内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:160

国内コロナ入院患者の精神症状の実態―不眠やせん妄は重症度と相関

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院患者では、ほかの呼吸器疾患患者よりも精神症状発現率が高く、また一部の症状はCOVID-19重症度と相関することが明らかになった。九州大学大学院医学研究院精神病態医学の中尾智博氏らの研究によるもので、詳細は「Brain, Behavior, & Immunity - Health」5月号に掲載された。  COVID-19の後遺症、いわゆるlong COVIDでは倦怠感などの身体症状に加えて、抑うつや不安などの精神症状が高頻度に現れることが知られている。一方、COVID-19急性期の精神症状については大規模研究の報告が限られている。これを背景として中尾氏らは、福岡県内の9病院のDPC(診療報酬包括評価)データおよび精神科カルテデータを用いた解析から、COVID-19入院患者に発生する精神症状の実態の把握を試みた。

新型コロナ、住民への注意喚起のタイミングの目安を発表/厚労省

 厚生労働省は8月9日の事務連絡にて、感染拡大する新型コロナウイルス感染症の早期対応のため、各都道府県に向けて住民等に注意喚起を行う際の検討の参考となるタイミングの目安を発表した。  なお、本目安は、新型コロナ流行時において医療への負荷が主たる課題となることから、感染拡大が継続したとしても医療提供体制を確保するために設定されたものであり、感染症サーベイランスにおける感染症の流行の程度に関する注意報・警報レベルとは考え方が異なる。また、本目安は暫定的に設定されたもので、今後の流行状況等を踏まえ、変更される可能性もあるという。

うつ病と炎症性腸疾患との関連~メタ解析

 うつ病または抑うつ症状の既往歴のある患者は、炎症性腸疾患(IBD)リスクが高いといわれている。イタリア・Humanitas UniversityのDaniele Piovani氏らは、うつ病または抑うつ症状とその後の新規IBD(クローン病、潰瘍性大腸炎)発症との関連を調査するため、縦断的研究を実施した。その結果、うつ病歴を有する患者は、たとえ診断から数年たっていたとしても、軽度から中程度のIBDリスクが上昇する可能性が示唆された。Inflammatory Bowel Diseases誌オンライン版2023年6月10日号の報告。

朝のコーヒーの覚醒作用はプラセボ効果に過ぎない?

 眠気覚ましにコーヒーを飲む人は多いが、コーヒーの覚醒作用は、カフェインだけによりもたらされるわけではないようだ。ジャウメ1世大学(スペイン)のMaria Pico-Perez氏らが実施した研究で、カフェインを摂取しただけでは、コーヒーを飲んだときに得られる効果の一部しか得られないことが明らかにされた。この研究の詳細は、「Frontiers in Behavioral Neuroscience」に6月28日掲載された。  この研究では、コーヒーの覚醒作用が、コーヒーに含まれているカフェインによるものなのか、それともコーヒーを飲むという行為が関与しているのかが検討された。コーヒー摂取の効果を検討する対象者として、ポルトガルの一般集団から、コーヒーを1日1杯以上飲む人47人(平均年齢30±7.9歳、女性31人)を抽出して試験参加者として登録し、コーヒー摂取の効果について検討した。また、36人(平均年齢32.1±11.1歳、女性27人)から成る別グループを設け、カフェインのみを摂取した場合の効果を検討した。参加者には、試験のために研究室に入室する前の少なくとも3時間は、カフェイン入りの飲料や食べ物の摂取を控えてもらった。入室後に参加者の社会人口学的属性に関するデータを聞き取り調査し、その後、85mgのカフェインを含有するコーヒー、または同量のカフェインをお湯に溶かしたもの(以下、カフェイン水)を摂取してもらい、摂取前と摂取から30分後の2回にわたって脳の機能的MRI(fMRI)検査を行った。

スパイロメトリー正常の喫煙者、症状有無で呼吸器機能の経過に違いは?/JAMA

 症候性のタバコ曝露あり・スパイロメトリー正常(tobacco exposure and preserved spirometry:TEPS)者は、無症候性TEPS者と比べて、FEV1低下速度や、慢性閉塞性肺疾患(COPD)発生率に有意差はみられないことが、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のWilliam McKleroy氏らによる多施設共同長期観察試験「SPIROMICS II試験」で示された。一方で、症候性TEPS者は追跡期間中央値5.8年の間に、呼吸器症状が増悪した被験者が有意に多かったという。喫煙者はスパイロメトリー正常でも呼吸器症状を有することがあるが、これらの人々は通常、COPD治験では除外され、エビデンスベースの治療が欠落している。研究グループは、無症候性TEPSと症候性TEPSの自然経過を明らかにする検討を行った。JAMA誌2023年8月1日号掲載の報告。

