データベース間でも差が認められたという。ワクチン有害事象のバックグラウンド率は、ワクチン接種者の間で観察された割合のベースラインコンパレータとして機能することで、ワクチンの安全性を監視するうえで歴史的に重要な役割を果たしているが、研究結果を踏まえて著者は、「バックグラウンド率をサーベイランス目的で用いる場合は、同一のデータベースを使い比較する必要性が示唆された。事前に年齢や性別による差を考慮し、階層化や標準化が必要だ」と述べている。BMJ誌2021年6月14日号掲載の報告。

認知症患者におけるAChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケード

 アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(AChEI)による治療では、過活動膀胱(OAB)の治療のために抗ムスカリン薬による治療を開始しなければならないリスクが増加することが知られている。米国・ヒューストン大学のPrajakta P. Masurkar氏らは、認知症高齢者におけるAChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケードとの関連を調査した。Drugs & Aging誌オンライン版2021年5月24日号の報告。  対象は、AChEI(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)治療を行った65歳以上の認知症高齢者。2005~18年の米国TriNetXレセプトデータベースを用いて、レトロスペクティブコホートを実施した。2006年1月~2018年6月に各AChEIを使用開始した患者を確認した(ウォッシュアウト期間:1年間)。AChEI使用開始前1年に抗ムスカリン薬の使用またはOAB診断を受けた患者は除外した。主要アウトカムは、AChEI使用開始6ヵ月以内の抗ムスカリン薬の使用とした。AChEI治療と抗ムスカリン薬処方カスケードとの関連の評価には、いくつかの共変量でコントロールした後、Cox比例ハザードモデルを用いた。

抗CGRP抗体治療中止後の片頭痛日数の変化

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体は、片頭痛予防におけるゲームチェンジャーとして期待される。しかし、治療費が高額となるため、治療期間を必要最低限に抑えることが求められる。スイス・チューリヒ大学病院のAndreas R. Gantenbein氏らは、12ヵ月間の抗CGRP抗体治療を中止した後、月間片頭痛日数がどの程度変化するかを検討した。Cephalalgia誌オンライン版2021年5月17日号の報告。  抗CGRP抗体で12ヵ月間治療を行った片頭痛患者のデータを収集した。