腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

低ナトリウム血症、腎機能が高くても低くてもリスク上昇

 低ナトリウム血症は日常診療でよく遭遇する電解質異常だが、腎機能との関連は十分に明らかになっていなかった。今回、日本の外来患者13万人超を対象とした解析で、腎機能と低ナトリウム血症リスクにはU字型の関連が認められ、腎機能が高い場合と低い場合の双方でリスクが上昇することが報告された。研究は聖路加国際病院腎臓内科の長浜正彦氏らによるもので、詳細は6月25日付の「Clinical and Experimental Nephrology」に掲載された。  低ナトリウム血症は、血液中のナトリウム濃度が低下した状態で、体内の水分バランスを調節する仕組みの異常などによって生じる。

腫瘍崩壊症候群、ラスブリカーゼ早期投与が有用/BMJ

 腫瘍崩壊症候群(TLS)を呈した成人において、ラスブリカーゼによる早期治療は、投与が遅れた場合や投与されなかった場合と比較し、腎代替療法を要する急性腎障害または死亡のリスクを約3分の1減少させることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のTushar Shenoy氏らが、標的試験エミュレーション研究「Study of the Treatment and Outcomes in Patients with Tumour Lysis Syndrome:STOP-TLS」の結果を報告した。これまでの研究で、ラスブリカーゼはTLS患者において血清尿酸値の急速な低下にきわめて有効であることが示されているが、ラスブリカーゼがこうした患者の臨床アウトカムを改善するかどうかを厳密に検証した研究はなかった。BMJ誌2026年7月23日号掲載の報告。

断水時の熱中症や災害関連死を防ぐポイント/3学会合同記者会見

 2026年8月3日、日本救急医学会、日本災害医学会、日本生気象学会の3学会合同による緊急オンライン記者会見『避難生活における熱中症予防の留意点』が開催された。本会見は、令和8年熊本地震の被災地において、猛暑とライフライン障害(断水・停電)が重なる中、避難所や復旧作業現場での「熱中症」および「災害関連疾病」の予防・対策・処置について、各専門家が最新の知見と緊急提言を発信するために実施された。  被災地での災害関連死を防ぐためには、避難所環境の改善から二次災害(エコノミークラス症候群[深部静脈血栓症]、感染症、誤嚥性肺炎などの発生)予防、そして熱中症対策が今回の災害では重要になる。

AHA/ACC脂質異常症GL改訂、スタチンによる1次予防の対象が大幅に拡大/JAMA

 米国心臓協会(AHA)/米国心臓病学会(ACC)による2026年版の脂質異常症ガイドラインでは、アテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の推定リスクおよび1次予防においてスタチンが適応となる集団について新たな推奨事項が提示された。米国・ピッツバーグ大学のTimothy S. Anderson氏らは、2018年版から2026年版への変更により、ASCVDの1次予防を目的とするスタチン療法の対象となる米国の人口が推定2,150万人拡大し、結果として30~79歳の非妊娠成人の半数以上が現在、1次予防におけるスタチンの適応となっており、新たな適応集団の多くは、ASCVDの推定10年リスクが3%未満(平均値3.1%)であることを示した。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2026年7月20日号に掲載された。

フィネレノンは糸球体疾患由来のCKDに対しても腎保護的である可能性がある(解説:栗山哲氏)

本論文は何が新しい? フィネレノン(商品名:ケレンディア)は、非ステロイド型ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(mineralocorticoid receptor antagonist:MRA)であり、ミネラルコルチコイド受容体(MR)の活性を抑制する。従来、本剤は糖尿病性慢性腎臓病(CKD)を適応とし、心・腎保護を目的に使用されてきた。今回のFIND-CKD試験では、新たに非糖尿病性CKD患者を対象として、フィネレノンの腎保護効果が評価された。FIND-CKD試験の結果は、非糖尿病性CKD患者全体を対象とした主要解析を報告したNEJM論文(Heerspink HJL, et al. N Engl J Med. 2026 Jun 4. [Epub ahead of print])と、糸球体疾患を有するCKD患者を対象に事前規定された探索的サブグループ解析を報告したJAMA論文(本論文)の2報として公表されている。

