内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:191

コロナ外出自粛が高齢者の健康に及ぼした影響/日本抗加齢医学会

 新型コロナウイルス感染症による外出自粛が機能年齢、酸化ストレスなどの抗加齢医学的指標に及ぼす影響について検討した結果、運動している自覚がある人であっても、実際には体重支持指数が低下して筋年齢が老化していたことを、草野 孝文氏(アエバ外科病院)が第23回日本抗加齢医学会総会で発表した。  調査対象は2006年6月1日~2022年12月31日にアンチエイジング・ドックを受診した413例(男性204例[平均年齢64.0±12.5歳]、女性209例[平均年齢66.4±13.5歳])で、2類感染症指定期間中に外出自粛を行っていた群と行っていなかった群の機能年齢や抗加齢的指標を比較解析した。抗加齢的指標は筋年齢、神経年齢、血管年齢、ホルモン年齢、骨年齢、遺伝子損傷度、酸化ストレス度であった。

急性冠症候群における早期SGLT2阻害薬使用の効果

 SGLT2阻害薬は糖尿病治療だけでなく、現在では心不全(HF)や腎不全の治療にその活躍のフィールドを拡大している。HFの臨床転帰を改善することは、すでにさまざまなエビデンスが報告されているが、早期の急性冠症候群(ACS)ではエビデンスは限定的であった。この疑問に対し、国立循環器病研究センターの金岡 幸嗣朗氏らの研究グループは、入院中の急性冠症候群患者に対し、SGLT2阻害薬の早期使用と非SGLT2阻害薬またはDPP-4阻害薬の使用の関連を検討した結果を報告した。European Heart Journal-Cardiovascular Pharmacotherapy誌オンライン版2023年5月12日掲載。

XBB.1対応コロナワクチン、秋接種から導入へ/厚労省

 厚生労働省は6月16日に厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を開催し、2023年度秋冬の接種に使用する新型コロナワクチンについて、XBB.1系統を含有する1価ワクチンを用いることが妥当であるという方針を示した。現在の主流であるオミクロン株XBB.1系統に対して、現行のBA.4/5対応2価ワクチンでは中和抗体価の上昇が低く、移行しつつある主流流行株に対してより高い中和抗体価を誘導するためには、最も抗原性が一致したワクチンを選択することが適切であるという。

不眠症の第一選択薬~日本の専門家コンセンサス

 睡眠障害の治療に関する臨床的疑問(クリニカル・クエスチョン)に対し、明確なエビデンスは不足している。琉球大学の高江洲 義和氏らは、1)臨床状況に応じた薬物療法と非薬物療法の使い分け、2)ベンゾジアゼピン系睡眠薬の減量または中止に対する代替の薬物療法および非薬物療法、これら2つの臨床的疑問に対する専門家の意見を評価した。その結果、専門家コンセンサスとして、不眠症治療の多くの臨床状況において、オレキシン受容体拮抗薬と睡眠衛生教育を第1選択とする治療が推奨された。Frontiers in Psychiatry誌2023年5月9日号の報告。

歯の痛み、どのくらいの頻度で“虫歯リスク”なのか

 日本歯内療法学会が、直近3ヵ月で歯の痛みを感じたことがある20~60代の800名を対象に『歯の痛みの放置』に関するアンケート調査を実施。その結果、痛みの強さや頻度に関わらず断続的に痛みを感じている人には一定の「虫歯リスク」があることが推察された。  主な結果は以下のとおり。 ・痛みの頻度ごとの内訳は、いつも痛む人(痛みが1~3日に1回程度)25.9%、ときどき痛む人(痛みが毎週~2、3週ごとに1回程度)32.1%、まれに痛む人(1~3ヵ月に1回程度)42.0%だった。 ・まれに痛む人の半数以上は違和感程度で、痛みを感じる箇所は特定のところだった。 ・痛みを感じた後に歯科受診したのは、全体の4割程度だった。 ・歯科検診で「虫歯」と診断された割合は、いつも痛む人33.0%、ときどき痛む人31.0%、まれに痛む人43.1%だった。 ・歯科検診していない人のうち、痛みを半年以上放置した割合は、まれに痛む人で56.8%にのぼった。一方、いつも痛む人でも半年以上も痛みを放置した割合は43.4%と長期間放置する人が多くみられた。

