内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:309

看護師1人当たりの患者数最小化で、患者転帰が改善/Lancet

 看護師1人当たりの患者数を最小化する施策により、死亡率、再入院率、在院日数が改善され、その結果として支出せずに済んだ費用は、看護師の増員に要した費用の2倍以上に達したことが、米国・ペンシルベニア大学のMatthew D. McHugh氏らが実施した「RN4CAST-Australia試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年5月11日号で報告された。  研究グループは、2016年にオーストラリア・クイーンズランド州で制定された最小看護師-患者比率に関する施策が看護師の人員配置や患者転帰に及ぼす影響の評価および、同施策が人員配置と患者アウトカムに関連があるかを検討する目的で、前向きパネル調査を行った(オーストラリア・クイーンズランド州保健局などの助成による)。  クイーンズランド州の最小看護師-患者比率施策(午前と午後の勤務では1対4を超えない、夜間勤務では1対7を超えない)の対象となった病院(介入病院:27施設)と、退院患者が類似するがこの施策の対象ではない病院(対照病院:28施設)を、施策の導入前(ベースライン)と導入から2年の時点で比較した。

新「内科専門医」と「総合内科専門医」の試験と位置付け教えます

 従前からアナウンスされていた、日本内科学会の専門医制度改革がいよいよ現実のものとなる。今年7月には、初めての「内科専門医」試験が実施され、今後、内科専門医が続々誕生していく一方、従来の「認定内科医」試験は今年6月が最後となる。近年受験者が急増していた「総合内科専門医」と内科専門医はどのようなすみ分けになるのか? 認定内科医との試験内容の違いは? CareNeTVで総合内科専門医試験対策のレクチャーを手がけている長門 直氏(JCHO東京山手メディカルセンター 呼吸器内科・感染症内科)に解説してもらった。

日本におけるアルツハイマー病と歯数との関連

 日本人高齢者における残存または欠損している歯数とアルツハイマー病との関連について、日本歯科総合研究機構の恒石 美登里氏らは、レセプト情報・特定健診等情報データベースを用いて、横断的な分析を行った。PLOS ONE誌2021年4月30日号の報告。  歯周病(400万9,345例)またはう蝕(虫歯)による抜歯(66万2,182例)の治療を行った60歳以上の患者を対象に、歯科医療レセプトデータを用いて、残存または欠損している歯数に関するデータを収集した。これらの歯数に関するデータとアルツハイマー病の診断を含む医療データを組み合わせて分析を行った。残存する歯数および第3大臼歯(親知らず)を除く欠損している歯数は、歯科医療レセプトの歯科用式を用いて算出し、それぞれ3群に分類した。アルツハイマー病のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)の算出には、年齢、性別で調整した後、ロジスティック回帰モデルを用いた。

亜鉛欠乏はCKD進行のリスク因子か

 亜鉛(Zn)は生体内に欠かせない必須微量元素で、血清濃度が低下することで成長や認知機能、代謝などさまざまな活動に障害をもたらす。実際、慢性腎臓病(CKD)患者では血清Zn濃度が低くなる傾向があることから、今回、川崎医科大学の徳山 敦之氏らが亜鉛欠乏症とCKD進行の関係性について調査を行った。その結果、亜鉛欠乏はCKD進行の危険因子であることが明らかになった。さらに、Zn濃度が低い患者において、観察期間中に亜鉛製剤を服用した患者のほうが主要評価項目のリスクが低かったとも結論付けた。PLoS One誌2021年5月11日号に掲載。

生活習慣病に対する薬物療法の実効的カバレッジが上昇

 生活習慣病リスク因子に対する、薬物療法の実効的カバレッジ(保健システムを通して、実際に人々に健康増進をもたらすことができる割合)が上昇していることが、医薬基盤・健康・栄養研究所の池田 奈由氏らによって明らかにされた。LDLなどのコレステロール値はスタチン系薬剤によって効果的に抑えられている一方、降圧薬および糖尿病治療薬の有効性を改善するにはさらなる介入が必要だという。Journal of Health Services Research & Policy誌2021年4月号の報告。  保健システム評価指標を用い、日本における高血圧症、糖尿病および脂質異常症治療に対する健康介入の実効的カバレッジについて、その傾向を分析した。

