腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:25

心血管リスク患者へのフェブキソスタット、アロプリノールに非劣性/Lancet

 心血管リスク因子を有する痛風患者において、フェブキソスタットはアロプリノールと比較し、主要評価項目である複合心血管イベントに関して非劣性であることが示された。長期投与による死亡あるいは重篤な有害事象のリスク増加も確認されなかった。英国・ダンディー大学のIsla S. Mackenzie氏らが、多施設共同前向き無作為化非盲検非劣性試験「FAST試験」の結果を報告した。フェブキソスタットとアロプリノールはともに痛風の治療に用いられる尿酸降下薬であるが、フェブキソスタットの心血管系への安全性に懸念があり、欧州医薬品庁は安全性をアロプリノールと比較する市販後臨床試験の実施を勧告していた。Lancet誌オンライン版2020年11月9日号掲載の報告。

持続的腎代替療法時の抗凝固療法、クエン酸 vs.ヘパリン/JAMA

 急性腎障害を伴う重症患者への持続的腎代替療法施行時の抗凝固療法において、局所クエン酸は全身ヘパリンと比較して、透析フィルター寿命が長く、出血性合併症は少ないが、新規感染症が多いことが、ドイツ・ミュンスター大学病院のAlexander Zarbock氏らが行った「RICH試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2020年10月27日号で報告された。欧米の現行ガイドラインでは、重症患者への持続的腎代替療法時の抗凝固療法では局所クエン酸が推奨されているが、この推奨のエビデンスとなる臨床試験やメタ解析は少ないという。

内在性制御性T細胞、腎移植後の免疫抑制療法の減少を可能に/BMJ

 内在性制御性T細胞(nTreg)の自家移植は、腎移植を受け免疫抑制された患者においても安全で実施可能である。ドイツ・シャリテ大学のAndy Roemhild氏らが、単施設における医師主導型nTreg用量漸増第I/IIa相臨床試験「ONEnTreg13試験」の結果を報告した。前臨床研究では、nTregが固形臓器移植後または移植片対宿主病(GVHD)後の移植片拒絶反応を遅延または防止し、in vivoにおいて養子移入後、生物学的薬剤や先進治療製剤による自己免疫や好ましくない免疫原性を制御する力があることが示されている。しかし、nTregによる養子細胞治療を広く実施するには、容易で堅実な製造方法、過剰な免疫抑制のリスク、標準治療薬との相互作用、安全性と有効性をモニタリングするバイオマーカーなど、実装に関連するさまざまな課題があった。BMJ誌2020年10月21日号掲載の報告。

ダパグリフロジン、CKDの転帰を改善/NEJM

 慢性腎臓病(CKD)患者では、糖尿病の有無にかかわらず、SGLT2阻害薬ダパグリフロジンはプラセボと比較して、推算糸球体濾過量(GFR)の持続的な50%以上の低下や末期腎不全、腎臓または心血管系の原因による死亡の複合の発生リスクを有意に低下させることが、オランダ・フローニンゲン大学のHiddo J L Heerspink氏らが行った「DAPA-CKD試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2020年9月24日号に掲載された。CKD患者は、腎臓や心血管系の有害な転帰のリスクが高いとされる。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病患者の大規模臨床試験において、糖化ヘモグロビンを低下させるとともに、腎臓や心血管系の転帰に良好な効果をもたらすと報告されている。一方、CKD患者における糖尿病の有無別のダパグリフロジンの有効性は知られていないという。

患者人生に寄り添った治療法説明のために-協働意思決定の普及を

 Shared Decision Making (SDM、協働意思決定)をご存じだろうか? SDMとは、医療者と患者が治療法のエビデンスや患者を取り巻く環境、患者とその家族の治療生活に対する希望についての情報を共有し、一緒に治療方針を決めていくプロセスのことである。治療が患者のその後の人生を大きく左右するがんや末期腎不全などでは、早い段階で患者と医療者が話し合いの場を持ち互いに理解することが重要なため、このようなプロセスが必要とされる。  たとえば、末期腎不全患者に腎代替療法を説明する際、患者には腹膜透析、血液透析、腎移植の3つの選択肢がある。ところが、現状では医師の判断により1つの治療法しか患者に説明されていない場合が多いと言われている。

HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation公開/日本腎臓学会

 日本腎臓学会は透析患者・保存期腎不全患者用の経口腎性貧血治療薬について「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation」を9月29日に学会ホームページ上に公開した。  HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendationは3つに章立てられており、1.総論、2.推奨(どのような患者に使用することが望ましいか、鉄補充をどうすることが望ましいか)、3.注意点(悪性腫瘍、糖尿病網膜症・加齢黄斑変性症、肝機能異常、高血圧、高カリウム血症、血栓塞栓症、血管石灰化、肺高血圧症/心不全、嚢胞の増大、脂質代謝への影響)が記載されている。

HFrEFへのエンパグリフロジン、心血管・腎への効果は/NEJM

 2型糖尿病の有無を問わず慢性心不全の推奨治療を受けている患者において、エンパグリフロジンの投与はプラセボと比較して、心血管死または心不全増悪による入院のリスクを低下することが、米国・ベイラー大学医療センターのMilton Packer氏らによる3,730例を対象とした二重盲検無作為化試験の結果、示された。SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の有無を問わず、心不全患者の入院リスクを抑制することが示されている。同薬について、駆出率が著しく低下した例を含む幅広い心不全患者への効果に関するエビデンスが希求されていたことから、本検討が行われた。NEJM誌オンライン版2020年8月29日号掲載の報告。

ビスホスホネート製剤による大腿骨近位部骨折予防効果は副作用としての非定型大腿骨骨折のリスクを上回る。(解説:細井孝之氏)-1283

骨吸収抑制剤であるビスホスホネート製剤(以下BP製剤)は1990年代に登場した骨粗鬆症治療薬であり、確実な骨密度上昇効果と骨折予防効果によって主要な治療薬の地位を得た。一方、15年ほど前から、ある程度長く本剤を服用している者の中に大腿骨の骨幹部の非外傷性骨折がみられることが注目されてきた。このために、欧米においては本剤の使用を控える傾向がみられ、それまで減少傾向にあった大腿骨近位部骨折頻度が減り止まるという現象すらみられた。骨粗鬆症による代表的な骨折である大腿骨の骨折は大腿骨頸部や大腿骨転子部などの大腿骨近位部に発症する(hip fracture、以下HF)。これに対してBP製剤との関連で注目される大腿骨骨折は転子下、とくに骨幹部に発症するため、非定型大腿骨骨折(atypical femur fracture、以下AFF)と呼ばれている。

腎性貧血に新しく2剤の経口治療薬が登場/GSK、田辺三菱製薬

 8月26日、腎性貧血に対して、経口の低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬であるダプロデュスタット(商品名:ダーブロック、グラクソ・スミスクライン)とバダデュスタット(同:バフセオ、田辺三菱製薬)が発売された。HIF-PH阻害薬としては、2019年11月にロキサデュスタット(同:エベレンゾ、アステラス製薬)が発売されているが、現在の適応は透析施行中の腎性貧血のみである。一方、今回発売されたダプロデュスタットとバダデュスタットは、透析施行中だけでなく保存期の腎性貧血患者にも使用可能な治療薬で1日1回経口投与である。

ビスホスホネートの非定形大腿骨骨折リスク、服用中止後速やかに低下/NEJM

 非定型大腿骨骨折リスクは、ビスホスホネートの使用期間とともに上昇するが、使用中止後は速やかに減少することが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のDennis M. Black氏らによる検討の結果、示された。また、リスクはアジア人のほうが白人よりも高いことや、非定型大腿骨骨折の絶対リスクは、ビスホスホネート使用に伴う大腿骨近位部骨折およびその他の骨折リスクの減少と比べると、非常に低いままであることも明らかにされた。ビスホスホネートは、大腿骨近位部および骨粗鬆症骨折を抑制する効果がある。しかし、非定型大腿骨骨折への懸念からビスホスホネートの使用が大幅に減少しており、大腿骨近位部骨折が増加している可能性が示唆されていた。NEJM誌2020年8月20日号掲載の報告。