高リスクIgA腎症へのエンドセリンA受容体拮抗薬の腎機能低下抑制効果?(解説:浦信行氏)

エンドセリンA受容体拮抗薬の蛋白尿改善効果はIgA腎症をはじめとして、慢性腎臓病(CKD)や巣状糸球体硬化症等で次々に報告されるようになった。本研究(ALIGN研究)は高リスクIgA腎症を対象とし、エンドセリンA受容体拮抗薬atrasentanが36週での尿蛋白を36.1%有意に減少させたとすでに報告しているが、今回は136週までの最終評価(Lancet誌2026年6月13日号)においても尿蛋白抑制効果に関しては有意であった。主要評価項目のeGFR減少抑制効果は残念ながらp=0.057と傾向にとどまり、後付けである追跡期間を除く132週ではp=0.039であった。

CKDの生命予後・腎予後に対するmGFR評価の意義とeGFRの有用性(解説:浦信行氏)

腎機能評価にはmGFRが最も有用であるが、その煩雑性から生命予後・腎予後との関連を示した成績は少ない。スウェーデンの成人のイオヘキソールを用いたmGFR値とこれらの関連を後ろ向きに評価し、併せてeGFRの有用性を後ろ向きに評価した成績がJAMA誌オンライン版で発表され、追跡期間中央値5.9年の概要がジャーナル四天王(2026年7月3日配信)に掲載された。その結果、mGFR90の群に対してmGFR60ですでに死亡率は1.21倍、腎代替療法導入では実に2.85倍の高頻度であった。この成績はmGFRで60がCKDの閾値であることを明らかにした意義のある研究である。

BMI高値者の肥満症診断は十分か?

 肥満症診断の有無は、BMI高値の人の疾患リスクと関連しているのだろうか。このテーマについて、米国・テキサス大学マクガバン医科大学内科・外科学部肥満医学・代謝機能センターのDeborah B.Horn氏らの研究グループは、CALOR研究において民間のデータベースを使い、BMI基準で肥満に該当する人を診断記録の有無で層別化し、解析した。その結果、日米ともにBMI高値の人では、肥満症診断が十分ではなく、関連疾患の有病率が高いことがわかった。この結果はObesity誌オンライン版2026年7月18日号に掲載された。

体力のある人は加齢に伴う腎機能低下が緩やか/筑波大学

 腎機能が保たれている一般集団において、全身持久力や心肺機能を反映する有酸素性運動能力と、加齢に伴う推算糸球体濾過量の経時的変化(eGFR slope)との関連を調査した結果、有酸素性運動能力が高い人ほど加齢に伴うeGFRの低下速度が緩やかであり、有酸素性運動能力が腎臓に対して保護的な役割を果たす可能性があることを、筑波大学の吉越 駿氏らが示した。Medicine & Science in Sports & Exercise誌オンライン版2026年7月3日号掲載の報告。  慢性腎臓病(CKD)患者では、腎機能低下に伴い有酸素性運動能力も低下することが知られている。

CKM症候群の初期進行でも死亡リスク上昇と関連

 心血管・腎・代謝(CKM)症候群のステージの変化と将来の死亡リスクとの関連を調査した観察研究の結果、ステージ0(CKM関連リスクがない状態)から1(過剰な脂肪蓄積/機能不全の脂肪組織が出現)という初期の進行であっても死亡リスクの上昇と関連し、ステージがより進行するにつれて段階的にリスクが上昇することを、韓国・ソウル大学病院のSehoon Park氏らが示した。Clinical Journal of the American Society of Nephrology誌オンライン版2026年6月12日号掲載の報告。  CKM症候群は、心血管疾患、慢性腎臓病、代謝機能障害が相互に関連しながら進行し、死亡率の上昇につながる恐れのある病態である。