内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:520

受動喫煙で肺がんリスクが1.3倍~わが国のメタ解析

 これまで、わが国での受動喫煙と肺がんとの関連についてはシステマティックに評価されていなかった。今回、国立がん研究センターの堀 芽久美氏らが実施した、非喫煙者の受動喫煙と肺がんとの関係についてのシステマティックレビューとメタ解析で、成人期における家庭内受動喫煙で肺がんリスクが有意に増加することが示唆された。Japanese journal of clinical oncology誌オンライン版2016年8月10日号に掲載。

血圧変動と心血管疾患・死亡との関連が判明/BMJ

 血圧の長期的変動(診察室血圧測定による)は心血管および死亡のアウトカムと関連し、平均血圧の効果を上回るものであることが、英国・オックスフォード大学のSarah L Stevens氏らによる、システマティックレビューとメタ解析の結果、明らかにされた。中期的(家庭血圧)、短期的(24時間ABPM)変動も同様の関連が示されたという。これまでに血圧高値の患者は、将来的な心血管疾患リスクが高いことは確立されている。また、血圧変動が大きい患者は、平均血圧値が保たれている患者と比べてリスクが高いことも示唆されていたが、血圧変動の測定の違いによるリスクについては不明であり、平均血圧または治療による変化に正しく触れた検討はほとんどなかったという。BMJ誌オンライン版2016年8月9日号掲載の報告。

グラスワインのアルコール換算率は要検討

 近年のワイングラスの大きさとワインのアルコール度数の増大によって、現在の換算率ではワイングラス1杯当たりのアルコール含有量が実際より少なく見積もられている可能性が高く、集団研究における飲酒量の過小評価につながっているかもしれない。英国・ロンドン大学のAnnie Britton氏らは、これによって起こりうる分類の間違いが、飲酒量と死亡リスクとの関連に影響するかどうか調べた。その結果、ワイングラス中のアルコール含有量を高値に設定することにより、死亡リスクの推定値が変わることが示唆された。著者らは、研究者主導のコホート研究においては、より正確なワイングラス中のアルコール含有量推定値に基づいて、換算率を再検討する必要があると提案している。Alcohol and alcoholism誌オンライン版2016年6月3日号に掲載。

健康効果に寄与する総身体活動量の上限は?/BMJ

 現行推奨レベルよりも数倍多い総身体活動量を達成している人の5疾病(乳がん、大腸がん、糖尿病、虚血性心疾患、虚血性脳卒中)のリスクは、有意に低いことが明らかにされた。米国・ワシントン大学のHmwe H Kyu氏らが、システマティックレビューとベイジアン用量依存メタ解析による世界の疾病負担研究2013の結果、明らかにした。これまでに多くのコホート研究およびメタ解析で、身体活動の健康効果が示され、WHOの最小身体活動量推奨値の提示(週に600MET分)に結び付いている。しかし、必要とされる総活動量の上限値は明らかになっていなかった。BMJ誌オンライン版2016年8月9日号掲載の報告。

心血管疾患既往のない糖尿病患者の適切な降圧目標は?/BMJ

 2型糖尿病患者において、現行の推奨値よりも低値の収縮期血圧値は、心血管イベントの有意なリスク低下と関連することが、スウェーデン・イエーテボリ大学のSamuel Adamsson Eryd氏らによる国民ベースのコホート試験の結果、示された。この所見は、心血管疾患既往のない2型糖尿病患者についてみられたもので、著者は「先行研究で示された血圧低値と死亡増大の関連は、降圧治療というよりも合併症によるものと思われる」と述べている。最近の高血圧ガイドラインにおいて、2型糖尿病患者の降圧目標は、130mmHg以下から140mmHg以下へと緩和された。背景には、低値目標を支持する決定的な無作為化試験がないこと、および観察研究で血圧値と合併症にJカーブの関連を認めることが示唆されたためであった。BMJ誌オンライン版2016年8月4日号掲載の報告より。

多面的な心血管リスク対策で認知症を防げるか?/Lancet

 無作為に抽出した高齢者において、看護師主導による心血管リスク因子に焦点を絞った多面的な介入は、認知症発症率の減少には至らなかった。オランダ・Academic Medical CenterのEric P Moll van Charante氏らが、The Prevention of Dementia by Intensive Vascular care trial(preDIVA試験)の結果、報告した。先行研究では、心血管リスク因子の改善が認知症を予防する可能性が示唆されていた。今回の研究で介入の効果を確認できなかった理由について著者は、「ベースライン時、すでに軽度の心血管リスクを有し、プライマリケアで高い水準のリスク管理が行われていたことによる」と考察したうえで、未治療の高血圧患者においては介入により臨床的に意味のある効果が得られていることから、「今後は選択された集団で介入の有効性を評価すべきである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月26日号掲載の報告。

日々の適度な身体活動が長時間座位による死亡リスクを抑制/Lancet

 毎日の適度な身体活動(1日約60~75分)は、長時間座位と関連する死亡リスクを排除すると思われることが、英国・ケンブリッジ大学のUlf Ekelund氏らによる男女100万人超のデータをメタ解析した結果、明らかにされた。一方で、同活動はTV視聴時間と関連する死亡リスクについては、低減はするが排除するまでには至らなかった。長時間座位は多くの慢性症状や死亡との関連が示唆されている一方、身体活動が長時間座位による有害作用を減少もしくは排除にまで至るのかは不明であった。著者は、「検討の結果は、とくに長時間座位労働者が増えており、今後パブリックヘルスの推奨が行われていく社会において、身体活動のベネフィットについてさらなるエビデンスを提供するものだった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2016年7月27日号掲載の報告。

糖尿病治療薬の選択と心血管アウトカム(解説:田中 敦史氏/野出 孝一 氏)-574

近年、報告が相次ぐ新規糖尿病治療薬の心血管アウトカム試験は、そのたびに大きな注目を集め、われわれ臨床家・研究者に新たな研究テーマをもたらしている。しかしその一方で、それら欧米での試験結果が、本邦での糖尿病日常診療にどれほどのインパクトを与えているのか、いまだ不透明な部分もある。事実、それらの心血管アウトカム試験では非常に限定的な対象者に対して、ごく短期間で従来治療群との間に非劣性を証明するための試験デザインが組まれており、当該薬剤のポテンシャルを十分に引き出せているのかどうかについては、熟考の余地があるように思われる。とくに過去の一部の試験では、心不全入院のリスクや心血管死、さらには総死亡のリスク増加を証明された薬剤もあり、一度植えつけられたそれらのリスクを払拭するのは容易なことではない。

不眠症になりやすい食事の傾向

 不眠症は、いくつかの健康上有害なアウトカムと関連している。これは、小規模な臨床研究により、不十分な栄養状態が関連していることが示唆されているが、住民ベースコホート研究による大規模な検討は行われていない。米国・ペンシルベニア州立大学のFeon W Cheng氏らは、不眠症の疑い例や不眠症状例のエネルギー摂取量と2年後の食事指数(AHEI)を用いて評価した食事の質について調査した。その結果、不眠症疑い例では、総エネルギー、トランス脂肪酸、ナトリウムの高摂取および野菜の低摂取との関連が認められたことを報告した。The American journal of clinical nutrition誌2016年8月号の報告。