脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:103

卵円孔開存を閉じるまでの長い道のり(解説:香坂俊氏)-762

筆者が研修を行っていた時分(10年以上前)は、まさに心エコーで「卵円孔開存(PFO)を見つけよう!」という機運が盛り上がっていたところで、下図のように細かい空気泡を静脈に打ち込んでは、右房から左房に漏れないかどうか目を凝らして見ていた(細かい空気泡はよく超音波を反射するので、静脈系の血液が流れている様子がエコーでよく見えるようになる)。

てんかん脳組織の病理組織学的所見/NEJM

 手術を要する薬剤抵抗性の焦点性てんかん患者の病理組織学的診断において、成人では海馬硬化症、小児では限局性皮質異形成の頻度が最も高く、次いで成人・小児とも腫瘍が多いことが、ドイツ・エアランゲン大学病院のIngmar Blumcke氏らの調査で明らかとなった。てんかん発作の基底をなす、構造的な脳病変の詳細な神経病理学的情報は、薬剤抵抗性焦点性てんかんの理解に有益とされる。欧州てんかん脳バンク(EEBB:European Epilepsy Brain Bank)は、てんかん手術で採取された標本の病理組織学的報告を標準化し、てんかんを誘発する脳病変を調査するために設立され、非特定化された臨床病理学的情報の最小限のデータを収集してデータベース化している。NEJM誌2017年10月26日号掲載の報告。

どのくらい前から認知症発症は予測可能か

 認知症発症の数年前から、認知機能低下が増加していることが縦断的研究で示唆されている。米国・ワシントン大学のGe Li氏らは、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)の認知機能テストにおけるスコアの軌道により、正常な老化と比較した認知機能の変化を推定しようと試みた。Journal of the American Geriatrics Society誌オンライン版2017年9月21日号の報告。

小児のてんかん、外科的治療は有益か/NEJM

 脳外科手術を受けた18歳以下の薬剤抵抗性てんかん患者は、薬物療法のみを受けた患者と比べて、12ヵ月時点のてんかん発作がない割合が有意に高く、行動やQOLに関するスコアも良好であった。神経障害の発生は、脳切除部位に関連した想定内のものであったという。全インド医科大学のRekha Dwivedi氏らが単施設無作為化試験を行い、NEJM誌2017年10月26日号で発表した。脳外科手術は、薬剤抵抗性てんかんを有する小児・思春期の発作を改善する可能性が示唆されていたが、無作為化試験による、さらなるデータが求められていた。

認知症予防、緑茶 vs.紅茶 vs.ルイボス茶

 チャノキ(茶の木[Camellia sinensis])の緑茶(green tea)成分は、アルツハイマー病における、記憶障害などのさまざまな神経変性状態に対し神経保護的に作用する。しかし、チャノキのほかの茶成分が、類似の神経保護的な効果を示すかは不明である。ブラジル・Universidade Federal do PampaのHelen L. Schimidt氏らは、アルツハイマー様疾患のラットモデルにおいて、緑茶、ルイボス茶(red tea)、紅茶(black tea)の補充が記憶および海馬の酸化状態に及ぼす影響を調査した。Food research international誌2017年10月号の報告。

低酸素血症のない脳卒中急性期患者に酸素投与は推奨できない(解説:内山真一郎氏)-754

低酸素は、脳卒中発症後数日間にはよく起こるが、間欠的なことが多く、気づかれないこともある。酸素補給は低酸素や脳卒中症状悪化を予防しうるので、回復を改善する可能性がある。本研究は、通常の予防的な低用量の酸素補給が90日後の死亡と後遺症を減らすかどうか、またもしそうなら低酸素がもっとも多く起こり、酸素投与がリハビリテーションの邪魔をしない、夜間だけの酸素補給が持続的な補給よりいいのかを評価することを目的として行われた。

卵円孔開存は問題か?(解説:後藤信哉氏)-753

胎児循環では心房中隔の一部としての卵円孔は開存している。出生とともに閉じるのが一般的である。剖検例を詳細に検討すると、20%程度の症例には機能的卵円孔開存を認めるとの報告もある。経食道心エコーでは心房の血流の詳細な検討が可能である。バブルを用いたコントラスト法により機能的卵円孔開存の診断精度も向上した。原因不明の脳梗塞の一部は、静脈血栓が開存した卵円孔を介して左房・左室と移動した血栓が原因と考えられた。とくに、出産時、潜水時などに比較的若いヒトに起こる脳塞栓には卵円孔開存を原因とするものが多いと想定された。

ドネペジル+コーヒーで治療効果が高まる可能性

 アルツハイマー型認知症(AD)に一般的に用いられる塩酸ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ活性に対する阻害作用を示し、認知機能を高める。ヒドロキシケイ皮酸のカフェイン酸(Caffeic acid)成分は、ヒトの食生活に広く存在する。ナイジェリア・Federal University of TechnologyのOdunayo Michael Agunloye氏らは、ドネペジルのアセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼ阻害活性に及ぼすカフェイン酸の影響についてin vitroでの検討を行った。Journal of complementary & integrative medicine誌オンライン版2017年9月22日号の報告。