AZ社・モデルナ社の新型コロナワクチン、特例承認を取得

 アストラゼネカ社は5月21日、コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン「バキスゼブリア筋注」の製造販売について、日本国内における特例承認を取得したと発表した。SARS-CoV-2 ウイルスによる感染症の予防を適応とし、18 歳以上を対象とする。  英国・オックスフォード大学が主導する英国・ブラジル・南アフリカにおける第III相臨床試験の有効性および安全性に関する良好なデータと、国内第I/II相臨床試験結果を基に厚生労働省が同日、承認した。  PMDAは「バキスゼブリア筋注」について、成人には0.5mLを4~12週間の間隔をおいて2回筋肉内に接種することと定められており、最大の効果を得るためには8週以上の間隔をおいて接種することが望ましいと注意喚起している。この用法・用量は、臨床試験において良好な忍容性を示し、2回目接種後15日以降の症候性COVID-19を予防。COVID-19関連した重症例及び入院例も見られなかったという。

新型コロナ変異株感染者の特徴は?/国立国際医療研究センター

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異株の勢いが止まらない。日々の報道でも変異株の置き換わりについて耳にしない日はなく、早急な対応がなされつつある。そんな状況の中で、臨床の場で疫学的にはどのような動きがあるのだろうか。  国立国際医療研究センターは、国立感染症研究所と共同調査した「新型コロナウイルス感染症(新規変異株)の積極的疫学調査(第1報)」を4月27日開催のメディアセミナーで報告を行った。  セミナーでは、COVID-19の届出がされた24万2,373例のうちゲノム解析で変異株と同定された380例から協力が得られた110例の結果が、大曲 貴夫氏(国立国際医療研究センター 国際感染症センター長)により報告された。

心房細動後1年以内のリズムコントロールで心血管転帰良好/BMJ

 心房細動の診断から1年以内の患者では、リズムコントロール治療の早期開始により、レートコントロールに比べ有害心血管イベントのリスクが有意に低下したが、この関連性は心房細動を発症して1年以上経過した患者では認められなかった。韓国・延世大学校医科大学のDaehoon Kim氏らが、長期観察コホート研究の結果を報告した。心房細動患者の予後に対するレートコントロールとリズムコントロールの効果の比較については結論が得られておらず、最近発表されたEAST-AFNET 4試験では、発症後1年以内の心房細動患者の場合、リズムコントロール治療は通常治療より有害心血管イベントのリスクが低いことが示されていた。BMJ誌2021年5月11日号掲載の報告。

新型コロナワクチン戦略、65歳未満は1回目接種優先が有益/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは、PfizerのBNT162b2およびModernaのmRNA-1273共に2回接種が標準となっているが、米国・メイヨー・クリニックのSantiago Romero-Brufau氏らは、エージェント・ベース・モデリングによるシミュレーションの結果、65歳未満の人々には1回目の接種を優先して行い2回目の接種を遅らせるワクチン接種戦略が、有益であることを明らかにした。同戦略で1日当たりのワクチン接種率が人口の0.1~0.3%で死亡率は最大20%低下し、1回接種のワクチン有効率が80%以上になる可能性があるという。BMJ誌2021年5月12日号掲載の報告。

心不全の2人に1人は予防できる!(解説:有馬久富氏)-1393

高齢者の増加に伴い、心不全患者さんが大幅に増加する「心不全パンデミック」が訪れると予想されている。心不全パンデミックを避けるためには、心不全の発症予防が急務である。 今回、Framingham研究・PREVEND研究およびMESA研究の統合解析から、年代別に心不全発症の危険因子およびその集団寄与危険割合を検討した結果がBMJに報告された。その結果、すべての年代において、男性・肥満・高血圧・糖尿病・喫煙・心筋梗塞および心房細動の既往が重要な危険因子であり、それらすべての集団寄与危険割合は75歳未満で75~77%、75歳以上で53%であった。つまり、75歳未満における心不全の4分の3、75歳以上では2分の1が、これらの危険因子により引き起こされているということが明らかになった。