突然死が最も起こりやすいスポーツは…

 心臓の病=高齢者のイメージが強いが、心臓突然死に限って言えば若年者も他人ごとではない。心臓突然死では年間約6~8万人が亡くなっており、その発生件数は年齢とともに増加する。ところが、スポーツ関連の突然死の場合は若年層に多く、18歳以下の突然死の約4割はスポーツ関連であるという。ではどんなスポーツで発生しやすいのだろうか。そしてその予防対策や心掛けておくべきことはなんだろうか-。今回、8月10日健康ハートの日を前に行われた第4回健康ハート・シンポジウムにおいて、公益財団法人日本サッカー協会(JFA)の医学委員を務める林 英守氏(順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学 准教授)が『サッカー×ハート ~今、私たちにできることは?~』と題し、発症リスクの高いスポーツ、試合前の体調管理方法について解説した。

わが国の平均寿命、コロナの影響などで男女とも低下/厚生労働省

 厚生労働省は、7月28日に令和4年の簡易生命表の概況を発表した。これによると男性の平均寿命は81.05歳、女性の平均寿命は87.09歳となり、前年と比較し男性は0.42年、女は0.4年下回ったほか、平均寿命の男女差は6.03年で前年より0.07年縮小した。  平均寿命の前年との差を死因別に分解すると、男性は悪性新生物(腫瘍)などの死亡率の変化が平均寿命を延ばす方向に働いていたが、男女とも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、心疾患(高血圧性を除く)、老衰などの死亡率の変化が平均寿命を縮める方向に働いていた。

1日3.4分の高強度の身体活動で、がんリスク17%減

 高強度の身体活動(Vigorous Physical Activity:VPA)は、がん予防のために推奨される身体活動(Physical Activity:PA)を達成するための効率のよい方法であるが、多くの人にとって継続のハードルが高い。「日常生活中の高強度の断続的な身体活動(Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity:VILPA)」を継続することで、がん発症のリスクを大幅に低下させる可能性があることが、新たな研究で明らかになった。オーストラリア・シドニー大学のEmmanuel Stamatakis氏らによる本研究の結果は、JAMA Oncology誌オンライン版2023年7月27日号に掲載された。

2050年の世界の糖尿病患者数は13億人に達する可能性

 現時点で世界の糖尿病患者数は5億人以上に上り、今後30年以内に13億人を突破する可能性があるとする研究結果が、「The Lancet」に6月22日掲載された。米ワシントン大学保健指標評価研究所のKanyin Liane Ong氏らが、世界の疾病負担研究(GBD)のデータを利用して推計したもの。  Ong氏は、「世界的な糖尿病患者数の急速な増加は、それ自体が憂慮すべきことであるだけでなく、この病気が虚血性心疾患や脳卒中のリスクを増大させることを考えると、世界中の全ての医療制度の維持が困難になる可能性もある」と語っている。また、「多くの人は、2型糖尿病は単に肥満や運動不足、不適切な食習慣に関連して発症すると信じているかもしれないが、実際には遺伝や社会経済的要因も関連がある。特に低・中所得国においては経済的要因の影響が大きい」と解説する。

バイアスドリガンドorforglipronは2型糖尿病・肥満症治療のgame changerになり得るか?(解説:住谷哲氏)

GLP-1受容体作動薬は2型糖尿病患者に対する血糖降下作用、体重減少作用および臓器保護作用が明らかにされている。さらに肥満症治療薬としてセマグルチド(ウゴービ)が製造承認されて現在薬価収載待ちの状況である。GLP-1受容体作動薬は有用な薬剤であるが注射薬のバリアはなかなか手ごわく、必要な患者に導入できないことが少なくない。そこで登場したのが経口セマグルチド(リベルサス)であったが、早朝空腹時に120ml以下の水で服用してその後30分は飲食不可、となっているので注射薬ほどではないが服薬アドヒアランスを維持するのが難しい。