神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:89

レビー小体病とアルツハイマー病の生存率の違い

 アルツハイマー病(AD)とレビー小体病(LBD)は、2種類の代表的な認知症である。LBD患者の臨床経過がAD患者よりも不良であるかどうかについては、よくわかっていない。中国・香港大学のYat-Fung Shea氏らは、中国人LBD患者とAD患者の生存率や合併症発症について、レトロスペクティブレビューを行った。Singapore Medical Journal誌オンライン版2019年9月6日号の報告。  2008~16年にクイーン・メアリー病院のメモリークリニックに来院したADおよびLBD患者を対象に、すべてのバイオマーカーをレトロスペクティブにレビューした。ADおよびLBD診断は、臨床診断基準およびバイオマーカーによりサポートした。LBDには、レビー小体型認知症(DLB)およびパーキンソン病認知症(PDD)を含めた。ベースライン時の人口統計、臨床的特徴、認知機能障害の重症度、特定の臨床結果を収集した。

糖尿病と認知症リスク~メタ解析

 糖尿病と認知機能障害や認知症リスクとの関連については、明らかになっていない点が残っている。中国・青島大学のMei Xue氏らは、これらの関連について、さまざまな側面から検討を行った。Ageing Research Reviews誌オンライン版2019年8月17日号の報告。  2019年6月までのプロスペクティブ研究をPubMedより検索した。相対リスク(RR)の推定には、変量効果モデルを用いた。それぞれのメタ解析の信頼性を評価し、メタ回帰分析およびサブグループ解析を実施した。

2004年新潟県中越地震後の心理的苦痛と認知症リスクとの関連

 大地震は極度のストレスを引き起こし、認知機能に悪影響を及ぼす可能性がある。新潟大学の中村 和利氏らは、2004年新潟県中越地震後の心理的苦痛と認知症との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年8月19日号の報告。  本研究は、10~12年フォローアップを行ったレトロスペクティブコホート研究である。対象者は、2004年新潟県中越地震後に年次健康診断を行った40歳以上の小千谷市民(2005年6,012人、2006年5,424人、2007年5,687人)。Kessler Psychological Distress Scale(K10)を用いて心理的苦痛を評価し、K10スコアが10以上を心理的苦痛ありと定義した。

日本初、RNAi治療薬オンパットロ発売

 トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーの治療薬として、日本における初のRNAi(RNA interference:RNA干渉)治療薬である、オンパットロ点滴静注2mg/mL(一般名:パチシランナトリウム)が9月9日に発売された。オンパットロは、Alnylam Japan(以下、アルナイラム)が国内で上市・販売する最初の製品である。  トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは、トランスサイレチンというタンパク質(TTRタンパク質)を作る TTR遺伝子の変異が原因で生じる進行性の難治性疾患である。TTR遺伝子変異によりTTRタンパク質由来のアミロイド線維が形成され、末梢神経や心臓など全身の臓器・組織に蓄積して、治療困難な神経障害や心機能障害、自律神経障害等の多様な症状が現れる。

救急受診アルツハイマー病患者における向精神薬有害事象

 130万超の救急部門(ED)受診は、高齢者の薬物有害事象(ADE)と関連している。高齢者におけるアルツハイマー病(AD)有病率は増加しており、AD患者に処方される向精神薬のパターンにより、ADEの相加リスクが増加している。このような患者における向精神薬関連のADEついて、全国レベルの研究は十分とは言えない。米国・カリフォルニア大学のAryana Sepassi氏らは、高齢AD患者における向精神薬関連ADEの発生率と経済的負担について、非AD高齢者と比較し検討を行った。The Annals of Pharmacotherapy誌オンライン版2019年7月25日号の報告。

片頭痛と認知症との関連

 片頭痛と認知症との関連に焦点を当てたこれまでの研究の多くは、一般的な併存疾患を調整することがうまくいっていなかった。ドイツ・IQVIAのKarel Kostev氏らは、英国の一般診療における片頭痛と認知症との関連を調査するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2019年8月6日号の報告。  1997~2016年に英国の一般診療施設67件で片頭痛と診断された患者と年齢、性別、インデックス年、診断がマッチした非片頭痛患者を対象に含めた。主要アウトカムは、インデックス日から10年間の認知症発症との関連とした。

fremanezumab、4クラス抵抗性の片頭痛に有効/Lancet

 最大4クラスの予防薬が奏効せず、治療困難な片頭痛患者において、fremanezumabはプラセボに比べ片頭痛の発現を抑制し、忍容性も良好であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのMichel D. Ferrari氏らが行ったFOCUS試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月16日号に掲載された。カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)またはその受容体を標的とする抗体は、片頭痛発作の予防において有効性が確認されている。fremanezumabは、CGRPの2つのアイソフォームに選択的かつ強力に結合する完全ヒト化モノクローナル抗体である。

NT-proBNP高いと認知症リスクが2.5倍~久山町研究

 心疾患と認知症の関連が疫学研究で示唆されているが、血清NT-proBNP(N末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド)値と認知症の関連を評価した前向き研究はほとんどない。今回、九州大学の永田 拓也氏らが久山町研究で調べたところ、血清NT-proBNPが300pg/mL以上では54pg/mL以下に比べて認知症リスクが2.5倍高いことが示された。Journal of the American Heart Association誌2019年9月3日号に掲載。  本研究の対象は、地域在住の認知症ではない60歳以上の日本人高齢者1,635人(女性57%、平均年齢±SD:70.8±7.7歳)で、10年間追跡調査した。

2次予防のアスピリン、投与すべき患者は?~MAGIC試験

 心血管イベントの再発予防のための低用量アスピリンの使用は、リスク-ベネフィットのバランスに基づくべきである。今回、国際医療福祉大学臨床医学研究センター/山王病院・山王メディカルセンター脳血管センターの内山 真一郎氏らが、わが国の全国規模の多施設共同前向き研究であるMAGIC試験において、心血管疾患の既往のある患者のアスピリン長期使用による心血管イベントと出血イベントの発生率を調査した。その結果、虚血性脳卒中または一過性脳虚血発作、冠動脈疾患、複数の心血管疾患の既往のある患者ではベネフィットがリスクを上回っていたが、心房細動または静脈血栓塞栓症の既往のある患者ではリスクとベネフィットが同等であった。

周術期の潜在性脳卒中、認知機能低下リスクを増大/Lancet

 65歳以上の待機的非心臓手術時における周術期の潜在性脳卒中(covert stroke)の発生は、術後1年の認知機能低下リスクの増大と関連しており、発生率は14人に1人の割合(約7%)だったことが、カナダ・ウェスタンオンタリオ大学のMarko Mrkobrada氏ら「NeuroVISION」研究グループの検討により明らかにされた。非手術時の潜在性脳卒中の発生頻度は高く、認知機能の低下と関連することが知られている。また、成人における非心臓手術後の顕在性脳卒中(overt stroke)の発生率は1%未満で重大な病状と関連するが、周術期潜在性脳卒中についてはほとんど知られていなかった。Lancet誌オンライン版2019年8月15日号掲載の報告。