内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:160

介護保険による住宅改修の実情―視覚・認知機能障害へのサポートが不足

 介護保険の住宅改修費給付制度の利用状況を調査した結果が報告された。医療経済研究・社会保険福祉協会医療経済研究機構の土屋瑠見子氏らの研究によるもの。認知機能障害や視覚障害による要支援者は、他の理由による要支援者よりも、住宅改修を行う割合が有意に低いことなどが明らかになった。詳細は、「BMC Geriatrics」に5月20日掲載された。  何らかの機能障害がある場合、その障害のタイプや程度に応じて住宅改修を行うことにより、転倒などによる受傷リスクが低下し生活の質(QOL)が維持され、死亡リスクが低下することが報告されている。介護保険制度でも、要支援・要介護認定を受けた場合には、住宅改修コストの1~3割、最大20万円まで助成され、手すりの設置、段差解消、便器の取替えなどが可能だ。土屋氏らは、この制度の利用状況と、障害のタイプ、性別、世帯収入などとの関連を詳細に検討した。

サプリメントのCVDやがん予防効果に関するエビデンスは不十分

 心血管疾患(CVD)やがんの予防効果を期待してビタミンなどのサプリメント(以下、サプリ)を摂取している人は多い。こうした中、米国予防医学専門委員会(USPSTF)は、ビタミンやミネラル、マルチビタミンなどのサプリの効果についてシステマティックレビューを実施し、CVDやがんの予防効果を裏付けるエビデンスは不十分であるとの結論に至ったことを発表した。CVDやがんの予防を目的としたサプリの摂取に関する今回の勧告は、2014年に発表された勧告の改訂版で、「Journal of the American Medical Association(JAMA)」に6月21日掲載された。

TRFと共同開発のダンスがコロナ禍の高齢者の認知機能を改善―東大先端研

 ダンス・ボーカルユニットのTRFと東京大学先端科学技術研究センターの研究グループが共同開発した高齢者向けのダンスが、認知機能や実行機能の改善に有効であることを示す、無作為化比較試験の結果が報告された。同研究センター身体情報学分野の宮崎敦子氏(研究時点の所属は理化学研究所)らによる論文が、「International Journal of Environmental Research and Public Health」に5月19日掲載された。  運動に認知機能や実行機能(物事を考えて行動する機能)の低下を防ぐ効果があることが知られており、高齢者に対して運動が奨励されている。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックにより屋外での運動が制限される状況が長引いている。これを背景として宮崎氏らは、屋内でも行えるダンスを開発し、認知機能や実行機能に及ぼす影響を検討した。

片頭痛の有病率や割合を日本人で調査

 片頭痛は、反復性の頭痛発作で特徴付けられる慢性疾患であるにもかかわらず、日本におけるその疫学や治療状況に関して、最近の研究は十分に行われていない。埼玉精神神経センターの坂井 文彦氏らは、日本における片頭痛の有病率および治療状況を明らかにするため、健康保険協会員を対象に、レセプトデータおよび片頭痛・頭痛に関するオンライン調査のデータを用いて実態調査を行った。その結果、日本人片頭痛患者の80%が医療機関での治療を受けておらず、苦痛を感じながら日常生活を続けていることが明らかとなった。著者らは、革新的な治療アプローチが利用可能になることに併せ、片頭痛は単なる頭痛ではなく、診断や治療が必要な疾患であることを啓発していく必要があるとしている。The Journal of Headache and Pain誌2022年6月23日号の報告。

糖尿病でCOVID-19後遺症リスクが4倍になる可能性

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後にさまざまな症状が慢性的に続いている状態、いわゆる「long COVID」または「PASC(post-acute sequelae of COVID-19)」のリスクを、糖尿病が最大4倍程度押し上げる可能性が報告された。米エモリー大学のJessica Harding氏らが、米国糖尿病学会(ADA2022、6月3~7日、ニューオーリンズ)で6月5日に発表した。  糖尿病がCOVID-19重症化(入院や死亡)の主要なリスク因子の一つであることは、パンデミックの初期から知られていた。ただし、COVID-19罹患者の多くを悩ませているlong COVIDと糖尿病との関連は明らかになっていない。Harding氏らは、これまでの報告を用いた探索的研究であるスコーピングレビューによって、この点を検討した。

