コロナ感染率、ワクチン2回接種vs.感染後1回接種/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/06/03

 

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染歴がある人では、ワクチン接種の有無や感染前後での接種にかかわらず、再感染予防効果は最後の免疫獲得イベントからの経過時間が長くなるほど低下したが、この予防効果は、未感染でワクチンを2回接種し同じ時間が経過した場合での予防効果より高く、感染後のワクチン1回接種は再感染予防効果を増強することが、イスラエル・テクニオン-イスラエル工科大学のYair Goldberg氏らの研究で示された。SARS-CoV-2感染は、再感染に対する自然免疫を獲得することが知られる。最近の研究では、BNT162b2ワクチン(Pfizer-BioNTech製)による免疫効果の減衰が示されたが、自然免疫ならびに感染後のワクチン接種で得られるハイブリッド免疫の減衰に関しては不明であった。NEJM誌オンライン版2022年5月25日号掲載の報告。

570万人以上を対象に、最後の免疫獲得イベントからの経過時間に分けて感染率を比較

 研究グループは、イスラエル保健省の全国データベースを用い、B.1.617.2(デルタ)変異株が優勢であった2021年8月1日~9月30日のデータを抽出し、2021年7月1日以前にSARS-CoV-2感染陽性となった16歳以上の人、または研究期間終了の7日前までにBNT162b2ワクチンを2回以上接種した人を対象として、研究期間中の感染について調査した。SARS-CoV-2感染から回復後にBNT162b2ワクチンを2回以上接種した人や、BNT162b2ワクチンを2回以上接種した後にSARS-CoV-2感染から回復した人は解析から除外した。

 解析対象を免疫獲得イベント(感染またはワクチン接種)歴によって、(1)ワクチン未接種回復群、(2)2回接種群(未感染で、研究期間終了7日前までに2回目接種を完了)、(3)3回接種群(未感染で、研究期間終了12日前までに3回目接種を完了)、(4)回復後1回接種群(COVID-19から回復後、研究期間終了7日前までに1回目接種)、(5)1回接種後回復群(1回目接種後、研究期間の90日以上前に感染が確認された人)の5つのコホートに分け、さらに各コホートを最後の免疫獲得イベントからの経過時間によってサブコホートに分け、交絡因子を調整したポアソン回帰を用い最後の免疫獲得イベントからの時間の関数として感染率を比較した。

 解析対象は、5つのコホート全体で572万4,810人であった。

免疫獲得イベントから6~8ヵ月未満での感染率は、回復後1回接種群が最も低い

 SARS-CoV-2感染者数/10万人日(補正後率)は、3回接種群を除くすべてのコホートで経時的に増加した(3回接種群はサブコホートが1群のみ)。

 すなわち、(1)ワクチン未接種回復群では、感染からの期間4~6ヵ月未満の10.5から、1年以上では30.2に増加し、(4)回復後1回接種群では、接種後0~2ヵ月未満の3.7(すべてのサブコホートで最も低値)から、接種後6~8ヵ月未満では11.6に増加した。

 一方、(2)2回接種群では、この補正後率は接種後0~2ヵ月未満の21.1から、接種後6~8ヵ月未満では88.9まで増加した。

(医学ライター 吉尾 幸恵)