内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:362

COVID-19に対するレムデシビルによる治療速報―米中のCOVID-19に対する治療薬・ワクチンの開発競争(解説:浦島充佳氏)-1238

COVID-19に対して各国で治療薬・ワクチンの開発が進められている。エイズの治療薬であるカレトラは期待が持たれたが、ランダム化臨床試験でその効果を否定された。4月29日、レムデシビルは武漢のランダム化臨床試験で、明らかに治療薬群で有害事象による薬剤中止例が多く、途中で中止された。したがって十分な症例数ではないが、レムデシビル群の死亡率は14%、プラセボ群のそれは13%であり治療効果を確認することはできなかった。

COVID-19中等症、レムデシビル5日間投与で有意に改善/ギリアド

 ギリアド・サイエンシズ (本社:米国・カリフォルニア州)は、2020 年 6 月 1 日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中等症入院患者を対象としたレムデシビル(商品名:ベクルリー)の第III相試験(SIMPLE試験)の主要結果を発表。レムデシビル5日間投与群の臨床症状は標準治療単独群より有意に改善し、入院患者に対するレムデシビルの有用性が示されたことを明らかにした。  本試験は、COVID-19の診断が確定し、肺炎がみられるものの酸素飽和度の低下を認めない患者を標準治療に加えレムデシビル5日間もしくは10日間投与する群、標準治療群に1:1:1で割り付けた無作為非盲検試験。主要評価項目は、投与から11日目の臨床状態とし、退院から酸素補給の程度の増加、人工呼吸器の使用、死亡までを指標とする7段階スケールにて評価した。副次評価項目として、レムデシビルの各投与群と標準治療群の有害事象発現率を比較した。

80歳以上の高齢の高血圧患者、降圧薬を1剤減らしても非劣性/JAMA

 2種類以上の降圧薬を服用し、収縮期血圧値が150mmHg未満の80歳以上の高齢患者について、医師が判断のうえで降圧薬を1種類減らしても通常どおりの治療を続けた患者と比べて、12週後の血圧コントロールに関して非劣性であることが示された。英国・オックスフォード大学のJames P. Sheppard氏らが、英国69ヵ所のプライマリケア診療所を通じ、569例を対象に行った試験で明らかにした。多剤併用および複数疾患が並存する高齢者に対して、治療継続のベネフィットが有害性に勝らない場合は、降圧薬の処方を見直すことが推奨されている。著者は、「今回の結果は、高血圧の高齢者患者集団において、降圧薬の減薬が血圧コントロールに実質的な影響はもたらさないことを示すものであった。なおさらなる研究を行い、長期的な臨床アウトカムを明らかにする必要はある」とまとめている。JAMA誌2020年5月26日号掲載の報告。

「複合的減塩」のすすめ―まずは、カリウム代用塩の活用を!(解説:石上友章氏)-1237

高血圧と食塩摂取との間には、緊密な関係が証明されており、高血圧の生活習慣指導の中心は「減塩」とされている。日本高血圧学会も、「減塩」に力を入れており、減塩サミット・適塩フォーラムといったイベントや、学会推奨の減塩食品の開発を行っている。したがって、公衆衛生的な取り組みが、高血圧ならびに、高血圧に起因する心血管病の制圧に有効とされている。英国では、国家的に食品(主にパン)中の食塩を減らすことで、血圧の低下、心血管イベントの抑制に成功している。中国では、パンに代わり、主要な食塩源が卓上塩であることから、卓上塩をカリウム代用塩に置き換えることで、同様の効果が期待できる。

COVID-19へのレムデシビル、国際共同治験の中間報告:国立国際医療研究センター

 国立国際医療研究センター(NCGM)は5月29日(金)、メディア勉強会を行い、これまでのCOVID-19に関する取り組みや現在行う治療、研究開発について発表した。  このうち、NCGMセンター病院 国際感染症センター長の大曲 貴夫氏がレムデシビル(商品名:ベクルリー)のアダプティブCOVID-19治療治験(ACTT、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験)について中間解析結果を発表した。  対象患者の主な選択基準は以下のとおり。 ・PCRまたはその他の検査法でSARS-CoV-2 感染が確定された入院患者 ・成人男性または妊娠していない成人女性