女性はCOVID-19急性期後に症状が長引きやすい

 女性は男性よりも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患後にさまざまな症状が慢性的に続く状態、いわゆる「long COVID」のリスクが高い可能性が報告された。ジョンソン・エンド・ジョンソン社のShirley Sylvester氏らが行った文献レビューの結果であり、詳細は「Current Medical Research and Opinion」に6月20日掲載された。  この研究は、文献データベースを用いて、2020年8月以前に公開された「COVID-19後遺症」に関する論文と、2021年6月以前に公開された「long COVID」に関する論文を検索し、性差について検討したもの。なお、COVID-19後遺症は、COVID-19発症後の持続期間が4週間未満の症状と定義。一方、long COVIDは、COVID-19発症後4週間以上続く症状と定義されている。

砂糖入りのコーヒーも死亡リスクを下げる可能性

 コーヒーに少量の砂糖を入れて飲む習慣も、健康にとってプラスに働く可能性を示唆する研究結果が報告された。南方医科大学(中国)のChen Mao氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に5月31日掲載された。  これまでの観察研究から、コーヒーを摂取するという習慣が死亡リスクの低さに関連していることが示唆されている。ただし、それらの研究はコーヒーをブラックで飲むか、砂糖を入れて飲むかといった区別をしておらず、砂糖を入れて飲むと健康へのプラスの影響が相殺される可能性も考えられる。そこでMao氏らは、英国の大規模ヘルスケア情報データベース「UKバイオバンク」を用いてこの点を検討した。

高齢者の4回目接種、オミクロン株への有効性は?/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチン(BNT162b2[ファイザー製]、mRNA-1273[モデルナ製])の4回接種は、3回接種と比較し、オミクロン変異株流行中の長期療養施設の60歳以上の入居者において、SARS-CoV-2オミクロン変異株の感染(症状の有無を問わないRT-PCR検査陽性)、症候性感染および重篤なアウトカム(入院または死亡)の予防を改善することが、カナダ・オンタリオ州公衆衛生局のRamandip Grewal氏らによる検討で示された。また、4回目接種者はワクチン未接種者と比較し、重篤なアウトカムへの予防効果は高いことも示された。ただし、保護効果の持続期間は不明であった。これまでに、イスラエルにおける60歳以上を対象としたリアルワールドの有効性試験では、BNT162b2の4回目接種者は3回目接種者(4ヵ月以上前に接種)と比較して、オミクロン変異株への感染およびCOVID-19重症化がかなり予防できることが示唆されていた。BMJ誌2022年7月6日号掲載の報告。

生後6ヵ月~4歳へのコロナワクチン、国内製造販売承認を申請/ファイザー

 ファイザーは7月14日付のプレスリリースで、生後6ヵ月~4歳の小児に対する同社の新型コロナウイルスワクチン(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン[SARS-CoV-2]、商品名:コミナティ筋注)の製造販売承認を、厚生労働省に申請したことを発表した。  なお、本ワクチンについては、米国にて6月17日に、生後6ヵ月以上に対して、米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)したことを発表している。

ストレスにより免疫システムの老化が加速か

 ストレスは、免疫システムを弱めてさまざまな疾患を引き起こす可能性のあることが、米南カリフォルニア大学のEric Klopack氏らの研究で示唆された。衝撃的な出来事や仕事の重圧、日々のストレスや不当な扱いなどの経験は、免疫システムの老化スピードを速めることが示されたという。研究結果は「PNAS(Proceedings of the National Academy of Sciences)」に6月13日発表された。  免疫機能は加齢に伴い大きく低下し、老朽化した白血球が増える一方で、感染と闘える新しい白血球の数はわずかとなる。こうした現象は、「免疫老化」と呼ばれている。免疫老化はがんや心血管疾患、肺炎の発症リスクを高めるだけでなく、ワクチンの有効性の低下や器官系の老化とも関連する。しかし、同じ年齢の人でも健康状態に大きな差があるのはなぜなのか。Klopack氏らはこの差を、ストレスと免疫システムの老化との関連から説明できるのではないかと考え、今回の研究を実施した。