神経内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:123

新規抗てんかん薬P3、てんかん部分発作の補助治療に有用

 米国・Mid-Atlantic Epilepsy and Sleep Center のPavel Klein氏らは、選択的高親和性シナプス小胞タンパク質2Aリガンドであるbrivaracetam(BRV、国内未承認)の、てんかん部分(焦点)発作(POS)の補助治療としての有効性と安全性を明らかにする、第III相の多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験を行った。その結果、発作頻度の減少および反応率のいずれにおいても、BRV100mg/日およびBRV200mg/日投与はプラセボに比べ有意に優れ、忍容性も良好であることを報告した。Epilepsia誌オンライン版2015年10月16日号の掲載報告。

新生児期の百日咳感染、てんかんリスク増大/JAMA

 百日咳の病院診断歴のある新生児は、一般集団と比較して10歳時のてんかんリスクが1.7倍高いことが、デンマーク全国患者レジストリ(DNPR)の長期追跡データの分析から示された。ただし絶対リスクは1.7%と低かった。同国オーフス大学病院のMorten Olsen氏らが報告した。新生児における百日咳罹患は脳症およびけいれん発作と関連するが、その後の小児てんかんリスクについては不明であった。JAMA誌2015年11月3日号掲載の報告。

アルツハイマー病、進行前の早期発見が可能となるか

 アルツハイマー病(AD)に対する新しい治療法の開発を促進するため、早期診断バイオマーカーに大きな関心が寄せられている。MRIによる神経変性の測定はバイオマーカーの良い候補と考えられているが、これまでのところ病理学的な初期段階で有効性は示されていない。フランス国立科学研究センター(CNRS)のPierrick Coupe氏らは、MRIを用いた新たな海馬評価スコアを開発し、認知機能が障害されていない患者における認知症発症の早期発見に役立つかどうかを検証した。その結果、ADへ進行する7年前の海馬評価スコアが、海馬容積やMMSEスコアよりも予測精度が高いことを明らかにした。著者らは、「今回の研究は先行研究と比較して追跡期間が長期であり、この新しい画像バイオマーカーは臨床的に重要な意義がある。精度が高いことから、ADへ進行するリスクが高い認知機能正常患者の特定に役立つだろう」とまとめている。Human Brain Mapping誌オンライン版2015年10月10日の掲載報告。

軽度認知障害に対するγ-セクレターゼ阻害薬の可能性は

 アルツハイマー病(AD)の早期診断は臨床管理において重要であり、早期段階の患者を臨床試験に組み込むことで、疾患修飾薬の評価を行うことができる。米国・ブリストル・マイヤーズ スクイブ社のVladimir Coric氏らは、軽度認知障害(MCI)期の症候性前認知症期(prodromal AD:PDAD)における、γ-セクレターゼ阻害薬avagacestatの安全性を評価するとともに、脳脊髄液(CSF)バイオマーカーが認知症と臨床診断される前にPDADを特定できるかどうかを検討した。その結果、avagacestatの有効性は認められず、用量制限有害作用と関連していることが示された。また、PDAD患者はCSF陰性のMCI患者と比較すると、臨床的に認知症への進行率および脳萎縮率が高いことが明らかとなった。著者らは「CSFバイオマーカーとアミロイドPET所見は相関しており、いずれの方法も脳内アミロイドパチーの存在を確認したりPDADの鑑別に利用できる」とまとめている。JAMA Neurology誌オンライン版2015年9月28日号掲載報告。

高齢てんかん患者への外科的切除術は行うべきか

 これまで、発作から解放される可能性があるにもかかわらず、60歳以上のてんかん患者に外科的切除術(RES)はほとんど施行されていない。米国・カリフォルニア大学ロサンゼルス校のSandra Dewar氏らは、60歳以上のてんかん患者に対するRESの有用性を検討した。その結果、90%以上が手術により良好なアウトカムを示し、大半の患者が1つ以上の合併症を有しているにもかかわらず、50%の患者が発作の寛解を達成したことを報告した。今回の結果を踏まえて、著者らは「60歳以上のてんかん患者においてRESは安全かつ有効である。本研究のデータは、加齢を理由にRES施行の回避を考慮すべきでないことを示唆している」とまとめている。Journal of Neurosurgery誌オンライン版2015年9月18日号の掲載報告。

認知症患者と介護者のコミュニケーションスキル向上のために

 看護師と認知症患者との効果的なコミュニケーションにより、患者ニーズの理解が促進し、コミュニケーションのミスに関連した患者または看護師におけるフラストレーションが軽減するため、患者ケアの質が高まる。台湾・国立成功大学のHui-Chen Chao氏らは、最新の革新的インターネットベースコミュニケーション教育(AIICE)プログラムが、認知症患者に対する看護師のコミュニケーションスキルおよび認知症患者の記憶・行動関連の症状およびうつ症状に及ぼす影響を検討した。その結果、AIICEプログラムは看護師のコミュニケーション知識、患者とのコミュニケーション能力評価の頻度、コミュニケーション実行能力を向上させ、患者の記憶・行動関連の問題およびうつ症状を軽減させることが示された。著者らは、「AIICEプログラムを用いた看護師の継続的なコミュニケーション訓練が推奨される」と述べている。Journal of Nursing Research誌オンライン版2015年9月14日号の掲載報告。

アルツハイマー病への薬物治療、開始時期による予後の差なし

 世界中で何百万人もの高齢者がアルツハイマー病(AD)で苦しんでいる。治療薬にはアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンがあるが、その臨床効果は限られており、早期に薬物療法を開始することが長期的に良好な予後につながるかどうかも不明である。そこで、中国・香港中文大学のKelvin K.F. Tsoi氏らは、AD患者に対する早期治療の有効性について、前向き無作為化比較試験のメタ解析を行った。その結果、約6ヵ月早くAD治療薬の投与を開始しても投与開始が遅れた場合と比較して、認知機能、身体機能、行動問題および臨床症状に有意差は認められなかった。この結果について著者らは、「追跡期間が2年未満の早期AD患者の割合が比較的高かったためと考えられる」と指摘したうえで、「長期に追跡した場合の有効性について、今後さらなる研究が必要である」とまとめている。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2015年9月18日号の掲載報告。