新型コロナ患者の退院基準、2回の陰性確認が不要に/厚労省

 5月29日、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、感染症法)における新型コロナウイルス感染症患者の退院及び就業制限の取扱いについて(一部改正)」において、退院に関する基準の改正通知が発出された。  改正後の通知で、感染症法第22条の「症状が消失したこと」とは、原則として次の(1)に該当する場合とされる。ただし、次(2)に該当する場合も差し支えない。

COVID-19の入院リスク、RAAS阻害薬 vs.他の降圧薬/Lancet

 スペイン・University Hospital Principe de AsturiasのFrancisco J de Abajo氏らは、マドリード市内の7つの病院で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の調査「MED-ACE2-COVID19研究」を行い、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)阻害薬は他の降圧薬に比べ、致死的な患者や集中治療室(ICU)入室を含む入院を要する患者を増加させていないことを明らかにした。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2020年5月14日号に掲載された。RAAS阻害薬が、COVID-19を重症化する可能性が懸念されているが、疫学的なエビデンスは示されていなかった。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、そのスパイクタンパク質の受容体としてアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)を利用して細胞内に侵入し、複製する。RAAS阻害薬はACE2の発現を増加させるとする動物実験の報告があり、COVID-19の重症化を招く可能性が示唆されている。一方で、アンジオテンシン受容体遮断薬(ARB)は、アンジオテンシンIIによる肺損傷を抑制する可能性があるため、予防手段または治療薬としての使用を提唱する研究者もいる。また、RAAS阻害薬は、高血圧や心不全、糖尿病の腎合併症などに広く使用されており、中止すると有害な影響をもたらす可能性があるため、学会や医薬品規制当局は、確実なエビデンスが得られるまでは中止しないよう勧告している。

23%が以前の生活に戻れないと回答/アイスタット

 新型コロナウイルス感染症の拡大について、一般市民の意識変遷の実態を知る目的に、株式会社アイスタット(代表取締役社長 志賀保夫)は、5月20日に3回目の「新型コロナウイルスに関するアンケート調査」を行った。  アンケートは、業界最大規模のモニター数を誇るセルフ型アンケートツール“Freeasy”を運営するアイブリッジ株式会社の会員で20~79歳の300人を対象に調査を実施したもの。  同社では今後も毎月定期的に定点調査を行い、その結果を報告するとしている。

コロナ感染流行に一服、診療所医師の懸念はどう変化?~連続アンケート結果

 ケアネットでは、2020年4月第2週から週次で、病床を有していない診療所で勤務する会員医師を対象に「直近1週間のCOVID-19疑い例の診療状況」についてアンケートを行っている。調査対象地域は関東(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、名古屋(愛知県)、関西(京都府、大阪府、兵庫県)、福岡(福岡県)の4エリア、現在は第7回分まで、50日間の経過を掲載中だ。  毎回750~900人の医師から回答が集まり、エリアごとに多少の差はあるものの、全体で見ると4月第3週(調査対象期間:4月9~15日)をピークに、疑い例の平均患者数は50日間で半分近くまで減り(4月第3週:2.77人→5月第3週1.14人)、PCR検査で陽性となった平均患者数も半減した(4月第3週:0.12人→5月第3週0.06人)。

心血管疾患、発症率や死亡率に性差/Lancet

 心血管疾患の治療は、1次予防に関しては男性より女性で多く行われており、2次予防については反対の傾向がみられたものの、心血管疾患の既往の有無にかかわらず男性より女性のほうが、一貫してアウトカムは良好であることが観察された。カナダ・マックマスター大学のMarjan Walli-Attaei氏らが、27ヵ国の35~70歳、20万2,072人が参加した大規模前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiological(PURE)研究」の解析結果を報告した。主に高所得国の研究では、男性と比較して女性は心血管疾患に対するケアをあまり受けておらず死亡リスクが高い可能性があることが報告されているが、リスク因子、1次あるいは2次予防の服薬、心血管疾患の発症、死亡を系統的に報告している研究はほとんどなかった。Lancet誌オンライン版2020年5月20日号掲載の報告。