研究機関でのハラスメント、影響を受けやすいのは?/JAMA

 米国・ミシガン大学のReshma Jagsi氏らは、医学アカデミアに従事する教員にまつわる職場ハラスメント、サイバーインシビリティ(ネット上での敬意を欠いた非礼な言動)、組織風土がどのように変化しているかを調べる検討を行った。その結果、セクシャルハラスメント、サイバーインシビリティ、ネガティブな組織風土が高率に、とりわけマイノリティ集団を対象として存在し、メンタルヘルスに影響をもたらしていることを報告した。著者は、「医学アカデミアには、労働力の活力を損なう虐待行為を助長する可能性がある文化が存在する。引き続き医学アカデミアの文化を変える努力が必要である」と述べている。JAMA誌2023年6月6日号掲載の報告。

アルツハイマー病治療薬lecanemabの安全性・有効性~メタ解析

 アルツハイマー病に対するlecanemabの有効性および安全性を評価するため、中国・Shengjing Hospital of China Medical UniversityのYue Qiao氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。その結果、実臨床における意義は確立していないものの、lecanemabは、早期アルツハイマー病患者の認知機能、行動に対し有効性を示すことが報告された。Frontiers in Aging Neuroscience誌2023年5月5日号の報告。  2023年2月までに公表された軽度認知障害またはアルツハイマー病患者における認知機能低下に対するlecanemab治療を評価したランダム化対照比較試験を、PubMed、Embase、Web of Science、Cochraneより検索した。臨床的認知症重症度判定尺度(CDR-SB)、Alzheimer's Disease Composite Score(ADCOMS)、AD Assessment Scale-Cognitive Subscale(ADAS-Cog)、臨床的認知症尺度(CDR)、アミロイドPET SUVr、PETにおけるアミロイド負荷、有害事象リスクに関するアウトカムを収集した。

コロナ5類移行後の院内感染対策の現状は?/医師1,000人アンケート

 5月8日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置付けが「5類感染症」に移行となったが、医療機関ではその前後の過渡期に、これまで継続してきたさまざまな院内感染対策の緩和について議論されていた。5類に移行して約1ヵ月経過し、新規コロナ感染者は全国的に増加傾向にあり、院内感染対策をどこまで緩和するか、今なお難しい判断が迫られている。  病床の有無やコロナ診療状況など条件の異なる医療機関において、院内感染対策の現状や、抱えている課題を把握するため、病院を20床以上、診療所を20床未満と定義し、病院522人、診療所502人の会員医師1,024人を対象に『病院・診療所別 新型コロナ5類移行後の院内感染対策アンケート』を5月30日に実施した。

日本人の炭水化物摂取量と死亡リスクは男女で逆の関係に~J-MICC研究

 これまで、炭水化物や脂質の摂取量と死亡リスクの関連を検討した研究において、一貫した結果が得られていない。そこで、田村 高志氏(名古屋大学大学院医学系研究科予防医学分野 講師)らの研究グループは、日本多施設共同コホート研究(J-MICC Study)に参加した8万1,333人を対象として、炭水化物、脂質の摂取量と死亡との長期的な関連について検討した。その結果、男性では炭水化物の摂取量が少ないと死亡リスクが高くなり、女性では炭水化物の摂取量が多いと死亡リスクが高くなる傾向がみられた。本研究結果は、The Journal of Nutrition誌オンライン版2023年6月2日号に掲載された。

日本人慢性片頭痛患者におけるフレマネズマブの有効性と安全性

 慢性片頭痛(CM)患者に対し、抗CGRPモノクローナル抗体製剤フレマネズマブによる治療は有効であり、効果発現が早く、忍容性が良好であることが臨床試験で示されている。近畿大学の西郷 和真氏らは、日本人CM患者におけるフレマネズマブの有効性および安全性を評価するため、2つの臨床試験(Japanese and Korean CM Phase 2b/3、HALO CM Phase 3)のサブグループ解析を実施した。著者らは、「サブグループ解析の限界にもかかわらず一貫した結果が得られており、日本人CM患者に対するフレマネズマブの有効性および忍容性が裏付けられた」と報告している。Journal of Pain Research誌2023年4月20日号の報告。